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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第5章「夢と茸」
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第138話

いつもありがとうございます!

結局この時間が来てしまいました…


「はい、みもりちゃん♥早く着替えましょう♥次はお待ちかねの体育の時間ですよ♥」

「今日はなんとマラソンの練習だそうです♥日も暑いし、いい汗がたくさんかけますね♥」


めっちゃ盛り上がったテンションのゆりちゃんとクリスちゃん。

結局この二人は昼休みが終わるまで教室に来なかったので私は仕方なく一人でパンでも買いに行きました。本当は学食に行きたかったんですが


「虹森さん♥」


って感じでこの棒の魔法に掛かっている皆からそんなうっとりした目で見られながらには到底落ち着いてご飯なんか食べられません…

この二人、本当に最近になって仲がいいですね。昼休みの間二人っきりで一体何の話をしたからあんなに遅かったんでしょうか…っていうかじゅるりっとよだれまで流しているところを見るとよっぽどこの時間を待っていたようです…


「何だったら私達が着替えさせてあげましょうか♥あ、でもうっかりして挿れちゃっても許してくださいね?」


何を!?


「そうですよ、みもりちゃん♥そんなの、ただのお友達の間の軽いスキンシップなんですよ♥」


だから何が!?


「はあ…」


憂鬱…よりによってなんで今日みたいな日にマラソンの練習なんかが…楽しみにしているゆりちゃんとクリスちゃんには悪いんですが今日の私の一日はずっとこんな感じでブルーな一日です…朝の授業だって…


***


「おはよう、皆!今日の一日も元気に、楽しく過ごそう!」


なんとかその混沌の森から間に合わせた朝の授業。そしていつものように皆に明るく挨拶してくれる担任の「石川ダイヤ」先生。


「実は先生ね?昨日、家の帰り道でナンパされちゃったんだよーまだイケてるって証拠かな?こんなにおばさんなのに。」


っと軽い話で朝から皆を笑わせてくれる親しい歴史担当の石川先生。

本人はいつもおばさん、おばさんっておっしゃっているんですが石川先生の「ゴレム」は見た目からではあまり時間の流れを感じられないから今もこんなに明るくて元気な若奥さんです。っていうか生徒にそんな話しちゃっても大丈夫ですか!?


川の小石のようにすべすべで真っ白な肌。風に靡くゆらふらな長い白髪。娘さんと知らされているあの「百花繚乱」の副団長、「美術部」の「石川金剛」さんと本当にそっくりな美人の石川先生は両親が歴史に関するお仕事をしている私にとっていつもお世話させていただいている方です。

娘さんの石川さんは本当に気まずくて難しい人なんですがお母さんの石川先生はいつも生徒の悩みを真剣に聞いてくださるまさに教師の亀鑑!

まあ、時々皆の発育の確認をしたいって体を触ったり後ろから抱きついたりちょっと激しいスキンシップを掛けたりしますがそれほど皆に近づきたいっと強く思っている可愛い面のある素敵な先生なんです!


「見た目だけはあんなにそっくりなのに性格は真逆なんて。不思議な親子さんですね。」


隣で不思議な目で話しているゆりちゃん。私より石川さんと合う機会が多かったゆりちゃんは思っていたより石川さんのことについて詳しかったです。


「決して根本的に悪い人ではないんです。ちょっと不器用で人と暮らすのが苦手なだけ。でも同じ部員の子達まで壁を作って誰にでも近づかせない難しい人なのは確かです。あの速水さんや団長のゆうなさんを除けば誰とも話なんかはしないんです。それに過去のことで魔界のことを嫌いなのも事実です。」

「過去のことって…」


実は私も昔の新聞で読んだことがあります、その事件のこと…


「確か誰かが家に火をつけたって事件だよね…?そのせいで住んでいた森が全部燃えてしまったって…」


美術について全く素人の私だってお名前くらいは知っていたくらい石川さんは昔から世界的に結構注目を集めていた有名人でした。彼女の絵は大企業の会長や政治家などの大物達がいくらお金をかけても絶対手に入れようと競い合うほどいつも大人気だったし、あの「プラチナ王家」の女王、そうですね。ここ、第3女子校の生徒会長さんのお姉さんである第1王女であり今のエルフの国王「ビクトリア·プラチナ」様から自分の自画像をぜひ描いて欲しいっと直々お願いしたほど石川さんの腕は既に世界から認められていました。

だからその事件は数年前にかなり話題になった大事件でした。


「犯人はまだ掴まらなかったっけ…」

「ええ…でも本人から魔界の人が森に火をつけるのを見たったと言っているし実際神界の人々はゴレムの森には一切入らないんですからある程度の可能性まあります。なと言ってもゴレムの森は「1級危険地区」だから。」

「1級危険地区…」


昔、本で読んだことがあります。「ゴレム」って種族は元々は結構穏やかで旅人達の面倒を見てくれたり道案内をしてくれたりする自然と共に行きてゆく親切な「森の守り人」だったらしいですが「神樹様」のおかげで色んな種族が神界に流れ込んだことによってほとんどの住むところを失ってしまったそうです。

工場を建てるために森を切り払ったり、トンネルを掘り出すために山を傷ついたりしてゴレムの方々はたくさんの居場所をなくしてしまったんです。

そしてその開発を建前にしてそれらの主導していたのが…


「あの「灰島」ですね。」


はい。今、ゆりちゃんが言ったとおりこの世界の人なら誰でも知っている大企業の「灰島」でした。


「神界は昔から経済的に他より劣っているところです。だから経済成長のためなら仕方ないと判断してあの「黄金の塔」の老いぼれ達も黙認したと聞いたことがあります。でも最後まで反対してくれたのが速水さんの「霊」だったそうです。彼らのおかげでゴレム達はなんとか生き延びられましたが自然破壊によって凶悪になったゴレム達は「神樹様」と「灰島」に向けて()()という罪を犯してしまったんです。「神樹様」のせいで自分達の住むところがいなくなってしまったっと…」


