第58話
遅れてしまって申し訳ありませんです。。。
いつもありがとうございます!
「ゆりちゃんってたまにそういうところあるんだよね…強引っていうかさ…」
「でもみもりちゃん、そういうの好きじゃないですか?力で伏せられて犯されるの。」
好きじゃないわ!!
「っていうかそれ、ゆりちゃんが好きなだけだし…」
「うふふっ♥みもりちゃんの雑魚♥」
ふざけるなよ!?お前!?
しかし私が生徒会の仕事か…大丈夫かな…私、そういう大役ちょっと苦手だから…
「全然平気です。先も話しましたがみもりちゃんの主な仕事は掃除などの雑用やお茶くみですから。それ以外なら私の机の下で私を気持ちよくさせてくれることくらいでしょうか。」
何じゃそりゃ!?
でも様子を見に行って確かな収穫はありました。
赤城さんのこととか青葉さんのこととか私は今まで知らなかった色んなことを学ぶようになりました。
「私…先の赤城さんのことを見て分かったんだ…なんで先輩達が赤城さんのことをあんなに気にしていたのか…」
日光を防ぐため皆と距離を取っている独りぼっちの赤城さん…そんな赤城さんのことを見て私は胸が本当に苦しかったんです…
誰とも話さず周りに帳を張ってまるでこの世から隔離されたようなその孤独な姿…
でも一番辛かったのはそれを赤城さん自らが望んだことで本人はなんともないって思っていることでした…
「だって一人じゃやっぱり寂しいから…」
私は一人が嫌でした。あの家に連れられた時、あの暗い部屋に閉じ込められた一人うずくまって毎日毎日ゆりちゃんとお母さん、お父さんのことを探していた私。
たった半年にしか過ぎない短い間でしたがそれだけで私の精神は崩壊直前まで追い詰められました。
怖くて寂しい。痛くて辛い。そのどろっとした重い感情は来る日も来る日も私を蝕み、壊していく。
もしお父さんとゆりちゃんのお父さんがあそこから出してくれなかったなら今頃は…
「だから私、赤城さんのことを一人にさせたくない。私が赤城さんの手を引っ張ってあげたい。」
赤城さんに私と同じ思いはさせたくない。私はただそう感じただけでした。
「本当は辛いんだろう…赤城さん本人も…」
でも一番苦しい人は多分…
「みもりちゃんの気持ち、副会長にきっと届くはずです。だって…」
なんだか大切にしまっておいた宝物をそっと引き出すような懐かしい顔…
でもゆりちゃんは
「あなたならきっと私を引っ張ってくれたあの時のような奇跡を起こせるはずです。」
ただそう言って私のギュッと握ってくれるだけでした。
「それはそうとして今日からはしばらく練習は私達だけですね。」
「そうだよね。それに今日はかな先輩もいないし。」
やっと教室に戻った私達でしたが問題はまだまだたくさんありました。
まず先輩達の不在による練習時間の足りない部分です。
「普段先輩達と付き合ってコツコツ練習していたとしてもそれだけじゃ全然足りないから…」
「ええ…それに私達はブランクが結構長いですから…歌とダンスを教えてくれた先輩達の不在は結構痛いですね…」
「そうだよね…」
やっぱりそれだけはどうにかならないんですね…
私だって未だに振り付けは完璧に覚えてないしゆりちゃんも発生のコツを掴めてませんから…
ひたすらな練習しか道はないっていうのは分かりませんが実戦からの空白期間が長い私達だけでどこまでやれるのか…
そもそもゆりちゃんはまだ正式な部員でもないから…
「ごめんなさい、みもりちゃん…私、みもりちゃんの許嫁なのにあまり役に立てなくて…」
本当に申し訳ないって顔をしているゆりちゃん…でも別にゆりちゃんが謝ることではないからそんなに気にしないで…ってそれより何か別のものが聞こえたような気がするけど…
「いいよ、別に。でも昔ゆりちゃんと一緒にやった時は本当に楽しかったようね。」
ふと思い出す古い記憶。
でもそれは私にとっても、ゆりちゃんにとってもかけがえのない宝物のような大切な思い出でした。
「そうですね。本当に楽しかったんんですよ、私も。」
今更なんですが私とゆりちゃんは地元からなんと!一緒にアイドルをやったことがあります!
