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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第3章「カナナ」
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第65話

いつもありがとうございます!

それからかなはななの言う通りに将来のことを真剣に考えた。

そして数日に掛けて考え出した答え。そのことを聞いた時、ななは


「まったく…あなたという人は…」


っと呆れそうな顔をしたが


「でもまあ…あなたらしいですわ。」


その後、これでいいとしましょうっとそのまま認めることにした。


ななに提出した将来の夢。そこに書いたのは


「皆を応援し、力になってあげられる自分になりたいです。」


かなのひたすらの無邪気なありのままの気持ちであった。


「今回はこのくらいでいいとしましょう。ですがこれからは少しずつでも考えてくださいまし。」

「うん!分かった!」

「さては早速練習を…」

「あ、ちょっと待てて、なな。」


っと先週から初めた練習のために場所を移動しようとするななを呼び止めるかな。


「実はこれもあってね。」

「なんですの?」


っとかなからななに見せたのは


「志望校調査の…」


来年行きたいと思う高校の調査に関する用紙であり、


「あなた…」


その第一志望に書かれている「第3女子校」の字を見た時、ななはすぐかなの意図に気づくことができた。


「えへへ…私、やっぱりななのこと好きだから同じ高校に行きたいなーなんちゃって…」


照れくさく素直に本音のことを明かすかな。


「私の実力じゃちょっと難しいかも知れないけど頑張ってみようと思う。だからななに勉強教えてもらいたいな…って!」


だがそう言ってくれるかなのことがあまりにも嬉しかったななはついその中に抱かれてしまった。


「ど…どうしたの!?なな!?どこか痛いところでもある!?」


ななの突飛な行動に戸惑ってしまうかな。


「怖かったんです…」


ななはそう聞いてくるかなに今のことでこみ上げてくる気持ちとずっと一人で溜めて我慢していた気持ちを全部解き放した。


「嫌でしたわ…あなたと別れることなんて死んでも嫌でしたの…なのにあなたはわたくしのことに全然気づいてくれなくて…もしかしてわたくしのことが嫌になったんでしょうかって思われて…」

「なな…」


震える小さな体。

夜に限っては史上最強と言われている吸血鬼とはいえななは普通の子より気持ちが弱く、特にかなのことに関しては限りなく脆かった。

そんなか弱いななのことを不安にさせたことに責任を感じてしまったかなは


「ごめんね。でもそういうの全然ないから。」


ただその細い肩を包んでななの不安な気持ちを宥めた。


「お父さんとも、お母さんとも話し合ったんだ。かなには特に医者になってもらわなくてもいいって。自分に悔いのないように堂々と自分の道を歩いて欲しいって。だから思ったんだ。私、やっぱりななと一緒にいる時が一番楽しくて一番幸せって。」


古から続いた伝統的な医者の家系。

だがその家系の誰も自分の子供に行き方を押し付けても、定めてなかった。

ただ皆自分が自分の道を選んでその道を歩いただけ。自分が一番後悔しないような道を歩いただけ。

かなはそういう家系の子であった。


「だからずっと一緒にいよう?大人になっても、おばあさんになっても。」


そう言ってななと指切りで一生の誓いを約束するかなの言葉にななはただ咽んだ声で静かにうなずきてしまった。


かなの中学校最後の年は結構忙しかった。

いや、かなり忙しかった。今までの人生の中で一番忙しかった年だとかなはそう覚えていた。


天才ピアニストとして「伝説の歌姫」と呼ばれている天才女優「青葉海」と肩を並べて魔界音楽史の希望と称えられるななは既に音楽特待生で第3女子校の入学が決まっていたが


「全然分からないよー」


特にそういうわけではなかったかなには普通に受験に受かって入学することしかなかった。


「ダメですわ。一緒に行くってあなたが決めたことですからちゃんと責任取ってくださいまし。」

「もちろん行くよー行くんだけど全然分かんないよ。」

「ほら、ここのところ、また間違えてますわよ?わたくし、あなたと一緒に行けなくなるくらいならあの学校には行きませんから。」

「ええ!?ダメだよ!なな、あの学校に行くのが夢だったから諦めちゃったらダメだよ!」


母も、その母の母も全員第3女子校の卒業生であるななにとってその学校がいかなる意味を持っているのか、それをよく知っていたかなはせっかくの頑張りを無駄にしようとするななの発言を精一杯反対したが