ゆりちゃん、よく知っているね…さすがお父さんが世界政府で働いているからそういうところにも詳しいんだ…

でもそのことについては教科書にも載っているほど歴史的にかなり大きな事件だったことには間違いないです。全てのことを「神樹様」のせいだと決めつけてこれ以上の自然の破壊を見過ごせなかったゴレムの人達はついに「神樹様」の神社と「灰島」の工場を襲撃、ひいては死傷者まで出してしまいました。

世界政府は即時彼らを「テロリスト」と認識して「平和維持軍」を派遣、武力制圧した後、残りのゴレムを辺境の地に追い出してそこを「1級危険地区」と指定、特な目的や許可がない限りその森への接近を一切禁止させました。


「気の毒なことなのは確かです。あの石川さんも、ゴレムという種族が「神樹様」のことも、我々のことも、魔界のことも大嫌いになってのも当然でしょう。

でもその程度で終わったことは確かに幸運だったと私は思います。既に「魚人」や「獣人」みたいに「神樹様」に反逆した罰として絶滅されてしまった種族もたくさんいますから。それほど「神樹様」に牙を向けるのは「天罰当たり」と呼ばれるほど大きな罪です。」


悲しい顔でゴレムに関わる昔のことを語っているゆりちゃん。やっぱり世界政府のことだからその関係者である自分にある程度の責任を感じているようです…


「で…でも今はもうそんなことはしないから!ゴレムの皆も少ないけどちゃんとこっちの世界で生活しているし!」

「みもりちゃん…」


私なりになんとかゆりちゃんのことをフォローするつもりなんですが別にそれがゆりちゃんのせいではないからゆりちゃんから責任を感じなくてもいいと思います。未だにほとんどのゴレムはその「1級危険地区」の森で住んでいる状況ですがそれもいずれは全部許されるはずだし!だからそんな暗い顔はやめよう、ゆりちゃん!皆、頑張ればきっと変われるから!


「そ…そうですね。そのために今も皆、頑張っているし。もし石川さんの心を動くことができたら歴史的な大きい爪跡を残せるかも知れませんね。」


またちょっとぎこちないけどなんとかいつもの平常心を取り戻したゆりちゃん。良かった…


「皆がみもりちゃんのように考えてくれたら良かったのに…」

「…ゆりちゃん?」


少し苦い笑みを浮かべるゆりちゃん。ど…どうかしたの…?


「…いいえ。ただお知り合いの方もそう思ってくれたらいいなっと思っただけです。」


知り合い…?


「二人共、朝からなにこそこそ喋っているの?先生も混ぜてよ!」


うわああっ!?びっくりした!!


いつの間にか私とゆりちゃんの話に割り込んで入れた石川先生!本人に関する話題だったから私はいつもよりでかい声で驚いてしまいました!


「夫婦漫談だったかな?あ、一応女の子同士だから「婦婦漫談」ってところかしら?」


先生!?


「あらまあ!素敵!」


ゆりちゃん!?


ダジャレなんかはもうどっちでもいいんですが私はゆりちゃんが思っているより心配する必要はないっと思います。だってこうやってゴレムの石川先生も立派に社会の一員としてちゃんと活躍しているし、いつか全ゴレムの皆も含めて全ての種族が平等に暮らせる日がきっと来るはずですから!石川さんが魔界のことをきらいにするのも仕方はないと思いますが皆一緒に頑張ればきっと私とゆりちゃん、クリスちゃんみたいなお友達になれる日が来るはずです!


「虹森さんは偉いことを考えるね。偉い偉いー」

「そ…そうですか…?えへへ…」


っと私の頭をすりすりなでてくださる石川先生。っていうかここ、私の独白なので出ていって頂いてもよろしいですか!?


「緑山さん、具合はどう?大丈夫?」

「もうすっかり治りました。お気遣いありがとうございます。」


この数日間学校に来られなかったゆりちゃんのことを聞いてくださる先生。多分先生は理事長さんから話を通していたからある程度まではこの前のことについて分かっているはずです。だからこうやって病欠みたいなことでかばってくださっているんです。本当にいい先生なんですよね、石川先生。あの石川さんもこんな感じで親しくなったら良かったのに。


「大変だったよね?()()()とか。私もあの子を持っている時は結構苦労したのよ。」

「え?」


先生…今、なんとおっしゃいましたか…?つわりって…?あれって確かあれですよね…?赤ちゃんを持っている間に感じられる吐き気とか食欲不振とか…?なんでそんなのゆりちゃんに言っているんですか…?


「はい。でもそろそろ慣れてきましたからもう大丈夫です。」

「え?」


ゆりちゃん…?ちょっと…?なんで二人っきりでどんどん話を進めているの…?


「そうか。でもこんな時こそ気をつけるのよ?お薬はちゃんと飲んでいる?食事も大事だから疎かにしちゃったらダメよ?」

「ありがとうございます、先生。やはりご経験のいらっしゃる方だからよくご存知なんですね。」


だから何の経験…?っていうか一体自分の病欠をなんと言ったの…?


「うふふっ…♥本当に楽しみですね…♥お父さんになったみもりちゃん…♥」

「え?」


い…一体何の話をしているの、ゆりちゃん…!?お父さんって…!私、初耳なんですけど…!?


「おめでとう、虹森さん。大切にしてね?緑山さんのことも、赤ちゃんのことも。」


なんで!?!?


その後、私はゆりちゃんから自分の病欠のことを「妊娠による悪阻、及び体調不良」としたのを知ってしばらくそのまま固まってしまいました。

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