懐かしいですねーこれももう十年近くになったかなー
「もうそんなに時間が経ちましたね。あの時のみもりちゃん、すごく可愛かったです。」
「ええー?それを言うのならゆりちゃんの方が絶対可愛かったよ。外からではゆりちゃんの方がダントツに人気出たし。」
「みもりちゃんの以外の人に人気出ても特に意味なんてありませんけどね。」
そ…それはどうかな…
ご当地密着アイドルの「ローコルアイドル」、通称「ロコドル」。
私とゆりちゃんはそのロコドルを子供の時から何年間やってきたアイドル経験者なのです!
「って言っても辞めてから何年も経ったけどね…」
「そうですね…」
自分の住んでいる町や地域のために活動するロコドル。私とゆりちゃんは地元のために歌って踊ろう地元のアイドルでした!
当時市役所で「ふるさと振興課」で働いていたお母さんから提案した町興しの一環で始めたロコドルは地元の中でも結構人気も出て外からもそこそこ知ってくれた方もありました。
もちろん市役所で進めた計画だったのでプロのアイドルってわけではありませんが市民イベントやお祭りとかには歌う仕事もちゃんとありました!
曲は全部ゆりちゃんのお母さんからもらった曲でどれもとても良い曲なんです!
あ、ゆりちゃんのお母さん、「緑山ワンダー」さんは元軍人で今は地元の小学校で音楽を教える先生です!
ゆりちゃんを大きくした感じの方でとても素敵な方なんです!もちろん私のことを大切にしてくれるのもゆりちゃんとそっくりなんです!
いつも
「みもりちゃん♥みもりちゃんは将来うちの子が絶対もらっちゃうから期待しててね?♥」
っと私のことをすごく可愛がってくれました!
今思えばそれは今もゆりちゃんがずっと話していることなんですね!
「お母さんの曲、今も聞いている?私は今も着信メロなんだ。」
「みもりちゃん、今もお母様の曲をそんなに大切に…もちろん私もです。」
っと携帯を出して確認させてくれるゆりちゃん。
えへへ…実はこれ、正式な音源もあったんですけどあまり売れなかったんですよ…街の皆がたくさん買ってくれて本当に嬉しかったんですけど私はもうちょっと私達のことや街のことをもっとたくさんに人達に紹介したくてちょっとだけ惜しいって気持ちもありました。
「あ、でもこの時、ゆりちゃんがめっちゃ人気だったから私はそれでいいかな。」
私の携帯の待受の中で可愛く着飾ってとびっきりの笑顔で笑っているゆりちゃん。
今はもうこんなに背も高く、胸も大きくなってすっかり一人前のレディーになりましたがこの頃はお人形さんみたいにちっちゃくて可愛かったんですよね~
「それにあの頃のゆりちゃん、すぐ泣いちゃったりしたから。力持ちだから男の子達をすぐ殴ったり喧嘩しちゃうくせになんかちょっとしたことですぐ泣いちゃったよね。」
「もー昔の話は恥ずかしいです。」
っとてれてれな顔で私の腕をつねるゆりちゃん!いたっ!!
「でもそれはお義母様が作った衣装が可愛かったからです。」
「んーまあ、確かにお母さん、なんかそういうの得意だったもんね。」
理由は分かりませんがなんかそういうの、好きでしたよね、うちのお母さん。
ライブ衣装だけではなく私とゆりちゃんの洋服とかも作ってプレゼントしたりして。
そういえば…
「はい、みもりちゃん。これ着て学校行ったら絶対もてちゃうよ?」
っとフリルがいっぱいついているお姫様衣装とかをよく着せられたんですね…
でも個人的にあれ、ちょっと苦手だったんですよね…歩きにくいし暑苦しくて…
何より…
「わぁ!みもりちゃん、今日本当に可愛いんだね!」
「うんうん!お姫様みたい!」
あれ着て行ったら色々注目されちゃうから…
アイドルとして注目されるのはなんか平気だったけどなんかそういうのは苦手だったんですよね、私…
あ、でも別にいじめられたりしたことはありません。小学校に入ってからはなんか悪いいたずらをする男の子もいなかったし。
小学校の男の子ってよくスカートをめくったりしてパンツを見ようとするんでしょ?でも私はなんか「鉄壁スカート」で呼ばれてそういったことは一度もありませんでした。
私、そんなに女としてダメだったのかな…
「あ、それなら私が全員ボコボコにしたからです。」
「えええ!?」
私、これ初耳なんですけど!?