「わたくしだって嫌ですわ。ですがもしそうなってもその方が悔いのないですから。」

「なな…」


ななはやると決めた時は時は何があっても成し遂げてしまう子というのもよく知っていたのでここは自分が頑張るしかないと気を引き締めるしかないと心を引き締めた。


「ほら、これが終わったらすぐ練習ですからもう一息頑張るのですわ。」

「うん…!分かった…!」

「っと言ってるそばから間違えて。やり直しですわ。」

「ええー」


チア部の日程に加えて来年ななと同じ学校に行くための受験勉強、そして一緒にやると決めたアイドル活動。

毎日がやることだらけで大変だったがそれでもかなはななと何かを一緒にやっているということが限りなく嬉しかった。

日光が出ている間は行動に制限がかかるななの体質上、今まで一緒に何かをやるには少なからぬハードルを感じていたがこういう時こそななにもっとたくさんの経験をさせてあげようとかなはずっとそう思っていた。


その一環としてアイドルを選んだのは本の偶然だったがよく考えてみれば実に的確な選択だったとかなは自分の判断に狂いはなかったと自分の選択を誇らしく感じていた。


「でも「青葉海」だって。すごいじゃんーなな、合ったことある?」

「ええ。挨拶したことはありませんがたまたま同じ会場で彼女の公演が行われてたので少しだけ見に行きましたわ。」

「本当?すごいねー」


同年代にはもう適える敵はないと思っていた。

だがうみのことを初めて見た時、ななは自分がいかにも自惚れていたのか思い知らせられてしまった。


「初めてでしたわ。歌、演技、パフォーマンス、そしてカリスマ。どこも欠けるところなく完璧でしたの。到底同い年には見えないほどの貫禄で彼女のことを見て悔しくも敗北感まで抱えてしまいましたわ。このわたくしとしたことが自ら負けを認めてしまったということですわ。」


今まで一度も感じたこともない敗北感。

その時、ななは舞台の上で華麗に歌っている深海色の黒髪の少女を見てそれを押し付けられてしまった。


「やはり世界は広いってこと、そして自分はまだ未熟で荒削りってこと。わたくしはそれを彼女を見てこの身を持って学びましたわ。もう負けません。彼女こそこのわたくしのライバルにふさわしい人ですわ。」

「なな…」


初めて見るななの姿。

かなはうみとの接続がななの中の大事な何かを引き出したと


「なんか熱いね。今のなな。」


彼女の成長を心から喜んだ。


「そうですの?」

「うん。だって今までそういうのあまりなかったから。」


普段他人のことにあまり興味を持たないななが珍しくあのうみに対して戦意を燃やしている。

それは紛れもなくななの成長の証だとかなはそう思っていた。


「でも私はちょっと寂しいかな。ななをそうさせたのが私じゃなくあの青葉さんということが。」

「ええ…?べ…別にそういうつもりじゃ…」

「あははっ。冗談だよ、冗談。なな、深刻すぎじゃんー」

「でもあなたがそう言うから…」


っとかなはただの冗談と大したことではないように振る舞っていたがななにとってかなのその発言は聞き捨てならなかった。


「わたくし、別にあなたのことを仲間外れしたわけではありませんから…むしろあなたがわたくしのことに飽きちゃって離れてしまったらどうしようって戦々恐々としているっというか…」

