第292話
なんと!前回の投稿でブックマークがもう4人も増えました!
お気に召されたようでとても嬉しいです!
私的には3年ぶりについにみもゆりの愛が実った記念的な回だったのでますます嬉しくなりました!
これからも頑張っていきますのでこれからも何卒よろしくお願いいたします!
来週には初投稿から3年になります!
今までここまで続けたのが日本語の勉強以外にはなかったのでとても嬉しいです!
ここまで来られたのはずっと応援してくださった皆さんのおかげです!
本当にありがとうございます!
いつもありがとうございます!
「二人共ーどう行ってたのよ、もうー」
「えへへ…すみません…ちょっと想い出さがしに…」
ようやく戻ってきた虹森さんと緑山さん。
私達をほったらかしにしたことについて文句を並べる私に申し訳ないと何度も謝る虹森でしたが
「えへへ♥みもりちゃん♥」
明らかに変化した緑山さんの様子に私は何かあったことに違いないと気づくことができました。
数日前から大好きな虹森さんからある程度の距離を取っていた緑山さん。
そのよそよそしさに本人達はもちろん周りの人達も、特に先輩が二人のことを気にかけていました。
何か手伝ってあげたいと二人のことでずっと悩んでいた先輩のことを中黄さんから聞き及んで先輩と同じ気持ちだった私も二人のために一肌脱ぐことにした。
でも結局最後には二人で頑張るしかない。
そう思っていた私の期待に応えてくれるように二人は見事に元の仲良しの二人に戻ってくれました。
結局私にできるのは二人を傍で見守るだけでやることなんて殆ど会長の世話しかありませんでした。
虹森さんの右腕にあんなにくっついてこれ見よがしに自分の愛情を見せつけている緑山さんのことを見ていると今まで自分達が気を遣っていた苦労は何だったのかなとつい虚しい気分にもなったりするんですが
「みもりちゃん♥大好きです♥」
やっぱりこっちの方が安心ですね。
そんな彼女達にエメラルド様は
「お帰りなさい。みもりちゃん、ゆりちゃん。」
ようやく本当の二人にお帰りの挨拶ができて
「はい。ただいま。」
二人もまた真の意味で帰りを知らせることができました。
でも妙に顔が赤くて息もこんなに荒ている。
一度シャワーでも浴びたようですがその秘密基地ってやらまで行くのにそんなに汗だくになったりするんですかね。
彼女の言葉によるとそんなに険しい道ではなくて距離だって遠くないから普通な散歩道程度だってー…
っと思っていた私はついに気づいてしまったのです。
「こ…この二人…!ついに大人の階段を上っちゃったんだ…!」
この二人はもはや普通な幼馴染ではなく、何か特別な存在になってしまったことを。
そう思ったらあそこで何があったのか想像することは難しくありませんでした。
おそらくこの二人はもう…!
「今夜私の部屋で待っててくださいね?♥」
そして虹森さんだけに聞こえたはずの緑山さんのささやきに自分も気がづいた時、
「ゆりちゃん…!もうダメ…!出ちゃう…!出ちゃうよ…!」
「ええ♥♥いいですよ、みもりちゃん♥♥全部あなたのゆりの中に打ち込んでください♥♥」
その夜、こうなることを私は既に予測していました。
「緑山さん、虹森さんと仲直りできたようで良かったですね。」
「あはは…そうですね…」
だからこそただ純粋に二人のことを嬉しく思う会長には本当のことを話せなかったのです。
「じゃあ、そろそろ私の家に向かいましょうか。」
「もうこんな時間か。」
いつの間にか日が傾いて館内にも薄らな闇がにじみ始めて肌寒さも感じるようになった頃。
まだ春とはいえ日が暮れると体が冷えて風邪を引きやすくなる季節でそろそろ場所を変えることを提案する緑山さんの意見には私も賛成です。
記念館もそろそろ閉館の時間ですし私と会長はエメラルド様のご案内で館内巡りを無事に済ませましたから十分満足しています。
「ほら、会長。風邪でも引いたらいけませんからこれ、羽織っておいてくださいね?」
「あ…ありがとうございます…」
