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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第4章「みもゆり」
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第87-9話

いつもありがとうございます!

「みもりちゃん♥私の可愛いみもりちゃん♥私の愛が感じられますか♥」


快楽にもがいているみもりちゃんを見ながら心から喜んでいる緑山さん。

慈愛の欠片も感じられないただ盲目的で狂気に満ちていたその目は背骨が凍えるほどゾットするものでした。


「止め…もう止めて…ゆりちゃん…」

「うふふっ♥まだ仕付けが必要なようですね♥」


いくらみもりちゃんが哀願してもその強制的な行為は止まない。

みもりちゃんは緑山さんに接続した例の女性に攫われた昨夜からこの家で一歩も動けず何時間も苦しい一時を送っているみもりちゃん。

そんなみもりちゃんを一刻も早く助け出さなければなりませんでしたが時に私は自分に問いかけてしまいます。

自分が本当にお二人さんの間に口を挟んでもいい存在なのか、自分に緑山さんの愛を邪魔する資格があるのかっと。


私はお二人さんのただのファン。

幼い頃、療養のために過ごした町で偶然お二人さんのロコドル「フェアリーズ」のことを見て夢を見たたった一人のファンに過ぎない。

いかに自分が「魔界王家」の姫、次世代の「ファラオ」という選ばれた身分であろうとそれだけは変わらない事実。そのことはよく知っています。

だからこそ必要以上には足を踏み入れないつもりで決してお二人さんの仲を引き裂きたくありません。

私はむしろ心からみもりちゃんと緑山さんのことがうまくなって欲しいと心から応援しています。


みもりちゃんのことを緑山さんから奪おうとする疚しい考えはありません。

その誤解を解くために私は緑山さんのことを観察しつつ、何度も話し合おうとしましたが


「あなたの顔なんて見るだけで反吐が出ます。ぶん殴る前に消えてもらえますか?」


その度にああいう高圧的な態度を取られて結局私からは何の進捗もありませんでした。


「そうか…ごめんね…?クリスちゃん…私達のせいで…」

「いえいえ。別に誰のせいじゃないですから。」


逆に気を遣わせてしまったと何度も謝るみもりちゃんの言葉にむしろ申し訳が立たなかった私。

私はただ前のようにお二人さんの「フェアリーズ」を、アイドルの活動を再開したみもりちゃんのことを応援したいだけなのにこういう結果になったのはとても残念ですがだとしてもみもりちゃんが私に謝る理由なんて一つもありません。

でもみもりちゃんは緑山さんのそういう態度のことをとても気にかけていました。


「昔に比べたらちょっとマシになったと思ったけどやっぱり未だに直していないようで…

昔から私絡みになったらやけにムキになって本当に困るよ…」

「でもそれもまたみもりちゃんのことが好きでやっていることですから分かってあげてください。」

「分かってはいるけど…」


でもファンに対した緑山さんのああいう態度はどうしても許せなかったというみもりちゃんの言葉はただ純粋に嬉しかったんですがそれでも私は自分のことを差し置いてもお二人さんに仲直りして欲しい。

理由はどうであれみもりちゃんには緑山さんが、緑山さんにはみもりちゃんが必要だと初めて知った時から私はずっとそう思ってました。

そしてその本人達もまたそれを強く感じているはずです。


それが分かっているから私はあえて緑山さんを止めなかったのです。

緑山さんには緑山さんなりの愛情の形があって自分はそれを尊重するべきだと。

もし危ないことになったらその時は自分が命がけで絶対止めるつもりでしたが…


「でもこういうの…我慢できないよ…♥」


まさか自分が憧れのお二人さんを見ながら○ナニーなんてしちゃうとは…

擦りすぎてもうこんなに赤くなって…私ってどんだけいけない子なんだろうっと反省はしているんですがやっぱり「夢魔(サキュバス)」としての最も強い本能、すなわち「欲情」には逆らえませんでした…


「夢魔」としての誇りは確かにあります。

我々の先祖「太陽王」「オジマンディアス」は「神官」として苦しむ民のために、そして裏の路地をさまよった同胞のために自ら旗を揚げ、「夢魔王朝」の幕を開けました。

その偉大なる意志を受け継いだ「ファラオ」である私達には世界中の人々を導き、あまねく照らすというすいこうな崇高な使命があって


「私もお二人さんみたいになりたいです…」


私はその太陽のような輝かしい精神をみもりちゃんと緑山さんの「フェアリーズ」を見て学ぶようになりました。

歌で人々に勇気を与え、元気づけてくれる彼女達の存在は私にとってあまりにも眩しかったので私もいつか「フェアリーズ」のように皆を照らしたいと自然にそう思うようになりました。

