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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第5章「夢と茸」
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第134話

いつもありがとうございます!

「でもその後、青葉さんと赤座さんの仲は急激に悪くなりましたの。」


ななはそう回想した。

自分もその二人の入学のことはよく知っていた。「青葉海」は自分と同じく魔界側にとってはかなり有名人だったから直接合ったことはなくとも名前や顔だけは知っていてたし、同じく「赤い3家」の「赤座小鳥」も人並みほどは知っていた。そしてその二人の入学は新聞の1面の記事にまで扱われるほど大話題になって入学直後は結構騒がしい新入生生活を送った。


「本当に大騒ぎだったから。あの「伝説の歌姫」のウミウミと赤座さんが入学しちゃうなんて。二人共元々から超有名人だったし性格もすごく良かったからすぐ友達もいっぱい出ちゃったんだ。それに私はウミウミと同じ部屋だったからその頃の私にとってウミウミは特別な親友だったかな。」

「むむ…!」


少し不機嫌になったなな。それを気づいたかなはこの話は一旦控えようとしった。


「と…とにかくあの二人はダントツって感じだったんだ!私達の学年ってユキユキやななみたいな有名人も結構あったけどあの二人は昔からテレビでもよく出たから!」

「まあ、そうですわね。誰も考えたこともなかったんですよね、そんな有名人と一緒に学校に通うなんて。同じ音楽特待生といっても3年生の桃坂さんとは大きな差…」


っとそこまで言ったななは少し自分の記憶を振り向いて考えた。


「…そういえばその頃から青葉さんってかなりあの桃坂さんにはまっていった感じだったんですね。何をしてもいつも後ろに付きっぱなしだったし…」

「確かに。」

「でもその頃のわたくしは生徒会に入って会長とルルさんと一緒に「Fantasia」の活動をしていたので詳しい事情ならあなたの方がもう少し詳しいかも知れませんわね。その頃ならわたくしは別に赤座さんや青葉さんと親しくなかったし。」


っと隣で歩いていたかなに話を回すなな。確かにその頃の話ならななよりかなの方が詳しかったかもしれないだが残念ながらその時のかなは同好会に入ってなかったので彼女もまたそこまでの事情は分かってなかった。


「ごめん。その頃なら私もななとのことで頭がいっぱいだったから人のことに気を遣っている場合ではなかったの。ミラミラのこともあまり知らなかったし。」

「あ…何かごめんなさいですわ…」

「何でななから謝るの。」


ちょっぴり落ち込むななを立て直すかな。実はななもそのことをまだ気にしていた。


「とにかく私の覚えている限りでは学期が始まったばかりは普通だったよね。特に揉めたこともなさそうだし。ウミウミがミラミラのことを好きにしていつもついていったのも本当だったけどそれくらいなら赤座さんもなんとなく許す雰囲気だったから。でも…」


少し暗い顔に切り替えられてしまうかな。彼女の顔色からゆりとクリスはここからが大事な話というのを直感した。


「急に変になったのは赤座さんの方だったかな。いつからウミウミに声をかけることが明らかに減っちゃってね。でもウミウミはいつもと同じだったから同じ部屋を使っていた私だって何か異常があったとは思わなかったんだ。後でウミウミにそんなことが起きていたのを知った時は自分のことにムカついてしまったよ。何で気づけなかったんだってね。」


うみが親友だったことりにいじめられていたっということを知った時、一番責任感を感じたのは他でもない同じ部屋のルームメイトのかなであった。


「別に言い訳するつもりじゃないけど私、全然知らなかったんだ…ウミウミ、何を聞いても平気って言ってたし、お風呂の時も全然入らせてくれなかったから…ミラミラにも一言もしなかったそうで…」


ぐっと拳を握るかな。その時の自分に対したバカバカしいほどの情けにかなは今もその頃のことを後悔していた。


「青葉さんのことが全部暴き出せたのは皆さんのご存知のように会長のおかげですわ。ツアーが終わった後、わたくし達は久々に学校へ戻っていたんでしたが真の偶然に会長が道で鉢合わせた青葉さんの記憶を見てしまったらしいですわ。会長はその即時、青葉さんのことに関わっていた全員に対して懲戒委員会を招集、一連者達は全員その処分に従ってあの速水さんによって退学されました。

