第141話
ブックマーク1名様誠にありがとうございます!どんどん書きまくります予定なのでお楽しみにしてください!
N1の結果は合格でした!初めての日本語の試験だったのでとっても緊張していましたが幸い140点で合格できました!努力した甲斐がやっと少しだけ報われた感じです!皆様の読み続けてくださって応援のおかげです!
これからも楽しく書き続けたいです!その時もどうかよろしくお願いします!
いつもありがとうございます!
「それではこれを持って今週の職員会議を終了させていただきます。皆様、お疲れさまでした。」
会議の終了をお知らせする進行役のセシリアとなな。「プラチナ皇室」のセシリアにも、「赤城家」のななにもこの有数の名門校の職員会議は後学のためのいい勉強になったので彼女達はいつも自ら進んで進行役を務めていた。
「お疲れ、なな。」
「会長もお疲れさまでしたわ。」
書類をまとめて会議室を出る関係者達を眺めているセシリア。その中で一番彼女の目を引くのは
「お疲れさまでした、理事長。」
全職員達に囲まれて見送りを浴びていたこの第3女子校の新理事長「朝倉色葉」であった。
長く延した溢れるような豊富なボリュームの真っ白な髪。腰の方に付いている羽。何より物事を全て自分の計算に入れているような黄金の瞳。今、少しずれた眼鏡を立て直せている彼女こそこの時代に残っている最後の「神族」、第3女子校の新理事長「開闢」の「朝倉色葉」であった。
「神樹様」の出演以前は現存した神の一族として全ての種族から崇められていた彼女の一族だったが「神樹様」によって平和の時代の到来以降彼女の「神族」と兄弟たるものである「魔神族」は自分達のこと神聖性を彼女にもろに譲った後、自分達を崇めていた種族達と共に社会の一員として行きていくことにした。無論今もその尊厳性は絶たれずに後代の人々にまで継がれているだが彼女自身はもうとっくに昔のことだったのでそんな扱いはあまり嬉しいのではなかったので
「だからそんなに皆で恐れ入りますってするな。」
っと控えさせた。
かつて「ロシアンルーレット」の「紫村咲」、「鬼丸」の「影風凜花」と共に各世界の代表として争った「空間転移」の権能が得意だったいろは。だが彼女は「桃若響」と呼ばれていた大切な後輩を失った後、明らかに変わってしまった。
そしてその全貌を知っていたセシリアは無茶苦茶な方法で今回の派閥争いをそそのかした彼女のことを憎みきれないような複雑な気分になって哀れな目で眺めるだけであった。
「会長?どうかされましたの?」
っとぼーっとしている自分に何かあったと聞いてくるなな。
「ううん、なんでもない。」
やがて彼女から目をそらしたセシリア。不意に彼女は自分が思ってもこれはさすがにまずいかもっと思わせる質問をななに向けた。
「あのね、なな。ちょっと聞きたいのがあるんだけどいいのかしら。」
「はい。」
珍しいですわねっと顔をするなな。
「もしもなんだ。もしもの話なんだから誤解しないでね?それにまず謝っておくから。ごめんね?」
「何ですの?本当…分かりましたわ。」
まだ話もしなかったのに予めで謝るセシリアのことを変な人っと見つめるなな。普段もそうだったがななはセシリアのことを全く読めない変な人だと思った。
「もしかなちゃんが誰かによって大きく怪我をしちゃったらどうするの?二度とベッドから起きられないほど大きい怪我をしてもうななの名前も呼ぶことができないほどにね…?」
少し不安な顔になってななの顔色を伺うセシリア。彼女はこういう質問の場合、向こうから出る反応のほとんどのことをよく知っていた。特にななの場合
「…相手が誰だろうとあの人に傷一つでもつけやがったら容赦なく全部皆殺しして差し上げますわ…」
っともしもの状況にさえ震えた。
「…全部探り出してずたずたにちぎって差し上げますから…生きている間、舌もむしり取って、目玉も掘り出してあげましょ…いい音を聞かせてくれるはずですわ、きっと…」
「あ…うん…やっぱりごめんね…?」
やっぱり余計なことを聞いちゃったと後悔するセシリア。普段冷静で落ち着いているななだがかなのことになると人格がひっくり返す彼女だった。
