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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第5章「夢と茸」
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第186話

いつもありがとうございます!

「本当にやるの…?すみれちゃん…」


あいは私にそう聞いた。


誰より優しくて愛しいあい。肩まで伸ばした透明は白銀の髪の毛と水色の瞳がすごく美しいあいはもはや私の一番の宝物。そんなあいを悲しませるのはとても苦しいだがもう私は自分の心を決めた。


「うん。」


そんなあいの心配にも関わらずもう腹をくくった私は私の腕をぎゅっと掴んでいたあいの手をそっと離してあげた。


「今でも止めよう…!すみれちゃん、絶対怪我しちゃうよ…!」


でもどうしてもこの戦いを止めたかったあいはなんとしても私を諦めさせようとした。


「私がなんとかするよ…!なんとかこんごうのことを説得してみせるから…!」


優しいあい。あいは本当にいい子だ。


「ああ見えてもこんごうって悪い子じゃないから私がきちんと説明すれば…!」


さすがあい。石川とは幼馴染だから彼女のことを何でも知っているんだ。


石川のことは私も噂だけで聞いたから少ないだがちょっとだけは知っている。

彼女は家の事情で親から格闘技を教わったそうだ。ただの格闘技ではなく実戦で人なんかは簡単に殺せる殺人技。才能そのものはそれを教えてくれた父親以上らしい。

でもそれはわざわざ調べなくてもすぐ分かる。石川はただ立っているだけでも人を虫みたいに捻り潰しそうな殺人兵器だった。

何より彼女の力は最大限で発揮される今みたいに怒りが頂点に至っている時こそが一番危険だとあいは私を諦めさせようとした。


でもここで引くわけにはいかない。昨日石川から申し込んだ勝負。私は石川のためにその何も言わずその勝負を受け入れた。これが本当に彼女から望む道なら私はそれを一緒に歩いてみせると思った。

でも少し本音を言わせてもらえばやはり私は戦いたくなかった。


「ありがとう、あい。でもやっぱりこれしかない。」


そう言った私はやっとあいの傍から離れて石川の前に向かい立った。


「人食い」と呼ばれた鬼はよく喧嘩好きってイメージが付くのだが本当はそれはただの偏見に過ぎなかった。

私達はただ鉄を叩いてものづくりが大好きだった鍛冶屋の末裔。私達はただ私達が作ったものが人々の生活をもっと豊かにできればそれで十分だった。私達の手はただ人のためのもので決して人を殴ったりするために振り回してはいけないものだった。


戦うのは嫌い。痛いから。殴っても、殴られても痛いから。血も出るし怪我しちゃうから。私も石川も普通の種族より何倍も力が強いからあたったらきっと歯が欠けちゃうかも知れない。でも何より一番痛いのは多分殴り合っている私達を見ているあいの悲しい顔だと思う。

だから戦わなければならない時があっても私はなるべく会話で解決したかった。ちゃんと話し合って戦ってもすぐ仲直りできるそういうのにずっと憧れていた。

みらいのところに入った1年生の虹森みたいに私だってちゃんと言葉で誤解をといたかった。

でも私は口のうまい人間じゃなかったから結局余計に相手を煽ってしまった。深く反省はしている。こんな未熟な私自身に腹が立つ。でもどうすればいいのか分からない。ごめん。


人と交わるのがすごく苦手で口の数が非常に少ない無口な種族。体は大きくて顔はいつも怒っているように怖そうだから皆私達のことからずっと離れていた。

相手してくれるのは同じ種族の「影風」の「青鬼」だけ。もし彼らが手伝ってくれなかったなら私達は今もあのどす黒い工房の中にずっと引きこもっているばかりだろう。

でも私達は心の底からは誰よりも皆と仲良くなりたいと思ってた。困っている人がいたら全力で手伝ったあげたい。私達はずっと皆にこう話したかった。


「私の友達になってください。」


っと。


美味しいお菓子も、お茶も沸かしておいたから遊びに来て。私達は怖くない。私達はただ皆と仲良くなりだけなんだ。


でも私は一体どこから間違えてしまったんだろう。どうして君をそんなに追い詰めてしまったんだろう。


「準備はいいだろう。鬼。」


分からない。不器用で人と交わるのがびっくりするほど苦手な私なんかではもはや分かる道もない。

でもこれで君が自分を納得させられば私は喧嘩でも何でもするよ。これで君が背負っている荷を少しでも降ろせるのなら私は喜んで戦う。


でも石川。私は一方こう思ってしまうんだ。


「いい。始めてくれ。」


私と似た君ならきっといい友達になれたかも知れないっと。同じくあいのことを大切にしている私達ならきっといい友達になれるのではなかったのかっと。


***


「こんごう…お願い…」


あいは私にそう言った。


誰より優しくて愛しいあい。肩まで伸ばした透明は白銀の髪の毛と水色の瞳がすごく美しいあいはもはや私の一番の宝物。そんなあいを悲しませるのはとても苦しいだがもう私は自分の心を決めた。


