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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第2章「始まり」
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第36話

皆さん、あけましておめでとうございます!今年もどうかよろしくお願いします!

昨日はなぜか見てくださった方の数が200人以上になったとても信じられませんでした!

どうかエラーとかではないならとても嬉しいんですが…

いつもありがとうございます!

炉から出したばかりのような熱した鉄色の肌と黒い髪。額の大きな2角の角と目から放たれる無言の圧力。でもその炎の色の瞳の中からは密かにしまっておいた優しさがゆらりと燃え上がっていてとても温かくて心地よい気分でした。

少しむっつりしてなんかちょっと怒っているのかなって思わせそうなこの無口な3年生の先輩の名前は「灰島(はいじま)(すみれ)」。

大企業「灰島」の跡取り娘であり、今回私達の衣装を作ってもらった先輩の大切なお友達でした。


「二人共、すごく似合ってる。」

「あ…ありがとうございます…!」


隠すことない正直な感想。本人から見ても満足するに足る出来栄えと思っているように私とゆりちゃんを見ているその瞳から大きな満足感を窺えます。


「すみれちゃん、こう見えてもみもりちゃんとゆりちゃんが衣装のことをすごく喜んでくれたことが本当に嬉しいんですよ。」

「そ…そうでしたね。本当にありがとうございます…灰島先輩…」

「すみれでいいよ。」


ニヤニヤしている先輩と違って顔に殆ど変化がない寡黙な人…表情にあまり変わりがないから私にはよく分かりませんね…


戦争以来、鬼の「灰島」は得意だった器用な手際を利用して他の国や世界を相手に商売を始めました。

戦争当時には「人食い」と呼ばれて皆に疎まれてきた鬼でしたがその優れた腕の良さを皆認めざるを得ませんでしたので「灰島」は急成長し、世界有数の企業として大きくなりました。


衣類、鉄鋼、建設、エンタテインメントまで、様々な分野で活躍している「灰島」はもはや私の生活から外すこともできない緊密で親しい企業になって私達を一緒に生活を営んでいたと言っても過言ではありません。

それに「灰島」は人々の助けになるために寄付や救済事業にも力を入れていて他の企業との共存を重要視しているとてもいい企業で今も世界的にに大きく愛されています!


「みもりちゃんの…♥この可愛い…♥パンツも…♥「灰島」製…♥ですものね…♥」

「うんうん。そうそう…っていつの間にか取っちゃった!?よこしなさいって!っていうか匂い嗅ぐな!」

「あ…!まだこれからですのに…!」

「ダメ!っていうか勝手に脱がせたりするなっていつも言っているじゃん!?」


ちょっと目を離したらすぐこうなるんだから!いつの間にかパンツとかブラとか取っちゃって顔とか鼻とか埋めたりして!

私に下着を取られてしょんぼりしているところを見ているとちょっと気の毒だなっと思いますけど元はと言えばこのパンツ、私のですもん!本当油断も隙もねぇ!


でも意外ですね、灰島先輩…じゃなくてすみれさん…

まさかあの「灰島」の跡取り娘さんが自分の手で直接衣装を作るなんて。それに先輩のお友達だったってことも…


「そういえば話したことはなかったんですね。はい!クラスは違うんですがすみれちゃんは私の自慢のお友達なんでです!衣装作りもとてもお上手でいつも私と仲良くしてくれるとてもいい子ですよ!」


先輩、盛り上がってる…私達にすみれさんのことを紹介するのが本当に嬉しいって感じているかも。


「あ。照れているんですね、すみれちゃん。」


えええ!?先と同じ顔なのに!?


でも私、ちょっと安心しちゃったかも。私、今までずっと気にしてたんですから。先輩にところにはあまり人が近づかないってこと。なんか皆に遠ざけられているような気がして…

でもこうやってすみれさんと一緒に笑っている先輩のことを見てほっとしました。先輩のもこんなにいいお友達があったって知ったから。

すみれさんだけじゃないです。会長さんも、団長さんも先輩の大切なお友達ですから。

まあ、あの団長さんの方はどうかなって思ったりするんですが…


ってあれ?そういえば今日の会議ですみれさんのこと、見かけなかったような気がしますね。もしかして先輩みたいにうっかりしちゃったりしたわけではないんですよね…?


「あ、それなら前原さんが代理として来ましたから問題ありません。」

「そう?」


本当何でも知っているんだな、ゆりちゃん…


「灰島さんはあまり公式的な席には顔を出さないんですから。いつも代理の方来て直接顔を見るのは今日が初めてです。ちなみに手芸部は今回の派閥争いには関わっていないんですから私達に結構友好的です。」

