13 ディル視点
少しグロい(かもしれない)ところがあります。辛い場合は後書きまで飛ぶと簡潔に13をまとめたのでそこを読みたい人は読んでください。
作者より
時刻は真夜中。僕はアーシェの家族の屋敷の前にいる。さきほど彼女を眠らせたあと、彼女の記憶を見てこの屋敷にたどり着いた。
「ここか」
門を守っているはずの衛兵二人はぐっすり眠っている。容易く敷地内に入り、屋敷を目指す。今頃アーシェの家族は寝ているはず。
「先に妹か両親か...」
どちらに先に挨拶しに行こうか。
僕は地面を蹴り、アーシェの妹が寝ている部屋へと飛んだ。ベランダに着地すると軽くガラスを殴る。盛大な音に妹は勢いよく起き上がった。
「誰!?衛兵!!えい-」
僕は指を鳴らすと彼女の口が塞がる。彼女は目に涙を溜めていて恐怖の目でこちらを見ていた。僕が一歩踏み込むと彼女はベッドの上で後ずさる。案の定、ベッドから落ちた。
「んん!」
詠唱がないと魔法も使えないらしい。
「ねえ」
「ん!」
僕は彼女のかけた魔法を解く。そして防音結界で部屋を囲んだ。
「私を誰だか知っているの?!公爵家の令嬢よ。こんなことしてただで済むと思って-」
「どうでもいいよね?」
一瞬にして彼女と距離を詰める。自分でもわかるほど心がどんどん冷えていった。
コイツがアーシェを。
痛めつけ、罪もないのに罪を被せられ、虐められ、それを見て高らかに笑っていた。
悪女は僕をまじまじと見つめ始める。
「あなた、いい顔立ちをしているじゃない。私の恋人のしてあげてもよくってよ?光栄に思いなさい」
この女は今の立場で何をほざいているのだろうか。
「アーシェ、君の姉。知ってる?」
「どうしてあのバカ女の話が出てくるのよ!!」
「君さぁ、彼女のこと、虐めてたよね?」
あぁ、気味が悪い。こんなヤツから離れたい。一刻も早くアーシェの側に戻りたい。
「そうよ。で、それがどうしたの?」
ビキっと青筋が立った。
まるで当たり前のようにこの女は認める。目の前にいるヤツを殺したい。アーシェが受けた痛みをなんだと思っている。
「ふざけるな」
今まで一番低く怒りに満ちていた声だった。それでもなお高慢な態度をとっている彼女はまさに頭のネジが数本抜けている。
「...」
壁一面に濃い赤色が広がる。
「あ」
目の前には倒れている女の体、転がっている首。
僕の右手には血が滴っている剣。
「やっちゃった」
だが別に心が痛くなるわけでもなく、逆にどこか嬉しかった。わかっている、自分が狂っているということなど。
「あーあ、服が汚れちゃった。『クリーン』」
一瞬にして服が現れ乾かされる。ついでに体もお風呂に入り終わった時のようにすっきりしていた。
女の髪の毛を掴み、アーシェの両親の部屋へ向かう。扉をわざと大きな音で開き、起こさせる。
「誰だ!!...ひっ!」
男性...アーシェの父親と言ったほうがいいのか、は僕が手に持っているものを見て目を見開いた。隣にいた妻の女も顔面蒼白で見ている。
「き、貴様!何をっ!!」
「僕の大好きな彼女を傷つけた人に挨拶しにきただけ」
ぽいっと首をベッドの上へ投げる。夫婦は気持ち悪い物を見るかのようにベッドから降りた。
コイツらも自分勝手な人間だ。
「ねぇ、一人だけ残すけどどっちが娘と一緒になりたい?」
「つ、つまよ...」
「何よあなた私を売る気なの?!」
男の方は妻を僕の前に押す。
まあ、僕としてはどちらでもいいのだ。軽く剣を振って娘のところへ行かせると、男の方を拘束した。
「じゃあ君はアーシェに謝りに行こうか。そのあと生かすか殺すか決めるよ」
「ひぃぃぃぃ...!」
男の髪の毛を無造作に掴み、転移魔法で宿の自分の部屋に着く。
「起きろって...ほら...」
指を鳴らし、彼を強制的に起こさせる。
「こ、ここは?!」
「僕が今住んでる宿だよ。明日、君はアーシェに謝りに行く。許してもらえたいいね、そのあと殺すけど。許してもらえなかったらもっと無様に殺す」
男は必死に頷いた。
「良かった。じゃあね」
うなじを強く打ち、男をまた眠りに着かせる。
「アーシェは喜んでくれるかな?」
明日が楽しみだ。
ディルはアーシェの家族が住んでいるところを襲う。
アーシェの妹と会話をし、彼女は頭がおかしいことに気づく。彼女の態度に苛つき、殺してしまう。
両親の部屋へ向かい、脅す。父親の方を宿に転移魔法で連れ帰り、翌日アーシェに謝れと脅す。
と、簡潔にこういう内容です。
はい知ってます。ディル狂ってます。
まあいっか。
十分狂っている作者より