第87-8話
いつもありがとうございます!
数日前、クリスは「合唱部」の部長、うみからみもりの護衛、及びゆりの監視を頼まれた。
「黒木さんならバレずに見守ることができるし。ごめんね、嫌な役を押し付けて。」
「いいえ。これがお二人さんのためとなるなら。」
クリスの能力「鏡」は夢、すなわち無意識に潜入し、操り、現実に具現化できるあらゆる理を超えた超次元の能力。
歴代「ファラオ」の中でも最も優れた潜在力を持っている彼女は既に先代から「幻想王」という王の名前を授かっていた。
魔界の「魔界王家」、その姫として正式的な王座を次ぐには軍務に服する必要があり、そのためにはまず学校を卒業しなければならない。
卒業した後、彼女は普通な人にはお目通りできないほどの別格の人になるが
「それに私はみもりちゃんも、緑山さんも大好きですから。」
子供の頃、自分に夢を与えてくれたその二人への気持ちはとても真剣で大切なものであった。
「夢魔王朝」の初代王「太陽王」並の大きな力を授かった故、今まで何度も死に瀕したきたクリス。
死に至る経験を何度も繰り返してきた彼女はついにその力を屈服させ、自由自在に操ることができた。
そして自分に死の恐怖にも飲み込まれないための力を与えてくれたのがその二人の存在だと彼女はそう言っていた。
そんな彼女の気持ちをよく知っていたうみはなんとしても彼女のことをその二人に受け入れてもらいたかったうみは多少強引な手段も厭わなかった。
「青葉さんはただお二人さんに私のことを知ってもらいたくてあえてお二人さんと私の出会いを仕組んでくれたんです。
私一人だったら卒業まで言葉を交わすことすらできなかったかも知れません。」
「まあ、別に私がやらなくても赤城さんを経由して自然と知り合いになったかも知れないけどね。」
っとななのことを思い出してまるで自分のやったことが余計なお世話だったかも知れないと話すうみの言葉をきちんと否定するクリス。
彼女はそのことに少なからぬ感謝を感じていたとただ素直にお礼を言った。
「いいえ。お姉ちゃんは案外イレギュラーやトラブルに上手く対応できなくなる時がありますから。
だからお姉ちゃんにはかなさんが必要です。」
足りない部分を補い合ってお互いのことを大切に思い合う関係。
それこそ人と人の理想的な関係、すなわち「愛」ではないかとクリスは子供の頃からずっとそう思っていた。
「大丈夫です。青葉さんのことを恨んだりはしませんから。
みもりちゃんと緑山さんのことなら任せてください。私が必ず守ってみせます。」
っと自分を安心させるその1年のクリスのことををうみはただ大人びるとしか思わざるを得なかった。
「虹森の護衛?まあ、いいだろう。」
早速自分が所属している「Scum」の部長「紫村咲」のところにみもりの護衛の許可を取りに行ったクリス。
だが案外ちゃんとした説明もせずあっさりと出された許可にクリスは少し戸惑うようになった。
「虹森はあの「大家」の関係者、しかも一度その後継者に入ったことがある特別管理対象だ。
あの世界的な最重要指名手配犯の「鉄国七曜」の血を継いだ実の孫娘だし世界政府からも結構気にしているらしいがお前が護衛に当たってくれんなら私的には心強い。
お前の埋め合わせはこちらからカバーするからあいつらのこと、よろしくな。」
っと必要な手続きは自分でやっておくから早速取りかかって欲しいというさきの言葉。
だがみもりの祖母、「鉄国七曜」の名前を口にする時、さきの表情があまりよくないことにクリスは薄く気づいていた。
そんなわけでみもりとゆりの護衛を兼ねた監視役に付くことになったクリスはまずどこでも追跡できるように夜中、彼女達の夢に潜って自分の意識の一部を植え込み、その動きを捉えることにした。
「いい?黒木さん。緑山さんは化け物級で感が鋭いからくれぐれも気をつけてね?」
っとうみからの忠告を心がけて護衛と監視の任務を遂行するようになったクリス。
だがクリスはよく知っていた。
「大丈夫ですよ、緑山さん。あなたは私が捧げますから。」
真に見守れなければならないのはみもりの方ではなくいつもその隣りにいるゆりであることを。
「人獣」の「馬の一族」、その名門「緑山」家の娘であるゆりは確かに強くて正しい少女であった。
元陸軍特殊部隊出身である母から直に伝授した格闘技と「馬の一族」代々の古武術を通達した戦闘能力。
