第164話
本日で初めての投稿から1年になりますた!これも全て皆様の応援のおかげです!誠にありがとうございます!!
お伝えあげたいことは本当にいっぱいなんですがなんかうまくできないのでもっと頑張って応えますのでこれからもどうかよろしくお願いいたします!
いつもありがとうございます!
初めては厳しかった。諦めたいと一日中にも何度も思った。
ちゃんと実力でオーディションに受かっても神界のぼんぼん育ちのお姫様がただの遊び気持ちでチャラチャラしているだけだと思われて誰も私の相手してくれなかった。
ただ見た目がいいからいけるだけとか自分達とは違って飽きちゃったら家に戻ればいいのではとか、色んな考えが見たくもないのに流れ込んでしまったそれが私をますます苦しめた。
プロヂューサーからの提案で組んだ初めてのユニットもあまりうまくいかなかった。皆はただ私の「お姫様」という立場で注目を集めているだけと思ってあまり協力してくれなかった。ちゃんと実力で見返させてやるっと歯を食いしばって朝から晩まで毎日練習した。
私個人敵には練習室を使わせてくれなかったのでクーラーもついてない部屋で一人でこっそり練習したせいで夏には熱中症で倒れた時もある。もちろんプロヂューサーに話したり「心理支配」と名付けた自分の能力で頭の中をちょっといじったら楽だったがなんだかその時の私は後でこのことまで全部含めて後悔させてあげるっと変な意地を張っていた状態であった。
その後は皆も私の頑張りを認めてくれたのかちゃんと私をメンバーとして構ってくれたが中学生になってやっとできそうだった初ライブの前に事務所の社長が横領で掴まれてしまって私の初めてのアイドル活動はそのまま潰れしまった。
結局事務所は廃業、皆はバラバラになって元の生活に戻ったり、他の事務所に移籍したりそれぞれの道を歩むことになった。
でもその中でアイドルを続けるのは私だけだった。
事務所が潰れた後、私は路上ライブと地下アイドルの活動を学校生活と両立した。そこからの生活もやはり楽ではなかったが私は自分が頑張れば頑張るほどの成果はちゃんと報われた。最初は私の出身による偏見を持っていた人達だってちゃんと私の努力を認めてくれて少ないだが少しずつファンの方も増えてきた。
純粋に嬉しかった。私が皆のことの力になるのが、皆が私の力になるのが。出身も、種族も超えた皆が私の歌で一つになってゆくのがとてつもなく嬉しかった。私はその時、少しみらいちゃんの気持ちを理解することができていた。
もちろん何もかも一人でこなすのは大変だった。振り付けも、作曲も、衣装も全部一人で考えなければならなかった。孤独で泣きたく時も散々あったがその度、
「アイドルが好きです。」
月光の下から笑っていたあの子を思い出しながら必死に堪えた。
ななはよく私のことを「生まれつきのアイドル」と言うだがそれは違う。私はアイドルというのには全く素人で音楽だってただ皇女の嗜みとして学んだことすらなかった。散々しくじってきたし今まで何度も投げ出したかった。
でもあの子との思い出がある限り私は絶対諦めなかった。いつかあの子の隣にふさわしいアイドルになるために。
「Fantasia」という地下アイドルになってから随分時間が経った私は偶然大型プロダクションの関係者の目についてそこでデビューすることができた。そこからは調子はノリの乗ってまさに快進撃の連続。ずっとあの子を思いながら書いた曲「Peach」が駆け出しの新人にも関わらずチャート1位になってメガヒット達成、やがて私、セシリアは「Fantasia」という立派なアイドルとして大ブレイクした。
その頃、私は自分の脳力のことをもう隠さないように大々的にマスコミから打ち明けた。私には皆の考えが見える、そして私はそれを操れるっと。でも私は決してこれまでたった一度もこれを私個人の私欲に使ったことはない。これは私だけの皆の力になれるように神様から授けられたものだっと。
最初は大事になりそうだったが時間が立つほど以外に皆は素直に受け入れくれた。皆は私のことをただ一人のアイドルとして認めてくれたということを分かった時、私はもっと皆のために歌いたいと思い込んだ。
忙しい時だった。音楽番組からバラエティー、時にはドラマまであらゆるところから呼ばれて寝る時間まで惜しんでもっとたくさんの皆に私を知ってもらうために必死に働いた。人気はますます上り続けてもはや同年代のアイドルの中では肩すら並べられる子はいないっというものまで言われるほど「Fantasia」はのりの乗りまくりだった。
