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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第4章「みもゆり」
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第106話

いつもありがとうございます!

「それにしても理事長の家で謹慎だなんて…理事長も変わったね。」


珍しいって顔でゆりちゃんから差し入れで持ってきたケーキを眺めているかな先輩。

でも驚いたのは私も同じでした。


「退学を免れられたのは良かったんですがまさかご本人の家で過ごさせるとは…正直言うと全く予想もつかなかったんですわ。」


かな先輩からじっと見ているケーキをフォークで切って先輩のお口の前に持っていきながら先輩の気持ちに同感を表す赤城さん。

彼女もまた理事長があんな人だったということにはすこぶる驚いたようでしたが


「っていうか…」


なんかここ最近ずっとここにいますね、赤城さんって。

中間テストが終わったらすぐ発表会だから色々やるべきこともたくさんあるはずなの。

…それに…


「めっちゃラブラブだよね、ななとかなちゃん。」

「ちょっ…!会長…!」


隣でニヤニヤ笑って赤城さんの方を見る会長さんの話に早速真っ赤な顔になってしまう赤城さん。

でも別にからかっているわけではなく、今の赤城さんのことを随分いい感じって思っているような微笑ましい感じであることを私はなんとなく察していました。


「べ…別に関係ないんじゃありませんの…?わたくしだって一応ここの部員ですし、仕事は粗方済ませましたから…

ただの暇つぶしですわ…」


照れ方わかりやすい!


「なんですの…そんなに皆でわたくしのことをからかうのが楽しいですの…?」


すね方もわかりやすい!


「まあまあ、すねないでよ、なな。会長も、モリモリもただなながここに来てくれたのが嬉しかっただけだから。」

「あなた…」


そんな赤城さんをなだめてなんとか元気づけるかな先輩。

でも赤城さんがここに足繁く通っている一番の理由はきっとかな先輩であることと


「もちろん私もすごく嬉しいよ。」


それに一番喜んでいるのがかな先輩自身であることをここの全員はよく知っていました。


「…やっぱりからかってるんじゃありませんの…」

「違うよー」


無論筋金入りのツンデレの赤城さんにとってかな先輩の真っ直ぐで素直な気持ちはただ恥ずかしさだけを与えるだけだったのですが


「ありがとう…ですわ…」


どうやらそうでもなかったようです。


「本当に申し訳ありません…皆さんにとんでもないご迷惑をかけてしまいました…」


っと今回のことで同好会に大きな迷惑を掛けてしまったと思って先輩達に心を込めて謝罪するゆりちゃん。

ゆりちゃんは謹慎で部活を休ませられたことをずっと気にしていました。

無論だからといって叱る人なんてここにはいないんですもんね。


「大丈夫だよ、ユリユリ。気にしないで。」

「そうですわ。あなたは優秀ですしすぐ追いついてくれるでしょう。

穴埋めはおまかせくださいまし。」

「私も手伝うから元気出しなさい。」


っと何も気にする必要はないと肩を持ってくれる優しい先輩達。

そんな皆のことを先輩はただ微笑ましく眺めているだけでした。


「でも一番残念なのはお嫁さんに会えないってことかな。」

「まあ、確かに。」


っと自然と私に向けられる先輩達の視線に私は小っ恥ずかしい気分になってまた「えへへ…」って頭を掻いてしまいましたが本当のことを言うと私はやっぱり寂しいって思っていました。

