表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/130

~二十八の巻~ 守の危惧

 『若、あの者達に関わり合うのは、もうお止めください。』


珠一行と別れた途端、和哉は青馬に斯様に説教してきた。


『いつの日か、あの者達は、必ず災いとなりましょう。』


『災いの種を招かぬ様に、今迄必要以外には村に近づかず、他人との関わりを一切断って、息を潜める様に隠れ住んできたのは何の為ですか?』


『今迄の我々の苦労を無にしかねぬのですぞ!』


『・・・』


『若!』


『聞いておられるのですか!!!』


『これは運命(さだめ)なのだ・・・。』


『はっ?何と?』


小さく紡がれた青馬の言葉は和哉には届かなかった・・・。



◇◇◇◇


『あの者達に会うのを止めるつもりは無い。』


青馬の答えは明快で、何の迷いも感じられなかった。


『若!』


『ですがあの娘子(むすめご)は・・・、』


『解っておる、恐らくあの者達はこの地の官吏の身内。』


和哉の言葉を遮って、青馬は淡々と告げた。


『其れをお解りになられておられながら何故(なにゆえ)でござりますか?』


()しんば娘子(むすめご)達は話さずとも、あの風矢と申す守役は、ああ申してはおりましたが信用出来ませぬ。』


『如何せん、あの者達が約束を守うたとして、家人があの者達の行動を不信に思うて調べに来ぬとも限らず、危険が多過ぎます。』


『万が一、土地の官吏に気付かれたら・・・。』


其の場に立ち止まり、和哉が必死に訴えておると、


『滅多に人が来ぬ村外れとはいえ、斯様な往来で騒いでおって誰かに見られたら、其れこそ騒ぎになるぞ。』


そう青馬は申すと、


『帰るぞ。』


と屋敷に向かうて、早足で歩いて行ってしまった。


『青馬様!お待ちください、まだ話は終わってはおりませぬ!』


青馬に追い縋る和哉の声は、どんどん離れていく主の背中に、まるで跳ね返されておるようだった・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