ついに私はお姉様からおっしゃった「女王」というものと呼ばれるほどアイドルの頂点に至ることができた。
でもその場に至ってもあの子は決して見つからなかった。ライブツアーで全世界を回っても私のライブからあの子を見つけ出せなかった。あの子は結構目立つタイプだったから事務所に頼んで探してみたが全部無駄なことだった。
だから高校に入ってあの子と再会したことは本当に奇跡だった。あの子はいくら私が探しても決して会えなかったから。
将来のため入学した「世界政府付属第3女子高校」の新入生代表として私と共に壇上に上がる君を見た時、私は涙まで出てしまうほど嬉しかった。あの頃の私のみらいちゃんはちゃんと大人になって私の前に現れたから。
ふわっとして優しさがいっぱい詰まっている桃色の髪、緊張でそっと染まっている愛らしいほっぺ、汚れのない清い目。何よりそこにいた皆の視線を独り占めしてしまうバカほどでかいおっぱい。君はその時と何の一つも変わってなかった。
今でも飛び出して抱きしめたいくらいその時の私は本当に嬉しかった。
「おはよう!」
入学式が終わった後、私は体力もないのに息を荒らすほど君のところに駆けつけた。クラスは違ったがそれでも私は自分を保てないほど浮かれていた。二度と会えないと思った君がこうやって私の前に現れたから。
いっぱい話したかった。今まで私がどれくらい頑張ってきたか、君のおかげで立派なアイドルになって私を最初に君に教えてあげたかった。君に喜んでもらいたかった。
でも私はこの子との思い出をずっと秘めていたその同時に決してそのこともまた忘れなかった。
「あの…!「Fantasia」のセシリアさんでしたよね!」
君はある周期を持って全ての記憶を失ってしまうって。
目を輝かせて私を見ている君の目はあの夜と変わりもなく可愛くて愛しかった。
しっとりして透き通るように冴えて清らかな目。でもその目は胸が張り裂けそうな悲しみにすぐでも崩れそうに痛かった。
君の目を見た瞬間、私は気づいてしまった。君は私とのことを忘れたのではない。君はいつか君が言ったとおり全ての記憶が消滅されていたということを。あの月光の下から交わした約束も思い出せない君のことを私は無力に見つめるだけだった。
私はただひたすらその名残すらない消失感に挫けそうだったがそれでもアイドルとしての私を知っている君のことに感謝していた。
「私のことを知ってるのかしら?そうよ?」
でも心配しないで。私が約束したから。
「私は「セシリア」!君と同じ特待生!」
君が覚えられなくても私が絶対覚えるって。私が君を治してやるって。
「みらいちゃんだったよね?これからよろしくね?」
だから君は何も心配しなくてもいい。私が君を守ってあげるから。いつでも君と一緒にいるから。
その後は楽しい高校生活だった。少し大げさかも知れないが私個人的には人生で一番楽しい時間ではないかと思った。
例えお姉ちゃんも探せなくて未だに家には戻らなくてもみらいちゃんと一緒ならそれこそが天国で私だけの楽園だった。
私がいくらいたずらしても君は笑ってくれたし、一緒に話し合いながらお昼でもしていると私は真の幸せというのまで感じてしまった。ずっとこうした、私に時間を操れる能力があったらこの時間をいつまでも引っ張りつけておきたかった。
「これ、私が焼いてきたクッキーです。後で食べてくださいね?」
「本当?ありがとう~」
忙しかった私のためにお弁当やお菓子などを用意してくれたみらいちゃん。時々現場まで訪ねてステップ達の分まで食事や差し入れを持ってきてくれたみらいちゃんは既に事務所の皆から「最高の新婦候補」と呼ばれるほど可愛がられている存在だった。
プロヂューサーだって
「みらいちゃん、なんとしてもうちの子にしたいんだよな。」
っていつも私になんしても連れてきなさいっと言ったけどあいにく本人には本人なりの考えがあったから結局私と一緒に仕事はできなかった。私的にもできればみらいちゃんと一緒にしたいだが強いるのをあまり好きじゃない性格だからそのままみらいちゃんの意見を尊重することにした。
みらいちゃんは人にうまく馴染めない子だった。いや、正確に言うと皆がみらいちゃんのことをあまり気安く受け入れられなかった。これは多分私にも明かさなかったみらいちゃんの出身のせいだろうっと私はなんとなく感じていた。いくら経っても私に何も言ってくれなかったあの子に少し寂しい気持ちもあったがそれもまた彼女の理由だと思ってやむを得ず納得してしまった私だった。
