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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第3章「カナナ」
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第57話

何と!またブックマークの一方が増えました!本当にありがとうございます!

この調子でもっと頑張ります!いつもありがとうございます!

ど…どうしよう…!


「…」


騒いでいたせいで私達のことにやっと気がついたような赤城さん。

様子を見に来たその満月みたいな目は今でも私達のことを食っちゃおうとしたすごい勢いで私達を睨みつけていました。


「す…すごい迫力…!」


な…何でしょう…!ただ見られているだけなのに体が強張って動きまでなんだか鈍くなったき気がして…!

吸い込まれそうな深い目…ただ目を合わせているだけなのに体の自由を全部取られちゃうなんて…!

こ…これはまさかの「吸血鬼」の秘伝の技…!?


「いや、ただ虹森さんがビビっただけだから。」

「うふふっ♥みもりちゃん、今ちょっとちびっとしましたよね♥」


でもそれはただ私が赤城さんの気迫に抑えられているだけだったので私はその後、私のスカートを捲ろうとするゆりちゃんを阻止することができ…できま…


「ダメですよ、みもりちゃん♥みもりちゃんが私に力で勝とうなんて十億年早いですから♥」


ずるい!!一体何なんだよ!この馬鹿力!!


「「馬の一族」ですから♥」


お前!!今はダジャレ禁止なんだぞ!?


「本当になんですの…?あなた達…」


ってなんかめっちゃ引いているし!!


ドン引きな顔で私とゆりちゃんの茶番をじーっと眺めている赤城さん!

もはやツッコミを掛ける気分でもなさそうなその顔、めっちゃ怖いですからもう止めて!


「うふふっ♥みもりちゃんの染みパン♥たまりませんね♥」


お前が一番止めるんだよ!!


「仕方ねえな…!もうあげるからちょっと黙って…!」

「私にくれるんですか?♥やりました♥」

「それ、あげてもいいんだ、虹森さん…」


ってなんか青葉さんもめっちゃ引いているんですけど!?


その後、私はなんか変なスイッチが入っているゆりちゃんに脱ぎたての下着を握らせましたが…


「…」


うう…やっぱりこれ…ちょっとまずいかも…


今のゆりちゃんのぶっ飛んだ性癖のせいで一段とヒヤヒヤになった空気…

赤城さんはもう虫でも見ているような目で私達のことを見ていて私はそんな赤城さんに一体なんと言ったらいいのか戸惑っているばかり…

こんな流れで何の用でここに来たのか正直に言うわけには…!


「赤城さんの様子を見に来たんだ。」


青葉さん!?!?


この危機をどう凌げばいいのか考えていた私がアホらしく思われるほど正直にズバッと本当のことを言っちゃう青葉さん!

そ…それより赤城さんの反応は…!?


「なにかと思ったらそれですの?お暇ですわね、あなたも。」


あ…あれ…?なんか普通…


私はてっきり「わたくしのことをばかにしてるんですの?」っとか言って怒っちゃうとは思ったんですがあっけないほど赤城さんの反応は普通そのものでした。

でも何故か私は彼女が私と目を合わせることを避けている気がしました。


「もしかして昨日のことを気にしているのかな…」


それなら仕方はないかも知れません。何だって後輩の前であんな姿を見せてしまったから。

真面目な赤城さんのことですから十分ありえます。

それに私は赤城さんの大嫌いな同好会の新入部員ですし色々複雑な心境でしょう。


「…」


でも結局それもそれっきりでした。


それから赤城さんは私のことを一度ちらっと見ただけで一言も言ってくれませんでした。

怪我した先輩のことも、昨日のことも何一つ…


彼女はただ


「もう茶番はおしまいですの?わたくしのことは気にする必要ありませんわ。だからもうお帰りになってもよろしくってよ?」


っと私達にもう戻って欲しいという気持ちを表しました。


特に赤城さんのことがそっけないってわけではありません。

私達は善意でやったことでも赤城さんにとっては余計なお世話で迷惑にしかならないということを私だって考えられなかったわけではありませんから。


でも寮長さんや会長さんみたいに赤城さんのことを心配してくれる人はいっぱいいますから。

私はその人達に赤城さんに関したことを安心させてあげたい。そして赤城さんにその優しい思いやりを分かって欲しいです。あなたの周りにはこんなにいい人達がいっぱいいるって。


何より私にはどうしても安心させてあげたい人がいますから。どうしても赤城さんは大丈夫だって言ってあげたい人がいますから。

私とゆりちゃんみたいに自分の大切な幼馴染のことを心配しているその人の気持ちに応えたい。

それが今の私がこの胸に抱えた強い決心です。


でもこのままだと赤城さんが席に戻っちゃう…!こんな流れで終わったらこれからますます話しかけにくくなっちゃうのに…!

