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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第5章「夢と茸」
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第133話

今日は少し張り切って2連投稿しちゃいました。もう少し皆さんから楽しんで頂いのならとても嬉しいんですが…

いつもありがとうございます!

「赤座さんは私の初めての他種族お友達だったんだ。」

「え…?」


今、青葉さんは何の話をしているんでしょうか…青葉さんと赤座さんがお友達…?


「ちょ…ちょっと待ってください…!」

「どうしたの?」


なにかあった?っと顔をしている青葉さんですが私的には聞きたいことが色々ありますから!いきなり過ぎて話についていけないんですよ…!


先の場所からちょっと離れた森の道を歩んでいる私と青葉さん。周りに話を聞きそうな人は全然見えませんがいくらなんでもこんな話、いきなり過ぎてあんなにあっさり飲み込めませんよ…!

っていうかここどこ!?いつの間にか私、青葉さんに連れて行かれている!?


「私、ちゃんと聞いたよ?ちょっと用事があるんだけど一緒に行くって。うなずいたのは虹森さんだったじゃない?」

「それはそうですが…!」


でも私、泣いていたから…!覚えていませんよ、そんなの!


「まあ、すぐ終わるから。授業前にはちゃんと送ってあげるし。この森をまっすぐに通っていくと虹森さんの1年生の教室すぐだから。」

「それはとても助かりますが…」


すぐ終わるって一体どういうことなんでしょうか…別にゆりちゃん達みたいなことではないって思われますけど…


しかしこの森って確か誰も来ないところなんですよね?私、ゆりちゃんから聞きました。何か大変なことがあったから皆、避けているって…


「ここ、私がいじめられたところなんだ。赤座さんに。」

「えええ!?!?」


またさり気なくすごいことを言っちゃう青葉さん!!だからいきなり過ぎますってば!!


「そんなに驚かなくてもいいから。もう過ぎたことだし。」


青葉さんは気にするなって言っているんですけどさすがに気になっちゃいますよ、そんなこと言われたら!

先からずっと漂っている物騒な空気…誰もないからますます陰気臭く感じられていたのはそのせいだったんでしょうか…!


「ひどいな、その言い方…別にそんなうさんくさいところじゃない普通な森だから。そんなに険しいところでもないし。」


確かにどこにもある普通な散歩道程度にしか見えませんけどまさかここが青葉さんの嫌な思い出が潜んでいたところだったなんて…!


「じゃあ、ここにどんな用が…」


っと聞く瞬間


「チュンチュン。」


私はいつの間にか私の肩にそっと腰掛けていた小さな小鳥さんの声に言葉を止めてしまいました。


手のひらにも包んで込めるほど小さな小鳥さん。不思議な緑の色をつけてその丸っこい目を輝きながら私にご挨拶を渡すその小さな友達に私はつい何が言いたかったのかすらすっかり忘れて惚れ込んでしまいました。


「可愛い!」

「あら。」


なにこれ、なにこれ!?鳥ってこんなに人に懐いている動物だってっけ!?どうしましょう…!今、すごく重要な話を聞いたようですがこのちっちゃい可愛子ちゃんにほれほれて何も思いつかないんです…!


「「森」の字が二つも入っているからこの子達も気に入っているのかしら。」

「この子達…?それって…うわっ!?」


そう驚く暇もなくいつの間にか私の周りには見たこともない鳥さん達がいっぱい集まっていました!色んな形で色んな色を持っていた鳥さん達は久しぶりに森に訪ねた私っというお客さんを珍しく眺めていましたが決して敵対しているのではなく、むしろ歓迎しているような親しい雰囲気でした!


鬱蒼とした緑陰の樹海とその真ん中を横切って流れている清らかな川。うちの学校にこんなところがあったなんて、私初めてです!


「驚いた?」


先持っていた入れ物から何かを出しながら聞く青葉さん。もしかしてあれは鳥さん達の餌だったんですか?


「うん。一応私が変わりに飼っているから。」

「飼っているって…」


初めて知りました…まさかあの青葉さんがこんなところでこっそり鳥さん達を飼っていたなんて…しかもこれだけの数を一人で…


「でも元の飼い主さんがいなくなったから仕方ないじゃん?飢えるのは可哀相だし。」


っと言いながらいつの間にか私の足元でクワックワッ泣いているアヒルさんに事前に手入れてきた野菜を食べさせる青葉さん。可愛い!しかもこんなにもふもふなんて!ちょっと獣臭いですけど!


