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暖かい太陽の光に当てられ、ゆっくりと目を開ける。


「っ!」


だが目の前にいる人物を見て私の体が一瞬にして冷たくなる。


「お父様...」


目の前には目を逸らして立っているお父様とその後ろにディルがいた。


「アーシェ...その...あの」


”アーシェ”なんてここ数年、一度も呼ばれたことなかったのに一体何が起きているのだろうか。


「その...ゆる...許し...」


彼は何か言おうとしているが、すごく嫌そうな顔をしている。彼が言い終わるまで待っていると...


「ええい!貴様はやはりゴミだゴミ!!お前みたいなやつに許しを乞うなど誰がやるか」


そしてディルの方を向き。


「お前も!お前も後で衛兵に突きつけてやる。処刑だ処- ひっ!」


鋭い鉄の刃物がお父様の首に当てられる。


「ディル!何を」


恐ろしさで固まっているお父様は声を張り上げ助けを呼んだ。


「誰も来ないよ。防音結界が張られてるからね」


「っ...貴様ただで済むと-」


「はいはい、それはもう何回も聞きました。さすがは貴族ってところだよ。みんなこんな感じだもん。早く謝って。拒否権あると思ってんの?」


「くっ...アーシェ!!早くコイツを離れさせろ!」


ディルは私に微笑んでいて、お父様は鋭く睨んできていた。長年お父様とともにいたのか、体が正直に命令に従いたくなる。迷っていると、ディルが口を開いた。


「いつまでもそのままだと一生解放されないよ。抵抗を見せないと」


確かに。だけど、抵抗して暴力が返ってきたら...。


「大丈夫、僕がいるから」


その言葉に目の前の道が開かれた気がした。心身ともに安心する。


「お父様、人を虐げるのはよくないです。少し、は、反省してください」


全てを捨てた覚悟でそういうと彼はワナワナ震え出した。


「これまで育ててきてやったというのに...親不孝者め!!」


「っと。これ以上前に出たら首が飛ぶよ?」


「チッ」


「アーシェ、もう少し寝てたらどう?ちょっとこちらで用事があるから」


そう言うと彼は転移魔法でお父様と一緒にどこかへ行ってしまった。


「......え?」


結局意味がわからないままそこに取り残された私はディルの言った通り眠りに戻るか朝食を食べに行くか悩むのだった。







翌日、アーネスト家が家族全員死亡により潰れたという情報が私の耳に入った。元々アーネスト家は国にとっても邪魔だったらしく、王家などはそこまで深く調査をしなかったという。


「まさか...」


思い出すのは昨日の事件。


もしやディルが。いや、彼がそんなことをするわけない。だが、もしも...。


横を見てみると嬉しく焼き鳥を頬張っているディルが目に入る。さらに両手に焼き鳥を5本ずつ持っていた。


さすがに彼が、なんて...ない...よね?

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