表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラベンダーの空  作者: 凌月 葉
1. ステージアップ試験
7/77

1. ステージアップ試験 7

1. ステージアップ試験 7


「なんだ?!」慌ててジンが振り向くと、唖然とした表情のテレスとマルクの横に見たことのない男が立ちホイッスルを吹いていた。


「ジン、君は失格だ」男は驚いているジンの前にすっと歩み寄ると、ジンの肩に手を置いてこう言った。


「なんだよいきなり!なんでオレが失格なんだよ。……っていうか、アンタ誰だよ」

ジンは男性が肩に置いた手を振り払いながら、噛み付くようにして叫んだ。


「ルシアよ」 と、震える声でテレスが言う。

「ルシア?って、あの下級生のチビ?」ジンはとっさに、ルシアの姿を探した。するとマルクが、「ルシアが、その人になったんだ」と言った。



 ジンが慌てて目の前の男に視線を移すと男は黙って頷く。 試験官が下級生に姿を変えて受験生と行動をともにしながら、試験の判定を行っていたのだった。


「君が先ほど使った『時間を止める魔法』だが、あれは君のレベルでは使うことができない魔法のはずだ。君の潜在的な魔力と才能によって成功したようだが、レベルに合わない魔法を使うことは時によって、大きな危険を伴うこともあることは君も知っているはずだろう。どちらにしても、規約違反には違いない。よって君を失格とする」

試験官はそういうと、もう一度ジンの肩に手を置いた。



「くっそ!汚いぞ」

ジンは悪態をついたが、試験官は取り合う様子も無くジンに背を向けるとこう続けた。

「テレスとマルクの両名は合格とする。おめでとう!」

合格を言い渡されたテレスとマルクは、まだ何が起こったのかわからない様子だった。試験官から手を差し出されて、ようやく我に返ったマルクは「ありがとうございます」と言って差し出された手に握手を返した。テレスも握手をしてお礼を述てから、試験管に向って尋ねた。


「あの場所では、どうすればよかったんでしょうか?」


「マルクが言ったように、下級生を中心にして3人で協力してバリアのドームを作るのが正解だ。テレスが言ったように、冷静に状況を観察していれば、巨人が投げる岩があまり落ちてこないルートがあることも発見できただろう。ドームを作った状態で、そのルートを通れば安全にあの場所を抜けることができる。それが正解だ」 試験官は、マルクの方を向いて言った。ジンはまだふてくされた様子で、そっぽを向いたままだった。


 試験を終えた3人は試験官に導かれて塔の外に出てきた。テレスとマルクが迎えに来た事務官の女性と共に本館手続きのために向うと、塔の前には試験官とジンの二人が残されたが、まだふてくされているのかジンは失格を言い渡されてからずっと黙ったままだった。


「失格にはなったが、君の魔法は完璧だった。さすがだな、ジン」

試験官はジンに背を向けたままそういうと、塔の中に姿を消した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