第226話
最近少し遠いところにあるガソリンスタンドから腹かせてもらうことになったので投稿が少し遅れるようになりました。改めて遅れて申し訳ありません。
お金はいつでも大きな悩みですね。翻訳の仕事もなくて本当に困ります。
でも頑張って書くのでこれからもどうぞよろしくお願いします。
いつもありがとうございます!
「お前にもあるのではないか。生きる意味。」
そう言われた時は本当に図星を指されたと感じてしまった。
自分に比べたら遥かに遠い後代のくせに意外なところを突っつくてくる彼女を見て
「さすが「神界」の神様ね。」
っと彼女は内心感心してしまった。
生きる意味。ただ食って寝るための生きるという意味ではなく自分の意志に従って自ら道を開くために欠かせない強い思いのこと。
叶えたい夢、なりたい気持ち、そして愛する心。人を導くその全てのことを古の神界からでは「黄金の精神」と呼び続け、敬っていた。
だが様々な要因によって簡単に崩れてしまうそれは同時に「呪い」と呼ばれ、遠ざけられる場合も確かに存在した。
彼女の場合は特にそうだった。
「Meにもあったんだ、それ。」
だが自分の手から救えなかった数え切れないほどのたくさんの命が溢れてしまった時、彼女の生きる意味は本当の目的を失い、永遠に失われた時間の中をさまようことになった。
「でももう何が何なのか分からなくなっちゃったから。だから考えるのを止めちゃった。」
そう本音を言った時、彼女は悲しくてどうしようもなかった。
「そうか。」
彼女の本音が特に聞きたかったわけではないっと言わんばかりのドライな表情。
自分にとって彼女は助力者、あるいは利用するべきの道具に過ぎない。神界のこと以外はどうでもいい。
アイレーンはただそう思っただけであった。
「まあ、どうでもいいのだ。だがお前の敵は「神樹様」や世界政府だけではない。いずれその「黄金の精神」はお前の立ちはだかってしまう。お前の本当の敵はその人として生きようとするその意志なのだ。お前がどんな能力で現実をいじってもその意志だけは簡単には折れないのだ。」
人々の自由意思をことごとく無視して自分から選別した種族にこの星を管理させる。それは「神樹様」から掲げた「全ての人は平等」という「人間讃歌」に反するこの世に対する反逆の行為であった。
ルルにそのような決意がある限り遅かれ早かれ彼女は「神樹様」が育った子供達とぶつかってしまう。
それを知っていたアイレーンは彼女はいずれこの世界から排除されることを身を持って予感していた。
「「全ての人は平等」。聞くにはいいことだが所詮適当な言葉をそれっぽく包装して並べている綺麗事に過ぎないのだ。」
忘れたくても忘れない古い傷。
胸の底にずっしりと残されている過去という傷は今も彼女を追い詰めてその怒りを扇ぎ立てる。
「私は昔奴隷だったなのだ。「神族」に選ばれなかったのなら今頃道端でくたばってしまったんだろう。」
闇市から魔界に売られた奴隷。「親族」の「朝倉」の名前がもらえるようになる前の彼女の存在はただの「物」。それ以上でもそれ以下でもなかった。
「平等?そんなのクソ食らえなのだ。私は自分だけが助かったから良かったなんて微塵も考えない。私は二度とあんな悲劇は起こさせない。そのために必要なのは私達の神界の人間が頂点にたつこと。そのためなら私はいくらでもこの世界と戦ってやるのだ。」
全てを踏みにじっても必ず成し遂げるべきの野望。そしてその時に誓った復讐。
今もはっきりと覚えているあの時の飢饉、寒さ、そして絶望。
その人として感じられる全ての苦痛があったこそ彼女は強く、そしてまっすぐに自分の意志を貫けた。
ルルは彼女のそういうこともまた彼女から言った「黄金の精神」だろうっとその真っ直ぐな目を密かに羨んでしまった。
「なんかレンレンって友達いなさそう☆」
「キサマ!?いきなり何なのだ!?」
どことなくムカついてきた気分に自分にやったことと同じく彼女の図星を指してくるルル。
だが横から入ったその不意の一言に普段の威厳もすっかり忘れて驚いてしまう彼女の反応に