でも今、元の飼い主さんっと言いましたよね?それにここは赤座さんとの連があるある場所…その上、先青葉さんと赤座さんはお友達だったっと本人から言ったばかりだし…もしかしてこの子達って…


「うん。皆、赤座さんが飼っていた子達なんだ。」

「えええ!?」


その日、私は初めてこの夢を見ることができるようにしてくれたクリスちゃんに心の底から感謝な気持ちを送りました。もしこれがなかったら私は決して青葉さんのお話を聞けなかったはずでしょう。例え夢が覚めてしまってもこれだけは決して忘れないように覚悟を決めた私はそれから語る青葉さんのお話に全力で耳を澄ましました。


***


赤座(あかざ)小鳥(ことり)」。それは私の人生でいい意味でも、悪い意味でも決して忘れられないある小さな女の子の名前でした。

薄い赤色、赤いってよりむしろピンク色に近い可愛い色の髪の毛を持って私みたいにみつあみのツインテールをしていた八重歯のちっちゃい女の子。今、考えてみたらその子は見かけや性格も赤城さんに結構似ていたかも知れませんね。プライドも高くて誰にも負けたくなかったこましゃくれてちょっと難しかったけど根はとても優しくてちょっぴり寂しがりだった「魔法の一族」の女の子、いわゆる「魔法少女」っと呼ばれた私と同じく幼い頃から芸能界で人生を過ごしてきた彼女こそ私の人生の初めてのライバルであり、初めての他種族のお友達であった赤座さんでした。


その子と初めて出会ったのは中学校の頃。「一日百合日記」ってタイトルの深夜ドラマの撮影の時でした。深夜ドラマとしては結構話題になった作品でしたが私個人的にはまた特別な作品でしたから今もちゃんと思えています。


「あなたが青葉さん?」


本格的な撮影をすぐ目の前にしていたある日、私の楽屋に訪ねてきた一人の女の子がいましたが私は一目でその子が誰なのか分かりました。


「ことりのこと、言わなくても分かっているんでしょ?でも一応紹介しておくからよく聞いてね。これから一緒にする「赤座小鳥」と言うの。よろしくね?」


お互いの存在は前からよく知っていましたがまさか向こうから先に来るとは…当時の私はまともに寝る時間もなかったほど大忙しかったからその日まで赤座さんの会えなかったんです。なのに向こうから先に会いにくれるなんて、何か私の方からすごく偉そうに威張っていたみたいな感じだったからそうやって直接会いにくれた赤座さんに顔向けられませんでした。


「すみません、わざわざ。「青葉海」と申します。私の方こそよろしくお願いいたしますね、赤座さん。」


っとその子の手を握って挨拶した私だったんですがなぜかその時の私は赤座さんに今までもなかった運命的な何かを感じ取った気分でした。まるで昔から知り合ってきた友達のような親しみっていうかそんな温かくて懐かしさを感じてしまって…多分幼い頃から芸能界にいた似たような立場だったからそう感じたかも知れません。

とにかくその時の私はそうやって自信たっぷりの赤座さんのことを結構気に入ったです。


赤座さんの最初の印象…そうですね。一言で言うと「私が世界一番で可愛い!」だったんでしょうか…

いつも自信満々で人の前で目立つことが大好きだった少し面倒な子だったと覚えています。だから番組的には結構いけていたタイプでした。


でも赤座さんの事務所と最大スポンサーはあの神界最悪の犯罪組織であった「赤座組」でした。「神樹様」が現れる前には密輸や麻薬みたいな危険なことに手を出していた「赤座組」は芸能界までその勢力を広げようとした様でした。

有数なテレビ局の隅々まで手を広いていた「赤座組」でしたが幸い彼らはメデイアの干渉まではやらかさなかったです。あくまでスポンサーとして「赤座小鳥」という子を支援するだけでそれ以上は何もしなかったです。


それに「赤座小鳥」の実力はあくまで本物!見ている人の感情にガンガン訴える深くて濃い感性!普段の少し軽っぽい振る舞いは欠片も見つけられないくらい真剣で演じるその姿は彼女の日頃の努力をうかがえるほど豊富で目覚ましいものでした!

それになんといっても大胆な演技力!初めて撮影した「一日百合日記」にはなんとベッドシーンまであったんですが赤座さんは余裕で全部こなせたのです!私さえ初めてのベッドシーンでしたから恥ずかしくて何度も戸惑ったのに赤座さん、一発でオーケーなんて…!

相手は同じ女の子の私だったのにむしろ本人から盛り上がっちゃって私の胸を…!こ…ここからはNGですから…!