何か…!何かいい話題…!


「どうしましょう、みもりちゃん…♥もうみもりちゃんの…♥脱ぎたての…♥ホカホカパンツが…♥香ばしすぎて…♥何も…♥思いつきません…♥」


まだやってたんだな!?お前!?っていうか本人の前でスーハースーハー止めろ!!


「どうですか?♥副会長も体験してみませんか?♥」


って誰に何を勧誘するの!?ふざけるな!!


そろそろやばくなってきたゆりちゃんから差し出した私の下着。

でも赤城さんはそんなゆりちゃんのことを


「あなた…一度病院へ行ってみるのがよろしいのでは…?」


ただ哀れに見つめるだけでした。


「前からずっと思ったんですが頭の方、本当に大丈夫ですの…?今日の生徒会の仕事は代わりにわたくしがやりますから放課後になったらすぐ病院へ行ってみるのが…」


なんかめっちゃ心配されているよ!?ゆりちゃん!?


「いえいえ♥私は至って正気ですから心配ご無用です♥それに今日はみもりちゃんが生徒会の仕事を手伝うことになりましたから私が抜けるわけにはいきませんし♥ああ♥みもりちゃんの小便臭いパンツ♥最高です♥」


絶対正気じゃない!!っていうか臭いって言うな!!


「あんた、本当にどうやって生徒会に入れたんですの…?というかばっちいからお止めなさい…」


ばっちい言うな!!


ん?ちょっと待って?ゆりちゃん、今なんて?


「え?みもりちゃんの小便臭いパンツ…」


そこじゃねぇわ!!すぐ前のことだぞ!?バカ!!


ゆりちゃん、今確かに「みもりちゃんが生徒会の仕事を手伝う」とか言っちゃいましたよね!?

私、初耳なんですけど!?


「そりゃそうでしょう。私が今決めましたから。」


何で!?


いきなり今後の私の活動を生徒会の仕事にねじ込んじゃうゆりちゃん!

でもこれはゆりちゃんなりの必要な措置でした。


「これも全部副会長のためのことです。」


ゆりちゃんの話はこうでした。


「今副会長は弱小部なんて不要なものだと考えています。むしろ放置したら後に新たな紛争の火種になりかねないと判断しています。だからみもりちゃんが副会長に教えてあげるのです。みもりちゃんが感じた同好会の良さを。小さな部でも可能性はあるということを教えてあげるのです。もし成功したら副会長は今の強硬な方法を押し切らずに済むし同好会は守れる。延いてはかな先輩と仲直りさせられるかも知れません。」

「先輩と仲直り…?」


それは実に耳寄りな話でした。それは今の私が一番望んでやまなかったことですから。

もしそうなったら申し分ないとそうなることを私は心から願っていました。


「でも教えろって言われてもどうやって…」


問題はそれだけじゃない。ゆりちゃんは色んなことを考えて私に生徒会の仕事を手伝わせたんですが私はゆりちゃんと違って生徒会と何の縁もゆかりもありませんでした。

中学生から生徒会の役員として活躍した元生徒会長出身のゆりちゃんはともかく私は中学校時代の水泳部の部長もやったことがありません。自分はそういうタマじゃないとずっとそう思っていましたから。


そういう私がいきなり生徒会の仕事を手伝うなんて…そもそも赤城さんが許可してくれるはずが…


「いいですわ。」


ってえええええ!?!?


二つ返事であっさりと私の生徒会のお手伝いを許可する赤城さん!

この人、昨日のこととかであまり私と一緒にしたくなかったのではなかったっけ!?


「あいにく生徒会は常に人手不足ですからね。ただでさえ人も足りないのに見学のことで3年生達も抜けたから今日から仕事がどれほど増えるのか今から怖いです。それに副会長はみもりちゃんのことが苦手じゃなくてただ後輩の前であんな乱れたところを見せてしまったのが恥ずかしいだけです。」

「そ…そう…?」


コソコソ詳しい説明を加える真面目なゆりちゃんですが確かにその通りかも知れませんね。

よく考えてみれば前に助けられた時だって私個人にはあまり敵意を見せなかったし。やっぱりびしっとしていますね、赤城さんって。


「でも本当にいいのかな…私、生徒会の仕事とか全然知らないのに…」

「みもりちゃんには副会長のサポートだけで十分です。多分事務事業などの主な仕事は副会長一人でやるはずですからみもりちゃんの仕事は掃除やお茶くみのところでしょうか。他の仕事は全部私がやりますから安心してください。」

