いざ、森の深部
授業開始、十二日目。
「スゥ――ハァ――よっし、準備と覚悟はいいか? この探索で成果なしだったら、不合格同然だ」
「うん、ばっちり!」
朝靄の中、俺達は荷物、装備を整えていた。
この十二日でロディが覚えたのは次の通りだ。
攻撃魔法
・火演舞(必)
・灼炎(必)
・天焔(必)
・レヴァニェール(30点)
・水流舞(10点)
・風弾(10点)
・凶風(20点)
・グレイブ(土)(10点)
・アビスホール(土)(20点)
・レイ(10点)
防御魔法
・ウォール
・バースト・エア
・エア・メイル
緊急回避魔法
・ジェット・ステラ
生存魔法
・走る囮君
・千里眼
おまけ
・冷水生成
・温水生成
・着火
・脱水乾物
リスト全部とはいかなく、一部難易度の高い緊急回避魔法などは習得にまで至らなかったが、装備などでパラメータを補えば習得に至るだろうと思うので、習得課題はこれで合格と言っていいだろう。
なので今日、ついに森の深部へ探索へ向かう運びとなった。
主な準備はこの日の為にコツコツ作っておいた魔剣錬成の道具類。糸付きナイフやワイヤーフック、そして、再びの全身鎧を身に着けていた。
特にデザインも思いつかなかったので、西洋風甲冑な黒騎士デザイン継続中である。
「お、おおーかっこいいー!」
このセンスはロディには好評のようだった。カッコいい事は確かだからな。夜中に見たり魔物の群れと一緒に現れたらビビるだけで。
「これすごいよね。魔剣ってすごく強いんでしょ? それで全身の覆うんだから無敵だよね」
「そうでもないと思うな。防御の加護と違って衝撃は通すからな。腕で防御したら籠手は無傷でも籠手に接触した腕が折れるだろうから……熊に殴られたら多分死ぬ」
「え、そうなの?」
「まあそれでも圧倒的に強いのは確かだよな。斬撃の類なら全部弾くだろうし」
よし、と甲冑で鞄を掴む。探索には時間がかかることが想定されるので、今回は保存食なども準備してある。
ロディは着ていた学園のローブに水や回復薬などを仕舞い込んでいる。あのローブはポーションを抱えられるように様々な収納が付いてる利便性の高い服なのだ。
……今更だが着の身着のまま誘拐されてきたロディはここで用意したもの以外持ち物が何もない。旅についてくるにしろ置いてくにしろ、これ問題じゃないだろうか。
「っとそうだ忘れるところだった。ロディ、これ」
「わ、えっと、これは?」
「作るのがギリギリになったんだが、あの熊、ルーナグリーズの爪とかで作った首飾りだ。あいつの素材なら土属性の触媒になってくれるはずだ。簡単なものだが、無いよりは土魔法が使いやすくなると思う」
「へぇ……! こういう物が触媒なんだ……!」
「それじゃ出発しようか」
「うん! レッツゴーだよ!」
森の東へ、日が昇る方へと俺達は踏み出した。
――それから直ぐだった。
「ぐげっ」
「ふぎゃ!?」
森を切り開きながら進んでいた時、ガオン、と兜にいい音が鳴った。そして俺は衝撃を受け、前のめりに躓いた。そして、兜に潜んでいたハヅキも悲鳴を上げた。
膝をついた俺の横にドスンと転がったのはこぶし大の石。
つまり……投石を後頭部に食らった!?
