第210話
ブックマーク1名様誠にありがとうございます!
ついに100ポイント!本当に嬉しいです!初めての投稿から約1年半年。ついに100です!本当にありがとうございます!
やっぱり落ち着きますね。3って。
今度国際翻訳試験を受けることになりました。今の調子で頑張りたいと思います!
もっと頑張りますのでこれからもどうぞよろしくお願いいたします!
いつもありがとうございます!
「なにこれ…!なにこれ…!」
なんで皆がこんな格好に…!
畑さんから渡してもらった本を開いた時、初めて見えたのは海の浜辺を背景にしてポーズを取っているゆうなさんの写真でしたが…
「なんですか!?この水着!?」
「どう?すっごく目立つんでしょう?」
「目立つっていうか…!」
彼女はなぜか水着を装った紐だけを掛けていました。
真っ赤な紐で重要なところはちゃんと隠していますが本当にこれで着ていると言えるのかはちょっと…いや、大分疑わしいのですが…!
っていうかゆうなさん、めっちゃノリノリじゃん!!なんか思い切ってポーズ取っているし!!
「こ…これ…!本当に水着ですか…!?」
「ちゃんと水着だよ?みもりちゃんは水泳部だったのに着たことないの?」
お前!!今水泳部をばかにしてるんだな!?
「Bullet」主催のオーディションで選ばれた12名を格月別に撮影して作ったというこの謎のカレンダーは毎年学校所有のプライベートビーチから行われているらしいです。
成人向けのちょっぴりエロい水着写真でその年の日付を教えてくれるどこにもある極普通なグラビアカレンダーですが問題のところはそこじゃない!
私が一番まずいと思うところはここです!
「なんでうちの学校の人達がモデルになっているんですか!?これ、絶対NG的なやつですよね!?」
っとゆうなさんの水着姿を指で指し示す私!
どう考えてもこれが一番まずい!だって私達、まだ未成年ですし法律に当ててみてもこれは絶対やばいです!
一体何考えたらこんなものを作れるんですか!?
でもその答えの代わりに返ってきたのは
「あん♥ダメよーみもりちゃん♥そんなに強く触られちゃ♥」
ゆうなさんの全く意味不明の喘ぎ声でした。なんで!?
「ダメですよ?みもりちゃん。いくら写真でも女の子の大事なところをそんなにむやみに触っちゃったら。めっ!ですよ?」
なんか先輩に怒られちゃった!?なんで!?
「いくらこんなゆうなちゃんだった一応女の子ですから。」
「こんなって…最近私への扱い、ひどくない…?」
自業自得だと思いますけど…
「っていうかみもりちゃん、たかが水着なのに大げさすぎーゆりちゃんとはもうやれることは全部やったんじゃなかったの?まさかまだ処女?初だね~私、処女大好き~」
「ええ!?何言ってるんだ!?この野郎!」
っと思い切って怒鳴ってしまったせいか急に襲ってくるぴーっとした微熱。やばっ…また熱、上がっちゃったかも…
「大丈夫ですか?みもりちゃん。」
「あ…はい…すみません…」
心配そうに私の額に手を当ててみる先輩。そしてその次に続くびっくりした顔。分かりやすいですね、先輩って…
「まだ熱残ってるんじゃないですか!ダメですよ!無理しちゃ!」
「い…いいえ…大丈夫ですから…」
「全然大丈夫じゃないです!熱自体はそんなに高いってわけではありませんが無理したらもっとひどくなってしまうかも知れませんから!早く保健室へ…!」
っと私を背負って保健室へ向かおうとする先輩。でも私は今はなんだか休みたくありませんでした。
「本当に大丈夫ですから…」
「でも…!」
珍しく意地を張っている私に戸惑ってしまう先輩。先輩を困らせてしまうのは本当に申し訳ないですが私、昨日一日中休んでいる間に分かったんです。