「え?いや、もういいよ?なな。」


そろそろ不安状態に差し掛かってくるなな。

そんなななを落ち着けるために何度も大丈夫と話をかけるななであったが


「もしあなたに捨てられたらそれはもうおしまいですわ…何の意味もない人生…わたくしがこの世にいられる意味なんて何一つ…」


既に何らかのスイッチが入ったななの妄想は止みそうもなかった。


だがかなは信じて欲しかった。


「だから深刻すぎだってー言ったじゃん?ずっと傍にいるって。」

「あなた…」

「だからもうそういうのおしまいにしよう?くよくよするだけじゃ楽しい今がなくなるだけだから。それに別に起きることでもないからそんなの全然考えなくてもいいよ。」


自分がずっとななの傍にいることを。指切りで誓った約束を。


「約束するよ。私はななの傍から絶対離れない。」


っと言ってくれるかなのことがあまりにも愛しくて大切だったなな。

ななはかなから差し出したその白い手をそっと自分の手の中に包み込んで


「わたくしも…ですわ。」


その約束を胸の底からギュッと抱きしめた。


褪せることもない輝かしくて鮮やかな二人だけの絆。

赤い糸で結ばれた二人の心はいつまでも変わりそうもない。

かなはななのことを心から愛し、ななもまたそんなかなのことが大好きで仕方がなかった。

学校の中で「カナナカップル」で呼ばれている二人のことを皆が羨み、嬉しく思っていた。

既にかなは「赤城財閥」の「名誉一族」として認められ、今後「赤城財閥」から支援を受けられるようになり、ななもまた


「うちの病院はやっぱりななちゃんに継いで欲しいな。」


かなの両親の間で色んな話が流れている状況であった。


かけがえのない時間。

かなにも、ななにもその中学校最後の年は時間の速さが惜しく感じられるほど楽しい時であった。

勉強も、将来のためのことも今までもやったことがないほど熱心で毎日が充実であった。


その日もそうだった。


「これ、ななにすっごく似合うかも!」

「そうですの?少し可愛すぎるのではないかしら…」

「ううん!絶対似合うよ!」


受験も終わって卒業式を控えていた中3の冬。その日も二人はいつもと同じく一緒だった。

寄り道で一緒に買物をして一緒にアイスを食べた。

かなはななと両親のおかげで試験でベストを尽くし、ずっと背負っていた肩の荷物を一つ下りられた気がして非常にスッキリした気分であった。


「寒くありませんの?」

「アイスは冬に食べるのが一番美味しいんだよーそれよりななって結局先の服、買わなかったね。」

「どう考えてもわたくしにはああいう可愛い服は無理ですわ。」

「ええーもったいないじゃんー」


いつもの公園でアイスを食べながらお喋りの時間を楽しんでいたかなとなな。

二人は来年の高校生活のことで胸をいっぱい膨らませていた。


「そういえば第3って制服がとても可愛いと評判ですわ。「百花繚乱(風紀委員会)」や「Scum(美化部)」はそれぞれ独自の制服を着るらしいですが。」

「へえーななはやっぱり高校に行っても生徒会に入るつもり?」

「ええ。そういうあなたはチア部ですわよね?」

「もちろん。」


それぞれの行く道を考えておいた仲良しの二人。


「じゃあ、また明日ね。」

「はい。御機嫌よう。」


だが別れるその瞬間まで二人は知らなかった。

受験も終わって卒業式を控えていたその時、自分達の前で待ち構えていた皮肉な運命のことを。

それはたった一瞬でかなの人生を狂わせ、かなを囲んだ全てをひっくり返してしまったが一番の被害者はかなのことを自分の人生だと思っていたその大切な幼馴染の方であった。


家に帰ったかなは帰りが遅くなる両親の代わりに夕食の準備をしようとしたが


「うわぁ!?なにこれ!?めっちゃまずいじゃん!」


あいにくかなはあまり料理が得意な人ではなかった。


「あはは…こりゃひどいな…」


手軽な卵焼きを作るつもりだったが思わずダークマターを製造してしまう自分の常識はずれの腕に呆れそうに笑ってしまうかな。


「これはあまり人に見せられないかな…特にななには…」


好きな子のために自身のお料理一皿くらいはちゃんと備えておかなきゃと思ったが先はまだ険しいようだ。


「仕方ない…皆帰る前に片付けちゃおう。」


っと思って焦げ付いたフライパンに手を伸ばした瞬間、


「…え?」


