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続々々 ガイア・ハヅキの反省そして勉強会 『魔力と魔法と魔法都市と』

「さて、俺の中では、某手ごわいシミュレーション的に考えて、魔力と言えば魔法攻撃時の強さだった訳だ」

「はあ」

「でもあのゲームにはMPとかの概念はない。では何と言うだろうと思いを馳せると、小説や漫画的にはそれも魔力って言うだろうと俺は思うわけだ」

「ええ」

「そして俺には、『俺の中で一番正しい認識になるように言葉が変換される』サンの加護が掛かってる訳だ」

「……ええ」

「MPとMAGで魔力がダブってしまった」

「それつまりあんたのせいなんじゃ」

「いやいや俺にそんな変換をさせる加護を掛けたサンの奴が原因であると俺は主張をだな」

「半分以上八つ当たりよね?」

 そうとも言う。


「だがしかしだ、ここで伝えておきたいことがある」

「どんな言いがかりよ?」

「決めつけはやめてもらいたい……! いや何、ハヅキは普通にこの腕輪のステータスを見れていたようだが」

「それが、何かあるの?」

「このステータスの表記な、実は日本語で書かれてるから、他の人は読めないみたいなんだ」

「へぇ……ぇ?」

「つまり、ここのステータス部分には翻訳の力が掛かってなくてな?」

「え、ええ」

「俺が某ゲーム風だと思わされたのはここの表記が原因でもあってな。翻訳による誤解のしようもなく、俺に魔力とはこういうものだ、と最初に植え付けたのはサンな訳で。しかもあいつならこの世界の人が魔力って意味になる言葉を使っていたのは知っていたはず……!」

「……やっぱりほぼ言いがかりじゃ」

「サンの奴ならこれくらいの地味で微妙な気分にさせられるイタズラを仕掛けてきてもおかしくはない……! あいつは、見た目素直で純粋な幼女な姿なくせして、割と全力で中途半端に質の悪いイタズラを仕掛けてきたりする神だ……これもあいつの陰謀だったとしても驚かない……!」

「あんたの中でサン様はどうなってるのよ……いや、私もよく知らないけど……」

「まあ俺も言うほどあいつと話した訳では無いがな」

 しかし、たとえどれだけ会話が無くても、よく知っていることがある。


「世界の危機だって言うのに、俺みたいなのを勇者に選んだ奴だぞ?」

「……あー…………ぁぁー…………」

 深い悲しみと頭を抱えて唸るハヅキ。この世にまともな神なんていないんだ。ただ、うん、へこみすぎだよ俺がへこむぞ。



「そんな訳で、サンが悪い」

「あー、まあ、それはそれでいいとして……結局魔力は……ややこしいまま使っていくしかないのね?」

「まあ一つの言葉がいくつも意味を持っててややこしい、なんて事は良くある事だしな……諦めて慣れていくというのが普通の解決だな」

「……何か他に方法でもあるの?」

「一つ、とても簡単で手っとり早い方法がある……この魔力ってのを、別の言葉にしてもらえばいい」

「……えーっと……それって」

俺が腕輪を指していった言葉の意味は、つまり。

 立ち上がり、空を仰いで、大きく息を吸い込み。





「どうせ覗き見てんだろサァァアアアアン!? 不良品修理のアフターサービスくらいしろってんだ駄女神ィィイイイイイイ!!」





 天まで届けと、不満を叫んだ。


「さて、運が良ければこれで解決するだろ」

 何事も無かったかのように座り直す。

「いや……あんたは……ほんともう……」

 また突飛な事してこの変人は……と、ハヅキの表情は、声にしなかった部分をはっきり語っていた。まあ、確かに今の行動は、只の奇行でしかないと、自分で思わなくもないが。


「他にいい案もない……駄目ならどうせ現状維持だし、まあ叫ぶだけタダだ」

「マスタぁー? やっぱり呪い効いてたー?」

「……こんな風に、ただの危ない人にしか見えないって言う代償がある気がするわ」

 遠くでトリップしていたスフィアが、突然の大声にこの感想である。


「……今特にデメリットにならないので実質タダと言うことで」

「私もこいつ頭おかしいって思うわ……あ、もう思っていたからなるほど、実質タダね」

「ハヅキさん? 俺これでも最良の行動取ってるだけのつもりなんですがね……」

「だから頭おかしいのよ?」

 ……それもそうである。最善で動いてこの様ってお前何考えてるんだ。そういう話になる。


「さて、それでその魔力が影響する魔法ってものについてだが」

「話逸らしたわ……」

「大事な話の途中だったのを思い出しただけだ……!」

「……そういうことにしましょう」

「そうしてくれ。それで魔法だが、全然分からないんだっけ」

「知ってるのは、ガイアにちょっと教えてもらったくらいよ」

「そうだな……まず属性があるのは知っていたっけか」

「土とか水とか、何か言っていたわね」

「ああ、いろんな属性があるんだが、大きく分けて、火・水・風・土・光・闇の六つのどれかに、基本的に属している。そして、全ての属性に、何か精霊っぽいのがいるらしい」

「また曖昧な……精霊っぽいの?」

「俺も最初の頃に少し聞いたくらいだからその辺はよく覚えていないんだが……その精霊と相性がいいかどうかで魔法を使えるかが決まるそうだ。そして、どの属性の精霊と相性が良いかで、使える魔法も決まってくると」

