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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第2章「始まり」
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第22話

いつもありがとうございます!

鏡の前で自分の姿を改めて確認している赤いくるくるのツインテールの少女。背はそんなに高い方ではありませんでしたが全身から放たれる凄まじいカリスマは今まで体験したなかったほど大きくて圧倒的。

多少心地よい胸の大きさに親しみみたいなものを感じてしまった私でしたがあえて表に出さなくても自然に流れてくる優雅さと貫禄に私は口を黙らせてしばらく見惚れてしまいました。


「きれい…」


この人が「Fantasia」のメインボーカル「真紅のシンデレラ」生徒会副会長2年生の「赤城(あかぎ)奈々(なな)」さん…

迫力が半端ない…やっぱり生は違うや…ど…どうしよう…!


でも…


「ふん…」


私のことをちらっと見ただけですぐ逸らしちゃう赤城さんの態度を見るとあまり私のことを歓迎しているって雰囲気じゃなさそうかも…私、なんか嫌われてるのかな…


「ちょっとなな。」


明らかに私のことを無視して態度を取っている副会長を少し厳しく窘める会長さん。


「初対面の子にそんな態度は良くないと思うわ。アイドルとしても、先輩としても。」


そんな会長さんの話にやむを得ずって感じで


「赤城奈々ですわ。」


と短く名前だけを紹介をする副会長さん。でも赤城さんの視線は相変わらず私を見ていなかったんです。


「は…初めまして!「虹森美森」です!」


そ…そういえば私も自己紹介がまだでしたね…!すみません…!


「…」


でも赤城さんは私の名前なんてどうでもいいって感じで私の方に全然興味を持ってくれませんでした。ずっと鏡の前で今の自分のことをじーっと見えいるだけでたった一度も笑ってない…

な…何かすごくご機嫌ななめのようですね、赤城さん…


「ごめんね、みもりちゃん。」


っと再び頭の中から聞こえる会長さんの声!また頭からなんですか!?

…って何で会長さんが謝って…


「本当にごめんね。いつもあんな感じでも後輩の前だから少しくらい我慢してくれないかと思ったのにダメだったみたいね。気を使わせてしまって本当にごめんなさい。」

「い…いいえ…」


私は平気です。会長さんだって私のことを皆さんに合わせたかっただけですし。正直に感謝までしていますよ。

むしろ私は赤城さんに変な気を使わせちゃったのではないかっていうのがもっと心配で…これからライブなのに余計なことをしちゃったかも…


「そっちは心配しなくてもいいわ。ああ見えてもやる時はきちんとやるから。「赤城家」の次期当主というのは伊達じゃないから。」

「そ…そうですか?それなら良かったんですけど…」


っと会長さんはそう言ってくれましたがやっぱり赤城さんのあんな苦しそうな顔…気にしたくなくても気になりますよ…なんかほっとけないっていうか…

第3女子校の生徒なら誰でも好きな「Fantasia」の赤城さんがあんな辛そうな顔で歌いってことはなんだかとても心苦しいっと思います。アイドルは皆に夢を与える存在なのに…

それに赤城さんって同好会のかな先輩と何らかの関係があるようで…


「あ!この子が会長が言った同好会の1年生なんだ!☆」


その時、少し複雑な心境になっていた私の意識の中に飛び込んだ高くて弾ける女の声!とっさに入り込んだポップで元気な少女の声に私の意識は一気にそっちへ向かってしまいました。


「Hi!Meの名前は「ルル」!よろしくねん!☆」


独特な喋り方。高くて朗らかな声。控え室に現れた見慣れない後輩である私の登場を赤城さんとは真逆のテンションで迎えてくれる少女。でも私はこの少女のことをよく知っていました。


「こら、()()。いきなり話に割り込んじゃダメよ。」

「あはは!会長、厳しい!☆」


びっくりしたカエルみたいに目を丸く開いた私を見て少女のことを一旦落ち着けようとする会長さん。

そんな会長さんの制止にその小さい少女はお茶目さんみたいに笑っちゃうだけでした。


夜空、いや、まるで宇宙の真ん中のように不思議な輝きできらめいている黒い髪の毛。星でも散りばめたようではないかと思わせるその神秘さにふと底知れない敬意の気持ちまで抱いてしまう。

その魅了的な小宇宙を結んで仕上げた大きなお団子の髪型は敬う同時にとてつもない愛しさを呼び覚まして今の自分が何を見ているのかさえ忘れさせてしまう。

何より一番印象的だったのは私を見て微笑んでいるあの無垢で純真な深い瞳でした。そこを見通していると写真とかでよく感じる「宇宙恐怖症」まで湧いてしまうほど恐ろしくて神秘的…

私は目の前のその原初的な美しい恐怖に次の言葉さえ忘れて震えていました。


これが「ファンタジースター」、生徒会書記3年生の「ルル·ザ·スターライト」…


でも…


「どうかした?☆」

「あ…いいえ…」


な…何なんですか、このでっかいおっぱいは!?体はこんなにコンパクトで抱き心地良さそうに見えるのになんと凶悪な大きさ…!いわゆる「ロリ巨乳」ってやつなんですか!?すごい…


ルルさんのことは第3の生徒なら当たり前のように知っていますが実は彼女のことについては誰も詳しくは知りません。一体どこから来たのか、どこの出身なのか、種族は何なのか誰一人知っている人はありません。「スターライト」という名はこの星のどの世界にもありませんから…

ネット上では彼女は実は遠い宇宙から訪れた「宇宙人」っとかいうそんな噂が回っているんですが本当のことは誰も…


「あのね!☆」

「あ…!す…すみません!みもりです!「虹森美森」!よろしくお願いします!」


い…いけない!また変なことでも思っちゃったのかも!有名人の前だからでしょうか、今日はいつもに増してぼさっとするような気が!