15歳の少女とは思えないほどの人間離れの身体能力と冷徹で無慈悲な思考。
その上、みもりのためとあればどのような困難にもくじけず真正面から立ち向かう強い精神力まで相まってゆりの存在はあらゆる才能の原石がウヨウヨ集まっている第3の中でも抜きん出る存在であった。
だが自分の幼馴染の女の子があまりにも大切すぎて逆にそれが仇になってしまうという致命的な弱点がある故、ゆりは自分のことを粗末するようになってしまった。
自分を疎かにするほど強くなる相手への執着。
それはまさに「狂気」と言わざるを得ないどす黒くて、または果てしなく儚いものであった。
愛する少女のために誰よりも強くなろうと心を決めた栗色の髪の少女。
彼女の心の中に潜んでいるその狂気という怪物のことをうみとクリスは既に見透かしていた。
「みもりちゃんにはあなたが必要です。誰にもあなたのことを傷つけさせたりはしません。
たとえそれがあなた自身であろうとも。」
自分に夢を与え、死の恐怖からも心が折れない力をくれたひたすらの感謝。
クリスは幼い頃、自分のことを救ってくれた二人の「フェアリーズ」というアイドルにただ純粋に恩返しがしたいとずっと願っていた。
まあ、そんな感じで始まった護衛を兼ねた監視任務だが…
「あぁ…♥みもりちゃん…♥なんというはしたない喘ぎ声…♥」
みもりが捕らわれているその家に潜り込んでいたその頃にはもう何も考えられなくなっていたクリスであった。
***
「止まらない…♥指が止まらないよ…♥」
これは私だけの懺悔の記録。
「いけないのに…♥こんなの、絶対ダメのに…♥」
頭ではいくらダメって言っても私の体は引かれるようにさらなる快楽を求めていました。
「どうですか♥みもりちゃん♥この特製VRの感想は♥」
初めて見る緑山さんの高ぶりの表情。
そして
「も…もう止めて…ゆりちゃん…やっぱりこんなの…間違ってるよ…」
怪しい機械を頭に被されて再び先の惚れ薬を飲まされたまま、なおかつ嵐のように押し寄せてくる快楽に抗おうとしている必死のみもりちゃん。
そんなみもりちゃんの精神力は実に尊敬するべきのものでしたが
「まだ抵抗するつもりですか♥しぶといですね♥みもりちゃんって♥」
それは却って緑山さんの加虐心を煽り立てるだけでした。
「仕方ありませんね♥もう少し強度を上げてみましょうか♥」
「ダ…ダメ…!これ以上は…!」
っとみもりちゃんに被されている機械と繋がっているパソコンを緑山さんが操作した時、
「あ゙ぁ゙っ…!ゆ…ゆりちゃんが流れてくるっ…!」
私は再び獣のような声を上げながら一気に流れ込まれる快楽にもがくみもりちゃんを自分の目で確かめることができました。
その同時に
「ああ…♥みもりちゃんが…♥私の憧れのみもりちゃんがあんな下品な声で快楽に身悶えている…♥」
私は自分の手の動きが更に激しくなったことに気づきながらも決して自家発電を止めませんでした。
「擦るの気持ちいい…♥もうこんなに濡れちゃうほど気持ちいい…♥」
もはやまともな言葉も出てこないほどもがいているみもりちゃんを見ながら擦りに更なら拍車をかける。
なんという背徳感。まさか自分が自分の憧れの人を見ながらオ○ニーするとは夢にも思いませんでした。
でもこの胸をギュッと締めてくる罪悪感に似たような感覚…
「たまりませんね…♥」
私は自分が思っていた以上に変態だったかも知れません…♥
申し遅れました。私の名前は「黒木クリス」。
魔界の「魔界王家」の唯一の王女であり、正真正銘の「ファラオ」です。
今は「Scum」の「特殊対処班」所属で
私がこの家の存在を知ったのは緑山さんの見張りに付いたその翌日からです。
あの頃、緑山さんも、みもりちゃんもまだ喧嘩中で一日中一言も交わさない日が何日も続いていました。
私は自分の能力を利用してお二人さんに自分の存在を悟らせないようにして今もその能力で快楽に陥っているみもりちゃんを見ながらオナ…護衛しています。
学校から少し離れたところにある庭付きの一戸建て。
本来みもりちゃんとの二人暮らしのために緑山さんのご実家から用意してくれたそうなこの家にここ数日間、寮暮らしのはずの緑山さんが頻繁に出入りしてました。
何か計画のために学校からここまで通っていた緑山さん。
非礼を押し切って家に入った私は大変な衝撃を受けました。
外から見たらどこにもある普通な一戸建て。
