変態エリーゼちゃん覚醒
エリーゼになったエリック視点
僕の名前はエリック・モリス……だったが今はエリーゼという名前を名乗っている。
俺は、アキラスズキとペアを組んでいる。
アキラはクラス分け試験でうまくやれなかったらしく、退学コースにグルーピングされている。
このまま、元の体に戻れないのだとすると、アキラともども僕は学び舎を去らなければならない。
エリーゼとしての未来を人生を半ばあきらめかけていた。
そう思っていたのだが、アキラと組んで、授業を受けたり、夜の特訓、列車での野戦などを通じて、彼の秘めたる魔法の才能を思い知ることになった。
いける。
こいつは育てたら、モノになる。
そう思った。
あざとい女を演じるのはアキラのやる気を引き出すためだが、少しそんな演技をすることも楽しんでいた。
彼に好意を持っている女を演じ、彼がそれにどぎまぎすることを楽しんでいた。
明日は、調理実習かけっこの日。
愛情たっぷりのクッキーを作るためにレシピ本を買いあさって読み漁った。
「うふ…うふふ……」
アキラは喜んでくれるかな。
「こわいよ。エリーゼちゃん」
同室のクララはドン引きしていた。
そして、翌日、調理実習の日はやってきた。
「エリーゼのスペシャル☆愛情☆エキス☆スペシャル」
おもむろに、はちみつの容器に入った紫色のエキスを取り出す。
「な、なにそれ」
ソナタが冷静にツッコミを入れるが僕の暴走は止まらない。
「これは、アキラくんのパワーアップを願って、エリーゼの魔法力と愛情を目一杯詰め込んだスペシャルエキスであーる」
「大丈夫かな……」
心配そうに見つめられる。
こんな意地悪な入れ替わりをしかけてきたエリーゼのことである。
彼女の名誉をこうして貶めてやることに僕は躊躇はなかった。
いつか僕は元の体に戻ってみせる。
そのときに、恥をかいた責任は、全部彼女自身が取ればいい。
僕はハンドミキサーを思いっきり派手に使いまわし、最強に愛情のこもったクッキーを作り上げた。
色は紫だった。
だが、このクッキーは高い魔法力が込められている。
アキラはこれを食べて一等になり、フェニックスクラスへ勝ち上がり。
そんな算段だった。




