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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第5章「夢と茸」
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第188話

遅れてしまって申し訳ありません(__)。。書き途中だった内容が全部ふっ飛ばされてしまっえ最初から書き直しました。

お待ち頂いて誠にありがとうございます!

いつもありがとうございます!

火村(ほむら)(まつり)」。私の遠い親戚の「炎人(ほむらびと)」とはいえあまり面識はなかった。あの子のことが顧問の「火村(ほむら)紅丸(べにまる)」先生から普段良く聞いたから結構知っていたが実際合うのはあの子が入学した直後だったからそんなに長い付き合いでもなかった。


顧問の火村先生の娘にしては大人しくて可愛いから「Vermilion(消防部)」の中では結構人気者だった。私みたいに無口で少し怖そうな父より美人で明るい母の方に似ているらしい。でも見た目と違って火村先生はとんでもない親ばかだったから少し引く時もあった。


昔あの子のことについて父の火村先生に聞いたことがある。人も少ない私代の「Vermilion」に入ろうとする子はこの学校にめったになかったからあの子についてちょっとした興味が湧いた私はあの子の父である顧問の火村先生に娘さんのことを聞くことにした。


「娘さんはどんな子なんですか。」


っと聞く私に食べかけていた大福を下ろしながら


「まつりちゃんか。」


少し考え込む顧問の火村先生。


炭のような真っ暗な肌。男的には耳まで被せるくらい少し長い丈の炎の色の髪の毛。背が高い方ではなかったが放たれる威圧感は近づくだけで押しつぶされそう。

でも顔だけはイケメンで寡黙でクールって感じがするから学校内では結構ファンの子もいるらしい。そう言えば雑誌の特集とかで何度も出たこともあったな。


だが消防官としての実力は本物。数年前の「ゴーレムの森」から起きた大火事の時もこの人の素早くて的確な指揮のおかげで最低限で被害を抑えられた。

救助活動中鉢合わせてしまったテロリストを制圧したり軍と連携していくつの作戦も遂行した実績もある。戦闘能力も疑うこともない正真正銘の本物だったということだった。

多分「火村(ほむら)紅丸(べにまる)」が世界政府最高の火消しということに異論を付ける人は誰も存在しないだろう。

救助作業中、テロに巻き込まれて左腕を失った後、この学校の教師として働くことになった火村先生は今も私がお父さんと共にこの世で最も尊敬している憧れの一人であった。


っていうかちゃんって…まさかあの「不動明王」の口から「ちゃん」って言葉が出るとは微塵も思わなかったな…それほど大切っということだろう。


「いい子だ。優しいし、人を思う心をちゃんと持っている。何より可愛い。」


っと私に携帯を出して家族写真を見せてくださる火村先生。っていうか今なんて?


「ほれ。可愛いだろう?」


また言ったな、可愛いって。


でも確かにそうかも知れない。先生から見せてもらった写真の中でとびきりで笑っている小さな女の子。両親と共に中学校卒業写真に写っていたあのまつりちゃんは汚れのない純真で無邪気な笑顔で自分の中学生活の一段落を付けていた。


「可愛いですね。」

「だろう?」


可愛い。純朴で無垢な笑みがすごく可愛い。その美人の奥さんにもそっくり似ていて結構イケてるタイプだったということを私は疑わなかった。絶対男達に好かれるタイプだ、これは。


「俺はできればまつりちゃんに俺みたいな火消しになってもらいたいだがあいにくまつりちゃんにはまつりちゃんなりの考えがありそうでな。まあ、親として応援せざるを得ないから今の俺はまつりちゃんにただ自分の信じる道を歩んで欲しい。」


この人、こんな顔もするんだ…


いつも何か気に食わないようなむすっとしているから分からなかったがこう見ているとやっぱりこの人だって家族のことになったら普通の人と同じくなるんだっと思ってしまう。

そんな火村先生の話があったから私のまつりへのイメージはただ優しくて可愛い一人の女の子ということに限られていた。皆に愛されて大切に育った明るくて元気な子。ただそれだけだった。

