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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第2章「始まり」
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第23話

またブックマークをしてくださった方が一人増えました!それにもうすぐ読んでくださいました方が千人になります!おかげでもっと頑張らないとって思っちゃいました!

いつもありがとうございます!

「うわぁ…すごい…」


会長さん達、こんなおっきな会場で歌うんだ…


高い天井、どこが初めてでどこで終わりなのかすら全く測れないくらい広い会場。そしてその大きな会場をいっぱいしたお客様の壮観は言葉の通りにまさしく「圧巻」でした!

四方から響く大きなスピーカーの音に全身は中から震えていて今でも心臓が飛び出しそうにドキドキして胸は早く「Fantasia」を見たいって期待感にそれ以上ざわめいて私自身も抑えきれませんでした。

「Fantasia」の人気を改めて実感できますね…本当すごい…


な…なんか私、ちょっと震えてきました…!む…武者振りなんかそういうものかな!…何か体が熱くなってきて…!手のひらにも、腋の方もこんなにしっとりして…!

実は私、興奮したり緊張したりすると人並みよりちょっと汗が出ちゃうタイプで…!普通に汗っかきですからこういう時ちょっと困っちゃいますよ…!

だって汗臭くないんですか、こういうの…!ど…どうしよう…!


「君、大丈夫?」


その時、どこか落ち着かなさそうに見える私を見て声をかけてくるある女の声!

し…しまった!きっとおしっこがしたいって思われちゃうかも…!違います!私は決して尿意とかそんなのないですよ!


「だ…大丈夫です…!大丈夫ですからお気になさらず…!」

「汗、すごいけど。どこか気分でも悪くなったかな?」

「いえいえ!これはちょっと興奮しちゃったせいで出てくる生理現象で…!」


っと他所から見たら変だと思われるくらいすごい汗を出している私を心配そうに見ている女性。彼女は


「そう?生理現象なら良かったけど。」


っと


「ハンカチ貸してあげるね。」

「あ…ありがとうございます!」


変な汗をすごく出している私にそっとポケットから出したハンカチを貸してくれました。


うう…特に健康上の影響はないってお医者さんは言いましたが人に見られるのはやっぱりちょっと困っちゃいます…ゆりちゃんはいつも


「みもりちゃんから出たみもりちゃん汁♥こんなにとろとろでジューシーだなんて♥あなたのゆりが全部なめ尽くして差し上げますね♥」


ってすぐ舐めようとするから困りますがそれを差し置いてもやっぱりちょっと困った体質なんですよ、これ…おかげで服の選びとかも結構気になるし周りからの視線も感じるし…

涼しい天気なら大したことではありませんが夏みたいに蒸し暑い日は大変なんですよ…汗パッドがすぐダメになっちゃうくらいに出ちゃうから…あれ?そういえばダメになったパッドはいつも処理前になくなっちゃうんですけどそれは一体どこに…


ってこのハンカチのワッペン…どこか見覚えがあるような…


「あら?私達のことを知っているのかな。」


一本の刀と舞い落ちる花びらの黄金のワッペン。それはこの学校で最も尊敬されている生徒達を守るための組織の一つである「百花繚乱(風紀委員会)」のシンボルでした。


軍服を連想させる金色の肩章の制服に制帽。肩を包んだ白いマント。腰には世界政府の武装許可の証である金縁が飾っている刀が一本掛かっていて少し威嚇的にも見えますが今私を向けて微笑んでいる穏やかな笑顔はまるで母のように優しくて和やかで思わずほっとしてしまう。

夕日の色が染まっている金髪を長く垂らしている背が高くて体の大きい女性。そして極限まで鍛えられている鋼の体。みらい先輩や会長さん並の長身の彼女は


「私は3年生の「人竜(ドラゴニアン)」の「結日(ゆうひ)優奈(ゆうな)」。今日のライブのために配置された「百花繚乱(風紀委員会)」の団長(風紀委員長)よ。」


ゆったりした笑みを私に向けて自分のことをそう紹介しました。


私、今までこれほどよく鍛えられている体はゆりちゃん以外に初めてです…腕は鉄の棒みたいにガチガチで頑丈で硬骨だし全体的にがっしりした体のバランスは決して倒れない金城湯池のように逞しくて強そう…

それに頭に生えている大きな角と後ろからチラッと見れる鱗の尻尾は彼女がかつてこの星の地上最強の生物であった「竜」の血を受け継いだ「人竜(ドラゴニアン)」ということを隠さずありのままに証明していました。


今度の派閥争いの神界側の中心である「百花繚乱」。そしてその親玉である団長「結日優奈」。

世界政府から「勇者(ゆうしゃ)」という称号を授けられた彼女は「勇者ゆうな」と呼ばれてこの学校では相当の有名人です。

生徒達を守るために自分の役目に一生懸命励んでいる彼女は「雷の槍」っという流の技が使える数少ない人間でたった一撃で相手を完全制圧できるらしいですが実際に戦ってみた生徒はあまりいないようです。


