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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第4章「みもゆり」
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第116-3話

「今日はこの辺でお開きにしましょうか。」

「はい。お疲れさまでした。」


今日のレッスンはここまでにしましょうという先輩の話に皆は早速シャワー室に行く準備をする。

いつもより早く終わったレッスンに少し名残惜しい気分もありますが


「じゃあ、シャワー浴びたら部室でゆりちゃんの歓迎会をやりましょうね?」


今日はなんと学校に戻ったゆりちゃんのために歓迎会があるのです!


「私の歓迎会ですか?」


っと初めて歓迎会のことを聞いた時のゆりちゃんは皆に迷惑がかかることを案じてそこまでする必要はないということを事前に私に伝えましたが私はやっぱりゆりちゃんが無事に帰ってまた一緒に学校に通えることを祝いたかったのです。


クリスちゃんと皆のおかげであそこからゆりちゃんが帰ってきた。

守ることができた大切な日常。

私は去年あの家に連れて行かれた時、その当たり前だけどかけがえのない普通な生活の大切さを思い知らされました。

当たり前のように享受したあの生活は決して当たり前なものではないということを私はあそこから学びました。


だからもう失いたくない。

皆と一緒に学校に通って笑い合う大切な日々。

いつまでも過ごしたいその宝物のような時間を私はゆりちゃんと、皆と一緒にずっと歩いていきたいです。


「あれ…?そういえば…」


っと思いかけた私の頭の中にかすっていく去年の記憶。

頭の中から消してしまいたいとずっと心に鍵をかけて開けないことにしていた去年の記憶が脳内に浮かび上がった時はさすがに戸惑ってしまいましたがそれは決して怖いとか嫌な感覚ではなく、むしろちょっと心の落ち着くほっとするような気分でした。


御祖母様に叱られ、望まない後継者教育で苦しんでいた毎日。

でも寝る時だけは誰も近づかなかったので私は夢の中を唯一の逃避先にしてその苦しみを忘れることにしました。

たとえ御祖母様の躾で寝させてもらえない時があったとしてもこれが終わったらまた夢の中に逃げ込むことができる。

そう思って私は毎日を死ぬ気で耐えたのです。


ある日、夜中にふと目が覚めた時があります。

窓からは月の明かりが降り注いで狭くて殺風景の部屋の中を照らして私に今の境遇を改めて再認識させる。

あるのは小さな机と何冊かの本が全部。

ゆりちゃんもいないその心さえ凍えてしまうような暗闇の部屋は私にとって監獄そのものでした。


「このまま朝が来なかったらいいな…」


もはや涙も出ない絶望的な状況。

ゆりちゃんとお父さんとお母さん、皆のことを考えてなんとか我を失わず耐え続けていた自分でしたがそれもいつ崩れてしまうのかは分からない。

私はこのまま一生ここで暮らすのならいっそ自分が壊れる前に死んだ方がマシだと思ってしまうくらい絶望していました。


その時でした。


「誰か…いる?」


突然私の部屋に入った人影。

おぼろげの意識の中でもはっきり分かるほど異質的な人の気配に私はその家に来てから初めて珍しいって思いをしたのです。

その部屋に自分以外の人が足を入れたことは一切なくて寝る時は誰も近づかなかったので今考えてもそれは確かに珍しいことだったのです。

でも半分眠気に沈んでいた私は特にその正体を確認するまでのことではないと思って再び目を閉じてあそこから逃げ出そうとしました。


その時、私はその家で初めて人の温もりを感じられました。


「心配することはありません。お嬢様。」


私の傍に座って突如私の頭に手を置いてもう案ずることはないと言ってくれたその声。

男だったのか、それとも女だったのかすら分からない。

もしかするとその事自体は朧な夢に過ぎないかも知れない。

それでもその撫でるわけでもない、ただ自分の頭に置かれている大きな手から伝わってくる心強い温もりに私は一瞬だけ自分が救われたような気がしました。

そしてその声に「大丈夫」の魔法でも掛けられたように私の心の中には小さな支えができてほんのちょっとだけ頑張れる力を手に入れることができました。


そのことがあってからもう少し時間が経って私はゆりちゃんのお父さんがいる世界政府と「大家」の御祖母様の間の交渉で無事に家に帰れました。

でもその時に負った精神的なダメージでしばらく病院で治療を受けなければならなかったのです。

また辛い記憶を思い出させないために去年に関するそのすべてに記憶の鍵をかけて今まで知らないフリをしてきましたがあの時、私の頭に乗せられたその手は最後に私にこう言いました。