だから私はいつも一人だったあの子のためにかつてエミリアお姉ちゃんが私にやってくれたように色んな友達をあの子に作ってあげたり、私の代わりにみらいちゃんがアイドルができるように手伝ってくれる「同好会」のことも紹介してあげた。最初はうまくいけるか少し心配もしたが案外みらいちゃんは同好会によく馴染んでそこでアイドルを始めた。
うみちゃんとのことは本当に残念だった。せっかく入ってくれた大切な後輩ちゃんがあんな事件に巻き込まれてしまって…その時みらいちゃんがどれほど悲しんだのか今もはっきり覚えている。
やっと入った新入部員があの魔界最高の天才女優「伝説の歌姫」「青葉海」ということを知った時は本当に驚いたが一番気にしていたのは
「ああ…♥今日も素敵…♥」」
まさかあの「青葉海」が私と同じくみらいちゃんを狙っていたということだった。無論向こうも私のことをかなり意識していたからその頃から私とうみちゃんは人生に現れた一大のライバルというのには間違いなかった。
その頃、私は「Fantasia」の新メンバーの件でまた忙しい時間を過ごしていた。事務所からは今までみたいに一人でやっても十分ではないかと言ったが私は最初からみらいちゃんの「皆と仲良くアイドル」ということのためグループ活動を考えていたから独自な判断で新メンバーオーディションを行うことにした。
仕事の殆どを私の自律性に委任していた事務所は幸い私のワガママを受け入れてくれて全国規模で盛大なオーディションを開催、そこで見つけたのが今のななと…ルルであった。
「赤城奈々」。くるっと巻いた赤いツインテールがすごくお似合いだった小さくて愛らしい「吸血鬼」の女の子。今年第3女子校にあのうみちゃんと一緒に音楽特待生として入学したななはその堂々とした威厳と誰にでも曲げない高いプライドは孤高して誇り高く輝いているとても素敵な女の子であった。
「赤い3家」の一人で魔界の名門「赤城家」の次期当主で世界的なピアニストとして全世界を回って活躍していた彼女が「Fantasia」のオーディションを受けるために私の前に立って時、私はつい彼女の深い悲しみを見てしまった。
大好きな幼馴染の「かなちゃん」に一緒にアイドルをしようと誘われたが何らかの事情で彼女と一緒にできなくなってしまったななはひたすらあの子を振り向かせるために一人でアイドルをやろうとした。
「別にここではなくても構いませんわ。」
それが私と初めて合って言ったななの最初の一言だった。でも私はそれを聞いたにも関わらず後でななに合格サインを出しあげた。
この子にアイドルのちゃんとした楽しみを教えてあげたい、私がみらいちゃんを思ってアイドルを始めたようにこの子だってあの「かなちゃん」という子のためアイドルを始めたからちゃんと導いてあげたい。私はななに妹みたいな感情まで感じていた。
もちろん実力的にもななは圧倒的だった。歌、リズム感、振り付け、何もかも申し分ないくらい完璧だった。人と話すのはちょっと苦手な子だったけど根はとても優しくていい子だったからそれも含めて彼女のメンバーとして認めた。事務所からも魔界ではうみちゃん並の有名人だったあの「赤城奈々」がメンバーになるのにあまり不満はなさそうだったのですぐオーケーしてくれた。
ルルの時は…うん…今思い出してもやっぱりちょっと手強かった。なんと言ってもあの子には何の情報も、私の能力も効かなかったから。
一体どこから来たのか、何が目的なのか、何一つも掴めなかったので私は思わず彼女に恐れの気持ちまで抱いてしまった。精神はまるで果もなく広がっている宇宙のようにこうかつで広闊で未知のものに満たされている。今までそのような人間は見たこともない私に彼女の存在は文字通り不可抗力の「未知なる恐怖」であった。
写真でしか見たこともない星を崩して撒き散らした銀河のように微光が漂う真っ暗な髪の毛をお団子の形で丸っこくして一度見ただけで圧倒されるヌミノーゼの目で私の眺めていた彼女は
「Meは「宇宙人」なんだ!」
いきなり私達の前ですごい発言をした。
その時のルルが何を考えていたのかは今も分からない。未だに私には彼女の頭の中が見えないから。でもその弾けて無邪気なキャラや実力だけは本物だった。荒削りの感じも少なくないだが皆のために何かしたいという気持ちだけはちゃんと届いた。
それになんと言っても「ロリ巨乳」だったし…実際デビューの後、確実にルルは相当人気があった。グッズもいつも真っ先で売り切れだったから。
でもその時、私は確かめなければならなかった。あの子が思っている「皆のため」ということが一体何なのか、そのためならこの子はどれほどあくどくなってしまうのかを。




