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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第3章「カナナ」
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第51話

またブックマークしてくださった方がお一方増えました!最近あまり書けなかったのにこんなプレゼントをくださるとは!恐れ入ります!もっと頑張りますから楽しみにしてください!

いつもありがとうございます!

「大丈夫ですか?みもりちゃん…とても疲れたような…」


私の顔色をうかがう先輩の声にやっと気がついた私は自分がいつの間にかバスから降りていたことに少なからず驚かされてしまいました。


「え…!?いつの間に…!?」

「何がですか?」


っと先輩が体を寄せたその時、目についたそのでっかいおっぱい…それを見た瞬間、


「うわぁ…!ち…近づかないで…!」


私は体は死にかけたその恐怖を再び蘇らせてしまいました。


迫ってくる肉の壁。周りは蒸し暑くて空気は肌にジトジト絡んできて息は塞がれてそれはまるで出られないサウナに閉じ込められた気分でした。

沸き上がる女の子達の汗ばむ匂い。でもその中でも


「みもりちゃん…危ないからマミーから離れちゃダメですからね…?」


真っ向から私のことをギュッと抱きしめて自分の中に入れている先輩の谷間から匂ってくるその肌の匂いはダントツで強烈なものでした。


柔軟剤と香水の芳醇で甘い匂いに先輩の甘しょっぱい体臭が混ざり合った不思議な匂い。どことなく妙な色気も感じたその匂いは一瞬で私の鼻を突き通して脳幹に打ち当たって体中を痺れさせちゃいました。

私、ゆりちゃんやお母さん以外の人にあんなにギュッとされたことがなくてあの時は本当にどうすればいいのかただ戸惑っただけで…

おまけに後ろから会長さんまでギュッとしちゃって…


「もう…ダメ…」


でもだんだんましてゆくそのきつい圧迫感は私に命の危機ってやつを感じさせるほどエスカレートされ、まもなく私のことを人知れずに気切させてしまったのでその後のことはあまり覚えていません。

気がついたらもう私達はバスから降りていて先輩と会長さんは


「きつかったわねー」

「はい…もうパンツまでずぶ濡れですよ…」

「あらあら、大変じゃない。じゃあ、私のと取り替えるのはいかがかしら。」

「いいんですか?じゃあ…」


っとかのんきなことが言って…

って何クリスマスプレゼント交換みたいな感じでパンツ取り替えるんですか!?


はっきりと覚えているのってせいぜいなんだかんだで無事に生徒会室があるA館に着いたってことと体が覚えているその人間兵器の恐ろしさだけ…!

そのデカパイを見た途端、先のバスでのことが思い出されちゃった私は


「そ…そんなの、私に向けないでください…!」


また私のことを抱きつこうとする先輩のことを全力で阻止しなければなりませんでした!


「おっぱい止めて…!おっぱい怖い…!」


これは正しく「おっぱいフォービア」…!

私はそのムカつくほど無駄に大きな脂肪の塊に羨ましいって気持ちやいらだちではなくただひたすらの恐怖しか感じていませんでした!


「もう嫌です…!デカパイはもう嫌…!」

「お…落ち着いてください、みもりちゃん…!ほらほら…!おっぱい怖いない…!気持ちいいですよ、おっぱい…!」


っと思いっきり怖がっている私のことを落ち着こうとするために何故かボタンを外して中の兵器を私におっつけてくるおっぱい魔神!

ちらっと見せられるる汗だくの肉の塊はまさに恐怖の現れ!今の私の目にはただの脅威にしか見えません!

っていうかもういいですからそろそろボタン留めてください…!


「おっぱいを嫌う人はこの世にはいないよ、みもりちゃん。」


もうやだ!!


***


「でも二人はどうして生徒会室まできたの?入部届は私がちゃんと受け取ったんだからそれでいいんじゃないかしら。」


っとそろそろ茶番が終わる頃、何で生徒会室までわざわざ足を運ぶのかその理由について聞く会長さん。


「あ、それはですね。」


実は今日先輩が生徒会室に行こうとしたのは私の入部届を会長さんに届けるためだけではありませんでした。


「実は私、赤城さんにみもりちゃんのことを助けて頂いたこと、ちゃんとお礼しなかったんだっと思って。その御礼というのもなんですが家でお菓子を焼いてみたんです。お口に合うのか分かりませんが。」


