~十八の巻~ 謹慎
あれから二十日余り。
未だ私達は外出出来ずにおった。
◇◇◇◇
青馬様と別れて、屋敷に向かうて歩いて行くと、途端にあちらこちらから、
『『『姫様ぁ~!』』』
『『『笹野ぉ~!』』』
と私達を呼ぶ声が聞こえてきた。
私達が屋敷に向かうて慌てて駆けて行くと、あちらこちらを見ながら大声で私達を呼ぶ春野の姿が目に入ったので、
『春野ぉ~!』
と呼びながら手を振ると、私達を見た春野がもの凄い勢いで駆けて来て、私を強く抱き締めた。
『姫様!!!』
『ご無事で良うございました!!!』
私の肩に顔を埋め、体を震わせ泣いておった春野・・・。
我が子である笹野が、私と共におるというのに・・・。
居たたまれずに、ちらりと笹野に視線をやれば、笹野もまた其の様な母の様子を見て、涙を流しておった。
私は漸く自分の浅慮を思い知ったのだった・・・。
『姫様に何かござりましたら、右大臣様にも、亡くなられた奥方様にも会わせる顔がござりませぬ。』
『其の時は死してお詫び申し上げます。』
泣きながら斯様に申す春野に、私は、
『ごめんなさい・・・。』
とただ何度も謝ったのだった・・・。
◇◇◇◇
屋敷に帰ってから、風矢の為に野苺を採りに行った事を告げ、浅慮を詫びた私に、私達を捜し回っておった屋敷の者達は、皆口々に、
『『『ご無事で良うござりました。』』』
と泣き、
『『『今後外に参られる時には、必ず誰か供をお連れくださりませ。』』』
と言われた私は、再びあの場所に行きたいと、どうしても言い出せなくなってしまい、風矢の回復を待つしかなかったのだった。