ゆりちゃんもいない空っぽな部屋。そしてその嫌なほど静かな空気。初めてはたまにはこういうのも新鮮だなって思ったんですが時間が経つほどどんどん寂しくなっちゃって…
早く学校に行ってゆりちゃんとクリスちゃん、先輩達に会いたい、そう思ってしまった私って子は案外結構寂しがり屋さんでした。
子供っぽいというのはよく分かっています。高校生にもなってこんなこと言うの、全然大人げないし。でも心の底からふと思い出してしまいます。
あの家のどす黒い部屋のことを、その部屋で一人でめそめそ泣いていた自分のこと。
だから…
「だからもうちょっとだけいさせてください…私、皆と離れるの、嫌…」
「みもりちゃん…」
先輩の袖をギュッと握って離れたくないって憤る私をそっと胸の中に押し入れてくれる先輩の手。その手に込められている私への気持ちはどうしようもなく温かくて頼もしくて知らずうちにほっとしてしまう…
一体この手にどれほど癒やされてきたものか…
「仕方ないですね。でも落ち着くまでにはちゃんとマミーのところで休んでもらいますからね?」
っとまたナデナデしてくれる先輩…うう…なんかすごい子供扱いされている気がして恥ずかしいかも…
でも…
「先輩の中…いいな…」
やっぱりここは落ち着く…ふわふわしてボカボカして…それにこうやって顔を埋めればいい匂いがして…まるでさんさんなお日様に顔を合わせてもらったお布団の匂い…
「えへへ…♥みもりちゃん、可愛い…♥マミー、母乳出ちゃいそうです…♥」
…今のは聞かなかったことにしましょう…
「でも本当に何なんですか?これは…」
やっと話に戻ってカレンダーのことを聞けるようになった私は相変わらず先輩に抱かれたまま本から目を離せられず、その正体について答えを求めました。
ページを捲れば捲るほど次々と出てくる見慣れた顔達…知り合いのこんな写真を見るのってこういう気持ちだったんですね…なんか日記でも盗み見したような気がして落ち着かないんです…
1月を飾ったゆうなさんを皮切りに次々と登場するこの学校の有名人達。そのことは私に少なからずの戸惑いを感じてしまった私でしたがなぜかその本から目をそらすことができませんでした。
だって…
「これはなんか…なんか…!」
なんか面白かったから…です!
普段見られない格好だからでしょうか…!ついつい止められず見てしまうっていうか…!まずいってことを分かっているのに…!
とにかく湧き上がる新鮮な気持ちを抑えきれなかった私は驚きながらも次々とページを捲っていきました…!
「すごい…!すごいです…!皆、こんな大胆な格好をして…!うわぁ!?これ、まさか速水さん!?」
「そうなんだーきれいでしょ?」
透き通る清らかなお肌と黒い水着が絶妙に釣り合ってなんという破壊力…!分かっていはいましたがこの人、本当に半端ないんですね…!
「確か速水さんって去年の撮影の時、2番人気でしたよね?」
「そうですか?すごい…」
まあ、これくらいの人ですから…驚くには当たらないかも…
でもこの速水さんが2番ってことは一番人気だった人はやっぱり会長さんでしょうかね。
「何と言っても会長さんはあの「Fantasia」のアイドルですから。会長さんならきっと一番で…」
「そうじゃないですよ?」
「えええ!?」
っと思った私の予想は見事に外れてしまったということを教えてくれる先輩。でもさすがにこれは驚いちゃうかも!
「じゃあ誰なんですか!?私はてっきり会長さんだと思ったのに…!」
まさかあの会長さんや速水さんの人気を越えた人がいるとは…!
聞いた話によると会長さんって生徒会長に選ばれる時、ほぼ満場一致だったそうだし、あの速水さんだって神界の人達において絶対的な指示を得ていますから!
それを越えられる人って相当いないと思うんですが一体…!
