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ラベンダーの空  作者: 凌月 葉
1. ステージアップ試験
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1. ステージアップ試験 5

1. ステージアップ試験 5


 ゴォゴォと音を立てて床が崩れ始めると同時に、大きなうねりのような振動が4人を襲い、土煙が上がった。ルシアは、その振動でバランスを崩してまた尻餅をつく。後方では土煙が大きな魔物のような形に盛り上がり、真っ黒な大きな口開けて迫ってくる。テレスは急いでルシアを抱き上げたが一瞬飛び上がるタイミングが遅れてしまった。


「テレス危ない!」

 

 魔物の口が二人を飲み込もうとした瞬間、マルクがテレスとルシアを後ろから抱きかかえて飛び上がる。


「ありがとうマルク、助かったわ」


テレスがそういいながら後ろを振り返えると、通路の床は全て抜け落ちてぽっかりと黒い大きな穴が口を開けていた。


「全く、年寄りはろくなことを考えねえな」

 

 次の部屋への通路に4人が無事に降り立った時、ジンがまた吐くように言った。マルクは、小脇に抱えた二人をそっと床に下ろすと、ルシアの前にしゃがむ。

「またこんなことがあると危ないから、これから先は僕が負ぶってあげるから」そう声をかけると、テレスは小さな声でありがとうと言ってから、そっとマルクの背中に負ぶさった。


「なにもたもたしてるんだ、次の部屋に行くぞ」

通路の先の大きな扉の前で、ジンが声をかける。

「全く、自分勝手なんだから」


 扉を開けると、そこには螺旋階段があった。慎重にその階段を上がっていくと、また大きな扉があり、その扉の向こうは大広間になっていた。扉から真っ直ぐにじゅうたんが敷かれ、そのじゅうたんの脇には太い柱が等間隔に何本も並んでいる。柱には松明(たいまつ)がともされていたが、部屋の天井や壁にまではその光は届かず、暗闇の中に大きな柱に挟まれた通路だけが浮かび上がっているように見えた。


「じゅうたんの下に、またなにかトラップがあるかもしれないから、ココは一列になって飛んで行くぞ」 ジンが皆に声を掛け、一同はその言葉に従った。

 ジンの次にルシアを負ぶったマルクが続き、その後にテレスが続いて、一列になって床から少しだけ上をユックリと浮かぶようにして進んで行く。


「ここには、どんな仕掛けがあるのかしら?」

「さあな、年寄りが考えることだからな」

マルクに負ぶわれたルシアを気遣いながら、テレスが言う。 とジンが辺りの様子を伺いながら言った。


「あれなに!」しばらく進むと、ルシアが声を上げた。 じゅうたんの先の方になにか光るものが二つあった。その声を聞いたジンが後ろを向って手を上げて皆を止め。「ちょっとココで待ってろ」と言い残すと、その光に向って飛んで行く。

「あ、待ってジン」テレスが慌ててジンを止めたが、ジンはテレスの言葉は聞かずに行ってしまった。


ジンが近づくにつれて、光は大きさと輝きを増す。

「これは……。みんな柱の影に隠れろ!」

 ジンが叫ぶのと同時になにかが通路に向って飛んできた。大きな岩のようなものだった。光の正体は石の巨像の目だった。ジンの動きに反応し、大きな岩を投げてきたのだ。


「どこかに次ぎの部屋へ抜ける道があるはずだ、まずはそれを探すぞ」

ジンが柱のところまで戻りそういうと、テレスとマルクそれに頷いて壁や天井を注意深く見回した。


「あそこじゃない?」

しばらくしてテレスが指を差したのは、巨像の足元近くの壁だった。確かに、そこには扉らしきものが見える。 しかし、巨像が投げつける岩が床や壁に当たって砕ける音は、まだ止む気配もなく続いていた。



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