エリーゼの決意
アキラ視点
「ウサモフ……。ありがとう。君のおかげだよ」
と僕は感謝の言葉を述べる。
「モフモフ!いい感じで体当たりできたモフ!」とウサモフが得意げに言うのでナデナデしてあげると、気持ちよさそうに上を向いて目を閉じる。
ナデナデをやめてもなで待ちしているのが実にかわいい。
軍の人たちが僕たちに近づいてくる。
「サルサ少尉は!」と問いかけると
「軍医さんが今見ているけど、おそらく命に異常はないわ。大丈夫。最終的には精密検査次第だけどね」
その言葉に僕はほっと胸をなでおろす。
「ところでペッパー軍曹は?」
と逆に聞かれたので、「ああ、そこに倒れている」と指さしたが、真っ黒な影だけが残って消えていた。
すると、女性の軍人さんの笑顔が消え「消されたのね」とつぶやく。
「どういうことですか?」
「おそらくペッパー軍曹に指示していた何者かが呪いをかけた。戦いに負けたら死体も何も跡形もなく消え去るようにね」
あまりにも恐ろしい呪いに、僕は小便がちびりそうになる。
「それにしても……。なぜペッパー軍曹はこんな裏切り行為を……」
「さ、さあ……」
エリーゼを狙ってとは、言ったら彼女が取り調べを受けて、彼女が目的から遠ざかる。
そんな気がした。
そんなこんなで、博物館に行くという本来の目的は緊急中止になり、僕たちは汽車に揺られて帰途につくことになった。
「夫婦水入らずでごゆるりと」
なんてお見合いみたいなことをソナタに言われて僕とエリーゼは二人きりになった。
彼女の髪からする汗のにおいに心臓がどきどきする。
こんなことされたら、また、おまたが元気になってしまう。
恥じらってる僕を見て「どうしたの?」と質問し、そっぽを向くと「かわいい」と彼女は笑う。
彼女のことを異性として意識していることはバレバレのようであった。
「それはそうと……さ」と、真剣な顔をする。
「私が狙われてる理由……知らない?」
「あ…ああ……知ってる。っていうか本当に自覚ないの?噂話になってるくらいなのに?」
命を狙われている理由に自覚がないというのは本当にどういうことだ?
僕はハンスから聞いた噂、連邦議員のスキャンダルを狙っているという噂をすべて話した。
「そうか……そうだったのね。私、だから、男になりたかったんだ……」
とミステリアスなことをまた言い出す。
「そんなまるで他人事みたいな」
「ありがと。私、生きがいを失いかけてたけど1つ目標ができた」
「目標?」
「あなたの力になること」
「俺の……力に?」
「あなたは自分では気づいてないかもしれないけど、魔法の素質は相当高いと見たわ。あなたをドラゴンクラスにまで成り上がらせてみせる!」