「へぇ……それで、ガイアは土なのね?」

「ああ……水星なんて言ってるから水かとも思ったが、土の方が相性が良いらしい。一応、水魔法も土以外の属性の中じゃ相性いい方だが、それでも、水の無いところでこれほどの水遁を……! とかは出来ないんだ」

「どこの忍者よあんたは……」

「……うん、どんな無駄知識をと思ったが……こうやってきっちりネタに反応返してくれるのは、これはこれで有難いものだな」

 一周目じゃ、こんなこと言っても誰もネタ知らないから無反応だったしな……


「まあそんなわけで、俺は土が異常適正、水がそこそこ、後はほぼ微妙といったところだ」

「じゃあ、ガイアは火とかの魔法は一切使えないわけ?」

「適性の無い魔法も使う方法はあるぞ。属性を帯びた装備品があれば、その属性の魔法が使えるようになる。スフィアとか魔力特化だったし、多分闇属性だと思うが」

 スフィアの方を見る。

「んー? 私-? そりゃぁー魔族の物だしー、闇だよー?」

「という訳で、俺は闇魔法も使えるわけだ。こんな感じに、魔法的な武具は属性も帯びてる事がある。そういう触媒があれば、他属性の魔法も扱える。まあ、質によって強さも左右されるが」

「じゃあスフィアなんかだと……」

「……最高レベルの闇魔法も使えるんじゃない?」

「そういえば力の加護の事は聞いたけど、魔力3000って、それで魔法使ったらどうなるの?」

「……さあな。正直、俺も魔力がこんな値になったのは初めてだし、闇魔法も良くは知らないから何とも言えないな。ただ……」

「……ただ?」

「推測でいいなら……俺の土魔法で、スフィアの祠。そのものを地面ごと引っこ抜ける気がする」

「…………ぇえー……」

 尤も、一瞬で体力切らして持ち上げようとしただけで気を失うだろうが。


「まあ、そんな使えない魔法に思いを馳せてもしょうがない。それに土や闇なんて旅ではあまり役に立たないしな……」

「火と水が欲しいって言ってたっけ」

「どこでも簡単に火を起こせて、明かりの確保も出来る火と、飲み水洗濯水浴び、何にでも便利な水魔法があれば、旅の快適さと楽さが違うからな」

「でも、そんな装備無いんでしょ?」

「……仮にあっても、今の俺じゃスフィアの呪いで使えない気もするな」

「手詰まりじゃない……」

「いや、もう一つ魔法が使えるようになる方法があってな、ミョルディアで売ってる」

「……え?」

「あの街な、魔法が売ってるんだ」

「魔法って買えるの!?」

「……むしろ、それに慣れ過ぎて、人の国の間じゃ、魔法は買って使うもの、って言うのが一般化してな、おかげで魔法の発展が止まるっていう問題にもなっていた……あああやり直したからまだ問題になってるうわめんどくせぇえええええ…………」

「……どういうこと?」

 ああ旅の功績が全部リセットされてるという事がようやく身に染みた。世界救済の失敗のチャラはいいが、うまくいってた部分も全部なかったことになってるもんな。そりゃあそうだがな。だからと言って、あの街の空気改善とか二度も出来る気がしねぇ……


「……あの街には、割ることで中に入っている魔法を習得できるっていうクリスタルがあるんだが、まああれだ、ファイアとか、ブリザドとか、エアロとかそんな感じの。魔力のパラメータがないと使えないが、魔法を使えるような人であれば、ある程度の適性を無視して、いろんな魔法が習得できる」

「へえ、便利なものがあるものね」

「長年の研究の成果だそうだ。まあ、中に入っている魔法しか使えないから応用は効かないし、習得にも、魔法に応じたステータスが必要だが。それと、属性の相性が悪すぎると、レベルの低い魔法しか習得できなかったりする。が、それでも便利すぎて、皆これで魔法が使えるからと、自身での魔法の研究をしなくなった」

「……あー、そう繋がるのね……」

「そうして今では、ここで買わないと魔法が使えない、というアホな認識に至り、それが国中に広まるまで事態は悪化している。俺も最初、騙された。別に普通に使えるじゃねぇか魔法」

