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第2話 「冒険者になります」

 長い廊下を歩いて行く。

 途中さまざまな人とすれ違う、従業員らしき人、冒険者らしき人、旅人らしき人などさまざま。

 脇を見ればきれいな中庭が広がっていて、噴水や花壇が心を落ち着かせる。

 途中、道がいくつか分かれていたが曲がらずにそのまままっすぐ歩いて行く。


 これから冒険者になるための試験に行く途中だが、そういえばこの人の名前を聞いていなかった、ついでにいくつか質問もしよう。


「お名前、まだ聞いていませんでしたよね?私は…ソフィアです」

「ああ、俺はジューイン、ジュンでいい、それとタメでいい、なんかむずがゆい」

「あ、はい。じゃあ……、ジュン、ここってかなり広いけど全てギルドの所有地なの?」

「…そうだな、酒場に宿屋に訓練場だとか、一応全部うちの所有地だ。なんでも、冒険者ギルドが出来たときに一緒になったらしい。」

「へぇ~、他にもギルドってあるの?」

「他は、有名なのが商人ギルド、よく出てる店で同じマークを見るだろ?ほらコインの、あれが商人ギルドのマーク」

「えーっと……ああ、あのマーク」

「後は専門職で分かれているのがほとんどだな、鍛冶に建築、料理とかさまざま、ギルドごとにマークが違うから、見比べてみると結構面白いかもよ」

「ほうほう」


 なんかいっぱいあるらしい、一体どのくらいギルドがあるのだろうか、気になってくる。


「冒険者ギルドは主に酒場と宿屋で経営してて、場所ごとにマークが違う。しかも魔物狩りだとか隠密行動とか、役割ごとにさらに分かれてギルドを作ってたりするからかなり数がある、しかも魔物を愛するギルドとか、そういうよくわからんものまで増えてきててな……」

「えぇ……」


 なんか冒険者ギルドの関係ギルドだけでかなり数がありそう、というか現在進行形で増えているらしい。

 そんな話をしていると目的地に着いたようで、重そうな扉が目の前にある。


「この奥だ、準備はいいか?」

「はいっ」


 扉を開けて進んだ先は(ひら)けた空間の屋内で、ある程度の人数が動き回っても大丈夫な広さがあった。

 そしてそこに一人の大きめの剣を()げた大柄の男性が立っていた。


「あ、そうだあんた、魔法は使うか?」

「いいえ」

「ならあの人との手合わせだけでいい」

「わかりました」


 魔法を使う人はまたやることが違ったらしい。だが私は魔法はあまり得意ではない。というより使ったことがないから判らない、といった方が正しい。

 どちらにせよ関係ないようなので気にしないでおこう。


「ちなみにここは治癒の魔法がかかってるから、怪我しても問題は無い。痛いことに変わりは無いがな」

「あ、はい……」


 治癒かかってても痛いんだ。


「今回はその嬢ちゃんが相手か?」


 そう大柄の男性が声をかけてきた。


「ええそうですよ、レザールさん」

「よろしくお願いします」

「ああ、よろしくな」


 そう言ってレザールは剣を抜く。


「手加減はいるか?」

「いいえ」


 私も腰に提げていた剣を抜き構える。

 それを見て、ジュンは壁際まで離れる。


「それじゃあ、……始め!」


 その言葉を合図に、お互い距離を詰める。

 互いの剣がぶつかる。鉄のぶつかる音が辺りに響く、そして二度、三度と打ち合い、つばぜり合いになる。しかしやはりと言ったところか、レザールの方が優勢になる、それを察したソフィアは剣を払い、後ろに下がる。だがそれを許すはずもなく、レザールは剣を上段に構えながら突っ込んでくる。


