第305話
遅くなって大変申し訳ございません。
最近新しい仕事を始めてそれで頭を随分悩ませてしまってなかなか進むことができました。
なんとか解決できて改めて通常通り投稿する予定となりました。
それと大分遅くなったことにも関わらずお待ちいただいて感謝の極みです!
これからも何卒よろしくお願いします!
最近昔のアニメにハマってしまいましたね。
スレイヤーズとからんまとか。
今のアニメも好きですがやはりロマンと思い出ってやつは格別ですよね。
皆様にもそういう特別な作品がございますか?もしよければ教えて頂きたいです!
いつもありがとうございます!
彼女の話は衝撃の連続であった。
「私は「宇宙人」なの。」
彼女がもはやここの星の出身ではない遠い宇宙から来た存在であること。
そして
「それからこれが私の本当の姿。」
彼女がただのロリ巨乳ではなく、先輩並のワガママボディーを隠していたボンキュッボン系の大人の女であること。
いきなり自分の本当の姿を見て欲しいと言うルルさん。
いつも海王星のような不思議な青い髪を丸くしたお団子の形にして小柄の割になんて凶悪な大きさの胸なんだろうと思わせるそのでっかい2つのメロンをぶら下げていた俗に言う「ロリ巨乳」だったはずの彼女が
「ウソでしょ…」
今こうやってこんな大きな姿で恥じらっている。
その事実がどうしても受け入れられなかった私だったが
「やわっか…!」
その圧倒的な生々しさに今の彼女こそ現実であることを認めざるを得なかった。
元々凶悪な大きさと相まって今の彼女は別人と言ってもいいほどの完璧な大人の女性に変身、もはや私達が知っている生徒会書記「ルル・ザ・スターライト」の欠片すら見つからなかった。
海王星が溶けたような不思議な色の青黒の髪。
文字通りの星の光を解き放つ宇宙の深淵を秘めた円の大きな目。
そしてあのタッパのある先輩にも劣らないほどのスラッとした身長。
少し変だとは思われるかも知れないが本当は私は密かに彼女に対して小さな親近感を抱えていた。
なぜかと言えば私達の身長はほぼ同じでちびだから。
でもこのでっかい姿を今まで必死に隠していた彼女を自分の目で確かめさせられてしまった時、
「前言撤回…!」
私は今まで一人で抱えてきた彼女への仲間意識を切り捨てることにした。
でもそんな私の羨む気持ちとは違って自分の今の姿のことがあまり好きではないというルルさん。
その言葉の意味が全く理解できなくてキョトンとしている私に
「皆が知っている小さな姿の方は私の一番大切な人なの。そしてこちらの姿はその子を守れなかった私の一番嫌いな人。
だから私はこの姿の方はあまり好きじゃない。」
っと少し悲しそうに今の姿について説明してくれるルルさん。
つまり彼女はあまり自分のことが好きにならないということであったがその気持ちが全く知らないまでもなかった私は何故か心のどこかで彼女のことを哀れむようになってしまった。
うみっことの一件で長い間自己嫌悪に苦しんでいた私。
もし前の学校の皆や先輩が背中を押してくれなかったら立ち上がることすら叶わなかったと私はそう思っている。
だからもし彼女が誰かの助けを求めているのであればたとえどんな理由であれ私は彼女の肩を持つつもりだ。
「今回のことは全部私が仕組んだことなの。」
少なくとも真実を聞かされる前まではそう思っていた。
「改めて紹介するわね。」
っと改まって自己紹介を始めるルルさん。
「私の名前は「ルル・ザ・スターライト」。現在「世界政府付属第3女子校高等部」に在籍していて生徒会書記を努めている現役の「Fantasia」所属のアイドル。
そして私の目的はー…」
「この星に生きるにふさわしい適切な人類を選別すること」。
彼女はこのプロジェクトのことを「方舟」と呼んだ。
学校どころか、世界、ひいては星全体を巻き込んだ莫大な規模の一大プロジェクト。
そしてその後に付いているのはこの星だけではなく私達がいるこの宇宙全体を管理するルルさんの親、「超越体」。
計り知れないそのとてつもなくて呆れてしまうほどの大規模に私はなんと反応したらいいのか返す言葉すら失ってただ呆然と彼女の顔を眺めているだけであった。
彼女はこう話した。
「私はただの中間管理職。私達は皆「超越体」から離れて生まれた「欠片」で「調律者」として「超越体」の命令に従って動いているの。」
そして自分もまたその「欠片」の一人で「超越体」から命令を受けてそれに従う「調律者」。
中には「監視者」と呼ばれるもうちょっと上位の階級もあるらしいが「超越体」の命令に従うようになっているのは一緒だそうだ。
でも「超越体」は基本放任主義で大体は「調律者」各自が単独で判断して動いているらしい。
「一応「調律者」でも「超越体」の知識を受け継いだ存在だからね。宇宙は広くて「超越体」はその全てを観察し、判断するから私達のような「調律者」には一々かまっている暇はないの。」
そんな「超越体」から生まれると同時にくだされるたった一つの命令。
「「星のエネルギー」を集めて宇宙の拡張と寿命の延長を図ること。それに反することさえなければ私達は基本自由に行動できるの。」
一つの星の誕生から滅亡までその星の歴史の中で生み出される無数なエネルギー。
それを用いて宇宙の資源エネルギーにする。
宇宙の拡張と持続、「超越体」の目的はただそれだけ。