「ギキィ――!!」「ギギキィ――!」「ギギィ――!」「ギィギャ――!」
「うおあぁ!? 来るぞロディ!?」
「う、うわぁ!? お猿さん!?」
前に後ろに横に、四方八方の木の上に見えるのは小柄な猿の群れ。
変わっているのはしっぽが長く、その先が手のように発達していて、どいつもこいつも石を抱えていること……
「う、おおおおおおお!?」
状況把握に費やせたのはそこまでで、次の瞬間には雨あられと石が降り注いだ。
さっきの一撃で俺にダメージが入らないのは確認できている。故に、降り注ぐ石の内、ロディに命中する物だけを感じ取り、打ち払う。
「ロディ! 『エアメイル』で弾けそうか!?」
『エアメイル』は水魔法『清流』の様に、風の流れで近接攻撃から遠距離攻撃まで受け流す風魔法の技でロディも扱えるまでにはなっているが。
「い、けると思うけど石が重そうだから全力になって長くは無理だよ!」
「ぐっ、俺も一瞬じゃあんな位置の奴ら殲滅出来ないだろうし……仕方ない! かがんでくれロディ!」
しゃがみこんで魔剣錬成を発動し、俺とロディを覆い、半球状のドームに避難する。
「はぁ……はぁ……いきなりの歓迎だな……!」
「お猿さんの魔物はスローキーだっけ。発達したしっぽのある猿って、こういう事なんだね……!」
「何か対処法とか書いてなかった本とかに」
「石投げてくるってことも初めて知ったよ!」
「あ、あなた達よく普通に会話してられるわね……」
話してる間にも石が投げられ、連続した打撃音がドーム内に響いている。恐怖を煽る騒音が鳴り続け、会話をするにも邪魔であった。
しかし、その勢いは急に弱まり、ややあって、ドーム内に静寂が訪れた。
「……攻撃をやめた? 効き目がないと悟ったか?」
外の様子を見るため、ドームに何本かスリットを入れる。
「うわ、すっごい石の山……何処にこんな石を……あいつらは……まだ滅茶苦茶にらんでるな」
「あ、ガイアガイア、あそこ木の上。石の山がある」
ペシペシと鎧を叩いて伝えてくるロディ。この数日で態度が完全に気安くなり、名前も呼び捨てるまでになった。敬語を外すように頑張ったかいもあったものだ。
「……ほんとだ。そうか、巣を作って石貯めこんでるのか……」
「石が尽きることは無さそうだね」
「……わざわざ巣に貯めこんでるくらいだし、このまま離れたら追ってこないかなこいつら?」
「……そうする?」
ドームの形状を変え、立ち上がれるように伸ばす。その段階で猿たちはビクりと警戒し、また石が飛んできたが全て無視し、通り抜ける。
少しの間、後ろから石が飛んできたが……目論見通り、猿たちは巣からは動かないようで、巣が見えなくなるほど立ち去れば、追撃は無かった。
それを確認して、更に他に敵はいないかを十分警戒して……ようやくドームを解除した。
「――ふぅ……こんな直ぐからやっべえ奴に襲われたな……」
「心臓に悪かったわ……」
「今ならガイアの言う事もちょっと分かるね……これは死ぬね。もっと魔法鍛えなきゃ……」
「遠距離全部弾く『バースト・エア』とか、精神力さえ高けりゃ全部敵に返したりも出来るんだが……まあそういう事だ。危険さと力の足りなさが熊以上によく分かったな?」
「……でもガイアが守ってくれるから良くない?」
「そこまでして足手まとい連れてく気はねぇよ!? それにあの猿……今の俺が一番苦手とする全方位飽和攻撃だったし、俺も大分詰んでた……相性が悪い。お手軽な遠距離攻撃手段が欲しいところだ」
「むぅ……マスタぁー? 私がー、いるでしょー?」
「いや、お前の魔剣錬成単体じゃ射撃攻撃とか出来ないだろ」
「そこはー、ほらー、マスタぁーがー、私をー、使いこなしてー、ねぇー?」
「いや、ねぇ? 言われてもなぁ投げっぱなしだし!?」
「私がー、いるのにー、苦戦するのはー、私のー、使い方がー、なってないんだよーっ」
相変わらず戦い方や装備事情には謎の拗ね方をするスフィア。私が最優の武器、自分一本あれば最強を自負するだけに、そこは譲れないようだ。何だこのヤンデレソード。ただの剣の見た目で可愛い声出したって萌えると思うなよ……絶対屈しないからな……!