「Scum」でアイドルをやろうと決めたのもそれがきっかけでした。


きっと軽蔑されるのでしょう。

「夢魔」として欲情を抱えるのは極自然なことですがまさか自分に夢を与えてくれた憧れの存在にこのような疚しい気持ちを抱いてしまうとは。


「早く…早く止めなきゃ…」


っとこの家に潜り込んだ時から何度も自分を抑えようとした私ですが結局この有様。

みもりちゃんのことも、緑山さんのことも自分が見守ってあげようと心を決めたことが馬鹿らしく感じるほど自分が情けなくて仕方がありません。

それに自分が興奮すれば興奮するほど…


「ほらほら…♥みもりちゃん…♥これ、見てください…♥みもりちゃんが出しすぎて床にもうこんな水たまりができたんですよ…♥あ、VRのせいで見えても、聞こえてもしないんだっけ♥」

「ゆり…ちゃ…ん…もう止め…」


みもりちゃんの苦しみが、緑山さんの過激さがどんどんまして行ってしまう。

それでも私は迸る欲情を抑えきれませんでした。


他人の意識に侵入して魔力を補った夢魔。

その中で深層、つまり「夢」と呼ばれる無意識の領域には最も質の高い魔力が溜められていて古から夢魔達は人が眠っている間にその夢に潜り込んで自分達の糧食を取ってきました。

特に「欲情」という感情には大量のエネルギーが内在されていて強制的にそのエネルギーを導き出すための進化を重ねた結果、


「私が興奮したらするほどみもりちゃんも、緑山さんも興奮してしまうよ…」


夢魔は体で自然と興奮剤のようなものを出せるようになりました。


夢魔が垂らす体液、つまり汗や唾液、涙の中には人の本性、特に性欲だけをピンポイントで引き出す成分が濃く溶け込んでいてそれを吸収したら相手は後先の事も考えず突っかかることになる。

口腔からの直接摂取以外皮膚や呼吸などで吸収されるので夢の中での抵抗はほぼ無意味だと言われています。

その上、夢魔は相手のことを誘惑するための話術、仕草、視線、接待の技を本能的に心得ていてその中には催眠術や暗示などの技もよく使われていてよほどの精神力ではなければ夢魔からの無意識への精神攻撃は抗うことすら不可能です。