今、身内の姉の力でかろうじて第1女子校に通えるようになった主導者の赤座さんの除けば全員転校すらできない状態です。」

「あの人、本当に容赦なんですね…」


力では負ける気はないだがその見方さえ切落すあいの情けのない態度にちょっぴり怖じ気ついてしまうゆり。


「仕方ないですわ。赤座さんは速水さんと同じ「黄金の塔」。だがその事件によって「黄金の塔」を含めて生徒会、「百花繚乱(風紀委員会)」、「Scum(美化部)」、「Vermilion(消防部)」の威信は地に落ち、ひいては屈指の芸術名門第3女子校の名には泥が塗られてしまったんですから。でもあんなに大きなことに割に何でその二人の仲が悪くなったかは誰も会長を除けば誰も知らないしその会長だって今もそのことについては一言もしないわけですわ。

まあ、当然です。いくら青葉さんをいじめた赤座さんのこととはいえあんなに軽口で言いまくるわけにはいかないんですから。それは会長の信頼にも関わる重要な問題ですの。」


無論その時のセシリアの行動にも議論はあった。いくら生徒のためとはいえ勝手に人の頭を覗いてもいいのかっという主張が当時先方の親側から提起された。

だが世界政府はセシリアの権能の使い方は正しかったと判断してその主張を一斉受け入れなかった。何よりあの「黄金の塔」の方からも彼女達の行動に正当性はなかったと判断し、一言の文句もつけずに世界政府の判決に従った。

その結果、「赤座組」のことりを除けばそのいじめ事件に関わった全員は永久に「黄金の塔」から追放されて今はもう学校にも通えなくなったただのお金持ちのお子様に堕ちてしまった。


「「黄金の塔」っという群れは会長の「プラチナ王家」とはまた違う方向性の神界の象徴ですわ。だからその地位にふさわしいプライドを持っていますの。なのにそんなことで自分達の名声に傷をつけた彼らを許せなかったんですの。」

「ただでさえここんとこ世界政府に協力中だったのにね。」

「なるほど…」


思ったより結構色んなものが絡んでいた今回の事件に少し驚いてしまうゆり。「魔界皇室」の第1関係者であるクリスはともかくゆりはこのことについては全くの部外者だった。その故、人並みの知識はあったがまさかあの「黄金の塔」からそれほどの仕打ちを強行するとは全く思えなかった。


「でも私が知っているのもそれが全部なんだ。何であの二人がああなったのは私も知らない。でも確かなのは変わったのはウミウミじゃなくて赤座さんの方だったということ。」

「そうですね…」

「今はもう…」


嘆くようなため息を吐き出すかな。

実のことをいうと彼女もまた苦しかった。何らかの理由で変わってしまったことりによってきずついてゆくうみも、そうやって大切な友達を傷つけてゆくことりのことも。そしてその時の無力だった自分のことを…

結局あんな形で別れてしまった二人のことを今に至ってはもうどうしようもないっと思ってしまう自分に嫌悪感まで湧いてしまったかな。


だがゆりは思った。こんな時ならみもりはあらゆる手を尽くしてその理由を解き明かそうとするだろうっと。もう「赤座小鳥」という子はこの学校にいないから彼女との仲直りはできないかも知れないがそこから今のうみを止められる鍵を見つけられるかも知れない。それが可能なのはいざとなった時、人の心を完全に見抜くその子しかない。ゆりはそう思っていた。


「…私はみもりちゃん以外ならどうでもいいです。」

「急にすごいことを言っちゃうんだな、ユリユリって…」


少し足取りを止めていきなりとんでもない発言をやってしまうゆりのことを振り向く2年生達。

だが振り向いてそこにはただひたすらの何らかの決心に満ちた真剣な顔だけが突っ立っているだけだった。


「だから私は青葉さんを変えることはできません…いいえ、青葉さんだけではなく誰も変えられないはずです。だって私は皆ではなくみもりちゃんだけを見ているから…」


もう自分でも制御できないみもりへの執念を恨んでもいるのかなっと思われるほど素直な自己分析。それを見ているクリスには今のゆりの気持ちが手に届くほどよく見えたがあえて黙ってゆりから自分の口で話するのを待つことにした。それは今の自分もよく感じていた同じ気持ちだったから。