「でもどうしてそんなことがお聞きになさりたいんですの…別に愉快な質問ではありませんから次からは謹んでいただきたいんですわ…」
「本当にごめんね…?多分私もそんな状況になるとそうなるんじゃないかと思ったけどななはどうかなってね。」
「くれぐれも緑山さんの前ではそういう話はなしの方でお願いいたしますわ…わたくし、あの人がこの学校で一番怖いですから…色んな意味で…」
「そうね…心がけておく…」
その話にセシリアは今、ほんの少し想像してしまったその状況に心底から恐れていた。
「ただすごいなって思ってね。うちの理事長さんも、紫村さんも。ああなるのも仕方ないかな。」
「会長?」
やがて会議室から出てしまったその真っ白な羽の背中を見ながら哀れな口調で呟くセシリア。それを見てななは首をひねていたが彼女から何も聞くことができなかった。彼女はただすこく寂しくて哀れな目で自分の意思とは関係なく修羅の道を選んでしまった過去の神様を見ているだけだった。
***
「なるほど…つまりこれって黒木さんから作り出した夢の世界ってやつですね。普通に過ごしていたから全然気づかれませんでした…」
「そういう仕組みですから。」
今回のことついて説明したクリスちゃんの話をよく聞いた後、なんとか納得したような顔でうなずく火村さん。飲み込みが早くて助かりましたがよく納得しますね、火村さんって…私はそろそろ慣れてきたから少しは平気になったんですが…
「みもりちゃんのちん○♥」
やっぱりこんなの耐えきれるわけないですよ!!
「だから先からずっと緑山さんも、黒木さんも虹森さんの下の方に目が釘付けになったんですね…」
「やだ!バレていたんですか!」
今更恥ずかしがっても意味あるの?それ…
「でも残念ですね。せっかく虹森さん、緑山さんとお友達になったのに現実に戻るとまた知らない間になっちゃうなんて…」
って寂しそうな顔で名残惜しむ火村さん。でもそれは私やゆりちゃんも同じです。せっかくいい友達になったから外でも仲良くしたいのに…
「それなら心配しなくてもいいです。それくらいの範囲なら覚えさせても大丈夫ですから。」
「本当に!?」
「はい。いい友達を作るのは「神樹様」のお教えですから。」
っと爽やかな笑顔で私達のお願いを聞いてくれるクリスちゃん!ありがとう、クリスちゃん!
「いえいえ。私の方こそ後でみもりちゃんに感謝しなければなりませんから♥」
私に何をさせる気だ、このサキュバス目!!
「でも皆でお喋りしている間にもう1時間目がそろそろ終わりですね。時間の速さって意外にあっという間のものでした。」
楽しい時間は普段よりもっと短く感じられるものって言いながらすっごく惜しんでいるゆりちゃん。その姿から私はなんとなく一回り成長したゆりちゃんを見つけられました。
「変わったね、ゆりちゃん。」
昔からゆりちゃんって他の子達と仲が悪かったのではありませんでしたが何か私以外はどうでもいいって感じでしたけど最近のゆりちゃんは何かすっごく変わった気がします。昔よりよく笑ったり、皆ともっと仲良くなったりして。
これも全部クリスちゃんのおかげかな。クリスちゃんのおかげでゆりちゃんももっと周りのことが見えるようになったから。本当にありがとう、クリスちゃん。
「いえいえ。みもりちゃんも、緑山さんも私にとってはとても大切な憧れですから。お役に立てて何よりです。」
なんといい子なんでしょう、クリスちゃんって…やっぱりちゃんとしたお礼がしたいんですが私なんかにできることなんてあるのかな…
「そんなに気にしなくてもいいのに…でもどうしてもお礼がしたいっとおっしゃいましたら今みもりちゃんが履いているパンツが欲しいですね。」
「なんで!?」
クリスちゃん、この世界では本当にゆりちゃんっぽい…まあ、別にいいけど…
「そこは大丈夫なんですね、虹森さん…」
あ…あれ?なんでそんな目で私のことを見ているの…?火村さん…
「…私も最近少し気づいたんですがみもりちゃんって案外そういうのあっさり渡したりするんですよね…もしかして趣味なんですか…?」
いつも力で脱がせ取っちゃうゆりちゃんがそれ言っちゃうの!?あるはずないじゃん、そんな趣味!?