特に女の夢魔から出る「ラブジュース」の効果は抜群で一滴垂らしただけで頭がふっ飛ばされるほど…

っな…なんでもありません…


この部屋は既に私の体臭で満ちている密室状態。

その中で息を荒げているみもりちゃんと緑山さんはきっと媚薬と言ってもいい夢魔である私の成分を取り込んだはず。

いつ誰が取り乱してもおかしくない状況ですがみもりちゃんも、そして緑山さんも決して理性を失わず、己を保っていました。

特に緑山さんの精神力は明らかに尋常ではありませんでした。


「感じますか…♥みもりちゃん…♥あなたのゆりが今あなたのことを目の前にしてこんなに我慢してるんですよ…?♥」


っと自分のスカートの中にみもりちゃんの手を入れてそこから自分の意志を代弁させる証拠を見せつける緑山さんの行動に私はゾッとしてしまいました。


「こんなに濡れてこんなに興奮しているのにあなたのためにゆりは我慢してるんです♥

今でも頭がおかしくなりそうでこんなにもあなたのことをめっちゃめっちゃにしたのに歯を食いしばって耐えてるんですよ♥」


グチョグチョと掻き回されるドロッとした音。

でも被されたVRの影響でみもりちゃんにはそのような感覚はあまり伝わっていないようでした。

それでも緑山さんは自分の決意表明を止まなかったのです。

止まないところか


「覚えてますか♥この傷♥」


今度は服まで脱ぎ捨ててついに裸にまでなって素の自分を拘束状態のみもりちゃんにさらけ出したのです。


「あなたのために自らあの「地獄」に入った時、私は決めました♥私は女としての全ての人生を捨ててただあなただけの「ゆりちゃん」として生きようと♥

これはあなたを守るために自ら負った勲章なのです♥」


長い栗色の髪に隠れている傷だらけの体。

まるで「ゾンビ」の部長のツギハギの体を思い出させるような酷い体に私は一瞬胸の底から燃え上がる欲情すら忘れてしまいました。


いつ見ても全身が竦んでしまうほどのものすごい体。

よく鍛えられている筋肉質の体の上に刻まれているあらゆる種類の傷。

そのことをみもりちゃんはとっくに昔から知っていたと私は今の緑山さんの言葉から察することができました。


「ゆりちゃんは本気です♥あなたの愛を必ずこの手で勝ち取ってみせます♥

それまであなたにはゆりを欲しがる愛の飢えをしっかりと叩き込んで差しあげます♥

もうあなたのゆりがいなければ生きられないと思わざるを得ない体にしてあげますから♥

愛の結晶を結ぶのはそれまでお預かりにします♥」


元々みもりちゃんへの気持ちが強い緑山さんにして今の状況は確実にしんどい。

私から放たれる欲情を促す成分をもう何時間も浴びているのに未だに自我を保っている。

緑山さんは今力でみもりちゃんと肉体関係を持っても自分が信じている愛が実を結ばないということをよく知っていました。


ただひたすら純粋で底なし沼のようにどこまで深く続いている深淵のような愛。

相手に心を尽くして自分の全部を捧げてそこから愛情を授かる。一緒に愛を育むのはその後のことに過ぎない。

私はそれこそ緑山さんが信じている愛の価値で私はその暗黒のような愛しい感情を「狂気」と呼びました。


でもその後、私は緑山さんを静めさせて学校へ戻りました。

みもりちゃんは無事に救出され、例の女性からの妨害も一切ありませんでした。

部長は緑山さんの処分について学内懲戒委員会を招集しようとしましたがそれは私の権限でなんとか誤魔化しましたので明日から通常通り登校できます。

何よりみもりちゃんのご本人が


「お…お願い…!クリスちゃん…!ゆりちゃんは悪くないよ…!たまに暴走したりはするけど根はとてもいい子だし決して私に危害を加えようとしたわけではないから…!」


っと泣きついちゃって断れませんでした。

まあ、特に怪我したわけでもありませんでし部長もなんとか納得したようですがこれが世に言う「ストックホルムシンドローム」ってやつなんだろうと少し複雑な気分でした…


みもりちゃんが捕らわれていたあの状況にも出なかったのはただ自分が緑山さんのことを尊重しただけ。

私は緑山さんのみもりちゃんへの気持ちを心から尊敬していてそれはまた尊敬されるに値すると信じています。

やり方は少し間違っていたかも知れませんがそれもみもりちゃんが大好きで自分の心が抑えられなかっただけでした。

私は緑山さんの意思を肯定し、決して間違っているとは思いません。


でもそんな私がそこで緑山さんを制圧しなければならなかった理由。

それだけはどうしても容認できないと自分の心が破裂しそうに叫んでいたからです。


「もしここまでしてもあなたが私の愛を受け入れられなかったら…」


震えているみもりちゃんの肩を抱えてその可愛い耳元に小さな声で囁く緑山さんの決意。

みもりちゃんには聞こえなかったかも知れませんが何もかも全部見ていた私にははっきり聞こえました。


「その時はあなたと一緒に死ぬしかありません。」


一瞬の迷いもせず必死の覚悟を決める緑山さんの鬼気迫った表情を私は真正面から見ていたのです。


「まあ♥そんなことは絶対ありませんけどね♥」


あっという間に笑顔に切り替えてニコニコしている緑山さん。

そんな彼女に対して感じたのは尊重や尊敬心ではなく果てしなく続いている大きな穴を眺めているようなひたすらの恐怖でした。


「あなたは私のみもりちゃん、私はあなたのゆりちゃんですから。どこへ行っても私達はいつも一緒です。

たとえそれが死後の世界であろうとも。」


っとみもりちゃんの首元をいじる緑山さんを見た時、私はとにかく助け出すことしか考えられませんでした。

助けるべきはみもりちゃんだけではない。緑山さんだって私にとってとても大切な人ですから両方助ける。

たとえそれが緑山さんから今まで以上に嫌われる結果になってしまっても。

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