茨城 公園に向かう
埼玉を出発してすぐ、妃愛香は外の景色を見ていた。
「願ってもないわぁ、麗奈と旅行に行けるなんてぇ。」
高速道路の変わらない風景を見ながら、妃愛香はつぶやいた。
もともとアタシの一人旅の予定だったのに......なんでこんなことになるのか......。
「そもそもアタシについてきて良かったのかよ、仕事とか大丈夫か? 」
「大丈夫よぉ、そこは心配しなくてもぉ。」
妃愛香はアタシを見つめながら、ニコニコと微笑んでいた。
「そうかよ、分かった。
最初に行くのは茨城だ、なんもないとは言わせないぞ。」
「茨城ねぇ、調べてみるわ。」
妃愛香はスマホを取り出して、調べ物を始めた。
しばらく調べた後、また口を開いた。
「茨城はひたちなか公園に海の幸、あとは温泉もあるわねぇ、名産品は納豆よぉ。」
「なら全部回るか、楽しそうだ。」
一発目の県からボリュームが多くて楽しみが増えた。
アタシは心を踊らせながら、アクセルを踏む力を少し強めた。
パーキングエリアにつき、アタシたちは車に降りて羽根を伸ばすことにした。
車を降りると、妃愛香が口を開いた。
「麗奈、お昼にしましょう?
朝から私何も食べてないのぉ。」
「ったく、奢れってこと? 」
アタシが嫌味っぽくそう言うと、妃愛香は何も言わずニヤリと笑った。
そんな彼女の顔を見てため息をつきながら、アタシたちはレストランの中に入った。
「アタシは......うどんでいいか。
妃愛香、これで買ってきな。」
「ありがとう、大好きよ麗奈ぁ♪」
「はいはい、わかったから。」
妃愛香に2000円を渡すと、彼女はニコニコと微笑んで昼飯を買いに行った。
アタシの番になり、うどんを注文して暫く待つ。
待っている間に、妃愛香を探すと彼女はステーキの店でランチセットを注文していた。
華奢でお嬢様気質な一面とは裏腹に、食べるものはワイルドなんだと驚いていると、店員に声をかけられた。
「お客様、商品完成しましたのでお受け取りお願いします。」
「ん?
ああ、悪かったね。」
アタシはおぼんを受け取り、適当なテーブルに座った。
箸を取って、食べ始めるころ、妃愛香が向かいに座ってきた。
「美味しそうなステーキのお店があったから、ついつい頼んじゃったわぁ。」
そういって彼女が持ってきたのは、200gのステーキセットだった。
食べれない量じゃないが、カロリーを気にしてそうな妃愛香にとってそれは爆弾みたいなものだ。
「おいおい、それカロリー大丈夫かよ......。」
そのセットを見つめながらアタシがつぶやくと、妃愛香はニコニコと微笑みながら口を開いた。
「大丈夫よ麗奈ぁ♪
わたしは食べても太らないで有名な紅木妃愛香なんだからぁ。」
「ははっ、そうかよ。」
キラキラとした目つきでステーキセットを見つめる彼女を見て、ついアタシも頬が緩んでしまった。
・・・・・・・・・
昼食を済ませ、車を走らせ続けて一時間弱、アタシたちは茨城についた。
あの量のランチを食べた妃愛香は助手席で寝息を立てている。
「ったく、どこまでもマイペースだよな。」
独り言をつぶやきながら、アタシは高速を降りた。
【料金は、2710円です。】
車から料金のアナウンスが流れ、ついにアタシたちは最初の県である茨城の下道に出た。
そこからさらに少し進むとコンビニが見えてきたので、アタシはそこに駐車した。
「目的地は......ひたち海浜公園と。」
ナビを設定していると、寝息を立てていた妃愛香が目を覚ました。
「あら、もうついたのぉ......? 」
「どう見てもコンビニだろ、これから向かうんだよ。」
「それはとっても楽しみだわぁ......♪ 」
公園にナビを設定したアタシは、車のエンジンを掛け、再び走り始めた......。
引用した公園のホームページ:https://hitachikaihin.jp/
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