「だって幼稚園の時、みもりちゃんが泣いていたんですもの。ひまわり組のなんとかくんがスカートをめくってパンツ見られちゃったって。だからそれからみもりちゃんの周りには男っという悪い虫が集らないように私が事前に踏みにじっておきました。」
何夏休みの宿題、全部やっておきましたって感じで話しているの!?
まあ、これもゆりちゃんなりの気遣いというのなら純粋に嬉しいって気持ちですがいくらなんでもそこまでする必要は…
「だって嫌じゃないですか。将来男の汚いちん○が清らかで可愛いみもりちゃんの中をかき回すことになるかも知れないですから。そういう好奇心から災いは始まるんですから。そんなの絶対痛いはずですよ?みもりちゃんだって痛いのは嫌でしょ?」
「それはそうだけど…っていうか飛躍的すぎんじゃないかな、それ…」
「まあ、私はみもりちゃんのなら全然オーケーですけどね♥」
付いてませんよ!?そんなの!?
今のことで自分にも知らない過去のミステリーの一つがようやく解けた私は多分男の人と関わることなんて今後一切ないことを予感してしまいました。
「それにしてもゆりちゃんって本当に可愛かったな。まるで妖精さんみたい。」
携帯の中で満面の笑みで私の手をギュッと握っている小さいゆりちゃんは本当に初々しくて可愛いですね。
将来子供ができたらこういう可愛い娘が欲しいかな。
「あ、もちろん今も世界で一番可愛いよ、ゆりちゃん。ギュッと抱きしめちゃうくらい。」
なんかこうしていたらどんどん昔のことが思い出して思わずほっぺがぴくぴくしちゃうほど楽しくなりますね。
あの時は本当に楽しかったな…二人でステージのことを考えたり皆の笑顔になったりして…
辞めた理由は…まあ、今はいいんです。
今考えても仕方はないし余計に私のモチベーションだけ下がっちゃう気がするから…
でもその切ない気分があるだけに私はもっとこう思っちゃうんです。
「あーやっぱりまたできるようになって本当に良かったー」って…
だって二度と戻れないと思いましたから。ゆりちゃんと一緒にアイドルができること機会なんて二度と訪れないと思いこんでましたから。
「例えゆりちゃんが正式部員じゃなくても私は嬉しいよ。ちょっと遠回りしたけどまた来られたから、私達。」
だからゆりちゃん。今を全力で楽しもう。失った時間の分までいっぱい楽しんで欲しい。
だってあの時のゆりちゃん、とても幸せそうに見えたから。
皆の前で歌って踊って笑顔と勇気を届けるゆりちゃんは世界一で可愛くて楽しそうだったから。
それこそ今の私達がこの時の私達に報いられるたった一つの方法だと思う。
だからこれからもいっぱい笑ってね。私に私が世界一で大好きなゆりちゃんの笑顔をたくさん見せてね。
私はいっぱい笑ってくれる優しくて可愛くてゆりちゃんが本当に大好きだから。
「…」
ってええ!?なんかなんにも言わないんですけど!?
「あ…!な…なんか私がまた変なこと言っちゃったかな!?
急にうつむいてずっと黙っているゆりちゃんのことに慌ててしまう私…!
し…しまった…!また勢いで変なことを喋りすぎたかも…!ご…ごめんね…!?こういう話、嫌だったんだろう…!?
謝る…!謝りますからなにか言って…!