「まあ、確かに……まだまだお前の可能性は大きいとは思うが」
「でしょーっ。だからー、マスタぁーはー、もっと私の事ー、使いこなしてねー?」
「ガイアってもう十分あんた使いこなしてる気もするけど……テントにするくらいだし……」
「好き放題だよね。でもガイアならもっと頭おかしい事しそうだよね……!」
「……それにワクワクできるあなたも強いわね……いえ頭おかしいだけかしら……」
「マスタぁーの方がー、頭ー、おかしいんだからー、よゆー、でしょー」
「おい俺の頭がおかしいのを共通見解にするな」
ともあれ、初手からスフィアの使い方の反省が必要な敵とはな……探索始めたばかりだというのに本当に酷い敵に当たったものだ。魔物なんて全然遭遇しなかったのに、ちょっと進んだだけでコレか……深部に近いのは間違いないだろうが、この先も魔物がわんさかいそうな感じだな。終点の前に探索のリソース尽きなきゃいいが。
「猿で既に手一杯な感じだったんだ、この先も上手くいくか分からないし気を引き締め――――何か聞こえね?」
「え? 私は兜の中だからよく――何か音が大きく……?」
「ぶぅぅぅぅぅぅん、って、向こうから?」
「……あれは……クワガタ……だなぁ……!」
「いやいやいやいやいやクワガタね? クワガタだけれどね!?」
「おっきい……!」
「感心してないで逃げるんだよォォォロディィ!!?」
一息をつく暇はあったがその直後、羽音を響かせ現れたのは立派な鋏を持った、黒くそしてエメラルドの混ざった光を放つ空飛ぶ甲虫が三匹も。
この世界で何と言うかは知らない。だが、日本人と翻訳された言葉はこう言うのだ。クワガタムシ、と。
例えそれが人よりでかくて凶悪な面構えで肉食獣じみた様相をしていても――!
「ちなみに俺は虫が大嫌いだそこんとこヨロシクうわこっちくんなマジくんなァア!!!」
「キャァ!? ガイア!? あんまり暴れないで頭が揺れて私が危ないから!?」
「斬った方が早くないの!」
「それでも逃げたい!!」
「それでいいの〈幼女の守り手〉!?」
「迂闊に斬りに行く方がロディも危険だと仰せだそうじゃなかったら即刻消し去っている……!」
「あ、はい」
「ってガイア! 前! 前!」
「うわぁぁぁああああカブトムシィイイイイ!!!?」
「ど、どうするの!?」
「スライディング!!」
「わっぷ。抱き寄せたまま器用だね!」
「あ、ガイア! クワガタとカブトムシが何か争い始めたわ!」
「このまま逃げるぞォォォ!!」
森と言うだけあり、生き物に虫に、時には植物に、様々な魔物がそこには生息していた。
俺達は魔物に襲われ続け、休む暇もなくあちこちへと森の中を駆け、跳ね、土に潜り、木を倒し、敵を切り、燃やし、進み続けた――――
「はぁ……はぁ……はぁ……ロディ、体力は、大丈夫、か……」
「はぁ……はぁ……う、うん……何とか……」
「ふ、二人とも大丈夫……?」
「はぁ……ふぅ……この先は……開けてるな……逆に怪しいし、まず、ここで一旦、休憩しよう……はい、水」
「んきゅ、んきゅ、んきゅ、ぷはっ。はぁ……大変だった……! ほんと大変だった……!」
「今からでもついてくるのやめたくならない?」
「それはならない!」
「ちィ……」
大変だった。語彙力が低下し、大変だったとしか言えないが、大変だった。
蜘蛛糸に絡まって死ぬかと思った時に躊躇なく俺ごと焼いたロディさんはかっこよかったな……巨大蜘蛛に動揺して動けなかった俺の失態を助けてくれるとは……成長したものだ。おかげでハヅキも焼けかけたが。
その苦労の果てに魔物の出現が止まり、安全そうな地形にようやく辿り着いたのだった。
周囲を千里眼で魔力探知までかけて安全を確認。魔剣錬成で簡易テントを作りしっかりと休息場所を確保する。
「この中なら、魔物が来てもそうそう危険になるまい。だから……ちょっとマジで休む……」
鎧も脱ぎ捨て、中で寝っ転がる。形状を変えるだけならそう魔力も使わないので、たい焼きの型みたいに真っ二つに割った鎧が外にポイ捨てされる事となった。