かなは自分の目の前で料理の失敗の跡が()()()()()()ことを目撃してしまった。


特に何の兆候もなかった。

だがその時、何らかのきっかけによってかなの右手に「消す」という概念だけを与え、結果だけを残す「事象能力」、「ザ・ハンド」が発現されていた。


ただ簡単に触れただけで対象を消してしまう能力。

かなは中3の時、「超能力者」として目覚めてしまった。


「なにこれ…」


目で見ても信じられない光景。

だがその時感じたのはひたすらの恐怖心だけであった。


「ど…どうしよう…」


真っ青な顔になってそこから自分の右手を試しまくるかな。

だが試せば試すほどかなの絶望の大きさはどんどんその重さを膨らませていった。


対象自体に「消す」という現象だけを与えてこの世から完全に消すこと、そして一部だけを消し取ること。

だがそれがどこへ送られるのかそれだけは自分にも知らなかった。

ただ一つ、そこに行ったら二度とこっちの世界には戻れないということだけは本能的に確信していた。


どんどん能力の正体が分かってきたかなは


「これ…絶対能力だ…」


ついに自分が「超能力者」として覚醒したことに気づいてしまった。


「でもどうして…?なんでいきなり…?」


記憶を辿って右手の能力が覚醒した理由を探るかな。

だが混乱していたせいか頭の仲はごちゃごちゃで何も思いつかなかった。


ただ一つ、確信していることはあった。


「これ…絶対見せちゃダメ…」


この何も生み出せない能力は必ず誰かを傷つけてしまうということを。


それからかなは部屋にこもって誰にも顔を出さなかった。

誰にも会いたくなかった。もし弱った心の自分が愛する家族やななに手を触れてしまったら目の前で両親が、友達が、ななが消えてしまう。

それだけは何があっても避けなければならなかった。


能力の覚醒は決して悪いことではない。

昔は能力者の殆どは強制的に軍人に選び出されたが今の時代はそうでもなかった。むしろ医療業界や科学の分野で占めるため互いに競争までするのが今の現状であった。

特にかなの事象能力者の場合、まだ判明されてない部分が多いのでそれだけでマスコミに出られるほどビッグニュースだった。


だがかなは怖かった。

能力の制御もできない今の状況で下手に自分の能力のことを明かすわけにはいかなかった。

全部話してしまったらきっと向こうから自分の力になるために近寄ってしまうから。

そう思ったかなは両親にも相談もせず鍵をかけてそれから外には一歩を一切出入りをしなかった。


両親は普段明るくて元気だった娘のことがあんな状態になったことがとても心配だったが


「ごめん…でも今は一人にさせて…」


っと言ってしまう娘の話にそうするしかなかった。


だがかなにとって一番苦しかったのは


「何かあったんですの…?」


毎日家に来てくれたななのことだった。


「何か悩み事でもありましたらわたくしが聞きます…だからもう外に出てお顔を見せてくださいまし…」


ななは毎日かなの部屋の前でそうやって何時間も話をかけた。

全ての公演も取り消してかなのところに駆けつけたななは毎日かなに悩みことや何か気にかかることを聞いていたが


「ごめんね、なな…今日はもう帰って…」


かなは決してななにだけは自分の能力のことを話さなかった。


生まれてから他の人と違った体質を持つことになったなな。

そんなななだからこそかなはななを自分の傍から離れさせたかった。

太陽の光ならいざしらずななならきっと自分のことには警戒心を持たずむやみに近寄ってしまう。

自分はななのことが好きだからななのことを自分から守る責任があると思ったかなは必死に自分の手の届く範囲内になな入らなかった。

話するのはドアの向こう側のだけ。それ以上、かなはななを自分の傍にいさせてくれなかった。


全てはななを自分から守るため。

だがその優しさは二人の仲をこじらせてしまった。


「わたくしのことが…嫌になったんですわよね…?」


ななからそう言われた時、かなはもう元の仲には戻れないということを実感してしまった。


「わたくしにいけないところがありましたら直しますわ…?口調が気に入らなかったんですの…?それともわたくしがベタベタするのがしつこかったんですの…?あなたに厳しかったこととか、何か怒らせたこととかあったら遠慮なくお話しくださいまし…直しますわ…直しますからドアを開けて…?」