っと用意してきたお菓子を皆に見せる先輩の表情は少し緊張しているように見えました。


「ん…赤城さんとは同好会のことで色々ありましたからね…悪い人とは思いませんが正直に言って私的にはちょっと怖いっていうか…」


顔にみっしりと敷かれている緊張感。今まであまり口で言ったことはありませんが先輩は前から赤城さんのことをちょっと怖がっていました。


「それにかなちゃんと何かあったようですがそのことについてはかなちゃん本人もあまり言いたくないって思っているようで…」


っと心配そうな顔でかな先輩と赤城さんのことを案じる先輩。

でもそれに関してかな先輩本人から必死に避けているので今のところ私達からできることなんて何一つもないってことが残念な現実でした。


「そうね。ちょっと気難しいところもあるから、ななって。他の子達もよくそう言うし。でも決して悪気があるってわけではないってことは私が保証するわ。」


でも決して赤城さんのことを嫌わないで欲しいっと言う会長さん。

同じ「Fantasia」のメンバーである赤城さんのことを誰より近くから見てきた会長さんはそれも全部赤城さんなりの理由があったこそだと彼女のことをフォローしてあげました。


「知っているようにななは生徒会の中でも他の子達よりもうちょっと過激だからね。「合唱部」などの大型部の勢力が今以上大きくなる前にまず実績のない部から一個ずつ統廃合させるのがななが唱えている主張だから。実際それに賛成している子達も多いし。私からなんとかしようとしたんだけどなかなか心を開いてもらえなくてね。」


っと残念そうな笑みを浮かんでしまう会長さん。

会長さんは自分から赤城さんの力になってあげられなかったことをすごく残念がっているようでした。


「生徒会と言っても本当は一つにまとまったわけではないわ。ななみたいにちょっと先走ってしまう子もいて私みたいにできるだけ穏健な方法が一番な子もいる。どっちでもないルルみたいにただ傍観するだけの子もいて正直に今の生徒会ってそんなに大した機能はこなしていないかも知れないわね。」


っと今の生徒会に懐疑の心を抱えてしまう会長さん。

でも彼女は決して赤城さんのことを悪く思わなかったのです。


それは私も同じ気持ちでした。何と言っても私は赤城さんに助けられた身ですから。

私だって副会長の赤城さんのことを少し怖がっていたし苦手だと思っていましたがあの夜、私のところに現れた薬師寺さんに立ち向かった赤城さんは本当にかっこよくて優しかったんです。

きっと怖かったはずなのに赤城さんは一歩も引くことなく堂々と勇敢に薬師寺さんから私のことを引き離してくれた赤城さん…


私は薬師寺さんのことをただ見ただけで足が固まって何もできなかったのに赤城さんはあの「死神」と呼ばれる薬師寺さんをその場から追い出してくれた…

赤城さんは生徒会としてやるべきことをやったと言いましたがそれは多分誰でもできることではない、大きな勇気が必要だと私はそう思って彼女に感謝しています。


「大家」の子である私のことを命がけで助けてくれた赤城さん…

私は実は本当の赤城さんはすごく優しい人だと強く信じています。

でも帰りの車の中で窓に「カナ」って名前を書いてそれを悲しい目で眺めていた赤城さんのことを見た時、私はなんだか心がすごく痛かったのです…


「でもななは本当に真面目で正義感も強い子なのよ?私達のスケジュールの管理や生徒会副会長としての仕事も完璧にこなしているから。その上で「Fantasia」の活動も大事に思ってくれて本当に感謝している。」


「Fantasia」が3人体制になったのは私が今年入学する前である去年のこと。それまでは「Fantasia」は会長さんたった一人のアイドルで「Fantasia」は会長さん一人で何もかも全部やらなければなりませんでした。

そんな状況で「Fantasia」のメンバーに入ってくれた赤城さんのことに会長さんはすごく感謝していました。


「ななが入ってくれて本当に助かったわ。ななはみらいちゃんみたいにピアノもすごくお上手だし作曲もできるから。それまでは全部私一人で全部やってきたんだけど正直に私一人では手に負えなくてね。振り付けもルルと一緒に対応してくれて今はなんとかギリギリなところで学校生活を両立できるようになったの。」


去年に比べたら割りとのどかな生活を送っているという会長さんのその言葉にもうちょっと説明を加える先輩。

先輩は会長さんとの増えた時間にすごく喜んでいましたが


「今は少しマシになったんですが去年のセシリアちゃんは殆ど学校にも来られないぐらい大忙しだったんですよ。今もお仕事のことを少し後回しにしているだけで去年にはこうやってお喋りするのもできませんでしたから。頑張るセシリアちゃんも私はすごく好きでしたけど私個人的にはセシリアちゃんには私との時間をもっと増やして欲しかったんです。」


先輩のその話には去年の会長さんには伝えられなかった寂しい気持ちもまたこっそり潜んでいました。


「ええ…?みらいちゃん…そんなこと思ってたの…?」


っと目を見張るほど驚いてしまう会長さん。

まるで自分には初めての話って言っているようなその様子に先輩は最初には


「あ…!いいえ…!何でもありませんから…!」


ってただの独り言って何度もはぐらかしましたがまもなく去年一人だけこっそり持っていた小さな寂しさを素直に言ってくれました。


「だってセシリアちゃんはいつも忙しかったんですから…たまには私にも構って欲しいなとか思っちゃって…でもセシリアちゃんは忙しいんですからこんなの言っても却ってセシリアちゃんのことを困らせるだけでなかなか言えなかったっていうか…」