だから先輩である私がちゃんと面倒を見てあげなきゃと思ってた。血縁上では遠い親戚とも同じだったからますますそう思ってた。


「ほ…「火村祭」です…!よろしくお願いします!」


そして今年入部のため私のところへ挨拶に来た時もそう感じていた。


気配り上手で真面目で何事も楽しむために一生懸命だった可愛い女の子。誰とも仲良くになって誰にでも愛される。皆からずっと遠ざけられていた私とは真逆の日当たりの子。見れば見るほどまつりはいい子だった。


「まつりちゃんって彼氏とかいたことあるの?」


普段淑やかで大人しいからよく分からないんだがたまにそんな質問を聞かれると


「い…いいえ!告白なら何度もされたことはあったんですが実際付き合ったことは一度も…」


っさり気なくすごいことを言って周囲をびっくりさせたりする面白い面も存在した。っていうか告白されたこともあるんだ。


特に絵が得意だからか、時々石川のことを結構意識しているように見える時もある。なんとか二人をくっつけて仲良くさせたい気持ちは山々だがあいにく私はあいと付き合っていることで石川から嫌われているからそれは不可能だった。最も私の弁舌では滅相もない話だがな。


でもまさか


「これって部長から仲良くなろうっと用意した席なんですよね…!?」


そこであんなことを言っちゃうとは。正直言うと本当にたまげた。


「ちょっとまつり…?これは…」


でもこの子の言っていることがさっぱり分からなかった私は一旦彼女を落ち着けて教室に帰そうとした。


「説明は後で…」

「私…!本当に嬉しいです…!」

「嬉しい…?」


意味不明。こんな子ではなかったはずなのに。察するのも早くて気がすこく利くから決してこのような空気を読めない子ではなかった。なのにどうして…


「やっぱり部長もそう思ったんですね…!皆と仲良くしたいって…!」


ますます意味不明。一体これのどこが仲良くなろうとすることで見えるのか、私の今までのまつりのイメージと噛み合わない今のまつりの言葉に私はただ戸惑っているだけだった。


「いや…これは…」

「そうですよね…!やっぱり喧嘩なんかしちゃうのはよくないんですよね…!だからこういう席を用意して「百花繚乱」の方々と交流しようとしたんですよね…!」

「交流…」


まつり…君は自分が今何を言っているのか知っているのか…これのどこが交流ってやつに見えるのか…


そろそろ止めた方が良さそうかも知れない。先からまつりを見ている石川の目が怪しい。あいとあの荒沼さんの前だから下手にまつりに手を出すことは断じてないはずだが今の石川は相当キレている状態。

もし頭に血が上り過ぎて変な気を起こしてしまったら石川は数多いものを失ってしまう。


石川がまつりに手を出してしまったら確実にあいの信頼を失ったしまう。それに加えてまつりの父はあの「不動明王」「火村紅丸」だ。いくら石川でも生徒のレベルでどうにかなる人ではない。私だけなら私がなんとか庇えるだがあの人は論外だ。きっと大事になってしまう。

だからお願いだ、まつり。これ以上何も喋らないでくれ。


でもその時、私は見てしまった。

明らかに震えている手。平然と振る舞っているんだが確かに結構今のまつりは相当の無理しているように見えた。


「まつり…」


まつりは頭のいい子だから今の状況を気づけないはずがない。だとしたらなぜ彼女はこんなことをしているのか。

その回答を気づいた瞬間、私は自分にはまだまつりのことをたった一つも知らなかったというのを分かってしまった。


私はあの子のことを少し侮っていたかも知れない。本当は私なんかよりずっと勇気のある子だったかも知れない。

きっと怖いだろう。私さえ今の石川を見ていると思わずびくってしまうから。でもきっと一番辛いのは自分の大好きな人の苦しそうな顔だろう。


どうしても私と石川の喧嘩を止めたかったまつり。だからこんな下手くそなお芝居までしてここを取り繕おうとしたかも知れない。

いや、きっとそうだったはずだ。この子には人のことを大切にする心があるから。いつかあの「ファラオ」の黒木も言った。


「まつりちゃんは本当にいい子なんです。皆のことを大切にしてくれていつも誰かの力になってあげたいと思っているんです。私が好きなあの人みたいに…だからまつりちゃんのこと、よろしくお願いしますね、灰島さん。」


どうしてあの「ファラオ」がまつりにことを気に入っているのか少し分かりそうな気がする。さすが魔界の王だな。私なんかとは人を見る目の高さが違う。彼女を見習ってもっと精進しないと。


