第209話
ブックマーク1名様誠にありがとうございます!
百合一筋の道を歩んでいます!どうぞお楽しみいただければ幸いです!ご意見やコメントもたくさん募集しています!っというかください!
今週からもう一つのシリーズを投稿しようと思います!そちらもどうぞよろしくお願いいたします!
いつもありがとうございます!
「あら。」
「赤城さん。」
第3女子校は設立された以来、芸術文化界に大きな足跡を残した優秀な生徒達を数え切れないほど排出してきた。
彼女の活躍で世界は一段と豊かに、そして感想に満たされてより輝かしい発展を成し遂げた。第3に通っている生徒なら誰でもその世界を豊かにするというその崇高な使命を胸に抱えて自分の役目に一生懸命取り組むものであった。
そして
「おはよう、赤城さん。」
「ごきげんよう。」
今廊下で鉢合わせたこの二人はその主役として皆を正しい方向へ導かせる使命を背負っていた。
「青葉海」と「赤城奈々」。二人は入学以来からあ互いにとって今まで存在しなかった音楽における史上最大のライバルであった。
天才ピアニストとして名を響かせたなな。「天才歌劇少女」「伝説の歌姫」などのあだ名で称えられたうみ。どっちがすごいかその優劣を決められないほど二人の音楽に対する才能と情熱はまさに拮抗していると言っても過言ではなかった。
世界的に注目されていた二人だからこそそのライバルの意識は一段と際立っているものであった。
だが周りからの視線とは違ってその二人は結構仲が良かった。同じ魔界出身ということも相まって音楽の相談や将来のことも気軽く相談できるいい友達同士だった。
「今から授業?」
「ええ。音楽理論の。青葉さんは?」
「私は1年生の演劇指導の手伝いを頼まれてね。」
だからこういう日常的な会話だって珍しいものではなかった。
「大変ですわね。有名人とは。」
「ええ?赤城さんだって普通に有名人じゃん。」
ここ最近のななの調子は順調そのものだった。
セシリアが記憶を失った後「Fantasia」は当分の間、ななを中心にした体制で回すことになった。
「Fantasia」にはななより上級生である3年生のルルもあったが彼女は
「Meなんかよりななの方が頼りになるじゃん☆Meのことはおいといてななの好きなようにしてね☆もちろん協力はするから☆」
っと「Fantasia」の臨時リーダーの権限をななの方に全部委ねた。
そんな彼女のことが少し気にかかるななであったがセシリアがいない間は自分がしっかりしないとダメだっと思ってそれ以上他のところにはなるべく気を使わないようにした。
その上、今の生徒会の中では一番頼りになると思っていたゆりがそんな状態になってしまった。
大好きだったみもりへの気持ちを失ってしまった彼女がまともに仕事をこなせるわけがない。そう思ったななは彼女には最低限の仕事だけを与えて少しみもりから離れたところで彼女を休ませようした。
今までのゆりはずっとみもりと一緒だったからまずは少し距離を取らせてみよう。離れていればこそ見えるものもあると過去の経験から学んだことがあったななはしばらくゆりを自分の屋敷から暮らすようにした。
みもりからは色々頑張っているようだがまだ目立つ変化はなさそう。幼馴染のクリスからそう言われた時は少し落ち込んでしまったがここで諦めるわけにはいかないっと自分をしっかり引き締めるなな。
未だにセシリアの病状に変わりはなくてゆりもあの様子のままだったがいつか彼女達が帰るその日のためにこの場所を必ず守り抜いてみせると自分の心に誓ったななは今も学校のために死ぬ気で頑張っていた。
「大丈夫?仕事も大事だけど休もちゃんと休まなきゃダメだぞ?」
「もちろんですわ。」
途中まで一緒に行くことになったうみとなな。
うみは最近随分無理していそうなななのことがずっと心配になって仕方がなかった。
「食事はちゃんと摂っている?よく寝ているよね?赤城さん、昼は苦手だからあまり無理しちゃダメなんだから。」
「大丈夫ですわ。」
まるでいつも皆のことを気にかかっているみらいのようにななの様子を聞いてくるうみ。そんなうみを見て
「好きな人は知らず識らず似てしまうっということですの?」
っと心でクソっと笑ってしまうななであった。
「昨日は本当に助かりましたわ。会長に付き合ってくれて。何かお礼しなきゃですわ。」
「お礼されるほど大したことじゃないからいいよ。私も楽しかったし。」
昨日のセシリアと出かけてくれたことについたななからのお礼をなんとか遠慮しようとするうみ。
そのおかげでできた久々のみらいとの時間をたっぷり満喫してしまった自分がななからお礼をもらうのはなんだか面目が立たない気持ちだったので彼女は気持ちだけを受け入れることにした。
