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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第5章「夢と茸」
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第323話

遅くなって大変申し訳ございません。

本職と新人賞の準備で大分遅くなってしまいました。

お待たせいたしまして誠に申し訳ございません。


それにしてもここ2週間、あまり休んだことがありませんね。

ちょっと体調不良気味でその上、天気もこんなに蒸し暑くてもう地球大丈夫なのかって感じです。

なんとか体調を整えて本職と執筆、両方頑張れるようにします!

暑い日々が続いています。その上、日本は地震まで起きてとても心配です。

皆様の、日本に住んでいる方々の安全とご無事を心からお祈り申し上げます。

私達をここ、スカイタワーに運んだのは間違いなく私の護衛であるよざくらさん。

彼女は赤座さんの、特に現「赤座組」の組長である姉の右上に当たる人物で、赤座姉妹から絶大な信頼を得ていた。


ある日、社長室に清掃員として働いている私を呼び出した社長のすずめさん。

彼女は一緒に部屋にいたお面を被った白い髪の女性を私に紹介して、


「紹介するね、ななちゃん。

こちらは「()(さくら)」ちゃんで今日からななちゃんの護衛につくから仲良くしてね?」


今日から私達の護衛に当たる人だと説明してくれた。


「よろしくお願いいたします。」


まるで任務になんの疑問も抱かないような従順な姿勢。

でもそれは大きな間違いであることを後に私は彼女との話し合いで分かるようになった。


彼女は社長のことを「親方」と呼び、心から彼女のことを尊敬している。

だから彼女から与えられた任務に誇りを抱き、その意図を納得していた。


「親方は賢明でお優しい方です。

決してあなた達を見殺しにしたりはしません。」


絶対的な信頼。

それこそ「赤座組」の本当の強さであることを私はあの時、初めて学ぶようになった。


よざくらさんがたった一人で私達の護衛に抜擢された理由はいくつかあるのだが、一番大事な理由は、


「「テレポート」…ですって?」


彼女が「瞬間移動」の事象能力者であることが挙げられるだろう。


指定されたポイントにしか出入れできないという限られた条件。

それでも「テレポート」という規格外の力は私達を守るに十分なものだと、社長はそう判断して彼女に私達のへ護衛の任務を任せたのであった。


「さくらちゃんは強いから何があっても二人のことは絶対守る。

神界は「黄金の塔」の縄張りだし、さすがのドクターでもここまでは来られないと思うけど、念のためにさくらちゃんを二人の護衛につけるから。」

「あ…ありがとうございますわ、社長。」


匿ってくれた上にわざわざ貴重な戦力を私達のために護衛に回してくれるとは。

彼女の予想以上の心遣いに、もしかして「赤城財閥」とのコネが欲しいのかと思われるかも知れないが、その可能性は低いと私はそう思う。


赤座さんいわく、


「お姉ちゃんはただ皆の「ヒーロー」になりたいだけ。

下心なんてこれっぽっちもないよ。」


彼女は組織のことであまり学校に通えず、他の子が自分と同じく外部からの都合で青春を楽しめないのが嫌なだけ。

これは妹としてではなく、姉のことを人として尊敬する「赤座小鳥」としての考えだと彼女は予め自分の立場に線を引いた。


もちろん私は彼女に正式にお礼するつもり。

見も知らぬ私達のために協力を惜しまなかった彼女には大きな恩がある。

もし彼女が今回の件で「赤城財閥」と何らかの協力関係を築きたいと思うのなら、もし彼女が「赤座組」の復興を成し遂げたいと思っているのなら私もまたそのために尽力を尽くす。


