第218話
ブックマーク1名様誠にありがとうございます!
少し気に入らないところがあったので編集してしまいました。ご参考いただければ感謝いたします。
明後日また新たな面接があります。二つの夢を叶えるためもうひと踏ん張りです!
いつもありがとうございます!
「ここが同好会の部室かー私、初めて見たわ。すごいわね。」
「ど…どうも…」
結局入れてしまった…
初めて見た部室の光景に目まで光らせて驚いている速水さん。今までこんなにたくさんのグッズは見たことがないって彼女は改めて先輩のアイドルに対する愛情を確かめたっと舌を巻きました。
「びっくりしたわ。桃坂さんがアイドルが好きなのは折り紙付きだけど私、今までアイドルとかあまり興味なかったから。」
「そ…そうでしたね…」
今の時代にアイドルが好きじゃない女の子って相当いないって思ったんですがまさか速水さんみたいなきれいな人がそっち側だったとは…それこそびっくりしました…
それになんかちょっともったいないですし…
「どうして?」
っと聞く速水さんの言葉にまた心の声が漏れてしまったことを気づいた私は慌てて今のことについて謝りましたがそんな私を見て
「そんなに慌てなくてもいいわよ。それよりもったいないってどういう意味なのか教えてちょうだい?」
機嫌を損ねた気配も表さずその答えを求めました。
「た…大した意味があるってわけではありません…ただ速水さんって美人で先輩と一緒に音楽科ですから私なんかよりアイドルに向いていると思って…」
「もうーそう言っている虹森さんの方がもっとアイドルっぽくて可愛いわよ。私、アイドルに関しては素人だけど知ってるわよ?そういうの、虹森さんみたいな子が一番人気ってこと。っていうか虹森さんって思ったより空褒めが得意だわね。」
「ええ…!?」
べ…別にそういうわけじゃ…!私はただ本当に速水さんのこと、すごくきれいだと思ってそう言っただけで…!
「冗談よ、冗談。そんなに深刻にならないで。私だってこう見えても一応女の子だし可愛いって言われると普通に嬉しいわよ。でもどっちかというと私は演技とミュージカルだったかな。」
「え…?そ…そうなんですか…?」
それは初耳でした…まあ、速水さんと知り合ったのもつい最近のことだし当然じゃ当然かも知れませんがとにかく私は速水さんの夢のことを聞いて結構驚いちゃいました。
まさかあの「幽霊少佐」とかのおっかない異名で呼ばれる速水さんが青葉さんのような芸の世界を目指していたとは思えませんでしたから。
あ、でもこれって結構失礼な考えですよね…?すみません…
「そう思われるのも当たり前かもわね。実際知っている人も少ないし。でもなんか虹森さんって話しやすそうに見えてつい話しちゃったわ。」
「そ…そうですか…?」
速水さんが部室に入ることを気づいてどこか隠れている赤座さんのことがすごく気になりますが私はなぜか彼女との会話を止めませんでした。
初めて聞く彼女の夢。私はこの会話から今の学校の状況を打破できるヒントを見つけ出せるっていう気がしました。
でもその以前にただ純粋に速水さんという人のことを知りたかったんです。
「子供の時、青葉さんの舞台を一度だけ見たことがあってね。有名だよね?青葉さんの「シンデレラ」。それがすごくキラキラしてて私もそうなりたかったの。でも許してもらわなくて結局本気で取り掛かるのはできなかったわ。」
「やっぱりご家族の反対とか…?」
「ううん。うちのパパ…じゃなくお父様、軍人だけどそういうところは結構寛大でね。一応お母様だって元女優だし。まあ、有名じゃなかったけどね。」
ぎこちなく笑ってしまう速水さん。
彼女は自分にもその血が流れているのかなっともう一度自分の夢を惜しんでしまいました。っていうか今確かパパって言いかけましたよね…?
「理由は他にあるんだけどとにかく自分には向いてないってずっと諦めていたの。自分には向いてない、才能がないとか言い訳を付けてずっと逃げて夢から離れていた。自分の道を選んで進んでいた幼馴染のこんごうに自責の気持ちまで抱えちゃって。音楽科に来たのは私の最後の足掻きだったの。」
表から見られている自分とは違って本当の自分は臆病で軟弱な人間だと話す速水さん。
少し悔しんではいますが決して卑屈な態度ではなくちゃんと前を向いて歩こうする堂々とした視線。その透明できれいな瞳の底から感じられる強くて真っ直ぐな信念を覗いた時、私は彼女が本当に強い人ということを気づきました。
「でもここ数日、ちょっと分かったことがあるのよ。こんな曖昧であやふやな態度はよくないって。」
少し周りのグッズの方に目を移す速水さん。
その目は私の心を一気に奪ってしまうほど美し輝いていましたがその同時に何らかの悔いと羨みの色を怯えていたので私はほんのちょっぴり寂しくなってしましました。
「私のこの有耶無耶な態度のせいで大切な人達が傷ついてしまうところだった。私はそれが許せなかったの。弱い自分のせいで大切な人達が危ない目に遭うのはもうごめんだわ。」
そう言った速水さんはここに来た理由もそのためだと話しました。
「だから私はもう逃げない。本当に自分がなりたいのが何なのか、自分がやりたいのが何なのか私はもう知っているから。今日ここの来た理由もそのため。私は私に勇気がなかったせいで歪んでしまったこの学校を叩き直す。そのためにはこの学校で唯一他の大型から干渉されていないこの同好会の力がどうしても必要だわ。」
「わ…私達ですか…!?」
いきなりな話に思わず大声まで出してびっくりしてしまうところでしたが私はなんとか飛び出そうとする叫びを抑えて今の速水さんの言葉の意味をじっくり考えました。
なぜ今の時期にあの神界側の親玉である速水さんがうちの同好会に訪ねてきたのか、彼女から言っているこの学校を叩き直すっということは何なのか。彼女の目論見は何であり、彼女は一体なぜ私達に助けを求めるのか。
数多な考えが私の脳裏をよぎって大きな困惑と戸惑いを招いてしまう。それだけで私は頭がぼやけて気が遠くなる気がしましたがただ一つ。
「私はこの学校に「アイドル革命」を起こすつもりよ。」
そう言っている彼女の目から放たれるその真実の重みだけはずっしりと私の胸に伝わりました。
「だからもし良かったら私にアイドルの良さを教えてくれない?虹森さん。私は取り戻したいの。失った皆の笑顔を。」
っと私の手をギュッと握って自分にアイドルという存在とその意味のことを教えてもらいたいとお願いする速水さんに私はただうなずいてしまうことしかありませんでした。