「…でもみもりちゃんならきっと変えられます。その子は私なんかと違って皆のことをちゃんと見ていますから。だから先輩達にも信じてください。みもりちゃんならきっとできるはずです…同好会の皆が皆と仲良くなりたいっと思っている限りきっと変われます。」


ゆりはこう話したかった。「諦めないで」、そう言いたかった。今はもううみのことを止められないかも知れないっと思わせたくなかった。きっと自分の信じているその優しい子が彼女の心を変えるはずだから。

だからゆりはここに集まっている今の自分が信用している皆に自分の気持ちを素直に伝えたかった。


「私が信じているみもりちゃんを信じてください。私の、私達のみもりちゃんならきっと…」


だがなぜか急に話を止めてしまうゆり。


「…緑山さん?」


隣のクリスから掛けた言葉にもびくともしないゆりのことをおかしく思った残りの3人だったがまもなくその理由を分かってしまうことになった。


「み…みもりちゃん…?」


揺さぶるゆりの視線。その果に写っていたのはいつの間にか元の人魚の姿になって


「虹森さん…」


みもりのことを両腕でギュッと締め込んでいた


「青葉さん…?」


うみであった。


「な…何で…」


その瞬間、ゆりの頭の中はなにか重要なものでも切れたように真っ暗になってしまった。まるで電池切れのおもちゃが一瞬で壊れてしまったようなとっさの脱力。

それほどゆりはその光景に絶望していたとういうことであった。


「どうして…私とはあんなに嫌がったのに何で…何でそんな女の子みたいな目で青葉さんのことを見ているんですか…」


震えながらそちらへ向かって一歩一歩足を運ぶゆり。そして


「緑山さん!?」

「ユリユリ!?」


止める暇もなくあっという間に二人のところに飛び出してしまったその時のことについて後でななはこう回想した。


「あれは正真正銘()()でしたわ…」


っと。


久々になにかいいことを言おうとしたゆりの真面目な場はそこで幕を閉じてしまった。


***


「虹森さん…」


ど…どうしてこんなことに…?


いつの間にか人魚の姿になっている青葉さん。服がスケスケになるほどびしょ濡れている青葉さん…!

そ…そうでした!私、今足を滑らせて転ぶところだった青葉さんを助けにするつもりで手を掴みましたが結局耐えられなかったので一緒にこの小さい川に滑ってしまいました!

浅くてちっちゃい川だったから助かりましたが


「…もうちょっとこうしてもいい…?」


どうして私は青葉さんにこうやってギュッと抱きしめられているんでしょうか…!?


とっさに起きてしまったことだったから鳥さん達も皆驚いてどこかへ行ってしまったし、何か非常にまずいですね、この状況…!もしゆりちゃんに見つかったら…!


でも…


「…本当はまだ怖いの、ここ…どうしてもその時の記憶が思い出されてしまって…!」


こんなに怯えている青葉さん、初めてです…やっぱりまだ忘れきれなかったんですね、去年のこと…何があったかは私には到底分からないけどきっととても痛くて苦しかったんでしょ…

なのに昔の友達の鳥さん達のために嫌な思い出が溜まっているここに今までずっと一人で来ていたなんて…とんでもない人ですよ、この人…


でももう大丈夫です、青葉さん…!今は私もいますから!そんなことはもう起こらないからそんなに怖がらなくてもいいです!


「うん…分かってる…分かっているけどやっぱりまだ怖いの、私…!」


青葉さん…こんなにおどおどしている…ど…どうしましょう…!こんなに怯えるなんて、実はここは来てはいけないところではなかったのではないでしょうか…!


「だ…大丈夫…大丈夫だから…」


っと言っている青葉さんですが全然大丈夫じゃないですよ、これ…!い…一体どうすれば…!


っと思っていたその時、私の服をそっと握りしめる青葉さん。な…なにか要りますか、青葉さん…!?私、走るの結構得意ですから何でも持ってきます…!


「に…虹森さん…」


まだぷるぷる震えている青葉さん…!抱いているから顔はよく見えませんがきっとものすごく怯えているでしょ、これ…!はい!ここにいます!ここにいますから何でも言ってください!


「わ…私…」


あっという間に体中を襲った恐怖心に完全に押されている青葉さん…!なにか話したいことがありそうです!ちゃんと聞いています!ちゃんと聞いていますから…!


「私のこと…抱いてくれる…?」


すみまえん。よく聞こえませんでした。

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