「赤城さんだってたまにはパーッと遊ぶのがいいよ。中黄さんとデートでもしたりね?仕事もいいけどちゃんと休んであげないとそのうち大変なことになっちゃうよ?」
「息抜きならわたくしなりにやっているんですから。あの人もよく手伝っていますし。」
「そう?良かった。」
少しほっとしたような顔。その顔から彼女から自分のことをどれほど心配していたのかを察することができたななは今はただ彼女のことを安心させたいと思っていた。
「あなたの方こそ大丈夫ですの?」
「私?なんで?」
「なんでって…」
だがそれを聞きたいのはむしろななの方だった。
ことりのことで完全に学校の敵となったうみはもう完全に悪としてレッテルを貼られた。魔界側からでは全幅の支持をされているうみだがそれ以外の生徒達には散々罵られているうみのことをななは彼女のライバルとして心配していた。
「私は全然平気。ちゃんとご飯も食べているからね。」
っとなんともないと振る舞ってしまううみ。
さすがの元女優。顔には悩みの欠片も出ていない。彼女の表情にはいつものような平然とした余裕しか宿っていなかった。
だがその優しい気遣いは逆にななの心を苦しませることになってしまった。
俳優としての道まで止めてこの学校に来た理由であったみらいの傍から離れたことによる孤立感。仲間であり、演技のライバルだったことりへの裏切られた気持ち。敵に回した他の生徒達からの憎しみと恨み。
その全てを背負って自分だけの復讐を成し遂げようとするうみが大丈夫はずがない。
それを全部自分の中に抑えて隠しきっている彼女がどれほど辛い思いをしているのか今の自分には分かるはずがない。
一生のライバルとしてその悩みを何とかしてあげたかったなな。
だが
「うん。私は全然大丈夫だから。」
この作り上げたような笑顔を見てしまったら何も言えなくなってしまった。
ゆりや他の人と違って感情の表現なんていくらでもできるこの天才女優に自分の本当に気持ちがどれだけ通じるのか、ななはただ彼女のその底知れない心の海溝が怖かった。
自分にセシリアのような人の心を見通せる能力がない限り多分一生かかってもそれを全部解き明かすのは無理だろう。
ななはそう思って
「そう…ですの?」
寂しそうにまた彼女から目をそらしてしまった。
「なんかごめんね?心配してくれたのに。」
「いいえ。いいんですの。」
っと今の寂しい気持ちをごまかしてしまったななだったが本当は心の底から強くこう思っていた。それでも自分は決して諦めないっと、ライバルとして絶対力になってあげるっと。
ななにとってうみはそれほどの価値のある一生一大のライバルであった。
「そういえばもうすぐあれやるんだよね?」
「あれって?」
「ほら、去年の。」
早速話題を変えたいと思っていたのかななの意識を別のところに向かわせるうみ。その自然な流れに微塵の疑いも感じせず思わず去年のことを思い返してしまうなな。
そして徐々に戸惑いの色に染めてゆくその愛らしい顔はぜひかなにも見せたいものであった。
「あ…!」
忘れたくても忘れられなかった去年のこと。それはななにとって正しく黒歴史っと言うべきの記憶であった。
***
「なんだこりゃ!?!?」
畑さんから渡した本を開いた時、私は心の声を思いっきり叫んだ後でした。
「あ、これか。懐かしいなー」
「ええ…!?は…畑さん、なんでこんなこと、持って歩いているんですか…!?」
「だってこの特集は「Bullet」の一大イベントの一つですから。」
懐かしそうな顔で思い返すゆうなさん、私と似たような反応で驚いている先輩、そして全く読めない表情で「は・は・は」と笑っている畑さん。
反応はそれぞれでしたがそのたった1つ、そのお題だけは明確なものでした。
「ま…まさかこれ…!」
グラビアカレンダーですか!?!?
「まさしくその通りです。」
って何淡々と言うんだ!?あんたは!
びっくりしました…!色々変な学校だとは思ってはいましたがまさか学校からこういうのを作っていたとは…!大丈夫なのかよ!第3!
「特に問題はありませんよ?ちゃんと学校からの許可は取っているし。」
「そ…それはいいんですがいくらなんでも…!」
畑さんはちゃんとした学校の許可の下で行っていることだと私に説明してくれました。
それはそれでいいです!別にグラビアとか悪いって言いたいわけではないんですから!これも立派な自己表現の一つだと私はそう思っています!
でも…!
「いくらなんでも在校中の生徒達でこういうのを撮るのは…!」
さすがにこれはまずいでしょう…!!




