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~三十八の巻~ 準備
河原に着くや否や、セイは慣れた手つきで竿の準備を始めた。
何をしておるのかと思うて観察しておると、
『暇そうだな、然らば仕事を授けよう。』
『其の辺りから、みみずを見付けて参れ。』
『・・・』
(何ですと?)
『早くせぬか、竿の準備は出来たぞ。』
『何故、私が?!』
『好物だろ?』
『はぁ?私は鳥ですか?』
『ははは、いつもピーピー騒いでおるではないか?』
私が真っ赤になって睨んでおると、
『此れで良しっと!』
そう申して、試し振りをしておる。
よく見ると、二本の竿に、既にきちんと餌を付け終わっておるではないか!
(からかわれた!!!)
其れでも私は、
『ほら、参るぞ!』
と剣だこの出来た大きな手で頭を撫でられると、頬が又熱くなって、何故か何も申せなくなってしまうのだった・・・。




