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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第3章「カナナ」
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第79話

いつもありがとうございます!

「それで何か計画でもあるのですか?」


っと赤城さんとかな先輩の仲直りさせることにあたっての作戦を聞くクリスちゃん。

私は例の「神前式体験」をクリスちゃんに説明してあげましたが正直に言って実行まで残された課題はいくらでもあります。


まずは絶対的に足りない時間。

「神前式体験」には様々な準備過程を経る必要がありますが残念ながらこちらは圧倒的な人手不足でかなり悩まされています。


巫女様と青葉さんは今度のセミナーの準備もこなしつつ式の準備に取り掛からなければならなくてそれと同時に青葉さんには赤城さんのことを式場まで誘導するという任務もあります。


今日のことを事前に知っていた青葉さんは結構前からこっそりこの計画に取り付いていたようですがどうやら間に合わなかったようです。


「だって新学期だったから巫女様はもちろん私までそこそこ忙しかったから。」


例の発表会の準備と相まって新入部員の勧誘やらコンクールやら夜遅くまで部室に残っていたそうな青葉さん。

暇がある時はちょこちょこ式の準備をしてたらしいですが到底一人では無理だったと彼女はそう言いました。


「それに加えて巫女様もシスターももう100年は動いているから。活動時間には制限時間があるし無理させちゃ申し訳ないから。他の子達にも相談できないことだし。」


っと何でも一人で解決しようとした青葉さん。

そんな彼女のことに私はふとこんな疑問を抱えてしまいました。


この人は本当に悪い人なのかって…


でも結局私は彼女のことをいい人だと思うことにしました。

実際青葉さんが赤城さんとかな先輩のことを心配しているってのは本当ですし他に私のこととか他の生徒達のことも気遣ってくれてますから。


私はそんな彼女のことを信じてクリスちゃんと知り合うことができてお友達にもなりました。

それだけで青葉さんがいい人っていうのはほぼ間違いないと私はそう感じます。


今回の派閥争いは何か青葉さんなりの事情があるだけでそれも決して本望ではなかった…

っと私はそう信じたいです。


でも実際私がクリスちゃんに話をかけたおかげで私達はお互いのことを知り合うことができました。

クリスちゃんが子供の頃、私とゆりちゃんのことを応援してくれたことも、私達を見てアイドルをやっていることも。


何よりクリスちゃん、今とてもウキウキした顔をしているんですから。

それだけで私は十分だと思います。


「な…なるほど…「神前式体験」ですか…」


そろそろ話が見えてきたようなクリスちゃん。

さすが魔界の「ファラオ」様…物わかりがすごくいい…


「うん…でもまだ式場の準備とか色々できてなくて…このままだと手遅れになりかねないって…」


青葉さんはどうしても赤城さんとかな先輩に今回の体験に参加してもらいたいって言ってました。


「このままだと二人共一緒赤の他人になってしまう、そういう気がするの。」


っとこの機を決して逃したくないと何か嫌な予感を感じ取った青葉さんは私達に成功させたいという意気込みを強くアピールしました。


青葉さんがかな先輩の転校のことを知っているのかは確信できませんが多分既に把握していると私はそう思います。

かな先輩はああ見えてもやることが適当すぎて雑なところもややありますからきっと隠しきれなかったと思います。


それに…


「緑山さん、今日なんか腰でも痛い?なんか調子悪そうね。」

「あ、はい。最近のみもりちゃん、夜にはすごいんですから結構張り切ってますから。

おかげさまで毎日グチョグチョうなんですよーもー♥みもりちゃんったら♥

よく気づきましたね。」

「な…なるほど…でも程々にね…?」


青葉さんってさり気なく察しよくて鋭い人なんですから…

ゆりちゃんはよく「水滴の刃」みたいな人って言いますしそこんとこを少し恐れているようで…


ってちょ…ちょっと!?私、夜に何かやらかしたの!?

え!?グチョグチョうって!?意味わかんない!


と…とにかく青葉さんは感がいいってことです…!

会長さんみたいに人の心を見抜く感じっていうかそういう感覚でとっくに昔からかな先輩の様子が変ってことはもう掴んでいるはずです!

それを防ぐために今年の中には何があっても赤城さんとかな先輩のことを仲直りさせようとしていると私はそう思います!