でもその内部は狂気と混沌がもろともに入り混じって渦巻いている狂乱の世界でした。
「ただいま♥みもりちゃん♥あなたのゆりが帰りましたよ♥」
家全部埋め尽くしているみもりちゃん関連のグッズ。
どの壁にもみもりちゃんの写真が飾られていてどこからもみもりちゃんのことが見渡せる。
写真ところかいっそ壁全体をみもりちゃんの顔にした部屋もあるくらいでした。
家のあっちこっちにはみもりちゃんが履いてた靴下や下着などが入っている押し入れが据え付けられていて
「じゃあ、今日も張り切ってみもりちゃん成分を補給してみましょうか♥」
緑山さんは自販機でお茶を出す感じであそこからみもりちゃんのものを取り出したのです。
「スーハー…♥やっぱりみもりちゃんの匂いはたまりませんね…♥
高い値段で魔術的な密封を施した甲斐がありましたね…♥」
匂いが抜けないように特別に魔術的な処置をしておいたという緑山さん。
でもあそこにあったのはただみもりちゃんの私物だけではありませんでした。
私が初めてお二人さんのことを知った時、ロコドルの「フェアリーズ」活動頃のみもりちゃんの衣装とグッズから小学校の時の文房具、ランドセル、上履きも全部揃っていて
「こ…これ…もしかしてみもりちゃんの昔の水着…?」
ひいては水泳授業の時に使われたスクール水着から水泳部時代の競泳用の水着までこれはもはや「みもりちゃん博物館」と言わざるを得ませんでした。
あの頃の触感、匂いまで思い出させるほど生々しい品物。
並んでいる水着の中で一つを選んで取り出した緑山さんは
「じゃあ、まずは着替えからですね♥」
早速服を脱いでみもりちゃんの水着と思われるものに着替えを始めました。
その時、私は見てしまったのです。
「み…緑山さん…!体に…!」
体中に深く刻まれている数多な傷跡。
裂けて破れて噛まれて切られて…
詳細は知りませんでしたがこれは決して15歳の少女が普通に負える傷ではないということを私はあの時に直感しました。
そのたくさんの傷跡に一瞬口が塞がれて私はただその場で固まって震えているだけでしたが
「んー…やっぱりまだまだ持続の時間が短いですね…この隠しクリーム…」
一番驚いたのは本人がその傷について全く気にしていないということでした。
平然とした顔で残ったクリームを落としている緑山さんの大胆さに再び驚かされた私でしたがその時、私は気づいてしまったのです。
「この傷のことを見てみもりちゃんは一体どんな気持ちだったのかな…」
っと。
私はみもりちゃんはきっと自分のことよりも痛く感じていたはずだとそうやって心を痛めました。
みもりちゃん以外は誰も見たことがない緑山さんの裸。
でもそれには大きな秘密が隠れていたことに私は自分の目で見て確信してしまったのです。
「やはりみもりちゃんの水着は最高ですね♥まるでみもりちゃん本人が私の体を舐め尽くしているような気分です♥」
っと鏡に自分を映しながら思い切り興奮している緑山さん。
学校からでは変人などで認識されている緑山さんですが確かに美少女っというのは否めないですね。
傷だらけでもスタイルも抜群で顔も可愛くて普通にモテそうですし。
それに力も強いからすごく頼りになる人だからきっとみもりちゃんだって緑山さんのことを…
「おかえりーゆりちゃんー」
その時、上の方から聞こえてくるもう一人の女声の声。
振り向いたあそこには階段から下りてくる長身の女性が笑顔で帰りの緑山さんを迎えていましたが今は何故か彼女の顔が思い出せません。
何か霧のようなものが頭にかかっているようでどう思い出そうとしても脳内が遮られて最後までその記憶にたどり着くことができない。
確かにすごく重要な人物で直接会ったことはありませんがテレビとかで見た覚えがある顔…
この記憶の障害はきっと何らかの能力だと思いますが重要なのはそこではありません。
彼女はこのイカれた計画の緑山さん側の唯一の協力者で
「それで?結局そのみもりちゃんを私がいつ連れて来ればいいの?」
みもりちゃんは正しく彼女によってこの家まで運ばれたということです。
「そんなに焦らなくてもいいです。来週には決行できるだろうと思いますから。」
確かにそう言った緑山さんからの言葉。
「もうすぐです…もうすぐ私とみもりちゃんは一生一緒にいられるんです…♥」
そう言った時、緑山さんは確かに今みたいな狂気に満ちた笑顔で笑っていました。