「ごめん。」


そんなあいの心配にも関わらずもう腹をくくった私は私に向けてあいの視線から目をそらしてしまった。


「こういうの、もう止めて…」


でもどうしてもこの戦いを止めたかったあいはなんとしても私に考えを直して欲しいっと何度も願い続けた。


「すみれちゃんも、こんごうも私にとって大切な人だから…どっちも傷つくの、やっぱり嫌だよ、私は…」


優しいあい。あいは本当にいい子だ。


「私が全部説明するから…すみれちゃんだって本当はやりたくないって思っているから…二人共、このままじゃ本当に…」


さすがあい。灰島と付き合っているから何でも知っているんだ。


灰島のことは私も前から聞いたからは大体は知っている。

あいつの家はこの世界に住んでいる人なら誰でも知っている大企業「灰島」。その「灰島」の跡取り娘として育ったあいつは何でもできるいわゆる完璧超人だった。勉強も、運動も何でもできる皆から敬われる雲の上の存在。

でもそれはわざわざこっちから言わなくても分かる。一目で分かってしまう。灰島と私は住む世界が違うって。

あいつは皆に囲まれて愛される明るくて幸せな人間。対して私はずっと自分を閉じ込めてこれからもたった一人で歩いて行かなければならない暗くて憂鬱な人間だった。

あいつに手を出してしまったら以後、私の社会への復帰は不可能だろう。


でもここで引くわけにはいかない。昨日灰島に申し込んだ勝負。私は私のためにでもあいつに勝負を挑まなければならなかった。これで私はこのことにけじめを付けられるだろう。

でも少し本音を言わせてもらえばやはり私もまた戦いたくなかった。


「ごめん、あい。でもやっぱりこれしかない。」


そう言った私はやっとあいの傍から離れて灰島の前に向かい立った。


(クレイジー)金剛(ダイヤモンド)」とか派手なあだ名で呼ばれていても私はあまり争いから喜びを求めるタイプの人間ではなかった。

私はただ筆で自分が見ている、そしてあいが思っている世界一の美しさを紡ぎ出すのが唯一の喜びであるへっぽこの絵好きだった。私の手はただあいが喜びそうなものを描くためのもので決して人を殴ったりするために振り回してはいけないものだった。


戦うのはくだらない。特に自慢の話ではないだが私は生身の戦いで負けたことはたった一度もなかった。だからそれがどれほど愚かな行為なのか人の口を借りてなくても私自身が一番知っていた。そんなことで何でも解決できたら多分「神樹様」はこの世界に現れてなかったんだろう。

何より喧嘩している時の私を見ているあいの顔があまりにも苦しそうに見えたから喧嘩は嫌だった。


だから私はなるべく相手が逆らう気も出せないように予め手制圧してしまうタイプだった。誰も私の領域を荒らせないように力の差を見せつけて徹底的に圧倒してきた。

私から他の人間の縄張りに入ることも、他の人間が私の縄張りに入ることも絶対許せなかった。

これは私のそういう生き方が招いたこと。だから私はこのことについてだけは自分を責めることも、後悔することもしなかった。


人と交わるのがすごく苦手で口の数が非常に少ない無口な種族。体は大きくて顔はいつも怒っているように怖そうだから皆私達のことからずっと離れていた。

それでも構わなかった。私達は「森の守り人」。ただ石と岩のようにそこで黙ったまま受け入れて生きていけばいいことだった。

相手してくれるのは「黄金の塔」の中でも「霊」のあいだけ。もし彼女が手を引っ張ってくれなかったなら私は今もあのどす黒い部屋の中にずっと引きこもっているばかりだろう。

だから私達は心の底からはあい以外は誰も必要ないと思ってた。困っている人がいても私とは関係のないことだと、ひたすら自分自身とあいのために生きてきた。私は私にいつも近づく人に向けてこう言った。


