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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第5章「夢と茸」
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第189話

遅れてしまった申し訳ありません。昨日韓国から行われる「JPT」という試験を受けたので少々遅れてしまいました。

満点990のテストなんですが最低800以上は取りたいと思います。

私は高校しか出られませんでしたのでもっと頑張らなきゃと思います。

いつも応援してくださってありがとうございます!

「なんか話が変な方向に進みましたね…」


私からの報告を受けて少し考え込む副会長。さすがに「百花繚乱」の上層部が関わっていることでしたので一人だけじゃ全てを判断できなかった私は副会長の方へ諮問を伺うことにしました。


「会長がいらっしゃらないうちにまさかあんなことが…一番驚いたのはあの速水さんが灰島さんと付き合っていたことなんですが…」

「はい…確かに…」


さすがにあの副会長だって今回のことに随分動揺しているようです。まさかあの「黄金の塔」の「速水愛」さんと大企業「灰島」の跡取り娘「灰島菫」さんが付き合っていたとは…今の状況でよく隠していたんですね。


「ええ…それよりわたくしはあの灰島さんがそちらの趣味だったということの方にもっとびっくりでしたわ…灰島さんってなんかそういう方にはあまり興味はなさそうだったから。」

「ストイックって感じですからね。」


手芸部部長なのに部室でもあまり喋らないし、日課の後は殆どトレーニングルームでトレーニングしていますからあまりそういう気配はなかったんですよ、あの人。

でもまさかあのすみれさんが神界の速水さんと付き合っていたとは全く思いませんでした。


「ええ…速水さんはあの「黄金の塔」の頭領ですから絶対魔界の人達とは言葉も交わさないと思ったんですの…実際生徒会の人以外はそんな態度を取っていましたし…」


結構驚いたようですね、副会長…普段かな先輩のこと以外は全く興味もありませんでしたのに…


確かに速水さんは顔だけは美人でスタイルもいいんですがなんか性格とか悪そうだからあのすみれさんとは絶対似合わないと思ったんです。

でもあの心配するような顔…間違いありません。あれは愛する人が怪我でもしてしまったらどうしようってそわそわしている乙女の顔でした!他の人はともかく私には分かります!


「ま…まあ…その方面ではあなたが一番専門家ですから…」


あら?何でそんなドン引きした顔で私のことを見ているんですか?副会長。


「問題はこれからどうすればいいのかということですわね。一応相手が速水さんだけでしたら生徒会であるわたくし達の話をなんとか聞いていただけると思いませんが…」

「問題は石川さんですね…」

「ええ…」


10年前の「ゴーレムの森」から起きた大火事。その事件で死にかけた石川さんは速水さんみたいな「黄金の塔」の直接の関係者より魔界の人達をずっと憎んでいますから。それは我々生徒会の人達にも同じでした。


「実はわたくし、この前あの人と色々話し合ってみようとしましたの。会長もいらっしゃらないうちに何か危険なことでも起こしてしまったらまずいと思いまして。ですが…」


結局あの人から返ったのは「私達のことなら私達の内部から処理する。だから生意気に口を挟むな」という返事だけだったと回想する副会長。むむむ…とことん無礼な人なんですね…みもりちゃんが苦手にするのも当然です…


「仕方ないとは思いますわ。あの人から見るとわたくし達は皆ただのぼんぼん育ちのお子様にしか見えませんから。速水さんの協力があったとはいえあの人は殆ど自力でこの世をくくってきましたの。わたくしなんかよりずっと大人であるあの人から見ればわたくし達の心配なんて全部余計なお世話に過ぎないっということですわ。」

「だからといって私はやはり納得できません。私達には学校を守らなければならないという義務があります。なのにあの人は自分勝手な理由でこの学校の平和を脅かしています。これが許されることなんですか。」

「でもわたくしは少しだけ分かりそうな気がしますわ。」


その時、少し悔しいって気持ちになっていた私を落ち着けようと渡した副会長のその言葉は一瞬私に色んなことを考えさせちゃうくらい色んなものを含んでいました。

寂しくてわびしい口調。でもその話は決して私にも分からないものでもありませんでした。


「理由はあったとしても彼女は小学校に入る前に両親と離れてしまいました。それに彼女には村の村長である父からの「失ったゴーレムの地位を取り戻さなければならない」という使命まで課せられていましたから。親に愛されて笑って楽しい毎日を過ごしていたわたくし達なんかにその小さい少女が背負っていた荷の重さは分かるはずもありませんわ。」

「使命…」


そういえばあの方もずっとそう言いましたね。娘にとてつもなく重いものを背負わせてしまったっと…たった一度も愛しているっと言ってあげられなかったあの小さな娘に自分勝手に種族の行く末を託してしまったことをあの方はずっと後悔していました。