「いいえ…」
周章狼狽している私にやっと口を開けてくれたゆりちゃんからの初めてはそうではないという否定のことでしたのでほんのちょっとだけ安心しちゃう私でしたが
「じゃ、じゃあ…ギュッとしてください…」
その次のことに逆に驚かされたのは私の方でした。
「もっと…もっとゆりのことを可愛いって言ってください…「私の大切なゆりちゃん」っと話してください…」
欲しい言葉があると、言われたい言葉があると私にそう言ったゆりちゃんの言葉。
「ゆりだって嬉しいです…あなたとまた一緒にアイドルができて…だから…」
恥ずかしくて目も当てられないのかゆりちゃんはそうやってずっとうつむいて今の恥ずかしい気持ちを誤魔化そうとしました。
でも震える声と、じっとしないもぞもぞする仕草は今の恥ずかしさと嬉しさを全部私に晒しているようにあまりにも明らかなものでしたので
「うん。世界一で可愛いよ。私のゆりちゃん。」
私はただそう言いながらゆりちゃんの体をギュッと抱き込んであげました。
***
「みもりちゃんのスペシャルオマン○。」
二人きりと生徒会室での放課後。みもろの到着まで一通り書類整理を済ませて置きたかったゆりは彼女より一足早く生徒会室に来たわけだが
「みもりちゃんのプレミアムア○ル。」
頭をぎっしりと詰め込んだあらゆる雑念にどうも仕事が手につかなかった。
「いきなり何さらっとすごいことを言っているんですの…あなた…」
彼女の口から漏れている欲望の沈吟に思い切り引いてしまうなな。
だがその可愛い顔でそういう話をなんともないという顔でつぶやいているゆりの姿はいかにも恐怖の表れであった。
「あ、すみません。みもりちゃんが手伝いに来るのがあまりにも待ち遠しくてつい。」
「ついって…」
何よりその無知覚のところが彼女の一番恐ろしいというところだとななは心底から震えていた。
「何でもいいですがくれぐれも本人の前では慎んだ方がいいと思いますわ…そんなの、絶対嫌がられちゃいますよ…?」
心からの心配。
ななはそんな身も蓋もない彼女のことを先輩としてずっと気にしていた。
「大丈夫です。みもりちゃんだって本当は私に犯して欲しいと思っているはずですから。だって私達は心も体も繋がっていますから。」
「そ…そうですの…?」
そのブレない自身だけは尊重するべきのものだとななは思わず感心してしまった。
だがその同時にななは怖かった。彼女にいずれ訪れてしまうかも知れないみもりとの別れの時を。
いつまでも一緒にはできないということを誰より知っていたなな。
その時が来たら彼女は相変わらず今と同じ顔ができるのか。
今はただ何も知らずに笑って幸せに胸を膨らんでいてもその時が来たら彼女はきっと…
ななはただそう思って心を痛めていた。
「ですがあなたもまたなんとか生きられるのでしょう。」
胸が張り裂けそうな絶望感。涙で過ごす毎日に体も、心ももう二度と立ち上がれないほど折れて崩れてしまってもその虚しさと悲しみを涙ぐんで受け入れ、生きてゆく。
それはかつて自分が歩いてきた険しい茨の道だったゆえ、ななはただ純粋にゆりのことを心配していた。
「どんなに苦しくても、どんなに悲しくても生きられる存在。それが人ですから。」
自分の身を持って痛いほど学んだこの世の理。
あの時、ななは人という存在はそれでも生きられるものだと思い知らされてしまった。
「ごめんね…なな…」
中学校の卒業を控えて中3の冬。あの子はそれだけを残して自分の傍からいなくなった。
理由も分からぬ急に訪れてしまった別れの時にななは戸惑って泣いてしまったがどんなに叫んで喚いてもあの子は帰ってくれることも、振り向いてくれることもやってくれなかった。
自分の一番大切な存在であったあの子からの別れの言葉。
それを言われた時、あの時までの短い幸せはやっと夢から覚めたということを分かってしまったななはそれから自分を閉じ込め、二度と自分の心を誰にも見せないようになった。
だから彼女にはこれだけ言っておきたかった。
「全力で守ってくれるのですわ。自分の一番大切な人が自分の傍にいてくれる間には。」
ななはそういう別れはもう自分だけで十分だと今もたった一人でその寂しくて侘しい道を裸足で歩いていた。
「副会長?」
その言葉の意味が完全に飲み込めなかったゆりは首を傾げてななに今の話について疑問を表したが
「手が止まっていますわよ?早くしないとあなたの大切なお嫁さんとの時間が減ってしまいますわ。」
そう言われた時からはみもりとのことで頭がいっぱいになってしまってそれ以上、何も考えられなかった。