鞄から食料を取り出し栄養剤と一緒に腹に押し込む。もう夕暮れ時だが食べる暇もなかったおかげで空腹も厳しかった。ロディは大丈夫だったろうか。いや駄目っぽいな、一緒にぐったりだ。
ロディも何とか空腹を満たし、同じように寝っ転がる。
「日がそろそろ沈むな……今日はここで一度休むか……でもこの先が気になる……眠い……」
「ここ……そろそろ、最深部、だよね……? この先が、そうなのかぁ……」
「そういう風にも、見えるんだよな……あの開けた先、露骨に怪しいし……ただ、だとしたら何が出てくるかって問題が……」
「今までの流れで……何もいない、なんて事はなさそうよね」
ハヅキが全員の意見を代弁する。
いや絶対ボスモンスターいるだろ、と。
「正直……戦える体力は無いが」
「私も……きびしいかも……?」
「一旦引き返すのも有りかな……湖のとこから、魔物と戦わず迷わず真っ直ぐに来るとそう遠くない位置のはずだし」
「それ……帰りも同じだけ戦うよね?」
「……ロディ、ジェットステラまだ使える?」
「え? 休んだし……一回ギリギリくらい? え? 何で……?」
「ああ、いい帰還方法考え付いてな」
「いくら何でも飛距離が足りないよ?」
「ああ大丈夫。そんな魔法で飛んで帰れなんて無茶は言わないよ」
「やめましょうガイア。やめなさい」
「ははは何かなハヅキ、そのやる前からお前の馬鹿な真似は分かってるんだ観念しろみたいなの」
「説明の必要はないみたいね!?」
「という訳で、この奥の様子を見て、やばそうだったら一旦帰還、休めたらこの辺で一晩休んで再探索って方向でどうだろう」
「そうだね……実はこの奥が気になって眠れないしね!」
「よし、じゃあちょっと作る物があるからその後、しっかり休息とって突入だ」
「ねぇ何作る気? ねぇ? ガイア? 聞きなさいよ!?」
叫ぶハヅキを連れて、俺は外で魔剣錬成を発動。出来上がったものに、ハヅキは読めてたよと言わんばかりの半目を向けてきたが、「まあ大丈夫かしら……あれ? 奇行に慣れただけ……?」等と呟き、そのまま納得したのか特に反対は無かった。
「おっきなスプーン……?」
尚、ロディの反応はこんなものだった。
朱に染まる草むらを歩く。
森の中にぽっかりと現れた空間、樹の生えていない大きな広場。
その先に一際巨大な、一本の樹が見えた。
なるほど、ここが、あの樹が、この森の中心で間違いないだろう。
そう確信できるほど、その樹はそこにあるだけで圧倒される存在感があった。
「でっかいな……っ」
「すっごい……!」
そして何より、その幹が呑み込んでいる俺より大きい巨大な魔石。それ一つでこの樹の強大さというものが何より雄弁に理解させられる。
俺達はその大樹の根元へ近づいていく。
「……すんなりといくな。警戒のし過ぎ、ということは無いよな……何か……」
「ふわぁ……すごい……! こんなサイズの魔石があるんだ……! こんなに成長するほどの樹……! うん? ガイア、あの魔石、中に何かない?」
「中? おう、マジだ。あれは……枝……杖、かな?」
「杖! アイテム? 装備? アーティファクト……!」
「樹の魔石の中で成長したアイテムか何かか……? 興味深いな……そしてまず間違いなくお前の求める品だろうよこれは」
「わぁ……! でもあれどうやって取る……の?」
そこで訪れる、振動。
地震だ。
「ああうん、そう簡単には行かないよなそりゃ」
「わわ、揺れ、わ」
「おっと、大丈夫か」
「すっごい落ち着いてるね……!?」
「揺れ自体は大したことない……事も無いのかこっちの人。それより揺れた原因、が…………ぁ」
「………………わぁ」
二人、兜の中のハヅキも入れて三人、声を無くして見上げた。
その光景を何と言えばいいのか。
大樹が、立っていた。
いや、樹は確かに立つように、真っ直ぐそこにそびえ立っていた。その時点で立っていたと言っていいとも思えた。
だが、違う。
大樹が立ったのだ。
自らの足で。
その根っこで――!
