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~八の巻~ 秘薬
『お待たせして申し訳ありませんでした。』
戻られた其の御方の手には手桶があり、私の傍に其れを置くと、布巾を濡らし、
『失礼致します。』
と仰って私の腕を取り、布巾で私の傷の上を丁寧に拭いてくだされた。
そして懐から小さな壺を取り出すと、
『此れは私が日頃使うておる薬で、傷にとても良く効きます。』
と私の腕に塗ってくだされた。
『っん!』
『少し凍みましたか?』
くすくす笑いながら、ですが其処が効くのですよ、と仰る様は、失礼ながらまだどこかあどけない少年の面影も残されておられる様だった。
『因みにこの薬を使うた方は、私以外では貴女が初めてです。』
此れは私が調合した秘薬ですから。
いたずらっぽく微笑まれた其のお言葉に、私は驚いて、
『まあ、薬師様なのですか?』
と伺うと、
『まあ似たようなものです、色々調べるのが好きなのです。』
と微笑まれた。