「くっ」


 振り下ろされた剣を横っ飛びで避けるが、体勢を崩してしまう。


「貰った!」


 その隙をレザールは横薙ぎで突いてくる。ソフィアはとっさに守りに入ったが剣を弾き飛ばされてしまった。


 それが終了の合図だった。


「……参りました」

「嬢ちゃんも悪くなかったぜ」


 こちらは多少息が上がっているのに向こうは全然息が上がっていない。

 それだけでも実力差を感じさせる。


「いえ、まだまだです」

「謙遜すんな、あの人が馬鹿みたいに強いだけだ」

「ハッハッハ」


 やはりかなり強い人だったらしい、しかし負けるとやはり悔しいものだ。

 だがこれで合否が決まるらしいが、どういう判断基準で決まるのかは分からないが期待しておこう。


「よしっと、それじゃあ酒場まで戻るぞ、最後に情報を登録して、それではれて冒険者だ」

「はい」

「んじゃあ俺はお(いとま)するわ」

「ありがとうございました」

「おう、お疲れさん」




 礼をしてレザールさんと別れ、酒場まで戻ってきた。

 そして少し待ってろと言われ、受付のお兄さんはカウンターの奥の扉に入っていった。


「やあお姉さん、どうだった?」


 声の方へ振り向くとうなだれていたときに声をかけてきた男の人だった。


「ああ、先程はありがとうございました」

「いいっていいって、それよりどうだった?手応えありかい?」

「それが負けてしまって、ちょっと不安なんですよ」

「ありゃ、負けちゃったか。相手は誰だったの?」

「レザールさんって方で…」

「あの人かぁ、うんそれなら仕方ない、むしろ勝てたらそれこそ大騒ぎだ」

「そうなのですか?」

「うん、この辺りじゃ有名人」


 レザールさんはこの辺りの有名人だったらしい。ということは手合わせの時はおそらく手加減してくれていたのだろう。それで負けるというのもなかなか悔しいものがある。

 そうこう話してるうちにジュンが戻ってきた。


「あ、ジュンちゃんお帰り~」

「お前は新人候補に何してる」

「ん?ちょっとおしゃべり。それに、候補じゃなくてもう決まってるんでしょ、それ持ってるって事は」

「まあな、それと邪魔だから向こう行け」

「はいはーい」


 調子の軽い男の人はひらひらと手を振ってテーブルに戻っていく。

 ジュンが頭に手を当て大きなため息をつく。


「はぁ、まったく…」

「えっと、ジュンさん?」

「ああすまん、いつものことだから気にすんな。こっちこそ悪いな、あいつが絡んで」

「いや、むしろ助けてもらって、冒険者のことは彼から聞いたの」

「またあいつは女にちょっかいかけて……」


 またしても大きいため息をついた、こっちのせいでは無いけれどなんかちょっと申し訳なくなってきた。


「っと、そうだ、結果が出たぞ」

「はい」

「結果は――」


 緊張する、何にしろ結果発表というものはいつになってもドキドキしてしまう。

 しかも今回は今後の生活に関わるため今まで以上に鼓動が速くなる。


 どうか合格であってください。


「――合格だ。おめでとう、これであんたも冒険者だ」

「……はあ~、よかった」


 肩の荷が下りる、つい今日の出来事なのに何日か経った様な感覚がする。


「じゃああらためて、ようこそ、ギルド『希望の架け橋』へ、俺はここのマスター、ジューインだ」

「ソフィアです、よろしく」

「それで、あんたのランクはDだ。……そういえばランクの説明したっけ」

「確か……してないね」

「あー、すまん。ランクで出来る仕事が決まるっていうのは説明したか?」

「うん」

「で、そのランクはS、A、B、C、D、Eとあって、あんたはそのうちのDだ。ちなみに、ランクが上がっていけば、場所によっては融通が利くところもある」

「へえ~、私は一番下からではないんだね」

「ああ、負けちまったが、ある程度の魔物とやり合っても特に問題ないと判断したからな。それに、あんたの腕だったらすぐにCやBには上がっていけるだろうな」

「うん、頑張るよ」

「それで、これが冒険者の証のバッジ」


 渡されたのは、液体の入ったドーム状の物に羽の細工が左右一つずつ付いた、金属製のものだった。


「それはDランクのバッジだ、ランクが上がっていけば羽の枚数が増えていく」

「下から二番目だから二枚なんだね」

「そう、わかりやすいだろ」

「でもこれ中に液体が入ってるけど、割れたりしないの?」


 ガラス製の物は割れやすい。そんなことは向こうも知っているだろうがやはり気になってしまう。


「それなら安心しろ、冒険者が出来たときにどっかの天才が作って製造法だけ残していった、普通はまず壊れない物で出来てる」

「えっと……保証は」

「レザールさんでも壊せなかった」

「納得です」


 あの人で壊れないならまず壊れないな、相手した人はよくわかると思う。


 そんなことより。


 これで私も冒険者になった、これから依頼をこなしてランクを上げていこう。

 そう思ってわくわくして思い出す。


「そうだ、仕事しに来たんだ私!」


 依頼をやることに変わりはないのだが、本来の目的を危うく忘れるところだった。

 そうだ今生活の危機だった。


「うおっ!どうした急に」

「あ、すみません。えっと……一日でも出来る仕事ってある?」

「あー、っとそうだな――」


「すいません、依頼を出したいのですが……」


 そう言って依頼書をくたびれた服を着た青年が持ってきた。


「ん、はい。ちょっと待っててな」


 そういって青年の相手をする。


「はいよ、えっと……あんた、いくら遺跡調査っていっても、これでいいのか?」

「はい!もちろん!新しく発見した遺跡なんですよ!それだけで一体どれほどの価値があるか!」


 青年は熱く語りながらジュウさんに詰め寄っていき、ジュウさんはちょっと引いている。


 新しい遺跡の調査か、出来れば一度は関わってみたいけど今はそんな余裕は無いし、今回は見送りかな。


「ああわかったわかった。んじゃあこれで張り……なあ」


 不意に声がかかった、間違いなく私に。


「ふぇ?」


 いきなり事に驚いて変な声が出てしまった。


「なんて声出してんだ。それより、割の良い仕事が入ったぞ、ソフィア」

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