皆から「覇皇」とかの御大層な名前で呼ばれていても私の目に映ったあの無口で不器用な老けた男はひたすら娘のことを気にしている普通な親にしか見えませんでした。


「いつ挫けてもおかしくない自分を支えてくれた大切な存在を目の前で取られるかも知れないという今の状況。果たしてわたくしは自分がそんな状況に置かれた瞬間、ろくな判断ができるのでしょうか…」


自分を支えてくれた大切な存在。それを分かった時、私はこれ以上石川さんのことについて何の文句も言えませんでした。

私が「影」というこの世界から否定された世界で身を焦がして戦っていた時だって自分を保つことができたのは


「ありがとう、ゆりちゃん。」


そう言ってくれた愛しい黒髪の女の子がずっと私を支えてくれましたから。私がどんな姿になっていてもずっとあそこで私の待っていてくれるあの子がいましたから。


私は自分の不甲斐なさに痛感する一方、それを見抜いていた副会長に以前にもまして大きな敬意を抱いてしまいました。


「わたくしにも、あなたにもちゃんとあるんじゃないですの?そんな大切な存在。」


そう言って私を見ている副会長の顔がなんだかすごく大人っぽく感じられてしまった私は副会長に何も言えませんでした。


「このことについてはわたくしに方からも色々考えておきますわ。あなたは自分のやるべきことに精一杯励んでくださいませ。」


っと解決に全力で臨むことを約束してくれる副会長。何で会長があなたを副会長に選んだかなんとなく分かりそうです。

かな先輩のことになると限りなく弱くなってしまうあなたでもこの学校のために身を張る覚悟ができている、あなたは間違いなく魔界側から「神樹様」の教えを真っ先から支持してこの星の平和に貢献した「吸血鬼」「赤城家」の次期当主にふさわしい人です。


***


「こんにちは。「Bullet(新聞部)」の「(はた)」です。」


なにこれ…


放課後、「百花繚乱」の第3席、「幽霊少佐」「速水愛」さんからご招待されて「百花繚乱」の部室に集まった私達。


「皆、早く来たわね。申し訳ないけどもうちょっと待ってくれてもいいかしら。」


そんな私達を迎えてくださる速水さんは自ら色々準備していたのでとても忙しそうに見えました。


でもそこで私達を待っていたのは速水さんと石川さんだけではなく


「いやいや、私まで呼んでくださいまして恐れ入ります。これはいい記事になりそうですな。」


先日の()()()()の件で生徒会からめっちゃ怒られたことで有名だった「Bullet(新聞部)」部長「(はた)蕗子(ろこ)」という人でした!


無感情な目。まるで死んだ魚みたいな濁った目で私達を見ているうぐいす色の短髪の少女は神界側の人で種族は「精霊」の「地の一族」。

Bullet(新聞部)」の部長でスクープを掴むためにいつも学校内を歩き回っている熱心な人なんですが…


「今日はよろしくわね、畑さん。」

「はい。脚色は得意なんですからご心配には及びません。」


正直に言うとジャーナリストとしてはいかがわしい人なんです…


「ダメよ、脚色なんかしては。」


っと注意する速水さんの話にも「は・は・は」とあっけなく笑ってしまう畑さんに私達はあの人を呼んだのはとんでもない間違いだったのではなかったのかっと心配してきました。


「ほ…本当にいいんですか…?あの人、この前も盗撮の件で引き渡された人だったのでは…」

「ん…でもまあ、悪い人ではないだし…それにやる時はちゃんとやる人だから。」


っと部長はそう言いましたが私はまだちょっと不安でした…結局あの盗撮の件は「百花繚乱」の団長さんであるゆうなさんと生徒会の緑山さんまで関わっていて3人まとめてめっちゃ怒られたことで終わりましたが…


多分速水さんは畑さんに協力を得てこっそり推進していた神界と魔界の和解の計画をもっと表から進めようとしているのではないかと思います。ああ見えても畑さんのこの学校の影響力は結構多いだし本人もあまりこういう状況を望んでいるのではなさそうでよく話し合ってばきっと力を貸してくれるはずです。


「何かお望みの記事でもありますか?速水さんの妊娠の記事とか。」

「してないわよ!?っていうか明らかに捏造じゃない、それ!?」


…本当に大丈夫なんですか?あの人…

…ってな…なんか畑さん、こっちを見ているような…


「ふん…」


いいえ…見えいる…!確かに見ています…!しかもなぜかピンポイントで私のことをじーっと…!


「な…何のようでしょうか…」

「いいえ、別に。」


っと応えている割に結構ぐいぐいっと迫っている畑さん…!はわわ…わ…私、こういうの結構苦いっていうか…!怖い…!なんだか知りませんがものすごく目が怖いです!


