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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第3章「カナナ」
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第64話

昨日ウマ娘を始めました。うまくトレーニングできなくて担当のマルゼンスキーさんに申し訳ありません。

いつもありがとうございます!

地元で活動するローカルアイドル。

そう有名なグループというわけではなかったが地元の高校の文化祭のためにステージに立った彼女達を見てかなはそれまで経験したこともない大きな衝撃を受けてしまった。


「なんで今まで思いつかなかったんだろうー」

「そ…そりゃ二人共あまりそういうのに興味がなかったのでは…」


そしてかなは自分でもこれ以上のいい考えはないと思ったこの計画にななを引き込もうとしていた。


「でもいいんじゃなかった?もうこうやってキラキラしてて!」

「まあ、確かに…」


今も目に浮かぶ彼女達の輝く姿。

その眩しさに心奥まで感動したかなは最近ずっと悩んでいたことがふっとばされる気がした。


「これならもっとななのことを皆に知ってもらえるかも!」

「え…?わたくしですの…?」


きょとんとした顔のなな。

かな本人のことではなく自分のことを思ってアイドルをやると言い出した彼女のことを少し戸惑ってしまったななはなぜ自分のことが理由なのかを聞くことにした。


「だって未だにななってクラスに全然溶け込んでないし皆だってななのことを怖がっているから。だからあんなキラキラした姿を見せてあげたらななのことをちょっと考え直してくれないかなって。」


友達になってからいつも自分の傍についているななのことをずっと気にかけていたかな。

自分以外の他の友達ができてないななのことを卒業して高校に入る前まではなんとかしたかったかなに思いついた策がアイドルということであった。


だがななは最初にその話を聞いた時、そのアイドルやらにはあまり気が進まなかった。


「だからといって別にアイドルになる必要がどこにありますの?わたくしがそういうのに苦手っていうのか知っているのでは?」

「まあ、そうだけど…」


少し怯んでしまうかな。

だがななにはまだ話したいことが残っていた。


「お気持ちは嬉しいですがわたくしに他人との関係は一切必要ありません。わたくにはあなただけで十分。まあ、お母様はそういうところはちゃんと直しておきなさいっとおっしゃいましたが今までこれでなんとか生きてきましたしそういう必要性はこれっぽっちも感じてませんわ。」

「きょ…今日のななってなんかやけに頑固ね…」


普段の主導権を握っているのは好かれるかなの方だがこういう時のななは人の話が全然聞こえなくなったのでかなにとってこれは非常に困る状況であった。


「とにかくアイドルの話はなしですわ。確かに可愛くてとても素敵だったのは認めますわ。別にチャラチャラただ遊ぶだけだとは思いませんしきっと彼女達だってそうなるまで大変な努力を重ねてきたはずでしょう。

ですがわたくし達はもう3年生で入試もありますしわたくしにはピアノのことや次期当主として身につけなければならないことがたくさんありますからそういうことに費やす時間なんて一秒たりともありませんわ。」


既に世界的なピアニストとして自分の名前をかけた巡回公演まで繰り広げているなな。

だがななが心配するのは自分のことだけではなく、むしろかなのことであった。


「それに今後のことが決まっているわたくしと違ってあなたは何も決めてありませんから。もう少し自分の将来のことを考えるのがいかがなものだと。」

「もうーお母さんみたいに言うのは止めてー」

「いいえ、この際、はっきり言っておくべきですわ。」


そしてそれから続くななのお説教タイム。

こういう時のななはかなの「壁ドン」や「イケメン顔」さえ聞かない完全状態であった。


「実はわたくしは結構心配ですわ。今まで怖くてあまり聞かないようにしていましたがあなたは私に来年に行く高校すら教えてくれなかったから。わたくしはあなたが自分の将来のことを疎かにするのではないかと…」

「ううん…なんかごめん…」


自分も知らないうちにななを不安にさせたことを心から謝るかな。

だがかなにはかななりの理由が存在していた。


「でもななってつい私に合わせたりする癖があるから。私はななより勉強もできないからもし私に合わせてななが自分の行きたい学校を放り出しちゃったらどうしようって思って。だってななの行きたい学校ってあの第3だろう?ななのお母さんやおばあさんも通ってたという。なら私には無理だよ。だって私はバカだし…」

「バカって…あなた、まさか自分のことをそう思ってたんですの?」


少し怒り気味のなな。

ななはかなから自分のことをそんな風に言うのがとても嫌いだった。


「わたくしは今まであなたのことをそんな風に思ったことは断じてありません。あなたはこのわたくしが初めて認めた人間です。だからそんな風に自分の存在を落とすような発現は今後絶対に許しませんわ。」