あ…!もしかして青葉さんなのかな!?よく考えてみれば確かにそうかも知れませんね!青葉さんだって超有名人で誰でも大好きですから!
あ…でも先輩に青葉さんの話はご法度ですから…ここはやっぱりあえて言わない方が…
「残念ながらうみちゃんではありません。」
まるで私の心の中を見抜いてきたような口調。やがて私から青葉さんのことに考えが辿ることを予想していたようなその笑みは
「気を使ってくれてありがとう。みもりちゃん。」
っと言っているようにちょっぴり切なくて侘しい笑顔でした。
「そうですね。青葉さんは12名の候補の中で7位。割りと普通な成績でした。」
「そうでしたか。」
12名の中で7位…確かに青葉さんの知名度にしてはちょっと微妙なのかも…
「外で有名いすぎたのが逆に仇になったんでしょう。っというか1位を除けば皆本のわずかの差ですから。」
「え?そうなんですか?」
「はい。」
「じゃあ、その1位って一体…」
っと聞く私の質問に静かな目で隣のゆうなさんの方を見つめる畑さん。ま…まさかと思いますが…
「えへへ…照れちゃうな…」
やっぱりお前かよ!!
「先も言いましたがあの人と寝た生徒の数でも300人を超えてますから。前の生徒会長もこの人のセフレだったし共寝した女教師も何人かいて他の候補より圧倒的に有利な立場だったんです。
見た目や性格もいいしファンの生徒だっていくらでもあるはずでしょう。「百花繚乱」の団長という肩書もプラスになったんですね。」
明らかな職権乱用!!っていうか教師の中にもいるの!?一体学校には何しに来るんだ!?この人!?
「あ。青葉さん、見つけた。」
何ページか捲った後、7月から見つけられた青葉さんの写真。
いつも丁寧に結んでおいた三つ編みの髪型を清々しく解き放った私の知らない彼女の姿は新鮮でありながらもどことなく親しい感じがするとても素敵なものでした。
太陽の光にきらめく少し潤った体。そして夏の空のような高くて情熱な笑顔。大きな帽子を被ってその全ての夏さを纏って海辺を駆け抜ける彼女はまさに私の済むところに遊びに来た遠い海からの訪問者でした。
真っ白で大胆なビキニまで完璧にこなしている彼女は先見た速水さんにも負けないほど華麗で清楚だったので思わず見惚れてしまう私。
でもそんな私より
「うみちゃん…きれいですね。」
青葉さんの写真から見が離れない先輩でした。
懐かしくて愛しい眼差し。今の先輩は青葉さんのことを見て何を思っているんでしょう。
「あれ?この人…」
そしてその次のページを捲った時、私はこの学校に入って初めてこの学校に残っているあの人の痕跡を自分の目で確かめることができました。
2つに結んだ赤い髪の毛。そして自身に満ちた堂々とした可愛い笑顔。
背は少し低いですがその小さな体に積み上げた経験は決して小さいものではない。
ちらっと見える八重歯とその豊富な感情が込められている青い目を見た時、私は確信してしまいました。
今自分が見ている彼女はきっと私が昔から知っている人ということを。
いつもテレビの向こうから私とゆりちゃんを楽しませてくれたある小さな女優さん。彼女の豊かな演技力は見ている人達の心を吸い込んでいつの間にか外の私達までテレビの中に巻き込んでしまう。
泣くのも、怒って嘆くのもいつも本気だった彼女のことを私達は「天才」と言いました。
誰にでも好かれて愛される人間。私は彼女ならいつまでも皆に愛されると思っていました。
でもいつの間にかテレビの中から消えて、やがて通っていた学校からもその存在を消されてしまった彼女。この学校の皆は彼女のことをこう言いました。
「元凶。」
だと…
そんな彼女のここにいたという証拠を今日、私は初めて見つけ出しました。
皆話すことすら謹んでいた彼女の名前は「赤座小鳥」。去年の彼女はこうやって思いっきり笑っていました。