やっとあそこ連れ出してきたのにちゃんと話し合う前にバラバラになって会うことすら許されなくて。


「まあ、来週になったらまた会えるから。」


っと自分に言い聞かせましたが私はやっぱり寂しかったです。

でも私よりずっと寂しい思いをしているゆりちゃんの気持ちが分かるからあえてそれまでは言わないことにしました。


「あのね、ゆりちゃん。」


そこで私は


「良かったら今日の練習が終わったらちょっと付き合ってくれない?」


例のイベントにゆりちゃんを誘うことにしました。


***


「すみません、みもりちゃん。お待たせしちゃいましたね。」

「ううん、全然平気。」

「準備に少し手間がかかってしまって…」


っと遅れてしまったことに申し訳無さを表すゆりちゃんですがそんなに気にする必要はー…って準備したって割には特にいつもと変わらないような気が…


「お出かけするだけだからそんなに根詰める必要はないと思うんだけど。」

「女の子にはそういう時があるんですから。

それとただのお出かけじゃなくデート。」


そこら辺はきちんとさせておきたいとビシッと言っておくゆりちゃん。

まあ、楽しみにしてくれたのは嬉しいけど私だって一応ゆりちゃんと同じ女の子なんだけどね…


「何の準備だった?あ、もしかして理事長さんのお家に行く支度とか?」


っと興味本位で何の支度だったのか聞く私に


「うふふっ♥それは見てからのお楽しみ♥」


久々の「うふふっ」が見せつけられた時、私はなんとなく色々察してしまったのです。


「じゃあ、そろそろ行ってみようか。」

「そうですね。せっかくのみもりちゃんとのデート、心のゆくまで楽しんでしないと。」


っとありったけの期待感を表すゆりちゃん。

でもそんなに期待されるとさすがにちょっとプレッシャーというか…

まあ、今日のためにバイトも頑張ってきましたしそれなりに自身はありますがやっぱりもうちょっとうまくできたらなってちょっとした不安もなくはないというか…


「ううん…!今は余計なことは考えるな…!」


っとなんとか気を取り直して


「まずは映画でも見ようかな?ゆりちゃんって何か気になる作品とかあるの?」


手始めに一緒に映画を見ることを提案することにした自分。

本当なら今すぐ例の会場に早速向かいたい気分ですが色々事情がありまして…

もちろんゆりちゃんにはサプライズだから絶対話すわけにはいきませんけど。


「そうですね…じゃあ、これはいかがですか?」


私の提案に携帯の上映中の映画のリストを見せてくれるゆりちゃん。

ゆりちゃんがお勧めしたのは意外と普段のゆりちゃんならあまり見ないドキュメンタリー映画でした。

その時、私はどうもゆりちゃんが自分に合わせているような気がして


「遠慮しなくてもいいよ、ゆりちゃん。ゆりちゃんの好きなもので見よう?」


っと私に気を遣わなくてもいいと言いましたが


「いいえ。私はただみもりちゃんと楽しい時間を過ごしたいだけですから。」


結局ゆりちゃんは私の大好物のジャンルの映画を見てくれることにしたのです。


「どうしたの?ゆりちゃん…」


いつもだったら迷わずホラー映画や恋愛映画を選んだはずのゆりちゃん。

でも今日はいつになく大人しいゆりちゃんのことにどこか体調でも悪いのか心配になった私は


「何か心配事でもあるの?ゆりちゃん…」


早速ゆりちゃんに今思っていることをぜひ話して欲しいとゆりちゃんの本音を聞きました。


「どうして?」

「いや…なんか浮かない顔してるから…元気もないし…」


もしかしてあまり遊びに行きたくなかったのかなと心配になった頃、


「ううん。そうじゃないんですよ、みもりちゃん。」


今日初めて自分の気持ちを話してくれるゆりちゃんでした。


***


「なんでわたくし達があの二人のことを尾行しなければならないんですの…?」

「ん…でもユリユリってやっぱり心配だから…昨日、帰ったばかりなのに早速理事長の家から一週間謹慎になっちゃったから…」


その時、校内で有名な百合カップルであるみもりとゆりのことを物陰から見守っている人影があってそれはすなわち「信号機トリオ」と呼ばれる3人の2年生、かな、なな、そしてうみのことであった。


「んー…でもやっぱり心配なんだから。

まあ、そういうことだから二人のこと、ちゃんと見守ってあげて♥」


っと生徒会長のセシリアから二人のことを頼まれたかなとななはコソコソ二人の後を付けることになったのであった。


「あの人…いつも私にこんな役ばかり押し付けて…」

「まあまあ。それだけななのことを信頼しているってことだし。」

「そうそう。だって赤城さん、めっちゃ優秀なんだもん。」


かなの話に全面的な同意の意見を示すうみ。


「し…仕方ありませんね…」

「赤城さん、可愛いー」


彼女もまたななの扱いについてはかな並の知識を持っていた。


「ごめんね、ウミウミ。「合唱部」も今忙しいはずなのに付き合ってもらって。」

「いいのよ、別に。今日は休みだからちょうど暇だったしね。」


無理矢理に付き合わせてしまって悪いと思っているかなに全然気にする必要はないと言ううみ。

実際彼女は今日死ぬほど暇でもしかなからの誘いがなかったら一日中みらいの後を付け回すつもりであった。


「…あなた、そんなことをしてましたの…?」

「…さすがにそれはちょっと引くわ…ウミウミ…」

「何よ…二人だって別に変わらないことやってたじゃん…」


っと自分だけを変態扱いをする二人のこともまた自分と変わらないと不満を表すうみ。

ちなみにななは1年の時、毎日かなのキャビネットを開けてかなの私物を堪能していてかなの場合は枕元にななの写真を入れて時々話を掛けていた。


「うぅ…クリスもいないのにあの緑山さんを相手に尾行だなんて無理に決まっているというのに会長ったら無茶振りしちゃって…」

「まあ、実際緑山さんってすでに気づいているみたいだけど…なんかこっち見てるし…」

「あはは…」


御名答。

実際3人はとっくに昔にゆりに気配を悟られていて今は様子を見ているだけ。

みもりには未だに気づかれていないようだがこの尾行は始める前からすでに失敗の予感を濃く帯びていた。


「仕方ありませんわね…」

「え…?何…?その眼鏡と帽子…」


その時、持ってきたカバンから何かを取り出して二人に渡すなな。

気がついたらななは眼鏡まで掛けて持ってきた探偵コスチュームに着替えた後であった。


「二人もそれで着替えてくださいまし。」

「すっかりノリノリじゃん…というかいつも持っているの?こういうの…怖っ…」

「ななってこういうの結構好きだもんね。もうユリユリに知られていると思うんだけど。」

「ごちゃごちゃうるさいですわ!行きますわよ!」


そしてすでに日が付いてしまったななはもう止められないと判断した二人は黙って着替えを済ませて


「参りますわよ!助手くん達!」


速やかにやる気満々の探偵の後を追うことにした。


今のななにとってゆりに気づかれたかどうかは重要ではない。

ななはただ遊びたいだけであることを二人ははっきりと感じ取っていた。

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