でも私よりまつりの意図をもう一足早く気づいたのは


「正解。よく分かったね、可愛い子ちゃん。」


まるで私達の勝負なんかは最初からなかったようにまつりの話に乗り込むあいだった。


その時のあいはなんだか少し嬉しそうに見えていたと私はそう感じた。


***


きれいな人…


お肌も真っ白くてつやつや…晴天の雲さんみたいに清らかで真っ白な髪の毛と心まで澄み渡る清水色の目…真っ黒な私とは真逆の純白の少女。背もすらっと高くてプロポーションも並外れのモデル級…

私、この人のことをなんだか昔からずっと知ってた気がします…この学校では当然有名人なんですがそれと別になんだかこの学校に来る前から知っていたような不思議な気分…どこで合ったかな…


「こんにちは。」


私に近寄って挨拶する真っ白な長身の少女。正面で彼女と向き合うその瞬間、私の頭の中にふと思い浮かんだのは昔見たある少女の絵でした。


「あ…私、この人のこと、知ってる…」


中学校の時、ちょうど絵を止めようとしたあの頃に偶然行った石川さんの個展で出会った私の人生初めての石川さんの作品「愛」。その事実的で基本に充実した表現力とどこか胸がぎゅっとする寂しさに感動した私はもう一度筆を執ることにしました。


「はじめまして。私は「速水(はやみ)(あい)」。挨拶するのは初めてね。」


私がもう一度頑張れるように私の背中を押してくれたその「愛」というタイトルの絵は「黄金の塔」の方に寄贈されましたが私の記憶の中には今もはっきりと残されて私が悩んでいる時はいつも私を元気づけていました。

私の人生を変えてくれたたった一枚の絵。私はついにその絵の中から私と見つめ合っていたそのモデルさんと出会ったんです。


「お名前、教えてもらえるのかしら。」


ってつ…ついぼさっとしちゃいましたね…!あまりにもきれいな人だったからつい見惚れちゃったっていうか…!で…でもちゃんと自己紹介しなきゃ!


「す…すみません!「Vermilion」所属の「火村祭」です…!よろしくお願いします…!」

「まつりちゃんっていうんだ。うん、私もよろしくね?」


うわぁ…声もめっちゃきれい…こ…この人があの「黄金の塔」のお姫様で現在あの「伝説の歌姫」「青葉海」さんと張り合っている神界側のリーダー…でもなんか思ったイメージとは随分違うような気がします…何ていうかなんだか普通にいい人っぽいかも…


「それにしてもまつりちゃん、よく分かったね。私達の秘密計画。」

「秘密計画…ですか?」


おちゃめさんみたいににんやりしている速水さん。その笑みになんだか気を取られちゃいそうですが私には今の速水さんの言葉の意図を把握する必要がありました。


「今ちょうどうちからもまつりちゃんと同じことを考えている動きがあってね。やっぱりそんなことまでする必要があるのかなって。」

「じゃ…じゃあ、これは…」


びっくりしました…先はただ部長と石川さんが揉めるのが嫌だったからそれを止めるために勢いで言っちゃったことだったのにまさか私が知らないところでそんな話があったなんて…

だからまず私達の方へ接続したってわけですね…!まだ青葉さんのところへ直通で行くことはできないから私達を経由して話を通そうと…!何で部長と石川さんが睨みつけていたのかは全く分かりませんが多分意見が合わなかったりした細やかなトラブルだったのではないかと…!


「だよね?すみれちゃん?」


っと自然に部長の方に話を振る速水さん。って今、なんて!?「すみれちゃん」!?い…いつの間にかそんなに仲良くなったんですか!?


「まあ、話せばちょっと長くなるんだけど…あ、そうだわ。」


ふと何かいいことでも思いついたような速水さん。でもその後の速水さんの話は普段自分の気持ちを顔に全然出せなかった部長まで


「あい…本気?」


っと目がまるっこくなるほどびっくりさせちゃいました!

でもその時の私も同じ反応だと思います。だって速水さん、すごく爽やかな顔で


「良かったら皆で放課後にお茶会でもしない?私達の部室で。」


っといきなりすごい提案を言っちゃいましたから!


そういうわけで私はわけも分からず「百花繚乱」の速水さん主催のお茶会にご招待されてしまったのです!

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