ジョブチェンジ
「しかし、お前草の根の様にヒョロい体つきだな」
「失礼な。あんたが太すぎなんじゃねーの?」
「いや、狩りをする男ならこの位当然だろ?」
あー未だに狩猟をされる民族なのですか。
「それに畑を耕すにしても、お前の様な者では難しかろう?」
「あーそうかもですね」
「だいたい、お前みたいに細い者は子供でも中々おらんわ」
あーマジっすか。俺、子供に負ける筋肉っすか……。
この村の女性は皆マッシブなのかー。
俺、何の為にここにこさせられたんだろ?
物語の主人公になれるぜヒャッホーと思ってた俺を殴りたい。
「因みに、俺これからどうなるんです?」
「あーお前は生贄だな」
「あーそうですか生贄ですかー」
イケニエ?!
「あ、あのー今俺の聞き間違えでなければ生贄って言われた様な」
「おう! 言ったぞ」
そう朗らかに笑い大きく頷く筋肉マン。
「村長がな、お前みたいなのを村で養う程の余裕はないし、仕事をさせようにも使い物にならないと思う。このままだと冬場に餓死する者も現れかねないので、穀潰しになられるよりは我らの神に捧げるのが彼にとっても栄誉であろうだと」
「…………」
「それにお前は男の割には、下手な女より肉付きが良く筋張ってない。これなら神も満足されると」
「へー」
今の話しを聞く限り、食料事情もあって俺を生贄にしようとしている部分があるのがわかる。
そこをどうにかすれば有用性を考えて生かしてもらえる可能性が出てくるだろう。
今こそ俺のネット小説知識を活かすとき!
……無理。何も思い浮かばない。
「ははは、お前も嬉しくて言葉にならないか! まー生贄に捧げるのもまだ先だから」
「あ、あははは……」
こうして俺は生贄にジョブチェンジしたのだった。