そのために「超越体」は自分の体を切り離して「調律者」を作り、今も宇宙の寿命のために働いている。
という話だが正直に言ってスケールが大きすぎて全く頭が追いついてないというのが私の本音。
「なるほど…そうだったんですね…」
でもそんな私と違ってなんとか今の話を理解したような先輩。
「まあ、私にしちゃ2回目の話なんだけどね。」
そして既にこの話のことを彼女自身から聞いたことがあるというお姉ちゃん。
お姉ちゃんは思ったよりこの件についてとっくに昔から首を突っ込んでいたことを私はその時の発言で察してしまった。
話の大きさから見て今お姉ちゃんに彼女とのことを問い詰めても多分はぐらかされるだけで絶対教えてくれないだろう。
これは未だに私がお姉ちゃんにとって守るべきのか弱い存在に過ぎないということで私はそのことが死ぬほど嫌だったがここは一旦その気持さえ押さえつけてルルさんの話に耳を傾けることにする。
もしこれがうまく解決できたらお姉ちゃんも、先輩も私のことを見直してくれないかも知れない、私はそう判断したが
「私はこの計画のためにたくさんの人達を利用したわ。」
どうやらこれが全く自分に関係のない話ではなさそうだと私はこっちを向くルルさんの視線にそう感じるようになった。
「…」
少し間を持って流れる沈黙。
一体どこからどこまで信じればいいのか、ただ戸惑っていたばかりの私達に
「先に言っておくが今の彼女に害はない。それだけは私が保証しよう。」
予め今の彼女に危険はないということだけは言っておきたいと言う理事長の色葉様。
でもそのために私には彼女の戦力を把握しておく必要があったが
「私の能力の名前は「メイド・イン・ヘブン」。平たく言えば「現実操作」って言ったところかしら。」
それがまたぶっ飛んだ能力すぎてここでもしかして私のことをからかっているのかって思ってしまった。
でも彼女の本当の姿のこととか、何より今の私達に対するこのあまりにも真剣そうな目を見たらその可能性は極めて低い。
こう見えても人を見る目だけはちゃんと持っているつもりで少なくとも今の彼女が私達をからかったり騙したりしているわけではないということははっきりと分かっている。
だからこそ彼女の意図が分からなくてこの状況をどう解釈すればいいのか戸惑っている自分であった。
「この件には既に世界政府や「黄金の塔」などの組織だけではなくもっと複雑な闇の存在も絡んでいる。
早いとこ何か手を打たなければ先を追い越されてしまうだろう。」
っと事態の深刻さと迅速に動く必要性を強調する色葉様。
でも色葉様がこの件を緊急事態として扱うのは
「私はどうしても彼女を保護したい。」
彼女、ルルさんもまた自分が守るべきの存在として認識しているからこそであった。
色葉様はただ彼女のことを私達と同じ一人の生徒として、そして自分は一人の教師として彼女に歩み寄りたいと思っているかも知れない。
でもその時に見せられた
「いろはさん…♥」
初めて見るルルさんのその恋に落ちた乙女心全開の視線は明らかに色葉様とは別路線のものに間違いないと私はその一瞬で確信してしまった。
「ルルさんってこんなキャラだったっけ…」
「私も初めて見たな…こういうの…」
っとお互いのそっくりした顔を見つめ合いながらドン引きしてしまう仲良し姉妹。
そんな私達に
「いいじゃないですか♥ルルさんだって女の子なんだから女の人が好きなのは自然なことなんです♥」
っとこれもまた自然の理の一人だと何かよく分からない自分だけの哲学を述べてくる先輩であった。
しかしまさかの現実操作の能力が出てくるとは…
今まで空想の話としか思わなかったあんな幻のようなのが出てきた時、
「先輩…いや、みらいさん。私が一生幸せにしてあげます。」
「…はい♥あなた…♥」
私は一瞬真っ白なウェディングドレス姿の先輩の手に指輪をつけている自分のことを想像してしまったが
「べ…別にそれくらい自分の力だけで十分だから…!」
「何が?」
プライドの高い私の心は別にそんなことに頼らなくても自分が本気を出したら先輩を幸せにすることくらいいくらでもできると私自身の一瞬の浅ましさを叱りつけた。
「方舟」。
それはルルさん自らこの星で生き残るに適切な人類を間引いて生存させる一大プロジェクト。
その中にはもし選ばれなかったらふるいにかけられて自分達の意思とは関係なく滅ぼされてしまうという最悪の結末が含まれていて
「ウソでしょ…?」
初めてその全貌を聞いた時、私と先輩はその恐ろしさに驚愕し、ただ震えてしまった。
種族全体を天秤にかけてあらゆる可能性と適応性、そしてその潜在能力まで見極めた上でようやく滅亡を避ける船に乗れる種族を選ぶ。
つまり私達全員は既に彼女の「方舟」のためのモルモットということであった。
そしてそれを実現できるのがルルさんの能力、現実に干渉し、書き換えることができる現実操作の能力である「メイド・イン・ヘブン」。
計画は着々進んでいて、ついに最後の結末だけを残していた。
「残ってたのは最後の仕事だけ。それが終わったら私は「方舟」に選ばれた種族を残して全員を殺すつもりだったの。」
結末に当たってどうしてもやらなければならない仕事。
そしてその最後の仕事が自分に関係のあることが分かってしまった時、
「キサマ…!私のことを騙したな…!」
私は生まれて初めてお姉ちゃんの口から出る「殺す」という言葉を聞いてしまった。