「やっぱり友達いないんだ☆」
ルルはやっと仕返しを果たせたとむんって勝利の顔を彼女に向けるようになった。
「そ…そんなわけないのだ…!友達なんていくらでもいるのだ…!」
以外に素直な反応。
だが
「そんなの…別にいなくても…」
「レ…レンレン…?」
まもなく彼女から見せてしまう少女の涙にルルは今のことを謝らなければならなかった。
***
「着いた!」
山に囲まれた古い駅。そこから降りて見渡すのは夜の静寂に包まれた都会に行く時に私達を見送ってくれた地元の懐かしさとほっとする温かさでした。
「疲れたー」
列車から降りて大きく伸びをする青葉さん。
そして眠っている会長さんを背負って後ろから降りた薫さんは
「ここも本当に久しぶりですね。」
こことの久しぶりの再会のことを思いっきり満喫していました。
久しぶりの長旅に体はぐたぐたになりましたが
「本当に久しぶりだね。」
この心落ち着く土と緑の匂い…そして
「あ、来た。こっちよ、こっち!」
私のことを見つけて手を振っている夜遅くまで私達を待っててくれたお父さんを見て私はやっと帰ったという実感がしました。
地元の大学から教授で働いているお父さん。きれいに整った黒髪と眼鏡がとてもジェントルだったお父さんにも少し年ってものが訪れたようにそっとした霜が降りられていてなんだかちょっぴり寂しい気持ち。でもその穏やかでおっとりした笑顔だけは褪せることなく相変わらず眩しく私を包んでくれました。
「お父さん!」
今の時間は午前2時。こんな遅い時間なんですがお父さんは
「平気平気。」
っと疲れた気配もなく
「お帰り。みもり、ゆりちゃん。」
「お変わりありませんでしたか?お義父様。」
「ただいま。お父さん。」
私達をギュッと抱いてくれました。
お気に入りのコーヒーの匂い。それに混ざってるのは女性用の香水の匂いだけどこれは間違いなくお母さんのものだからそう心配することはない。
多分私に会えると思ってお父さんなりに気を使ったことでしょう。
「さすがみもりだね。だってみもりは男の体臭とか嫌いだろう?」
なんの意味!?
「大きくなったね。みもりも、ゆりちゃんも。」
っと私とゆりちゃんの頭をなでてくれるお父さんに
「ありがとうございます、お義父様。」
私とのことは一旦忘れて素直に喜ぶゆりちゃんでした。
っていうかゆりちゃん、お父さんへの呼び方、なんか変じゃない?
「はじめまして。虹森教授の論文、よく拝見させていただきます。このままご挨拶申し上げること、大変申し訳ありません。」
「いえいえ、お気になさらず。前原さんのことはワンダさんからかねがね伺いました。今回ご同行いただき誠にありがとうございます。」
今度は今回私達の保護者を務めることになった同じクラスの前原さんのお姉さんである薫さんと挨拶を交わすお父さん。
でも青葉さんと薫さんの後ろに背負われている会長さんを見つけた時、
「ほ…本物…」
大人ということさえ忘れるほどびっくりしてしましました。
「あ…!ご…ごめんなさい…!話は聞いたんですがテレビとかで見る有名人を見る機会なんてそうそうないから…!」
なんかもう笑っちゃうくらい慌てて謝るお父さん。
何そんなに慌てるのよ、お父さん。そんなに緊張しなくてもいいって話しては見ましたが
「そ…そう?あはは…ごめんなさい…みもりの父です。娘がいつもお世話になっています。」
「ええ…なんか恥ずかしいよ、それ…」
こういう機会はめったにないからそう簡単に落ち着かなさそうです。
っていうかまるで私がいつも迷惑かけっぱなしって聞こえるじゃん…まあ、実際そうかも知れないけど…
「申し遅れました。初めてお目にかかります。同じ学校の「青葉海」と申します。こちらこそ娘さんにはいつも仲良くしてくれてむしろこちらから大変感謝しております。この度はどうぞよろしくお願いします。」
そんな感じで挨拶まで完璧に決めた青葉さんのことを相変わらず信じられないって顔で見つめているお父さんはその礼儀正しい振る舞いにもう一度驚かされたようでした。
「お父さん、緊張でガチガチじゃん。」