「あなた様の日常を大切にしてください。」


誰もが過ごしている当たり前のように時間。

その時間を大切に、そして心から楽しむこと。

彼女が私に一番話したかったのは多分そういうことだとふと自分はそう思いました。


でも


「私には到底手の届かない世界であってもあなた様にはその幸福のすべてを手に入れる資格があります。」


最後のその一言だけはすごく…すごく悲しかったので私は眠りにつきながらちょっとだけ泣いてしまったのです。


「みもりちゃん…?」

「あ…ごめん…」


急に思い出した去年のことで少しぼーっとしていた私のことをいつの間にか心配そうな目で見つめていたゆりちゃん。

ふと私のことを呼ぶゆりちゃんの声に気がついた私は


「なんでもないよ。ちょっと昔のことを思い出しただけ。」


特に気にする必要はないということを予め言っておきました。


「そうですか…昔のこととは一体…」

「ううん。大したことじゃないから。」


っと私は平然と振る舞いましたが多分私とずっと一緒だったゆりちゃんにはきっと分かっていたと思います。

だって私達はお互いの顔色を見るだけで何でも分かってしまう仲ですから。

それが普通ではないということくらいゆりちゃんにはもう分かっていたのでしょう。


「分かりました。やりましょう。歓迎会。」


まるでこれ以上話す必要はないという言ってくれるような温かい手。

先まであまり乗り気ではなかったゆりちゃんは突然考えを改めて私の手を握りながらなぜか歓迎会のことを受け入れてくれたのです。


「なんかごめん…」

「いいえ。お気になさらず。」


それが私に気を遣った上での行動だと思った私は今の自分の態度について即謝りましたがそれこそ余計な気遣いだとむしろ私のことを安心させてくれる優しいゆりちゃん。

でもゆりちゃんが気づいたのはただそれだけではなかったことをその次の言葉で自分は気づくことができました。


「きっとみもりちゃんなら私との普通な生活を取り戻せたのが嬉しくてそれを祝いたいのではないかと思いまして。」


もう何から何まで全部見抜いているずっと一緒だった大切な幼馴染。

さすがに自分の考えていることがバレたと思われた時はちょっと恥ずかしかったんですがそれでも私はやっぱり嬉しかったのです。


「それにまたみもりちゃんのお傍にいられるようになったことを祝いたいと思ったのは私も同じですから。」


だってこうやって言葉じゃなくても私達はちゃんとお互いのことを理解しているんだなってことが分かってて。


「さあ、参りましょうか。」


っと私の手を引っ張って先輩達のところへ行こうとするゆりちゃん。

いつもこうやって私の手を取って一緒に歩きながら目を合わせてくれるゆりちゃんのことを私は心から愛し、大切にしました。

そしてこの絆がずっと続くようにこれからも頑張ってー…


「あ、その前にちょっといいですか?」

「え?どうしたの?」


っと急に足を止めて少し頼みたいことがあるというゆりちゃん。

謹慎が解けたから初めて再会したし何か色々甘やかされたいと思っているのでしょう。

まあ、ゆりちゃんって見た目と違って可愛いところもいっぱいありますし甘えん坊さんですからここはひつまずなんでも聞いてあげちゃおうでいきましょうか。

だって今日の私は「ゆりちゃんスキスキモード」ですから!何でも聞いちゃいます!


「いいよ。なんでも言ってご覧。」


っとなんの警戒もせず不用心にあんなことを言ってしまったのが後に仇になったしまうとは。

それに気づいたのはもう少し時間が立った後でしたが


「言ってましたね…?♥」


その時はすでに私からの「なんでも聞いてあげるよ」っという出発信号によってゆりちゃんの心の中にあるブレーキの壊れた暴走列車「みもりちゃんスキスキ列車」が理性という駅から遠く離れた後だったのです。


「私、謹慎中「みもりちゃん成分」不足で何でも発作を起こしましたから。

だから予防としてまずは今からみもりちゃんのスカートの中に入らせてもらってもいいですか?」

「え?ちょっとー…」


っといきなり変な頼みを押し付けて止める暇もなく凄まじい勢いで私のスカートの中に入ってくるゆりちゃん!

まるであの夢のメイドの私へのセクハラのようになんの躊躇もなくグイグイ攻めてくるゆりちゃんをなんとか引き離すために私は精一杯あがきましたが


「今日のみもりちゃん、気合入ってますね♥なんですか♥このタイツ越しの薄らに見える可愛いパンツは♥」


一度エンジンがかかったセクハラ列車には到底敵わなかったのです…


「なんという芳醇な香り…♥スーハースーハー…♥もう脳内が溶けちゃいそう…♥」

「ちょっ…そんなところ嗅いじゃったらダメ…!汚いよ…!」

「みもりちゃんの匂い…♥この匂いがたまらないんです…♥」


っと大事なところに当たる鼻息にくすぐったがる私のことを全く気にせず自分の欲を満たすことに夢中になっていた超絶セクハラマシンは


「大満足でした♥」


それから30分後にどこかスッキリしたような爽やかな顔でやっと私のスカートから出てくれたのです…

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