「よくそんな国の事情まで知ってるわね……」

「一周目に、問題になったんだ……」

 最初の最初、クソヒゲの話を聞いた後、冒険の始まりの話になる。



「クソヒゲがな、話の締めに、ミョルディアには優秀な魔法使いが多くいるから、仲間に加えるべきだと言ってきて、それが最初の目標になったわけだ」

 俺と、騎士と僧侶。魔法使いを入れるとパーティーのバランスもよさそうだからな。

「それでミョルディアに向かって、魔力を鍛えるための訓練所というか、学校があってな、そこの学園長に、優秀な人を紹介してもらう事になったんだが……ぁー……そいつがクソでな」

「すっごい嫌そうに言うわね……どんな酷い奴なのよ……」

「そもそもな、その例のクリスタル、クソ高いんだ」

「え? ……まあ、それもそうよね」

「それで、皆はここで、その馬鹿高いクリスタルを買わないと魔法が使えないと思ってる訳で。どうなるかというと、金持ちだけが魔法を覚えれるようになる」

「欠陥じゃないのそのシステム!?」

「そして魔法を覚えた奴だけどんどん魔力も上がり、結果、元の素養はさておきそこそこ優秀な魔法使いになると。そんな奴がどんな性格してるかなんて言わなくてもわかるだろう。まじクソだった」

「……嫌味な成金エリート、って事よねー……」

「それでイラァって来てたところで、更にイラァってする事件が起こってな……ああくそ、思い出したらイライラしてきた」

「落ち着いて……! で、何があったの?」

「……とりあえず、仲間入りは一旦保留にさせてもらってその場は解散したんだが、その直後に、そのクソ成金が、町の広場で、ローブ着た女の子を、この魔法も使えない貧乏人が! っていじめてる現場に出くわしてな」

「うわぁぁ……」

「その女の子は家が貧乏でお金がなく、クリスタルなんか買えない子でな。それでも魔法使いにはなりたかったから必死に勉強し、クリスタルなんかなくても魔法は使えるんじゃないかと気づき、努力していた、という子でな。いかにもいじめっ子が絡みそうなキャラをしていたんだ」

「いじめっ子とか表現軽いけど、実際クズよね?」

「クズだったよ。そしてリセットされてるからまだ粋がってるだろうよあのクソ」

「心の底から嫌そうに吐き捨てて……あ、という事は前回はボッコボコにしてやったのソイツ?」

「割って入った俺と言い合い、売り言葉に買い言葉で、更に色々あって、その女の子と俺とで、クズのタッグと決闘することになってな。クリスタルなんか使わなくても手前らなんか俺の魔法で地に沈めてやると、派手に宣言かましたもんだ」

「おお、女の子を庇っての言い切り、かっこいいじゃない」

「まあその時全く魔法なんて使えなかったが」

「何でそういつもいつも行き当たりばったりな事する訳!?」

 思えば、最初から勢い任せに事件に首ツッコんでいたっけ……


「ま、まああれだ。ちゃんときっちり魔法も覚えれてそのクズもしっかり埋葬したし、問題はなかった」

「どうせギリッギリで、しかもまた頭のおかしい解決策取ったんでしょう」

「ノーコメントだ! それで、最強と紹介された成金クズも潰した訳だし、この女の子が最強と証明されたので、その子がパーティーに加わった、と」

「あ、その子が、例の魔法使いだったのね。ん……? ところでガイア、女の子だとか、どことなく小さい子に聞こえたんだけど、その子歳は?」

「十二歳だったか」

「これだからロリコンは……小さい子だからって仲間に……」

「話聞いてたよな!? 強いからだよ!? これでも小さい子を旅になんてー、とかってちゃんと一回渋ったんだよ!? それにあれだよ!」

「どれよ!?」

 そもそもだ!


「十二歳は幼女ではないと思う!」

「え……えー……う、うん……」

「おい何でちょっと引いたおい」

「そんな区分どうでもいいから……しかも結局ロリコンよね?」

「だから俺はロリコンではないと何回も……」

 おっと、話が逸れた。


「えー、それで、何だ。ああそうそう、クソ成金ぶっ倒したことで、クリスタルなんて飾りにすぎないってことが証明されて、魔法に対する意識の改善にもつながったんだ」

「なるほどねー。で、それがリセットされちゃってると……確かにへこむわね」

「そういう事だ……まあ、魔法についてはそんな所だ。属性付きの装備か、そこでクリスタルを買うか」

「お金、無いわよね?」

「……ないな」

「しばらくは関係ない話かしらね……」


 今後、どういう風に動くかはまだ未定だが……他属性の魔法の獲得は遠そうだ。

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