「わ…分かりました…!そういうことなら私にも協力させてください…!」


そして少し考え込んだ後、私に自分もこの計画に加えてくださいとお願いするクリスちゃんのことに私はふとこのことも青葉さんの仲直り大作戦に含まれていたことではないかとそう思うようになってしまいました。


「え…!?本当…!?本当にそうしてくれるの…!?」

「は…はい…!」


っと信じられないって二度も聞く私に強い目で私達のことをお手伝いしたいと宣言するクリスちゃん!


彼女は両手に取り合っていた小さな私達を見ながら


「虹森さんも、緑山さんもお姉ちゃんのお手伝いしましょうね?」

「うん!頑張る!」

「はい!」


ちびっこ達のやる気を奮い立たせました。


「和風の結婚式…私もやりたいです…」

「え?ゆりちゃん、ドレスの方がいいんじゃなかったの?」


っと知らずうちに自分達だけで新しい話題を始めてしまうちびっこ達。


ん…やっぱり変な気分です…

自分が子供の自分の話を聞いているっていうのは…

それになんか地味に恥ずい気分…


「どちらかという私は教会式なんですけどみもりちゃんなら白無垢の方が絶対絶対お似合いと思って。みもりちゃん、いかにも大和撫子って感じですから。」

「ええ…!?そ…そんなことないよ…!」


っと思いっきり恥ずかしがっている自分のことを見ていると…

ん…やっぱ恥ずい…


その姿を微笑ましく眺めていたクリスちゃんは


「じゃあ、今度は緑山さんの結婚式を私と虹森さんが用意してあげますね?ちゃんとしたドレスもご用意しておきますから。」


その小さな手をそっと握りながら小さなゆりちゃんの夢を叶えてあげることを約束しちゃいました。


「ほ…本当ですか…?えへへ…ありがとうございます…」

「私、頑張る!」


こみ上げる嬉しさを抑えきれない小さなゆりちゃんとクリスちゃんと一緒にゆりちゃんの結婚式に向けて張り切ってしまう子供の私。


なんかこの光景…ただのクリスちゃんの体験や情報を組み直したというのにはあまりにも生々しいような気がしますけど…

実際ゆりちゃん、子供の時からずっとそんな風に言ってたし…

自分は将来ウェディングドレスを着るのが夢だって…


もしかしてクリスちゃんって思ったより私達のことについて詳しいんじゃないかな…


「それで結局()()は何をすれば良いのでしょうか?」

「あ…!うん…!そうだね…!」


クリスちゃん…「私」じゃなく「私達」って言うんだ…ちゃんとあの二人のことまで入れている…


「私、自分が体験したことや知っている範疇のものでしたら具現化できますからきっとお役に立てると思います。例えばそうですね。今一番手間取っている式場をまるごと再現することとか。」

「ええ!?そんなのもできるの!?」


現時点で一番手こずっているのはやっぱり式場を収めること。

今回の計画はあまり外には明かしてはならないものだったため、青葉さんと巫女様は情報の漏れを恐れてお二人でこっそりこの計画の下準備をしていたそうです。

もし計画のことが他の生徒や赤城さん本人に知られてしまったらせっかくの準備が水の泡になってしまう恐れがあるためお二人さんは内密に進める必要があったそうです。


「衣装やメイク、式の段取りなどはもうできているみたいけど肝心な式場がまだだって…」

「なるほど…バレずに進めるにはここの神社はあまり向いてないかもですね…」

「他の神社の方も当たってみたようだけどさすがにそうしたら絶対バレちゃうって…」

「まあ…お姉ちゃんって気づくのすごく早いんですからね…」


セミナー場所を移ったりイベント形式で他の生徒達まで参加させて流れ的に進めるプランも講じられていたらしいですがそれもままならなかったようです。

時間も足りなくて何より青葉さんご本人がこの神社にこだわりがあるようで…


「ここって一応縁結び神社としてパワースポットだし絶対ここがいいって青葉さんが…」

「なるほど…」


お母さんが巫女様でご自分が見習いの巫女様だからでしょうか。

正直に言って青葉さんがそういうことに興味を持つこととか思ってもなかったのです。

青葉さんは極現実的な人で合理的な人だと思ってましたから。


「それだけ青葉さんがお姉ちゃんとかなさんのことを心配しているってことですよね。」

「そう…だよね?」


今年から他の学年も参加できるようになった「神前式体験」。

青葉さんがそこに掛けている期待は思ったより大きかったのです。


「でも青葉さんはとてもいい方なんです。到底そのようなことを行っているとは思われないほど。」


っと青葉さんの話に急に残念の顔色を表すクリスちゃん。


彼女は私達「フェアリーズ」と同じく青葉さんのことも子供の頃からずっと大好きって話しました。


「初めて彼女の歌を聞いた時、私はつい泣いてしまったのです。なんてきれいな歌声なんだろうって。そんな青葉さんが派閥を組んでただ出身や住む世界が違うって他の生徒を排除しているってことはどうしても信じがたいことでした…」