今はまだ生徒レベルとはいえ彼女達は正真正銘アイドルのトップですから無理もないでしょう…!私、本当に合っちゃったんだ…生の「Fantasia」…実家の皆に自慢できるかも…


「うん!よろしくね、()()()()!☆」


ってええ!?いきなりあだ名付けちゃうんですか!?


「あはは!いい反応じゃん!☆」

「あ…ど…どうも…」


なんだかちょっとだけかな先輩と似たような気がする人なんですね…近づけない超有名人って感じだったのに案外私達みたいに普通に親しんでゆるい雰囲気っていうか…

赤城さんの時はちょっとあれでしたがやっぱりこっちの空気がずっと落ち着くんですね。


でもこう見ているとやっぱり格の違いさを感じてしまうんです。ただお喋りしているだけなのに品格が溢れてくる感じで。広い控え室が「Fantasia」の皆さんの存在感に満たされて更にキラキラしていて本当に雲の上の気分ですよ、私!


「大げさだわ、みもりちゃん。そんな大したものじゃないから。」


っと会長さんは褒めすぎって言いましたが私は本当に感動までしちゃったくらいです。この時代に住んでいる人なら誰もが知っているすごい人達とこう近くから触れ合うなんて…何か涙まで出そうですよ…


「みらいちゃんからメールが合ってね。みもりちゃんのことをよろしくって。せっかくだしみもりちゃんに私達のことを知ってもらいたいっと思って誘ってみたの。どう?お気に召されたかしら。」

「はい!もちろんです!」


先輩、会長さんのところにそういうお願いまでしてくれたんだ…ライブのこと譲ってもらった上にまさかの「Fantasia」との触れ合いタイムも全部先輩が…うう…先輩、私超感動しちゃいました…


「残念だったわね。皆で来られなかったのは。」

「はい…」


やっぱり皆で来ればよかった…きっと先輩もすごく楽しみにしていたはずなのに発表会の準備があって来られなかったのがとても残念です。ゆりちゃんだって会長さん達のアイドル姿は生で見たことないからぜひ見て欲しかったんです。

後で詳しく話してあげるためにも今の会長さん達のことをはっきり目に焼き付けておかないと!


ってなんだか私を見てほんのり微笑んでいる会長さん。わ…私、何か変なことでも言っちゃったのかな…


「いやいや。全然そんなことないから。実はちょっと心配だったわ。約束もなくいきなり呼び出したからみもりちゃんが面倒くさいって思ったらどうしようって。でもそんなに喜んでくれるとやっぱり誘ってよかったって感じわね。ありがとう、みもりちゃん。」


赤城さんとルルさんには聞こえないように頭の中でそっと礼を伝える優しい会長さん。

でも私はむしろ会長さんに感謝までしたい気分です。だって今日こうやって私が皆さんと出会えたのは全部会長さんのおかげですから。

だって私、ずっと「Fantasia」の皆さんと合いたかったですし。今日はお招き頂きまして本当にありがとうございます、会長さん。


「そう?そう思ってくれれば助かるわ。今日のライブもいっぱい楽しんでね。」

「はい!もちろんです!」


でも盛り上がっている私達と違って先からずっと黙っている赤城さん。鏡の前で剥れた顔で今の自分を何か気に入らないって顔でずっと見つめ合っている赤城さんのことがどうしようもなく気にした私はやっぱり大事なライブの前に赤城さんの許可なくここを訪ねてしまったことがまずかったかなっと案じてしまいました。


「それは違うわ、みもりちゃん。」


会長さん?


そんな私と同じく赤城さんを見ている会長さんの視線はなんだかとても悲しそうに見えたので私は思わずそこから目を逸らしてしまいました。

でもこの目…今の会長さんと同じ視線は私はどこかで見たことがあります。

いつか私を背負って自分の一番きれいな人を語っていた金髪のツインテールの美少女。チアと様々なスポーツが得意でいつも周りの皆を元気づけてたその元気で可愛い先輩はあの時こういう残念で切ない目をしていました。

まるで今の何もできない自分のことを後悔して悔やんでいるような目…私はなんだかその視線を見ていると胸がズキッとしてしまってそこから目を逸らすことしかありませんでした。


「なながそうなったのは決してみもりちゃんのせいじゃないわ。あれはただななの個人的な問題だから。でも…」


顔は笑っているけど何という寂しい顔…会長さんはこうなってしまったのは全部自分のせいだと言っているように赤城さんのところに悔やみの視線をずっと送っていました。


「私がもっとしっかりしてたらななとかなちゃんのことをなんとかしてあげられたかも知れないのに…」

「会長さん…」


ふと頭の中を過る先輩の顔。いつも明るくて元気に笑っていたその先輩が実はずっと一人でとんでもない無理をしていたかも知れないって思われた瞬間、私は先輩のことについて何も分かってなかったんだっということを気づいてしまいました。

私のことをずっと応援してくれた先輩に私は何の力もなれなかったんだ…結局私は自分のことばかり気にしちゃって周りのことを全然見なかった…


でもその時、私はその赤城さんの顔を見て自分の心をやっと決めたかも知れません。かな先輩も、あの赤城さんも本当の笑顔にしたいって。無理で笑っているのではなく、苦しそうな顔で歌うことではなく心の底から幸せな気分が溢れて笑って歌って欲しい。


だって私が目指しているアイドルはそういうものでしたから。皆を笑顔にして幸せにする存在。私はもう一度そんな存在になりたかったです。

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