それと同時にななは自分のことに関しては誰より厳しく、そして誇らしく思っていた。

それは単に吸血鬼という優れた種族の優位から生まれた優越感ではなく「赤城」の吸血鬼だからこそ身につけなければならない誇りということであった。


「わたくしのことをそう真剣に考えてくれるのはとても嬉しいです。ですがわたくしだってあなたのことをあなた以上で考えていますから。「赤城」家に嫁げばいいってものではありませんわよ?」

「うん…ごめん…」


って今なに?っと最後の言葉の意味を求めるかなだったが


「まったく…大体あなたという人はですねー…」


既にお説教スイッチが入っているななにかなの疑問は最後まで届けられなかった。


「でもそれはともかくにしても私は皆にもぜひ知ってもらいたいんだもん…ななってこんなにも可愛くてキラキラしてるって…」

「あなた…」


そんなななの反対にもまだアイドルがやりたいっという気持ちを諦めないかな。

かなはどうしてもななにアイドルになってもらいたかった。


「ななは私以外はいいって言ったけど私はやっぱりそういうのあまりよくないと思うから。皆に怖がられて皆を避けているななのこと、私、嫌だよ。それになな、こんなに可愛いのにもったいないじゃん…」

「か…可愛いって…!」


自分にとって世界一の宝物であるなな。そんなななをぜひ皆にも知ってもらいたい。


「ななだってこんな風になれるって。これが私の大切なななだって皆に教えてあげたい。」


そう思ってたから普段そういうことが苦手なななのことを知っていながらも自分の意思を通すかなであった。


「それに私、やっぱりななと一緒に何かやりたいよ。二人で。」

「一緒…」


そしてかなは作りたかった。

自分となな、二人で作る自分達の物語。


「だってずっと夢だったから。」


ずっと大切に胸に秘めていた小さくてありふれた夢。

それがかなの本当の狙いだった。


「えへへ…ダメ…かな?」


ぎこちない笑みに不安な気持ちを乗せてもう一度ななの意向を聞くかな。

だが今の言葉でななは自分にはどうしてもこの子には敵わないということを改めて分かるようになったななは


「はぁ…分かりましたわ。一緒にやってみましょう。アイドル。」


それ以上の異見を挟まないようにした。


「ほ…本当!?やった!」

「ですがやるからには完璧にやりますわ。わたくし、半端なのは大嫌いですから。」

「うん!もちろん!」


やっと出たななのオーケーサイン。

それに飛び上がるほど嬉しかったかなだったが


「ただし条件がありますわ。」


その先には大きな壁が待ち構えていた。


「まず指定された室内や日が沈まない限り外で歌うのはNGですわ。」

「うん。もちろんだよ。」


それくらいは当たり前だと思って早速うなずくかな。

身の安全のためのことだったのでかなもその程度のことはすんなり引き受けたが


「それとあなたにはもう少し自分の将来のことに励んでもらいます。アイドルの話はその時からですわ。」


ななのお説教タイムはまだ終わっていなかった。


「えーその話、まだやるの?」

「当たり前ですわ。来週まで大まかなことでもいいですからちゃんと考えてくださいまし。やりたいこととか、なりたいこととかなんでも。何なら好きなもので埋めても構いませんわ。その代わり早速今日から練習に取り掛かってもよろしくてよ?」

「本当?じゃあ、私はななのことが好きかな。」

「と…当然ですわ…!」

「当たり前なんだ…」


かなの下心のない無垢な告白にまた真っ赤な顔になってツーンとするなな。

だがそういうわかりやすいところもまたななの良さだとかなはそう思っていた。


「でも良かったね。ななも、私もあまり人の目を気にしないタイプで。」

「まあ、わたくしは人前で弾くのが主な仕事ですから。」

「私だってチアのことですっかり慣れているからそこは大丈夫だしね。」


物怖じせずに人前で自分を見せられる仲良しの二人。

かなはこれがあればきっとななのことをもっとたくさんの人に紹介できると信じて疑わなかった。


「じゃあ、そう決まったら来週まで先のことをしっかり考えてくださいまし。焦りは禁物ですがあなたはあまりにも考えがなさすぎですわ。この能天気星人。」

「あはは…ひどいあだ名…」


っと思いっきり怒っているななだが本当はかなからそう言ってくれたのがたまらないほど嬉しかった。


「一緒…」


未来に向かって歩いて行く道のり。

その道で一緒に歩く存在として自分を選んでくらたのがどうしようもなく嬉しかった。

どんな険しい道でもかなと一緒ならいつまでも、どこまでも行ける。ななは本気でそう信じていた。


だが…


「なにこれ…」


やがてその旅路からななの手を先に放したのはかな自信であった。

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