「私に話しかけるな。」


っと。


お前らのために描くのも、お前らのためにここにいるのではない。私は要らない。私とあい以外は全部くたばりやがれと思っていた。


でも私は一体どこから間違えてしまったんだろう。どうして私はここまで追い詰められているんだろう。


「準備はいいだろう。鬼。」


分からない。今までずっとそう生きてきた私にはもはや分かる道もない。

でもこれで私は自分を納得させられると思った。これで私はずっと一人で背負っていた荷を少しでも降ろせる。そのためなら私はあいの前でお前をぶち殺してやる。


でも灰島。私は一方こう思ってしまうんだ。


「いい。始めてくれ。」


私と似たお前ならきっといい友達になれたかも知れないっと。お前が鬼ということとあいのことのことさえなかったならお前は私のことを理解してくれるあい以外の初めての友達になってくれたかも知れないっと。


***


どうして私は二人のことを止められなかったんだろう。


「それでは始めさせていただきます。」


もし私がきちんとこんごうと話し合ってみれば…


「「石川金剛」様、及び「灰島菫」様の退学を賭けた一本勝負。」


こんなことには…


いつもこうだった。ただ家から教わってきた方針で自分の存在を定めていた。私が何を考えているのか、何も自分の意志で決めたことは殆どなかった。私はただ家の地位でここにいるだけ。私は自分が選択することからずっと逃げてばかりだった。


いつもこう周囲に流されるばかりだから何もかもうまくいかなかった。もっと自分が積極的で前に出て自分の好きなことや自分の考えを自分の口で言えたらこんなことにまではならなかったかも知れない。


青葉さんの時もそう。青葉さんが取ろうとした方法が間違っているのを知ってたけど自分から何か方法を出すのが怖くて何も言えずに青葉さんの過ちに従ってしまった。

私はただ喧嘩だけが取り柄の紙人形に過ぎないから…何も自分では考えないから…


だから自分の意志で好きになったすみれちゃんのことが大切だった。今までたった一度もなかった鮮やかで胸が舞い踊る気分。すみれちゃんのことを知った時、私は初めて「幸せ」という感情に包まれた。

でもそれは幼馴染のこんごうも同じだった。


森の中から迷っていた私を見つけて家まで送ってくれたこんごうは私の初めての友達だった。自分の意志で友達になった初めての人。何があってもこんごうだけはずっと私の味方になってくれるっとたった一度も疑ったことはなかった。


そんな大切な二人が私の弱い心のせいで退学を賭けて争うことになった。ひたすら相手を倒すために闘争の日を燃やしている。

このまま戦いが始まってしまったらきっとどちらは学校を去ってしまう。あの二人とずっと一緒にいられると思ってた私はそれがただひたすら悲しくて辛かった。


「制限時間は限りはございません。どちらの方が倒れるまで殴り合う極めてシンプルなルール。負けた方はこの学校から離れて二度とこちらには近づかない。お二人様、これでよろしいでしょうか。」


でもこの人が来てしまったらもう引き返すことはできない。私は今日立会人として二人の間に立っているあの仮面の女を見てもう戦いを止めさせることを断念してしまった。


陽炎(選挙管理委員会)」の頭領(選挙管理委員長)「荒沼蘭」。2年生のくせに体から放たれるオーラはまるで地獄から這い上がった修羅でも見ているように禍々しくて限りなく不気味だった。

「絶対中立」の名の下で行われる全ての行動は今後、絶大的な効力を発揮、変わることは一切ないだろう。それほど二人は本気ということだった。


「うん。構わない。」


迷わず同意してしまうすみれちゃん。私に気遣わせたくないようにあえて私の方は見てないすみれちゃんだが多分それだけでなない。


「すみれちゃん…緊張しているんだ…」


彼女とずっと一緒だった私には分かる。無口で自分の気持ちのことはあまり話さない彼女だったが私には目を見ただけで分かることだった。

すみれちゃんはこんな私のためにあんなに緊張するほど真剣にこんごうと向き合っていた。


そんなすみれちゃんを見つめ合っているこんごうも同じく真剣そのものの顔だった。二人にとってこれは決して引けない戦いということを私は辛くなるほど実感してしまったた。


「いや、条件追加だ。」


ふと荒沼さんの話を防いで何か言い出そうとこんごう。私はその姿からただならぬ不安を感じてしまった。


「今日負けた方は今後、あいとの関係を一切なかったことにして二度とあいには近づかないようにする。」


無感情な顔。今日のこんごうはとことん自分を追い詰めようとしていた。

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