でも、


「心配しないで、ななちゃん。

私は何も望まないから。」


あの時、社長が私にそう話した時の虚ろの視線に触れた時、私は本当に自分に彼女のためにできることがあるのか、ただそう思って戸惑ってしまった。


「私にはもう何もない。お父さんが来るまでここを全力で守るだけ。

私は皆が幸せに暮らせればいいだけ。それ以外は何も望まないよ。」


っと一度だけ妹にも明かさなかっった本音を打ち明けてくれた社長。

そして赤座さんの言った「ヒーロー」という言葉。

私は彼女が自分を犠牲にして他人の日常を守る傷だらけの悲しき「ヒーロー」であることにやっと気がついてしまった。

周りの人のために欲を捨てて、極限まで自分を押さえつけてしまうヒーロー。

でも私は最も助けが必要なのは今の彼女であることをよく分かっていた。


よざくらさんが護衛につき、私達は「赤座組」の庇護の下でドクターのことについて調べ始めた。

あの人の「ザ・ハンド」でなにか良からぬことを企んでいるのはまず間違いない。

でももっと深く、彼の本当の目的と気持ちに寄り添わなければ交渉はできない。

そう思って調査を初めたわけだが、自分のことに関しては徹底しているドクターの情報はなかなか手に入らなかった。

世界政府情報局で過去に押さえておいた情報はなんとか得られたがこれだけでは彼の意図を読むことも、尻尾を掴むこともできない。


第2女子校に管理している「全自動化殲滅部隊」、「フロントライン」の前身となる当時の人界陸軍「第2機甲師団」の司令部所属の元軍人にして医者、そして科学者まで兼ねていた大天才。

彼は戦争中、負傷した軍人や障害を持った民間人のリハビリのために当時、婿であった「Will」博士とメディカルカンパニー「Dogma」を設立して多くの人々の社会復帰を図った。

欠損した身体を機械で補い、人工知能を取り入れてさらなる科学文明をもたらした。

この時の「Dogma」は軍需企業でも、ましては人体実験などの非人道的な行為をする会社ではなく、人々の失われた生活を少しずつでも取り戻すためという使命で活動する立派な企業であった。


ここまでは有名な話。

「Dogma」が変わり始めたのは戦争中、婿の博士が何者に殺された直後から。

戦争で愛する一人娘と孫娘が行方不明になって、彼女たちの代わりにずっとドクターを支えた博士が死んでドクターは暴走、「狂人」として生まれ変わった。

情報局の調査結果に記されているドクターの悪行は読んだだけで吐き気を催してしまうくらい無惨なことばかりで読んだものにトラウマを与えかねなかった。

勝つため、それしか考えなかったドクターは手段を問わない無茶苦茶な人となり、善悪の見境もなくなった狂人となってそれまで自分が生かした人の数の何十倍もある人達を殺した。


情報局の記録と照らし合わせて私達は彼の動機は復讐に違いないと結論付けた。

愛する娘と婿を失って怒り狂った彼は世界に復讐するためにずっとこの時を待っていたと。

社会に潜り込んでずっとチャンスを伺っていたドクターは自分の計画に彼女の「ザ・ハンド」を利用する企みだと私達はそう考えていた。


でも、


「何でしょう…この違和感は…」


どこか引っかかるような嫌な感覚。

なぜ彼が彼女のことを「金色のリセットボタン」と呼んだのか。

緻密で慎重な彼がなぜいきなりこんな目立つ方法で彼女を確保しようとしたのか。

もしただ復讐だけが目的だったらもっと隠密に行動するべきだったはず。

つまり彼は自分のすべてを全部かけてしまうほど「ザ・ハンド」に強い確信を持っていて、何としても手に入れようとしている。

だがそれが今すぐ世界を敵に回すほどの価値のあることなのか。

そのすべてに説明できるまで私はもっと色んな可能性を開いておく必要があると判断した。


そして私達はここ、スカイタワーによざくらさんの能力によって飛ばされた。

彼女は本格的な護衛が始まる前に私達にこう言った。


「もし私にお二人さんの護衛ができなくなった時、例えば私がドクターに殺されるなどの非常事態、私が予め仕込んでおいた結界が自動的に発動します。

結界が発動したらこことは違う別の場所に移されることになりますが冷静に状況を把握して己の身を守ってください。

移される場所は予め何箇所か指定して予想ポイントは後ほどお知らせいたします。」


どこに移されても30分以内に対応できるように事前に手を回しておいたというよざくらさんの伝言。

そして今日、私達が寝ていた時、よざくらさんの身に危険が迫り、私達は最も可能性の高いスカイタワーにテレポートされていた。

言い換えれば今、よざくらさんは私達の護衛ができない危険極まりないのない状況で、最悪の場合、彼女はもう殺されたかも知れない。

彼女のことはとても心配で今でもパニックを起こしそうだが、私は歯を食いしばって現状を把握してなんとか身を守ることに徹することにした。


「大丈夫。あなたは私が守りますから。」


この手は決して離さない。

何があっても私は彼女を、かなを最後まで守ってみせる。


「運命を信じるのか。」


だが運命は皮肉にも、


「私は運命を信じている。」


その悪魔を私達のところに導いてしまった。

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