絶望した少年
読んでいただき本当にありがとうございます。
初めてこの小説家になろうというサイトで書かせてもらいました。
なるべく始めの方は毎日更新にしたいと思います。
「このイカサマ野郎」
この言葉は生まれてから何回言われてきたことだろうか。
人は自分よりも上の人間を見ると、" 才能が……、環境が……" などと言い訳をつけながらも最終的には『卑怯者、イカサマしているペテン師』などと決めつけ嫉妬する。
周りをそう駆り立てさせ、自身の人生を狂わせている巨大な力、ぞくに言う" 超能力"。
情けないことに自分でもこの力を理解しきっているわけではない。一般的に知られている千里眼、テレポート、念力などに言い換えられるかどうか曖昧なものだが、あらゆる物理法則をねじ曲げ常人にはできないことを実現できる力であることは間違いない。
この力は生まれつき宿されたものであり当時は"、 超能力"などという発想する者など誰一人現れなかった。
" 超能力"の頭角を見せ始めたのは僕が幼稚園に入園した時であった。
大人が持ち上げるのに手こずる大きな荷物を幼児の身である自分が持ち上げ、喧嘩の相手を幼児の手でここまでできるのかと目を疑うほどの怪我を負わせるなどといった奇行を繰り返していた。
初めは怪力の天賦の才を噂されたことがある。
しかしそれもつかの間のこと、一年も立つと自分へ向けられていた期待の眼差しは気味が悪いものを見る、または嫌悪を示す眼差しへと変わった。
小学生の時に"超能力"について公表することにし、皆に認めてもらおうと動いた。
…………しかし今思えばこの選択は大変な間違いであった。
それからというもの、事あるごとに自分のせいにされたり、無理やり病院で研究の対象にされそうになったりと精神的に追い詰められることとなった。
中学生の時は" 超能力"を使用しないと決め、必死に皆と同じように努力して自分の力だけで勉強、運動をこなした。
しかしもう手遅れであった。
人より優れた結果を出せば「あいつは普通じゃない」「きっとズルをしたに違いない」という声が飛び交い、悪い結果を出してしまえば周りの人が自分をせせら笑い、まして励ましてくれる人など存在しなかった。
そんな状況が続いて、初登校から不登校になるまでそう時間はかからなかった。
とてもつらかった、しかしもっとつらかったのは母だったであろう。
自分のことで近所の人からはのけ者にされ、時には嫌がらせも受けていて常に一人だった。
そしてそれが長く続き、母は精神が犯され自殺してしまった。
さらに父もいない。
父は僕に何かを言い残して蒸発してしまった無責任な親だった。
自分のできるバイトだけでアパートを借りるのに必要なお金など稼げるはずもなく、親戚からも僕のような気味の悪いやつなんかを引き取る人はいなかった。
家はない、親もいない、お金もない。
世の中では蔑まれ、軽蔑され、存在すら邪魔となってしまう存在。
なにも悪いことはしておらず、自分はほかの人にない特別なものを持ち優れているのに……だ。
僕はその時から何も考えなくなった。
何日かたったある日の夜、とても強力で有名な幽霊スポットへ行った。
その時の記憶は曖昧だ、きっと『この世界から離れたい』という思いが強すぎて現実逃避をしたかったのだろう。
僕には霊が見える、" 超能力"があるから見えるのか、僕そのものに耐性があるのか……、だがそんなことはどうだって良かった。
案の定、霊を発見した。
その瞬間、現実から意識が飛んだ気がし、興味そそられた自分は霊を追っていった。
追って行った先はトンネルでその中は照明がなくびっくりするぐらい暗かった。
………………
消えたい、この世から消えて別の世界でやり直したい。
そんな思いを抱きながらその真っ暗なトンネルを進んでいく。
しばらく歩き、トンネルの真ん中付近に到達した頃突然不思議な声が聞こえた。
《君はほんとにそう望んでいるのかい?》
「なっ!?」
上下左右、あらゆる方向からその声は発せられ頭にガンガンと響く、そしてそれはとても不思議で不気味な声だった。
《君にはそれができる資格と能力が見受けられるんだ、だから……》
コンクリート出てきたトンネルが地響きを起こし始める。
揺れでまともに立てなくなった頃
天井が崩れ、雪崩のように重苦しい音を立てながらなかにあるものを潰していく。
そしてそのものの中の一つは自分だった。
《死んでよ》
これが彼の人生を良くも悪くも180度変えてしまう出来事であり最大の分岐点となったのだった。
ありがとうございました。
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