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~四十一の巻~ 洞窟

 昼間でも光が余り届かぬ森の中だというのに、セイが私を降ろした其の場所は、中でも一段と草木が鬱蒼と生い茂ったじめじめとした場所だった。


セイは私を降ろすと、迷う事無く其の中の一画の草を払い除け出した。


『セイ?何をして・・・、』


何をしておるのですか?と訊こうとした答えは、セイに答えて貰う迄も無く直ぐに判った。


セイが、覆い被さる様に幾重にも生い茂っておった草を取り除くと、目の前に突如洞窟が出現したからだ。


恐らく生い茂っておると思うておった草の多くは、其の入口を隠す為にわざと置かれた物だったのだろう。


しかも其の入口は、大人が一人、まるで蟹の様に横歩きをしてやっと入れる程の狭さなので、其の存在自体、余程この森に精通しておる者でも、恐らく気付く事は出来ぬだろうと私は思うた。


セイはついて来いと入口を指し示し、迷わず其の中に入って行った。


初めてこの場所を訪れたのでは無い事は明白だった。


私が恐る恐るセイの後ろから入っていくと、直ぐに、まるで壁に体を挟まれそうな嫌な感覚に襲われた。


道は緩やかな下り坂になっており、じめじめとした岩に、少しでも気を抜くと、するりと足を滑らせそうになる。


私は爪先立ちで壁に手を這わせながら、何とかセイの後に続いた。


慣れぬ足取りにもう限界と思い始めた時だった。


私達は狭い道をくぐり抜け、ちょうど野苺の園と同じ位の広さのぽっかりとした空間に立っていた。


だが其の場所には、野苺の園とは決定的に違う点が一つだけあった。


何故なら其処には、其の広間を縦に突っ切る様に一本の巨木が、天を目指して伸びておったのだった・・・。


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