第249話
ブックマーク及びありがたいご評価頂き誠にありがとうございます!!
楽しんでいただいたようで嬉しい限りです!
なんとお礼の言葉をすればいいのか見つからなくて困っていますが本当に嬉しいです!
これからも楽しんでいただければ幸いです!
よろしくお願いいたします!
中間辺りの内容を書き直したためもう少し時間が掛かってしまいました。。
大変申し訳ありません。。
就活の結果はあまり良くありませんでした。
まあ、予想はしてましたがね。
でもめげずにもっと頑張ろうと思います。
ここまで来たら失敗の一つや2つなんて造作もありません。
これからも頑張って楽しく書いていきますので何卒よろしくお願いいたします。
いつもありがとうございます!
「駄目だ。」
「どうしてですか…!」
「ちょっとあなた…」
きっぱりと私からのお願いのことをダメと言い切られてしまうお父様。
そんなお父様のことを咎めるように話に入られるお母様でしたが
「二言は言わん。」
既に決意を固められたお父様は今の言葉について翻す意思はないとおっしゃいました。
私はそんなお父様からの「駄目」をどうしても飲み込めなかったのです。
「言ったはずだ。お前とみもりちゃんは女の子。結婚相手としてはふさわしくない。お前の結婚相手は俺から決めておいたからそれに従え。」
っといつの間にか私の結婚相手までお一人でお決めになったお父様。
「いいえ!私はみもりちゃんがいいです!」
それに納得できない私。
私達親子はあの日、初めて親子喧嘩をやってしまったのです。
「そのうち両家顔合わせも兼ねた食事会が開かれる。「三屋」さんがお前のことを随分気に入ってた。次男の「勝」くんの番としてお前を欲しいと俺にそう言った。」
「ちょっとあなた…!なんでそんなことを一言相談もせず一人で…!」
「お前に相談したら絶対反対してただろう。違うか。」
「それはそうだけどこんな大事なことを一人で決めつけるのは勝手すぎます…!」
私が知らないところで着々進んでいたような結婚の話。
それに関してお母様は当然反対の意思をむき出し、お父様はいつものように強引な姿勢でそのまま縁談を進められようとしました。
以前私の教育方針という問題で言い争った時と同じく激しい諍いを繰り広げるお母様とお父様。
でも「緑山」家の当主として認められていたのはお父様の方だったので状況の優勢はわずかにお父様の方へ傾いていました。
「まさるくんは人柄も良くて頭の出来もいい。父は元陸軍大将で生活に不足なものはない。きっとお前のことを幸せにすることができるだろう。」
っと私にまさるくんのいいところをアピールしながら説得しようとなさるお父様。
でも私はいくらいい条件を備えてたとしてもみもりちゃんのことを譲る気は微塵もありませんでした。
「いいえ!私のことを幸せにできるのはみもりちゃんだけです!他の人なんて絶対嫌です!」
まるでみもりちゃんのことを全面から否定するような口調。
多分そういう意図ではなかったはずですが少なくとも小さかった私にはお父様のその言葉はそのように聞いたので私は普段の冷静さをすっかり忘れてムキになってしまったのです。
「大体お義父様だってお父様のご友人なのにどうしてみもりちゃんは駄目なんですか!」
「もうお義父様って呼んでいるんだな、娘よ…」
普段誰の前でも顔色を崩されないお父様。
でもその時の私の「お義父様」という呼称にお父様はかつて見たこともないお顔を見せてしまったのです。
「何度言えば分かる。お前とみもりちゃんは同じ女の子だからお互いの伴侶になるには無理だと。」
「無理なんかありません!」
その時、私はお父様にかなり失望していたと覚えています。
「お前は「緑山」家の娘として何でもできるようにならなければならない。それが「緑山」の名を受け継いだものとしての宿命だ。俺もまた「井上」という名前を捨てて「緑山」の人になった時、そうなるように振る舞ってきた。」
っと子供の時からずっとそうおっしゃったお父様。
唯一の血縁だった妹さん、私にとって叔母であった「井上桔梗」さんが戦場で散った以来、お父様は「井上」ではない「緑山」の人として生きることになさいました。
その頃からだったそうです。
お父様が変わったのは。
せめてお母様は私にそう教えてくださいました。
だからあんなにムキになってお父様に歯向かったのでしょう。
「緑山」の子として何でもできるようになれって子供の時からずっとそう仕込んできたお父様からのお口から「駄目」や「無理」という言葉が飛び出るのがあまりにもがっかりで。
自分はいくらでも諦めちゃうくせに私にだけ何でもできるようになれって言ったんだと思ったらもう怒りを抑えきれなくなってて仕方がなかったのです。
「嫌ならこの家から出て行け。自分の役目から目をそらす愚か者はこの家には必要ない。」
そしてついに下されるこの家から出ろというお父様からの宣告。
お母様は慌てて今のお父様の言葉を撤回させようとなさいましたが
「分かりました!私だって分かってくれないこの家なんて必要ありません!お父様なんて大嫌いです!私!こんな家なんて出ちゃいます!」
どうやらあの時の私は既に心を決めていたようです。
***
「だからここに逃げてきたってわけか…」
「逃げたわけではありません…これは立派な巣立ちなんです…」
「巣立ち…ね…」
っとゆりちゃんは思いっきり自分の独立を主張しましたが正直に言って私にはどう言ってあげたらいいのか分かりませんでした。
おじさんと喧嘩して家を出たゆりちゃんは早速近くの森に入り、そこで私達がたまに使っていたいわゆる「秘密基地」に荷物を下ろしました。
「今みもりちゃんちに行ってもすぐ捕まっちゃいますし今はここが一番安全です…」
っと思いっきりやさぐれているゆりちゃん。
でもあそこって一応ゆりちゃんちの私有地ですからおじさんにはゆりちゃんの居所が既に知られていたと思います…
私達の住んでいた町から少し離れたところにある森。
たまにうさぎさんやリスさんが出たりはしますがくまみたいな危険な動物はいない割と安全な森で森全体が「緑山」家所有であることもあって部外者が立ち入ることは厳禁されています。
雇の管理人さんが毎日見回りをしていて中には浅い川が流れていて毎年夏にはここでキャンプとかバーベキューパーティーとかしているんですがまさかよりによってここを選ぶとは…
単純っていうか子供らしいっていうか…
中にもゆりちゃんが一番気に入ってた場所がここ「ラブハウス」と呼ぶ私とゆりちゃんだけの秘密基地でした。
秘密基地って言ってもお風呂や防犯対策もバッチリ備わっている立派な家なんですけどね…
今覚えればただの別荘ではないかと私はそう思います。
「ここは私達にだけしか使えませんから…」
「それはそうだけど…お腹とか空いてない?」
っと先からずっと鳴っているお腹を見ながら聞く私に
「もう出前も頼んでおきましたから問題ありません…後で管理人さんが持ってきてくれます…」
黒いカードを見せびらかしてさり気なくお嬢様の威容を表すゆりちゃん…!