「みらいちゃん…」


珍しく真っ赤な顔になって恥ずかしがっている先輩…こんな先輩、ちょっと新鮮かも…


いつも大人っぽくて自分のことを「マミー」って言っている先輩が会長さんに寂しかったって言っているその姿はとても女の子っぽくて可愛いものでしたが…


「そ…そうだったわね…」


これ…絶対会長さんの心臓には良くないやつかも…


「セシリアちゃんー顔、めっちゃ赤いじゃんー」

「ち…違うわよ…!これはただ()()しただけだわ…!」


なんですか!?その照れ隠し!?


でもそうだったんですね。先輩だって私みたいに悩んだり寂しがったりする普通の女の子だったんですね。

大好きな人と一緒にしたいって気持ち、大切な後輩のことを心配する気持ち。その当たり前でありふれたけどとても大切な気持ちは先輩の中にもちゃんと存在しているってことを私は改めて気づいてしまったのです。

私、今まで先輩のことを勝手に特別な人だと決めつけていたかも…


「ごめんなさい…私、自分のことで頭がいっぱいで全然気づかなかったわ…」

「い…いいえ…!セシリアちゃんが謝ることではありませんから…!すみません…!急に変なこと言っちゃって…!」


お互いに謝る先輩と会長さん。

お二人さんのことを見ていると本当に婦婦みたいでなんだか微笑ましくなっちゃいますね。


「じゃあ!仲直りの印で()()しよう!ナメクジの濃厚なやつで!」


…本当空気読めないんですね…ゆうなさん…


「えへへ…なんか変な空気になっちゃいましたね…」


なんだか急に変な空気にさせてしまって申し訳ないって私達に謝る先輩でしたが私は全然そう思いません。私はむしろすごく嬉しいって思っているくらいです。

だって先輩が素直に自分の気持ちを言ってくれたおかげで会長さんもすごく喜ぶようになりましたし私だってまた先輩の知らないところが見られた気がしてすごく嬉しいって思いますから。

これからも色んな先輩、見せて欲しいですね。


「良かったら私が教えてあげようか?いっそ4()P()とかどう?」


バカタレのゆうなさんのことは差し置いてもこれでお二人さんの仲がもっと深まったようで私は本当に良かったっと…

ってもしかしてその中に私も入っているんですか!?


「あ…赤城さん…私のクッキー、喜んでくれるのでしょうか…」

「だ…大丈夫わよ!みらいちゃん、お菓子作り得意じゃない…!」


なんて下手な話題転換…さすがの天然の先輩もこれは耐えきれなかったようですね…


「そうですね。先輩のお菓子、とても美味しいんですからきっと喜んでくれると思います。」

「えへへ…そうでしょうか…」


先輩は相手が相手のだけに少し自身がないって言いましたがいつも先輩がご実家から焼いて持ってくれるお菓子は本当にお店で売れるほど美味しいと思います。

手軽なクッキーから高級スイーツまで何でもできる先輩の腕には毎度驚かされていますから。


ゆりちゃんだって


「先輩のお菓子って本当に美味しいんですよね。何か秘訣でもあるのでしょうか。もしあったら私にも教えて頂きたいんですね。次のみもりちゃんが食べるおやつに何を入れればいいのかぜひアドバイスをお願いしたいです。」


っと先輩にお菓子作りのコツを教わりたいと言っていましたから。

って私に何を食べさせる気!?


「えへへ…そんなに褒められると照れちゃいますよ…でもちょっと自身ができました。ありがとう、みもりちゃん。」

「いえいえ。本当のことですから。」


少し自身が出たようで何よりです、先輩。

きっと赤城さんだって先輩の気持ち、喜んで受け止めてくれるはずです。


「私もそう思うわ。ななはああ見えてもすごくいい子だから。いくらみらいちゃんのことでも振り払ったりはしないわよ、きっと。」


っと緊張でガチガチになっている先輩の肩を叩く会長さんも自分の知っている赤城さんは絶対そんなことをしない人っと先輩の勇気を励ましました。


「いらないって言っているんでしょうが!!」


でも私達が彼女のところに行った時、彼女から言われたのはその鬱憤に満ちた彼女の怒鳴り声でした。


初めて聞く赤城さんの鋭くて悲しい叫び。

でもそれは決して私達のことではなく


「なな…」


先輩と同じことを考えて赤城さんのところに行った私のもう一人の同好会の先輩に向かった傷ついた心の絶叫でした。

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