「ぇ、な、と」
「トレントォ――――――――――――――――!!!!!!!?」
――でかすぎんだろ!!?
天まで届けと立派に育っていた大樹が動き出す。
その根は当然広大に伸び、この広場一体から次々と地面が浮き上がり、極太の根がせり上がる。
木が生えてないのはそうか、こいつの根で定員が埋まってるから……つまり、百メートルは優にあったこの広場全部かそれ以上がこいつのテリトリーか!?
今すぐスフィアで殺せば止まるか!? いや、でかいし遠い、殺しきるだけの用意が難しい。
何より、既に足場がやばい――!?
「撤退――! 帰るぞロディ掴まれ!」
「わ、わわわ、ガイア!?」
俺たちの立つ地面さえも地が割れ根が盛り上がらんとしている。足元全部が敵なこの状況では、退いてロディの安全確保が最優先――!
俺は、魔剣錬成して、そのまま引っ張ってきた巨大なそれにロディを抱えて受け皿の部分に飛び乗った。抱きしめる都合上、鎧は解除し、新しくハヅキとロディを固定するベルトを作る。
「ほ、ほんとにやるのね……!」
「この状況やるしかねえだろ!? しゃべるな舌噛むぞってなぁ! 地面が揺れてるからちゃんと飛ぶか怪しいけどな!」
「ちょっと――!?」
「飛ぶ、飛ぶの!?」
――あ、今度はロディに言い忘れたっけ? いや、形状見たら分かるかなって。
その形状は、言うなら大きく反らしたスプーン。
弾性素材で生成した、シンプルな投石機。弾は自分達。
放った。
「――――――――ぅぉおおおお!?」
「――――――――ィィィィイ!?」
超攻撃力から放たれるエネルギーは俺達を空へと打ち上げた。
強力な加速度と風圧が襲い掛かる。
幸いにも地面の状態にもかかわらず、正面には湖が見えた。この勢いなら見事辿り着くだろう。
ただ。
「――ロディ、風魔法とかで、減速出来る!?」
(ぷるぷるぷるぷる)
何とか絞り出した声に、全力で首を横に振るロディさん。うん、そうでしょうね。
そして俺もそんな魔法は使えない。
……幸い、飛びすぎて湖の上に落ちるコースである。
落ちた。
「げほっげほっ……ロディ、ハヅキ無事か?」
(ふるふる)
「ふ、ふふ、覚悟してれば、なんとかなるもの、ね……(ガクッ)」
超高度からの高速着水という、ジェットコースターでもないと体験できない経験に、ロディは放心して言葉が出ない様子。ハヅキは……ごめん。その、絶叫マシンって事で……
着水の瞬間からは俺が水魔法で調整したこともあり、怪我も溺れも無く、拠点のポイントへと帰ってこれた。
遠く、飛んできた最深部の方へ意識を向けるが、とりあえず、あの巨体でこっちまで追いかけてきたりという恐怖状況にはなっていないようで、一安心する。
まあ、まとめると。
「無事に逃走出来たな!」
「やっぱりー、頭おかしいよねー、流石ー、マスタぁーっ」
何で。