だがその努力にも関わらず赤座さんの演技の裏にはいつも「赤座組」の娘という折り紙がくっついて赤座さんの全ての努力を否定してしましました。ボスになった彼女の姉がそういう記事を防げば防ぐほど赤座さんの悪評は雪だるまのように増えまくってしまいましたが赤座さんはいつも


「そんなの皆ことりのことを羨ましすぎて妬むだけなのよ!」


っと笑っていつものように自分の責任を果たしました。

赤座さんのそういう強い姿を見るといつの間にか私の方まで引かれてどんなことも乗り切れる気がして…ちょっと恥ずかしんですがその時の赤座さんは私の憧れっと言っても過言ではありませんでした。


赤座さんとは結構仲良く過ごしました。年も同じだったから共有できるものも多かったし二人共周りには全部大人しかなかったからお互いの支えになって芸能界っという厳しい世界からなんとか生き延びられました。

そう。その頃の赤座さんは私の唯一のお友達でした。


***


「はあ!?ちょ…ちょっと!()()()()って一体どういうこと!?」


でも私と赤座さんの友情はある日を起点に大きく歪み始めてしまいました。


「言葉の意味そのままだけど…どうかした?」

「だ…だって今までうみっこ、ことりに一言もなかったのに何でいきなり…!?」


顔色まで青ざめて聞いてくる赤座さん。よっぽどびっくりしたようですね。


「な…なんで!?うみっこ、ことりと一緒にするんじゃなかったの…!?」


うみっこ…そういえば赤座さんってよく私のことを「うみっこ」って呼びましたね。私は昔からずっと名字で呼ぶのが気楽だったので相変わらず赤座さんのことを「赤座さん」って呼び続けましたが。


「もちろんずっと一緒だよ?でも前から私、ずっと思ったんだ。どうすれば舞台の私がもっとたくさんのお客様に私の歌を届けられるのかなって。種族や出身を超えた全世界の皆に私の歌を、演技を、気持ちを届けられるのかって。」


そう。その頃の私は悩んでいました。どうすればもっとたくさんの人々に私のことを伝えられるのかっと。それはその頃の私にとって次のステージに羽ばたくために必要だった悩みでした。


そして私は偶然見つけられました。何気なく歩いていたある駅の前で偶然見かけになったある少女の路上ライブから私はその答えを見つけられました。

ろくな機材もないのに一生懸命歌って踊る色々大きかった第3女子高校の1年生の先輩。いつも大舞台で歌っていた私のステージに比べたらしょぼい過ぎて話にもならないほどひどいステージでしたが彼女は一点の曇りもない満面の笑顔で精一杯歌いました。

すれ違う人々はその明るさに引かれて足を止めて彼女の歌を聞きましていっぱい応援してくれました。そしていつの間にか見ていた私の心にもいっぱいの元気が満たされました。

温かくて優しい感覚…全く異なる種族の私の心にもしっかり届いていたその歌の力はまさに()()でした。


「だから私、あの人の学校に行って教えてもらう。その奇跡の歌を。そしていつかあの人みたいに歌って演じて見せるから。種族と世界を超えた私だけの歌を。」


ためらいはありました。好きでやっていたお仕事までほっといてそっちに行ってもいいのかって。そして


「こ…ことりには分かんないよ…何で…何でそんなことになっちゃったのよ、うみっこ…」


今まで私のことを支えてくれたこの子を置いといて一人で行ってもいいのかなって…


でも私は赤座さんのおかげで分かったのです。友達なんて一人もなかった私の居場所になってくれた赤座さん。「黄金の塔」の「魔法の一族」なのにあんなに私と仲良くしてくれた赤座さんは私に駅前で見たその先輩のみたいに新たな夢を与えてくれました。

いいえ、もしかすると赤座さんのおかげでその夢のための悩みをしていたかも知れません。


「もっとたくさんの皆と仲良くなりたい」。赤座さんはいつも一人であった私に友達としての温もりを教えてくれたのです。


「だから分かってくれて欲しい、赤座さん。でもこれだけは約束するから。どんなに離れていても赤座さんと私は友達だから。」


いつの間にか泣いていた赤座さんの慰めていた私でしたが私は決して自分が選んだことを引き下げなかったんです。こんなに辛くても私にはこれ以上叶えたい夢があったから。だからその時はなんとしても赤座さんの理解を取り付けるしか手はなかったのです。


「じゃ…じゃあ、ことりも行く…!」

「え…?」


今、この子は一体何の話をしているんだろうっと思った私でしたが


「ことりも行くよ…!うみっこっと一緒に…!」


考えさせる暇もなく食いつけ赤座さんの勢いに押されてつい


「ほ…本当…?」


っと驚いてしまいました。


「だ…だってうみっこ…ことりがいないと全然友達できないから…」

「そ…それはちょっと傷ついちゃうかな…」


ただきっかけがなかっただけなのにっと思った私でしたがそれ以上私は赤座さんと一緒に学校へ通えることが嬉しかったんです。二人共学校なんてまともに通ったことがなかったからその学校を大切な友達と通うことができたのがどうしようもなく嬉しかった私は


「ではこれからもよろしくね?赤座さん。」


っと初めて出会った時みたいに赤座さんの手をそっと握ってあげました。


「よ…よろしく…」


めそめそながらその言葉だけは欠かさなかった赤座さん。多分赤座さんなりの私の夢を応援してくれたっと思った私はそれから数日後、「青葉海」という俳優としての舞台から束の間降りることにしました。

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