「うん…ありがとう、ゆりちゃん…」


特に専門的な能力を要する仕事ではないってところはすごく助かりましたがそれでも私の不安はまだ続いていました。

一番の問題は私がどうやって同好会みたいな弱小部の良さを赤城さんに教えることでした。


確かに同好会は楽しいです。先輩達も皆優しくてまた歌えるようになったのもすごく嬉しい…

でもそれを言葉にすること、しかもあの赤城さんに自分の口で届けることには相当なハードルを感じちゃいます。


っていうか赤城さんなら私が同好会の「ど」を言っただけで


「首ですわ。」


とか言って私をドアの外に蹴って追い出すだろうし…

よく考えたらこれが一番むずかしいミッションなのでは…


でもそう思っていた私の考えを正してくれたゆりちゃんの一言。

ゆりちゃんはあえて言葉で伝える必要はないと私にそう言ってくれました。


「会長もおっしゃったじゃないですか。生徒会のこととかそういうのは気にせずただ副会長と仲良してあげてって。そうしたら自然と出てくるはずです。みもりちゃんには人を引き寄せる力がありますからそれに惹かれてきっと。」

「ゆりちゃん…」


相変わらず私の下着から手が離れていないゆりちゃん。

でもそういうのはもうどうでもいいくらいに私は今のゆりちゃんの言葉に大きな勇気をもらっちゃいました。


「世の中言葉だけでは伝わらないものがあるんですから。みもりちゃんは私にそれを見せてくれました。」

「私が…?私、何かやったっけ…?」


っと首を傾げて自分の行動を振り返っても何も思いつかない私に


「大丈夫です。あなたの傍にはこのゆりがついていますから。」


ゆりちゃんはただそう言いながらそっとした笑顔を向けるだけでした。


そんな私達のことをじーっと見ていた赤城さんは


「いちゃつくはもういいんですの?じゃあ、放課後()()()()とご一緒に生徒会に来てもらいますわ。」


相変わらずなスーンとした顔で私にそう言った後、席に戻っちゃいました。


「もしかして今の…聞こえちゃったかな…」


なんだか気に障ることでもやっちゃったのかとそっと心配になってきた私。


でもそんな私と違って


「お嫁さんだなんて…♥分かってますね、副会長も…♥」


ゆりちゃんは今の赤城さんの話から出た「お嫁さん」に喜んでいるだけでした。


「あははっ。大丈夫。赤城さん、昼間にはいつもあんな感じだし普段より感覚も鈍っていて聞こえなかったと思う。」


そんなゆりちゃんの代わりに私を安心させてくれたのは赤城さんと話し合っている間にもずっと私達の会話に耳を澄ましていた青葉さんでした。


「吸血鬼は昼間にはびっくりするほど弱いから。日が沈んだらほぼ最強だけど。」

「そ…そうですか…良かった…」


もし私達の計画が青葉さんに聞こえちゃったらどうしようって結構心配していたんですが青葉さんにそういう事情があったとは…

多分ゆりちゃんも知っていることだと思いますが私はゆりちゃんとコソコソしている間にもずっと胸がドキドキしていましたからちょっと安心…


「それにしてもお耳いいですね、青葉さん。」

「「人魚」は水の一族だけど音の一族とも呼ばれるから。歌だけじゃなく聞くことも結構得意かな。」

「そうでしたね。」


さすが青葉さん…自分の「人魚」という種族の特性を最大限に活かしている…

でもこれからは話をする時にもうちょっと気をつけなきゃ…


「しかし生徒会の仕事か。大変なことになっちゃったね、虹森さん。」

「もう…ゆりちゃんったら…」


いくらなんでもいきなりすぎるって剥れている私に青葉さんはこれも赤城さんのためって宥めてくれました。


「でもこれできっかけくらいはできたから。赤城さんのこと、よろしくね?」


なんだかほっとしたような顔…


その時、私は青葉さんの横顔に私が同好会で初めて出会った先輩と同じ温かくて優しい春風が柔らかく吹いていることを気づいてしまいました。


誰かを心から慈しんで大切に思ってくれる優しい気持ち。

青葉さんにはそういう先輩の面影がちゃんと存在していて私はそんな彼女のことがあまりにも愛しくて美してしばらく目が離せませんでした。

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