ゆりちゃん曰く


「あの人は世界政府から認められた「勇者」で今までの「勇者」の中でも規格外です。現世代勇者の中でも「雷神」「結日優奈」と「風神」の強さは段違いです。だから皆戦う前に「あ、この人には絶対勝てない」っと思ってしまうのです。」


ってこの団長さんの桁外れの強さを恐れました。


「ゆりちゃんより強いってことなの?」


っと単なる好奇心で聞く私の話に


「私ですか?そうですねー」


少し考え込むゆりちゃん。

いや…別に戦ってみてってわけでもないからそんなに真面目に考えなくてもいいから…むしろ私はゆりちゃんにもう戦わないで欲しい…って言ったんですが


「あなたのゆりはあなたのためならいくらでも強くなれるのですから。愛の力は無限大です♥」


って感じでまた「うふふっ」笑ってしまうゆりちゃんでした。


でも本当のことを言うと正直驚きました。まさかあの「雷神」「勇者ゆうな」って人がこういう人だったとは…何ていうか普通にいい人っぽい…

ってなに、このでっかいおっぱいは!?制服とかかなりきつそうで今でも爆発しそうで…!


「あーまたボタン破れちゃったー」


って普通に爆発しちゃった!でっけぇ…

最近周りの人達が全部こういう感じでちょっとだけ耐性とか付いたと思ったんですがそれを差し置いてもこの人はあまりにもおっきすぎる…!本当にこういう体で戦えるんですか!?


「君、大丈夫?先からぼーっとしちゃって。」

「あ…!だ…大丈夫です…!すみません…!」


圧倒的な大きさに考えがついていけなくなったせいで思わずそのデカパイに夢中になっていた私を呼び覚ます結日団長さん。

おっぱいのことは後にしてまずはお礼ですね…!その次にちゃんと自己紹介を…!


「ハンカチ、お貸し頂いてありがとうございます…!2年生の「虹森美森」と申します!これ、洗濯してお返ししますね!」


っともう汗でこんなにビショビショになったハンカチのことを示す私。

す…すみません…!私、ちょっと汗っかきで…!大事なものですのにこんなに汚しちゃって本当に申し訳ありません…!


「気にしない、気にしない。私、女の子の汗とか結構好きだからそのままでいいのよ。むしろ下乳とか腋とか隅から隅まで拭いてもらいたいかな♥」


っと私の手から濡れたハンカチを取って思いっきりその匂いを吸い込む団長さん!何するんですか!?


「スンスン♥君、すごくいい匂いをするんだね♥今度はちゃんとくまなく拭いてちょうだい♥」


今のことでそのハンカチ、使うと思うんですか!?何勝手に匂い嗅いじゃうんですか!?も…もしかしてそ…そっちの趣味…!?


「え?でも女の子なら誰でも女の子の匂いを嗅ぐのが好きなもんじゃない?君の言葉を一言お借りさせてもらうとこれも立派な生理現象と思うの。」


どこがですか!?そんな性癖と私の体質を一緒にしないでください!っていうかいい加減嗅ぐの止めてください!!


「一度貸してあげたものだからもうちょっと使ってもらいたいな。お尻を拭いてもいいし、胸に挟まってもいいよ。あ、何ならトイレットペーパーの代わりに使っても構わないよ~返す時はそのままでいいから。」

「絶対洗濯してお返しします!!」


なんですか!?この人!初対面なのになんてこと!今日ゆりちゃんが一緒だったら絶対怒っちゃうレベルの変態度ですよ!?

「百花繚乱」は世界政府からも認められている組織なのにまさかその団長っという人がこんなとんでもない変態だなんて…!気をつけよう…!


「でもどこか悪いってわけじゃないようで安心したわ。念のために一度医務室でも連れて行ってあげようか?」

「い…いいえ。お気遣いありがとうございます。でも本当に大丈夫ですから。」

「そう?良かった。たまにあるんだよ、君みたいに興奮しすぎて急に体調不良になっちゃう子。」


私以外にもいるんだ…


「でもまあ、大したことではないから本当に良かった。「Fantasia」は我が学校の誇りなんだから楽しめないともったいないじゃない。」

「は…はい。そう…ですね。」


しんなりした声…聞いているとなんだかすごく落ち着きます…もしかして今の変態事は私の緊張を解くためのことではないかと私は思います。なんだかんだ結日団長さんって結構いい人っぽいですし。この人が本当に今の派閥争いを率いているってことは考え難いかも…


「いや、これは単なる趣味だから。」


趣味だったんですか!って何また匂い嗅んですか!これは私は洗濯して返しますから!