ただそれはないと言えば良かった。

自分はななのことが今も大好きで一瞬もそんな風に思ったことはないと言えば良かった。


だがかなはななの希望と違ってこう答えてしまった。


「うん。」


短い返事。

だがそれがななの心にどれほど大きな傷を付けてしまったかあえて言う必要もない。


そうするしかなかった。

ななはそろそろ限界で自分も頭がおかしくなりそうだった。このままだといつかななが強制的にドアを取り外して中に入り込んでしまう。

そうなったらきっと肉体的な接続が発生し、ななが消えてしまう。

それだけは防がなければならない。たとえ憎まれて恨まれてもななを守らなければならない。

かなにはその選択肢しか手に握らせていなかった。


「前からずっと思ってたんだ。もういいんじゃないかなって。私とななは住む世界が違うし性格だって合わないところが多いから。もう疲れちゃった。」


魂のない言葉。

だがかなはこれでこれ以上ななが自分に近寄らないで欲しかった。


「だからもうおしまいにしましよう?私達の関係。」


喉を塞いでかろうじて奥からこみ上げてくる悲しみを堪える。

それでもなおかなはその言葉を最後まで成し遂げるしかなかった。


「もうここには来ないで。お願い。」


ななを守るため自分が選んだのはその方法しかなかったかな。

かなは自分の選択を後悔しなかったがその同時にななという支えを失ってしまったことが胸が崩れそうに痛かった。


話が終わった後、ドアの向こうから聞こえるのは駆け出したななの足音だけだった。

押し寄せる悲しみに耐えきれなかったなながついに自分の傍から離れるその音はかなの胸を踏みにじり、バラバラにちぎってしまった。

泣いていたのか、それとも怒っていたのかすら分からない。最後のその顔すら見届けなかった自分が情けなくて恨めしかったがかなはななを止められなかった。


かなはただ


「これでいい…これでいいんだよ…」


卑怯な自分を合理化し、慰めるだけであった。


「ごめん…ごめんね、なな…」


もう二度と会えないその大切な幼馴染を想いながら泣きわめくかな。

だが自分から手を放してしまったその子は二度と自分の傍には戻ってくれないことをよく知っていたかなはそうやって虚しい謝りを何度も繰り返すだけであった。

そして窓の外から走っているななの姿が目に入った瞬間、それまで堪えていた涙が一斉に溢れ出してしまった。


その後、かなは両親の説得に自分の能力のことを全部話した。

両親はすごく驚いていたが早速娘の能力を何とかするために知り合いの能力研究施設の所長に連絡、直ちに入院させた。

両親の信頼と研究所のカリキュラムのおかげでかなはどんどん能力の制御のコツを掴み初めたが完璧にこなせるようになるまで半年はかかってしまったのでかなは入学してからも学校から研究所まで通院しなければならなかった。


無事に受験に受かって第3に通うことになったかな。

だが高校に入ってから初めてのななとの再会は…まあ、それはぶっちゃけに言って最悪だった。


「もうわたくしに話しかけないでくださいまし。」


まるで別人のようななって自分から離れる時のその冷たい目をかなは今も忘れていない。

だがかなはななの背中に何の話も付けられなかった。

謝ることも、説明をすることもできずそのまま現状を受け入れてしまった。


自分からどんどん遠くなるその背中を眺めるだけのかな。そしてそんなかなという大事な欠片を失ってついに人生の迷子になってしまったなな。

二人の時間はそのまま中3の最後の冬に止まってしまった。

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