「そ…そう?早くお母さんに合わせてあげたいね。あ、妻が青葉さんの大ファンなんです。」
「そうですかー嬉しいです。早くお会いしたいですね。」
青葉さんの大ファンであるお母さんのこともしっかり話しておく律儀なお父さん。
私は本当の恋をしたお二人さんの中で産まれた子供ということがとても誇らしいです。
「それじゃ、早速行きましょうか。お母さんが皆のために夜食を作っているからそろそろ頃合いかな。後ろのお嬢さんにもちゃんと挨拶したかったけどもう寝ているから家で寝かせた方がいいかな。」
なんだか少し残念そうな顔。
お父さん、そんなに会長さんと話したかったんだ…
「今街中に話題になっているからな。あの「伝説の歌姫」の「青葉海」さんと超人気アイドル「Fantasia」の「セシリア・プラチナ」さんが来るって。」
「ええ!?そうなの!?」
これ…絶対お母さんの仕業ですね…こんな郊外のところにもう青葉さんと会長さんの噂が広がっていたってことは…
そういうの、止めて欲しいよ、お母さん…
「お母さん、青葉さんに会えるの、ずっと楽しんでいたからね。」
「ええ…いくら会いたいってそんなの青葉さんに迷惑じゃん…すみません、青葉さん…うちのお母さんが…」
「あははっ。いいのよ。本当は観光でもしながらゆっくりしたかったけどやっぱり誰かが私のことを分かってくれるのは嬉しいから。それに虹森さんのお母さんもなんだか面白そうだし。」
「も」って…それって私が面白いってことでしょうか…?
「皆、車に乗ってください。みもりは前の席ね?」
「うん、分かった。」
車を回してきたお父さんの話に次々と車に乗り始めた皆。
その中、お父さんはゆりちゃんに
「ゆりちゃんはすぐ家へ行くのかい?」
っとうちの家ではなくワンダさんが待っている実家の方に行くのかを聞きました。
「いいえ。この時間ならお母様ももうお眠りになったはずですし今日は泊まらせて頂きます。使用人達は起きていてもせっかくですから。家は起きてから行きます。」
「そう?分かった。後ろに乗ってて。」
でも今日は最後まで付き合うことにしたゆりちゃんは私達と一緒にうちに行くことにしてくれました。
よし…!じゃあ、私もせっかくだから…!
「ゆ…ゆりちゃん!じゃあ、せっかくだから今日は一緒に寝よう?よかったらお風呂もしない?」
「わ…私と…ですか?」
予想通りの驚いた顔…やっぱり今はまだ…
昔だったらきっと
「ええ!?いいんですか!?喜んで♥みもりちゃんが浸かったお湯、私が持っていってもいいですか?♥抜けた陰毛もいいかも♥あ、その前にゆりちゃん直のたわし洗いを味わってください♥」
って大喜びしたはずなのに…って何しているのよ!!
でも今のゆりちゃんを見るとやっぱり今はあまり気が進まいのかな…
「いいですね。みもりちゃんと一緒に過ごすのも久しぶりですし。」
そんな私の不安を抑えてくれるのはそう言いながら私に向けられたゆりちゃんのほっとする微笑みでした。
特にお父さんのことを気にしたわけではない、私と一緒にしたいという気持ちがいっぱい込められている笑顔。
その笑顔を見た時、私は既にゆりちゃんの心境になにかの変化があることを薄く気づいてしましました。
「そういえばゆりちゃんは生徒会のお仕事で合宿しているんだっけ?偉いね。」
「それほどでもありません。皆普通にこなしていますから。」
「みもりもちゃんと見習わなきゃね?」
お父さん…なんかゆりちゃんのことばっかり偏愛してませんか…?まあ、見習わなきゃって思ってはいませんが…
「虹森さんってお父さんとそっくりなんだね。」
「え?そうですか?」
青葉さんから似てるって言われたらなんか否定できなくなっちゃいますけどそれ、以外によく言われちゃうんですよね。
親子だから似てるのは当たり前だと思うんだけどそんなに似てるのかな…
「それじゃ、出発するね?皆さん、シートベルトをつけてください。」
「はいー」
全員が車に乗ることを確認したお父さんはやっと夜の道に向けて車を出し、私はついに入学してから初めて家に帰るようになりました。