「じゃあ、私は仕事があるからこれで失礼するわ。ライブ、楽しんでね。」

「は…はい!ありがとうございます…!」


私の体調をもう一度確認した後、やっとお仕事に帰ろうとする団長さん。私はそんな彼女にもう一度お礼を伝えました。


神界の人は人界の人に割と好意的だという話を聞いたことはありますが私はあの団長さんはただいい人だから私に親しくしてくれたと思います。

理由は分かりませんが目を見れば分かります。目の前の人の気持ち、そしてその優しい心。いい人、優しい人達は皆すごく温かくてきれいな目をしていて見ていると見ている私までほっとしてしまう。

あの団長さんもそんな目をしていました。


あ、こういている間にもう始まりそうです!うわっ!照明も全部消えた!


会場を埋め込んだ観客の歓声と私の中から鳴り響く激しい鼓動が混ざり合ってもうこんなに会場が熱気に満たされて今でも爆発しそう!

期待、そして高揚感。様々な感情その全てがこの会場の中から渦巻いてその高まりはもはや天にも昇りそうに激しい!

その空気を一気に貫いて現れた真紅、黄金、蒼青の3つの色はその一瞬で全ての観客の注目を集めて舞台の上に立ってその輝きをこの世に告げる!

「絶対」「頂点」「伝説」。称する言葉は数え切れないほどたくさんいますが私達は彼女達のことをこう呼び称えています。


全てのアイドルの頂点に立って永久に君臨し続ける彼女達のことを「神話」と。


***


「楽しかったねー」

「本当本当!」


会場から出てくる燥いだ女の子達の声。第3女子校の制服を着て今日のライブに足を運んでくれた彼女達は一生変えられない貴重なものを得てこのまま学校に戻るのです。

永遠に忘れられない輝き。それはいつまでも彼女達の胸の底から輝いているはずです。

でもそれは私自身も同じ気持ちでした。


それはまさしく「幻想(Fantasia)」。幻の舞台でした。


最初の曲は「Fantasia」から発表した新曲「Mimic」!

本当の自分を隠して人達に潜んで生きている狂気を強烈に、露骨的に表現した生徒会長さんが作ったホカホカの新曲の「Mimic」は発表された直後直ちにチャートイン!会長さん達はこのライブを皮切りに1学期が終わったらすぐ全国ツアーに出るらしいです!


ここだけではなく色んなところで行われる「Fantasia」の全国ツアー。その名も「幻想童話」!

チケット争奪戦はとっくに始まって私のお小遣いなんかではどうにもならない水準まで至ってしまったんです!きっと素敵手で夢幻の如く幻想的なライブでしょう…

ゆりちゃんはどうしても見たいのなら自分からなんとかしてあげるって言いましたが私って日頃だって普通にゆりちゃんに迷惑かけっぱなしですからそこは自分で頑張らなきゃと思っています!


「会長さん達…本当にすごかったな…」


初めて合った時はいきなり後ろから襲ったり胸を触ったりしてただの変質者かと思ったんですが今日の会長さんを見るとやっぱりプロは違うなって思ってしまったんです。

一生懸命心を込めて歌って踊ってた会長さんは誰より輝いてまるで地上に降りたお星様みたいでした。


なんだかずっと悲しそうな顔だったから私なりに心配にしていた赤城さん。でも会長さんが話した通り彼女もまた会長さんと同じプロでした。

彼女は「真紅のシンデレラ」らしく圧倒的なカリスマで会場の皆の心を一気に捕らえて舞台を掌握、その存在感だけは会長さんにも負けられないくらいでした!


そして会長さん並のすごい人気を誇っている「ファンタジースター」ルルさんの歌もすごく弾けて元気だったので見ている間楽しいって気持ちがずっと続いていました!細かく入り込むコントもとても面白かったので本当に楽しかったです!


「ゴールデントライアングル」の「Fantasia」の皆さんが奏でる旋律は幸せの形になって私達を楽しませて私達の心を弾ませました。そしてその次に流れてくる元気づけたいって気持ちと勇気はもう一度私達を励ましてくれて私の目元にはいつの間にか涙まで付いていました。


遠い輝き。でもその光を見て私が感じたのは悔しいって気持ちではなくただ楽しいって気持ちだけでした。周りの皆と盛り上がって会長さん達を応援している間、私はライブの楽しさというのはこういうものだったっと改めて知られました。

そしてそんな会場の皆を見て蘇る遥か遠い昔のちっちゃい「虹森美森」の夢。

私は会長さん達と同じく「皆を笑顔にしたい」と思っていました。


今は埃っぽくて錆びついてしまったちっぽけな夢。でもその中に「私」は生きていました。


「やっぱり私、好きなんだ…アイドル…」


その時、私の心はずっと輝いていたかも知れません。


でもあの日、私が再び出会ったのは私の埃っぽい夢だけではありませんでした。


学校に戻る電車になるために駅の方へ向かっていた私。少し人影が少ない裏路地に差し掛かったその時、そこで私を待っていたのは


「ご機嫌そうですね。()()()()()。」


私のその古い夢と共にずっと私の意識の向こうから存在していた過去の悪夢でした。

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