「そ…そりゃ確かに何も履かずにタイツだけで歩き回るのはスカートの中がスースーしてちょっとスリルもあるしバレちゃいそうな時はぞくぞくする気分もあるけど私は別にそういう…!」
「みもりちゃん…♥」
だからそんな目はやめてくれってば、火村さん!!っていうかゆりちゃん、何だ、そのうっとりした反応!!
「お見事です…♥」
褒めるな!!
「まあ、みもりちゃんの新たな性癖は後で私達が面倒を見てあげることにしてまずは次の授業の準備からですね。次の授業って確か…」
っと次の授業のことを確認するゆりちゃん。って性癖じゃないってば!!
「早速石川先生の歴史の時間ですね。みもりちゃんの大好きな科目です。」
「そうでしたね。実は私も結構好きです。魔界の歴史は大体覚えていますが他の世界の歴史はまだ知らないところが多いですから。」
「そうなんだー」
まあ、見た目通りにクリスちゃんって勉強とか結構得意っぽいだし当たり前かも。私も勉強ならそこそこうまいですがさすがに超優秀って感じではありませんからあえて言う必要はないでしょ。
「そういえば火村さんってあの「火村紅丸」先生の娘さんだって言ったよね?「力の理論」科目の。」
「はい。元火消しで消防庁で勤務していましたが推薦でこの学校の教師になりました。私にとってとても誇らしいお父さんです。」
火消しっていうのは昔の消防活動をやっていた人達のことを言います。今では「消防団」っと言えますね。今の時代に至っては全部まとめて消防庁のもとで運営されている組織なんですが地域によってはまだその呼び方で呼んでいるところもあるらしいです。
戦闘的な性質を帯びている組織のではありませんがそっちも世界政府の「平和維持軍」に肩を並べる超エリート組織ですから戦闘に入ると負けることはほぼないって言われました。
「主な仕事は人命救助ですが世界にはまだ「大家」みたいな極端的な差別主義者が残っていますから。いつ戦いが起こるか誰も分からないので日頃から…」
「ちょ…ちょっと火村さん…!」
話し途中の火村さんのことを慌てて止めようとするゆりちゃんとクリスちゃん。
「は…はい?」
急に慌てて自分の話を一時止めようと二人のことを戸惑った顔で見つめる火村さん。でも私は二人が何のために火村さんの話を塞げたのか既に知っていました。
おそらく二人は今の火村さんの話の途中、出てしまったその家のことを気にしてたんでしょ。冷酷で野蛮的ないびつな人間中心の主義を抱いているこの世から一番歪んでいる集団。私にとって決して忘れない嫌な思い出…そして私がこの世界で一番怖がっているあの家のことを。
でも私はもう大丈夫です。二人がそんなに心配しなくても私はその家のことを気にしていないから。
私のことをこんなに気にしてくれるなんて、さすがゆりちゃんとクリスちゃんです。
「なんだーそんなに気遣いしてくれるのなら私のパンツとか盗むことから止めてよ。」
「みもりちゃん…」
っと言ってもやっぱり気になるのは仕方ないようですね。こんなに心配している様子を見るとよっぽどその家のことを気にしているようです。
でも本当に大丈夫ですから、その家のこととか。それに私、この前、ゆりちゃんを探しに行ったあそこで出会った薬師寺さんを見て何かちょっと分かった気がします。私がこの世界で一番怖がっていた御祖母様並で恐れていた薬師寺さんでしたがあの人って実はそんなに悪い人ではないかも知れませんって。理由はよく分かりませんがとにかくそう感じてしまったんです。
「それに今はゆりちゃんも、クリスちゃんも傍にいるから。だから私はもう怖くない。」
心配している二人にそう言ってあげた私はこの時、初めて自分の過去のことを昔すれ違っただけのことに過ぎないって思いながら火村さんにそのことについて話すことができました。