「やめろ、畑。」

「あ、石川副団長。」


その時、そんな畑さんの服を掴んで止めてくれたのは


「怖がっているだろうが。」

「これはこれは。大変失礼しました、火村さん。」


まだ先のことで怒っていたように見える私の遠いの憧れ、石川さんでした。

でも先とは違ってなんだか少し寂しそうで諦めたそうな顔…私は石川さんのその顔がなんだかとても悲しそうに見えてしまったので胸が…

ってええ…?もしかして今、石川さんが私のことを助けてくれたんですか…?あの魔界嫌いの定評の石川さんが魔界の子の私を…?


私は石川さんのその唐突な行動に本当にびっくりしちゃいましたがその同時にぽっちり嬉しかったです。私、この人にちゃんと見えているんだなっと思って…


こう見ていると石川さんって本当にかっこいいですね。背も高くて美人でプライドも高くて…世界的にも認められているし自分だけのはっきりしたビジョンも持っている。私みたいな普通だらけの子とは大違いの雲の上の人…

去年あんなことがあったとしても私、やっぱり石川さんのことが好きです…皆から嫌がられても石川さんはいつだって私のたった一人の憧れ…


「乙女っぽい顔をしているね、まつりちゃん。」

「ええ…!?」


し…しまった…!


石川さんのことを見てつい見惚れていた私のことを気づいて隣でいきなり話を掛けたのは


「そんなにこんごうのことが気になるのかしら。」


今回のお茶会を用意してくださった「百花繚乱」のリーダー、「速水愛」さんでした。


本当にきれいな人…いつも遠いところで見たことしかありませんがまつげも長くて本当にきれい…それになんだかすごくいい匂いもして…

石川さんはいつもこんなきれいな人を見て絵を書いてたんですね。いいな…


「ん?どうかしたの?まつりちゃん。」

「あ…い…いいえ!何でも!」


興味津々な顔で私を見ながらすごくニヤニヤしている速水さん。その顔を見た瞬間、私はたった一瞬で彼女からの話の意味を察することができました。


「ち…ちょっと待ってください…!違います…!違いますから…!私は別にそんな意味じゃ…!」

「まあいいじゃないー別に隠さなくてもいいんだから。」

「ええ…!?」


な…なんかバレたくなかったところをバレたようなギクッとした感覚!でも別にそういうわけではありませんから!


「そう?残念だわ。いい話をしてあげられると思ったのに。」

「いい話…ですか?」


何でしょう、速水さんからのいい話って…いや、大体予想は付きますが…


「あ、そういえば桃坂さんにお菓子作りを頼んでいたわ。そろそろ取りに行かなきゃ。」

「あ、そういうことなら私が行きます。」

「あら。そうしてくれるの?助かったわ。」


っと速水さんはすごく喜びましたが


「…」


やっぱりこのお茶会の空気…私には重すぎかも…


「灰島さん。そろそろ私のカメラとパソコン、返してくださいませんか?あれ、一応私物ですのでいないと結構困りますよ。」

「いや。まだ例の撮影のコピーが残っているから。必要ものならうちから貸してあげるからしばらくそれで我慢してくれ。っていうかどんだけ撮ってきたの、畑さん。一応あれ、明白な犯罪物だから。」

「そんなー」


なんか先から畑さん以外には殆ど喋らないし…っていうか地味に危険な話をしているんですね、あの人…


「今までよく退学にならなかったな、お前…」


石川さん、ちょっと引いちゃったって顔している…


「は・は・は。ああ見えても「Bullet(新聞部)」は「陽炎(選挙管理委員会)」の所属ですからね。いわゆる「後ろ盾」ということです。っというか別に悪いことしてませんでしたから私は無罪ですよ。そうですよね?荒沼さん。」

「お許しなく勝手に行われた不法撮影に関して許可した記憶はございません。灰島様、お手数を煩わしてしまって申し訳ありませんがそのカメラとパソコンは徹底的に廃棄していただけませんでしょうか。カメラ代はこちらからお支払いさせていただきます。」

「分かりました。」

「そんなー」


た…大変ですね、畑さん…でも盗撮は明白な犯罪ですからこのことでいい教訓を得て欲しいです…


「皆さん、冷たいですねーゆうな団長は問題ないとおっしゃったのに。」


いや、共犯じゃないですか…お二人さん。


「まつりちゃん。桃坂さんなら多分家庭科室にいるから。ごめんね、私が招待したティーパーティーなのに手伝わせちゃって。」

「いえいえ。私、こういうの結構好きですから。」


それに今この部屋で速水さんが出てしまったら余計に変な空気になりかねなさそうで…


でもその瞬間、速水さんに頼まれて同好会の百坂先輩がいる家庭科室へ行くために教室を出ていったところだった私の足を止めたのは


「私も行く。」


いきなり私との同行を望んで席から立つ石川さんの一言。


「え…?」


その時、私は先訓練場で別れた後、彼女に一体何が起きたのか気にせざるを得ませんでした。

一体彼女に何が起きたので普段あんなに嫌がってた魔界の私と一緒に…


私はその疑問を胸の底にこっそり痛いてわけも分からなく石川さんと一緒に家庭科室に向かうすことになりました。

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