「そうなんだ…」


だからこんなに親しんでくれるんだ…確かにこちらのすみれさんってあまり争いとか揉めることに興味なさそうに見えるかも。

ちょっとぶっきらぼうな顔ですがどことなく先輩と同じ人の匂いがして優しい人って感じ。今日初めて合いましたがなんとなくいい人っぽいって思ってます。


「大切にしてくれ。」


くっついている先輩を置いて私にその衣装のこと、よろしくって伝えるすみれさん。服に対する愛情がいっぱい込められているすみれさんの目を見た時、私は思わず


「は…はい!もちろんです!大切にします…!」


っと大声でそうするって約束しましたが本当のことを言うとこれだけじゃ足りないくらいだと思っています。

今日私達の衣装を頼んでくれた先輩達、そしてこんな素敵な衣装を作ってくれたすみれさんと手芸部の皆さん。

ちょっとおこがましいかも知れませんが私が皆にできる恩返しはこの衣装で最高のライブをすることしかないと私はそう思います。

だってそれがまた「アイドル」の道を歩くことにした私にしかできない恩返しだと思いますから。頑張らないと…


「それにしても…」


本棚にぎっしり差し込んでいる衣装に関するたくさんの本と少ないけどとても楽しそうな部員達。何だか同好会と似たような雰囲気ですね、ここは。私達が本当にアイドルのことが好きなように服やここの皆は衣装のことが大好きですごくいい雰囲気。

まあ、一応公式部ですから私達とは全く同じとは言えないかも…


「だ…大丈夫ですよ!みもりちゃん!」

「先輩?」


どうしたんですか?急に大声出して…


「私達だってできますから!だってみもりちゃんが可愛いですもの!」

「えええ!?」


ほ…本当いきなり何言っているんですか!?この先輩は!?


「そうですよ、みもりちゃん!はい、腕を上げて!「ばんざい」ですよ、ばんざい!」


なんでゆりちゃんまで話に加われたの!?こ…こう?


「うふふっ♥みもりちゃんの腋マン○♥」


って何「ごちそうさまでした♥」って顔するんだ!?っていうか止めてよ、そんな表現!!


「賑やかになったね。」


わいわいしている私達を見てそっとした笑みを浮かべるすみれさん。まるでやっと元の同好会みたいになったと言っているようなすみれさんの話に


「はい。」


先輩はそっと頷くだけでした。


***


「あの先輩…」

「何でしょう。みもりちゃん。」


なんでって…そりゃ…


「何で着替えちゃダメなんですか…?」


私達、まだ衣装のままですから…


「いいじゃないんですか。可愛くて。」

「そ…それはそうですが皆見ているんですから…!何かのコスプレなのかって…!」

「え?」


何言っているのかさっぱり分かりませんって顔をする先輩。


「可愛いは正義なんでしょ?」


はい…?私の方こそ意味分かんないですけど…ねぇ、ゆりちゃんはどう思う?平気なの?って…


「みもりちゃん…♥みもりちゃんのすべすべ肌…♥」


全然気にしてねぇし!


「私はただこんなに可愛いみもりちゃんとゆりちゃんのことを皆にも見せたかっただけなのに…もしかして嫌だったんですか…?」


って急にうるうるする先輩!ち…違います!別に嫌いってわけじゃなくて…!


「わ…分かります!分かりましたから泣かないでください、先輩!」

「ほ…本当ですか…?私、また自分勝手にみもりちゃんとゆりちゃんに迷惑をかけてしまったのでは…」

「そ…そんなことないです…!そんなことないですから…!ほら、ゆりちゃんだって…!」

「みもりちゃんの生腋…♥とろとろな生の腋…♥」


せめてゆりちゃんは喜んでいるみたいですし…


「まあ、でもこれで一人でも興味を持ってくれれば大成功だからね。」


かな先輩はそう言いましたがやっぱりちょっと自信ないかも…むしろそういうことなら私じゃなく先輩達の方が…ってあれ?


「あの人って…」


放課後のグラウンド。そこにはたくさんの生徒達が自分達の部活から健やかで元気な青春の汗をかいていました。芸術文化系として名高い第3ですが残念ながら体育系の部活はあまりいい成績ではなさそうで大体の生徒達はただのレジャー程度で部活を楽しんでいます。


まあ、それはそれでいいと思います。別にでかい目標とか立てなくても皆で力を合わせて何かをするってことは本当に素晴らしいと思いますから。

小さいことから初めて少しずつ積み上げていくことも、そこから生まれる皆との思い出も振り返って見ればきっとかけがえのない素敵な思い出になると私はそう思います。

私達の同好会もそういうありふれたけどとても大事なことを見てアイドルをやっているのではないかとここ最近の皆のことを見てそう思うようになりました。


そんな中、私達の視線を一つに集める少女がありました。

いっぱいの生徒達に囲まれてまるで美しい海の中から舞い踊っているように華やかな動きをお披露目しているきれいに結んだ三編みのお下げの少女。その髪の毛はまるで深海から見渡した景色のように深くてどことなくぞくっとしましたが同時につい見惚れてしまうほど美して神秘なものでした。

風に靡く白いプリーツスカートとキャップがとてもお似合いだった彼女は眼鏡の向こうから相手のことを貫いてあっという間に私達の目の前で一点を取りました。

その一連の動きには美しさと気品がいっぱい込められてそれはもはやテニスではないいつか見た彼女の舞台と言うべきだと私は思わずそう感じてしまったのです。


「ナイスショット!青葉さん!」

「青葉先輩!最高です!」


歓呼するペア。そして一緒に盛り上がる観客。

皆一つになって彼女のことを讃え、喜んでいましたが


「うみちゃん…」


なぜか先輩だけは彼女のことを悲しそうな目でずっと見ていました。

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