お金持ち…!
「お父様が悪いんです…みもりちゃんと私はお互いの伴侶としてふさわしくないとか言って…」
「それは私もショックだけど…」
既にうちにもゆりちゃんがいなくなったっていう連絡は届いています。
お父さんとお母さんは大変だってすごく心配してゆりちゃんのことを探しに出かけましたが私は一発でここだと直感しました。
森まで自転車で駆けつけた私は森の管理人さんに話して森に入り、すぐこの家へ直行、
「みもりちゃん…?どうして…」
私の全身写真が写っている抱きまくらを抱きかかえているゆりちゃんと遭遇できました。
って何持ってるの!?
「やっぱりここだったんだ…」
もちろん心配はしてました。
もしあそこにゆりちゃんがいなかったらどうしようって。
ゆりちゃん、いつもクールで大人ぶっていても割りと単純で騙されやすいタイプだしもし悪い事件とかと遭遇しちゃったらどうしようって私は私なりにすごく心配してました。
「顔見てほっとしたよ、ゆりちゃん。」
でもやっぱりゆりちゃんのことなら私が一番知っていたようでした。
ゆりちゃんは俗に言う箱入り娘。
いつも自分は一人でもなんでもできるって言うんですが実際今見てた通り親のカードで食べ物を頼んだり親が用意してくれた家で暮らしたりする相変わらずのお子様なんです。
その点私も同じなんですがその年の子供なら自然なことだと私はそう思います。
子供は自立できるまで親が面倒を見てあげる存在ですから。
そうやって私達は周りから大切に守られてやがて立派なおとなになって社会へ出てより良く健やかな世界を作っていく。
そしてその世界を自分達の子供に譲ってそれを繰り返すことでこの世界は維持されていると私はそう思います。
皆と仲良く、自然や色んなものと調和しながら共存できる素敵な世界。
歴史学者である私のお父さんはそんな世界が作りたくて、私達に譲りたくてあの家から出たのです。
だからきっとゆりちゃんのお父さんもそう言ったんでしょう。
大切な一人娘により良い生活を送ってもらいたくて自分が考えた一番現実的な道を選んだだけなんでしょう。
まあ…「みもりちゃんはダメ」って言われた時は正直にめっちゃショックでしたけどね…
今ならなんでおじさんがそう言ったのか分かりますけどあの時は正直に私っておじさんに嫌われてるのかなって思っちゃったんです。
でも私は誰より落ち込んでいるはずのゆりちゃんにこう話しました。
「大丈夫、ゆりちゃん。私、誰が来ようとゆりちゃんのこと譲る気はまったくないから。」
っと。
決して好戦的ではない自分。
生まれてゆりちゃん以外の子と喧嘩でもしたことがないほど自分はそういうのが嫌な人でした。
でもたった1つ、誰にも譲らないことがあります。
それは今も、そして今までも傍からずっと自分を見守ってきてくれたこの栗色の髪を持った「緑山百合」という名前の女の子でした。
私以外は誰にも本音を見せない強い子。
でもその分私の前では誰よりも弱くなってしまうか弱い子。
真っ直ぐでたまに暴走して周りが見えなくなったりすることもありましたがそれでも私はそんなゆりちゃんのことを心から愛していました。
世界の全てが私から背を向けて敵となっても最後まで私の味方として私を支えてくれる私だけのひだまり。
「明日お家に帰ろう?私がおじさんにちゃんと話すから。」
その子が望むのならいくらでも自分の意思を貫いてみせると初めて会った時から私はずっと思っていました。
その気持は昔も、そして今も変わりありません。
「ゆりちゃん、約束したじゃん。私のお嫁さんになってくれるって。なら私も将来のゆりちゃんのお婿さんとして頑張らないとね?」
「みもりちゃん…」
少しは落ち着いた様子のゆりちゃん。
私はそうやってその時、誰よりしょんぼりしてて落ち込んでいた私の大切な幼馴染を励ましてあげました。




