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序章第4話 「いつかきっと」

 私が彼らと出会って数日、彼、ラビの怪我が良くなるまでこの村に残ることになったので、孤児院の子供たちと遊んでいた。


「お姉ちゃん、こっちこっち。」

「待て待てー。」

「にっげろー。」

「「「キャー。」」」


 絶賛おにごっこ中である。

 と、体と心をこの村で休めているのであるが、そういえば旅を始めてから食事と寝るとき以外はずっと歩きっぱなしだった気がする。

 今更になって気づく。この広大な世界にはまだまだ私の知らないものがたくさんあるんだって。

 この村だってそうだ。

 ただ村の前で倒れてた、それだけで魔族である彼をこの村で保護して育てている。

 その知らないものを探しに旅に出たというのに。

 

「あ、おにいだ。」

「おにーさまー!!」


 ラビが外に出てきたのに気づくと、孤児院の子たちがラビの元へかけていく。一人びっくりするほどの速さで突撃していったが・・・。

 孤児院の子たちに続いて私も向かった。


「おはよう、ラビ君。」

「・・・おはよう、ソフィア。」






 森で魔物(くま)と戦ってから数日。

 けが自体は軽い打撲程度だったものの念のためということで毎日の検診を行っていた。


「んー、何もなし。」

「・・・そう。」


 検診を行う間は極力外に出ないよう言われていたのであまり孤児院のみんなと遊んでいない。

 その間やっていたことといえば、お礼用のモノを作ることか、もっぱら読書だった。

 お礼用のモノはすぐに出来たので主に読書だったが、教会にある本読み尽くしたので、シスターが隠している(つもり)の本も読んでいたりしていたがさすがにやれることが無くなってきた。というか延々同性愛ものを読むのがつらくなってきた。


「さすがにもういいだろう、今日で検診は終わり、お疲れ様。」


 と、先程言われたので久しぶりに外を歩き回ろうと教会から出たところで危険を感じる声がかかった。


「おにーさまー!!」


 プリンシアがいつものごとく、いやそれ以上の突進をしてきたので衝撃を逃がす形で受け止める。


「お兄様もう大丈夫なのですねああやっとお兄様とゆっくり話せますそうですこれからわたしたちと遊びましょう今すぐ今みんなで・・・」

「・・・はいはい。」


 プリンシアが出禁になっていたので久しぶりにプリンシアと話すが、先生の判断は間違っていたのかもしれない。なにせ、2,3日離れただけでさっきの強烈な突進とこの止まらないマシンガントークなのだから。いや、ある意味正解なのか?

 それよりソフィアはどこだろうか、と探したところで声をかけられた。


「おはよう、ラビ君。」

「・・・おはよう、ソフィア。」


 ちょうどよかった、ソフィアがいなかった探しにいかなければならないところだった。


「・・・もう平気だから、夜そっちに行く。」

「ん?ああ、お礼の件ね、わかった待ってるよ。」


 とりあえず用事は済んだ、後は夜まで何をしようか、というより彼女をほどけるだろうか。

 などと考えているとソフィアから一つの疑問がやってきた。


「そういえば何で完治してからなの?」


 それはもっともな質問だ。

 待たせてまでなのだから彼女自身も何が来るのか気になるだろう。


「・・・力を入れたりするから、それに、ほとんど様子見だったから、すぐにでも出来たんだけど・・・」

「まあ、あんなことがあれば誰でも心配になるよ」


 ・・・心配、か。


 あらためてこの村の人間に愛されていることを実感する。

 本を読んでいくたびに積もっていった自分が魔族である事実を、彼らは、そんなことは関係ないとその手で払ってくれた。

 彼女も、ソフィアも他の皆と変わらずに接してくれた。

 嘘でもいい、ただそれだけでうれしかった。多分そう思ったからあのときあんなことを言ったのだと思う。


「・・・楽しみにしてて、評判はいいから。」

「うん、楽しみにしてる。」


 ソフィアは笑っていた。


 ああ、どうしてだろう、どうして僕は嘘でもいいから笑えないのだろうか。


 そんな自分がどうしようも無く、嫌いになってしまいそうだ。

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