「クリスちゃん…」


クリスちゃんの話はこうでした。

自分がこの学校に来た時、既に学校は真二つに分けられていた。

そしてその中心にいるのが青葉さんだったということを知った時はもういっそこれがただ悪夢だったらと思ってしまった。


それに加えて高校に入ってから、正確にはかな先輩と別れてからおかしくなった赤城さんまでその派閥争いに加わって学校を壊そうとしている。


その状況がどうしても飲み込めなかった自分は彼女達のことをなんとかしてみようとしたが


「黒木さんには申し訳ないけどもう止めることなんてできないよ。」

「あなたが気にすることではありませんわ。」


っと二人は話さえしてくれなかった。


所属した「Scum」の上層部にも話してみたが


「青葉の影響力は想像以上のものだ。今はほっとけ。」


っと部長の寮長さんもそう言ったらしいです。


その時、徹底的に味わった無力感。

クリスちゃんは初めて自分の魔界の姫としての資質を疑ってしまったそうです。


「初めてでした…私ってこんなに無力で役に立たない人だったんだって…」


悲しそうな顔。

その時に感じた惨めさは言葉では言い切れないほど巨大なものだったとクリスちゃんは自分の無力さを悔しんでいました。


力でねじ伏せる方法はいくらでもあった。

自分は魔界の姫で将来その支配者になる「ファラオ」であり「夢魔(サキュバス)」として夢の概念を操れる「鏡」という能力も備えている。

力付くで止めさせることも決して不可能ではなかったとクリスちゃんはそう言いました。


でもそれでは意味がない。

彼女自身が自分の過ちに気づいて最初からまたやり直さなければ何も変わらない。

それでは状況をもっとこじらせるだけに過ぎないとクリスちゃんは青葉さんと赤城さんを相手に自分の地位や力を使うことを控えていました。


クリスちゃんの話を聞いている間、私はふと会長さんのことを思い出してしまいました。

もしかして会長さんだって自分の「心理支配(メンタルドミネーター)」を使って今回の件を解決しようとしないのはそういう理由じゃないかって。

それでは真の解決とは言えないって会長さんも、クリスちゃんも知っていたのです。


「私はみもりちゃんと緑山さんのことを見習ってアイドルになりました。

皆の笑顔が好きで誰かの力になりたいって思った「フェアリーズ」のようなアイドルになるために高校に入ってアイドルとしての一歩を踏み出したんです。

だからここは魔界の姫の私ではないアイドルとしての私が頑張るべきだと思いました。

まあ、結局自分一人ではなんにもできませんでしたが…」


っとぎこちなく微笑んでしまうクリスちゃん。


でも私は彼女のそんな優しくて温かい気持ちこそとても素敵なことだと思って


「そ…そんなことないよ…!クリスちゃん…!」


思わず勢いで彼女の手をギュッとしてしまいました。


「わ…私だって一人ではなんにもできないから…!むしろクリスちゃんの方こそ自分の方から何かやろうとしてたから…!それって立派なことだと思うしもっと自身を持って…!」

「みもりちゃん…」


そんな私からの応援が通じたのかクリスちゃんは


「み…みもりちゃんからそう思ってくれるのならちょっと自身が持てますね…ありがとうございます…」


少し照れくさい笑みを浮かびながらお礼を言ってくれたのです。


「今度は一緒に頑張ろう…!?青葉さんが言ってた…!クリスちゃんならきっと力になってくれるって…!」

「青葉さんが私のことを…?」


信じられない目。

どうやらあの青葉さんからそんな風に評価されたのがクリスちゃん自身にも初めてのことのようです。


「な…なら頑張ってちゃんとご期待に応えなきゃですね…!私、頑張ります…!」

「うん!よろしくね?クリスちゃん!」

「はい!」


っと私から差し出した手をクリスちゃんが握り合いながら意気投合していたところ、


「み……も……り……ちゃ……ん……?」


そこに現れたのは死んだ目をしたおっかない顔の「幼馴染」という名前の存在でした。

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