っと会長に自分の上着を渡した私ですがさすがにこの時期は結構寒いですね。
私、こう見えても寒さに結構弱いし早くどこかで温めさせてもらいたいと思うんですけど…
「あなたの方こそ無理してはダメですよ、青葉さん。」
その時、自分の肩にご自分の上着を着せてくださるエメラルド様。
たとえそれがエンジンなどの部品からの熱で温めておいたものとしてもそこから伝わる人の温もりはちゃんと感じられた私は
「ありがとうございます。エメラルド様。」
彼女のことを本当によく似た姉妹達だなと思ってしまったのです。
でもそれはきっと今のことだけではなく色んな意味を含めている言葉だといつの間にか私はそう感じていました。
やたら世話好きでいつもこっちのことを勝手に見透かしていて妹も、姉も本当に困った姉妹だと思います。
でもそんな温かさは本物の人でさえ手に入れないものだと思って私はつい彼女達のことを羨んでしまうのです。
「では私の車で行きましょうか。館長に頼んですぐ出してきますから入り口の方で待っててください。」
「分かりました!ありがとうございます!エメラルド様!」
勢いよくお礼を言う虹森さん。
今までの悩みが解決できてとても軽そうなスッキリした表情で見ているこっちまでほっとしてしまう。
私はああいう風にお互いのことが大切すぎて仕方のないような顔の二人が本当に大好きでした。
それはかつて自分が望んで願ってやまないもはや手の届かない憧れのようにいじらしくて儚くて…
「良かったですね。先輩。」
そして私は今日も先輩の同好会が無事に守られたことに感謝をしながら密かに自分の心を殺してしまったのです。
「皆さん。車に乗ってください。」
普段記念館のことで人を乗せて運転することが多いというエメラルド様。
だからなのでしょうか。8人乗りの大型のバンなのにもう手慣れている様子で運転する姿もなかなか様になっていて全然違和感がありません。
私達は彼女が回ってきたバンに乗って次の目的地である緑山さんの屋敷へ向かうことになりました。
充実で色々学ばせて頂いた戦争記念館。
ここでこの星の歴の1ページを間接ながら体験できた私達は改めて自分達がどれだけ平和な時代に生きているのか分かるようになりました。
そして自分はこの世界において明らかな異分子であることに気づいてしまった私は夕暮れの景色に自分の憂鬱さを重ねました。
緑山さんの屋敷は戦争記念館から車で15分ほどの距離にある坂の上に位置している大きな洋館でこの当たりでは一番大きい建物らしいです。
市役所より大きいから初めて町に来たお客さんはよくその屋敷を博物館や役所で勘違いしたりするそうで実際私も初めて見た時はそういう類の建物ではないかと思ってたんです。
「じゃあ、みもりちゃんは私のお隣ですね♥」
「うん、分かった。」
順番に車に乗って座る席を決めていく可愛い少女達。
もうあんなにベタついていつの間にか普段の緑山さんに戻っている彼女のことを見るとやっぱり変わらないものはいいなと思うようになってしまいます。
「じゃ…じゃあ…青葉さんのお隣は私でもよろしいでしょうか…?」
そしてもじもじしながら私の隣に座りたいという会長のことに
「ええ。もちろんです。」
私はいつもの先輩のような笑顔で自分の傍を会長に譲りました。
エメラルド様が運転する車に乗って約10分くらい経ったらついに見えてきた屋敷。
「お…大きい…!」
でもどんどん近づく度に私は驚きを隠しきれなくなったのです。
「エメラルドです。」
「どうぞ中へお入りください。エメラルド様。」
入り口の方で使用人さんの身元確認を済ました後、中の長い道を進んで行ったら
「お帰りなさい。ゆりお嬢様、みもりお嬢様。」
そこにはたくさんの使用人さん達が立ち並んで緑山さんの帰宅を歓迎していたのです。
テレビとかよく見る黒と白の執事服とメイド服の使用人の大行列。
「皆さん、お久しぶりです。」
「あはは…」
その歓迎の言葉を浴びて車から降りる二人のことがこんなにも特別に見えるとは…!
特に今の状況が未だにぎこちない虹森さんとは違ってすっかりお嬢様オーラを出しまくっている余裕の緑山さんのことはなんかムカつくほどいつもとは違う感じがしてこの人、本当にお嬢様だったんだって思われて…!
普段は
「みもりちゃんのパンツ♥♥みもりちゃんの小便臭いパンツ最高♥♥」
っとかのボケばかりの変な人なのに
「皆さん、お元気のようで何よりです。」
なんですか…!?この溢れんばかりのお嬢様オーラは…!?
いつものイメージとの落差がすごすぎてもう頭が追いつかない…
虹森さんにはもう慣れているように見えますがここまで完璧なお嬢様キャラが作れる緑山さんにはさすがに結構驚かされてしまいました…
もしかすると緑山さんには自分にも自覚できなかった演技の才能があるかも知れませんね…
華やかな身のこなし。
艷やかな栗色の髪の毛がもうあんなにキラキラしていかにもこの屋敷のお嬢様っていうのが一目で分かってしまう。
彼女はこの一瞬で自分を「人前に立つ者」として置き換えていたのです。
でもそれはほんの一瞬の短い時間だけで
「早く入りましょう♥みもりちゃん♥」
彼女もまた好きな人の前では一人の乙女になってしまう普通な少女に過ぎなかったことをまもなく私は気づくことができました。
「す…すごいね…お嬢様ってのは…」
っと彼女達の後を追って車から私と会長が手を繋いで降りた時、
「ようこそいらっしゃいました。「青葉海」様、「セシリア・プラチナ」様。」
自分達も歓迎された時はさすがにちょっと慌ててしまいましたが
「もう来てたんですか。ゆり。」
多分一番驚いたのは彼女に出会ったその時だと思います。
「連絡くらいしてくれないと。まだ準備が終わってないというのに。」
っと多少焦った顔で階段を降りてくる彼女のことは初めてお目にかかる私でも一目で分かるほど娘さんによく似ていて
「お帰りなさい。ゆり、みもりちゃん。」
その透明な目に宿っている愛情と慈しみの心は久しぶりに帰ってきた二人の娘さん達と
「ようこそおいでくださいました。青葉さん、セシリアさん。」
初めてこの町に来た私達のことを心から歓迎してくれたのです。
和やかな笑顔。娘さんとそっくりのきれいな栗色の長い髪の毛。
おっとりした雰囲気とは違って鍛え抜いたどっしりしたボディーまで娘さんにそっくりした彼女の名前は「緑山ワンダ」。
つまり彼女は緑山さんの実の母親の方だったのです。
正直私は娘さんとクローンとか何かではないかと遺伝って本当にすごいなって感心していたのです。
虹森さんと虹森さんのお母さんだってすごく似てたのですがここの町は皆そうなのかなと思われるほど親子そっくりで毎度びっくりさせられちゃいます。
「お母様。ただいま戻りました。」
「お久しぶりです、おばさん。」
っと帰りの挨拶をする二人のことを一度ギュッと抱きしめた彼女は
「よく帰りました、二人共。」
二人に軽く口付けをした後、
「初めまして、青葉さん、セシリアさん。娘が大変お世話になっております。
ゆりの母「緑山ワンダ」と申します。遠路はるばるお越しいただき本当にありがとうございます。
お二人のご訪問を心から歓迎いたします。」
正式にご自分のことを私達に紹介し、私と会長のことを大歓迎してくださいました。
元陸軍特殊部隊「Ultra」大佐、「虎馬」と呼ばれ、「Ultra」の歴史から外すことのできない伝説的な人物。
緑山さんに人間離れの格闘技を叩き込み、彼女を「兵器」として育て上げたそんなすごい人が今、こうやって私の目の前にいるというのがどうしても信じられない。
でもその姿はあまりにも美しくて親しくて自分はふと実家のお母さんのことを思い出すようになって
「お会いできて光栄です。お二人さん。」
そのキラキラな笑顔を見られた時、私は心の底から彼女のことを本当に素敵な人だと思うようになったのです。




