10. 親友 2
10. 親友 2
「ジン……?」
「ううん、なんでもない」
「私なんか酷い事言っちゃったね。ごめん」
「そんなことない。こっちの話だから気にしないでいいよ」
「でも……」
「俺さ、学院にいた頃……」
「うん」
「俺の親って、結構偉い地位にいるんだよ。しかもさ、俺もそれなりに成績が良かったからか、学校では結構ちやほやされててさ、俺の周りには結構人が寄ってきてたんだ」
「うん……」
「でも、その中に本当に友達とか親友って呼べるようなやつは、いなかった」
「え?」
「一緒に遊びに行こうって声をかけられることもあったけど、なんかいちいち付き合う気がしなくて……。そのうちそいつから声がかからなくなっても、他のヤツが声を掛けてくれてたから。気が向いたときだけ、その時に一緒にいるヤツと遊べればいいや、って……」
「……」
「俺、羨ましかったんだメリーベルのことが。お前があんまり一生懸命にやってるから。でも、友達だもんな。大事……なんだもんな。だから、出来れば少しでも力になりたいって、普通は思うよな?他に付き合うヤツがいるからってそいつとの付き合いを大事にしなくてもいい、って事じゃないよな。俺、馬鹿だな。そんなことにも気づかなかったよ。だから……。お前みたいに、友達のために一生懸命何かをやったことも、やってもらったことも無いんだ。俺ってさ、そういう酷いやつなんだよ」俯いたままジンは静かに話した。
「そんなことない!」
「え?」突然声を荒げたラベンダーに、ジンは驚いて顔を上げる。
「そんなことないもん。ジンは酷いヤツなんかじゃないもん!」
「……」
「私が泣いてたら、屋根まで迎えに来てくれるし。危ないからって、高い所の物を取ってくれたり……。慣れない薪割りの仕事も、一生懸命やってくれたり……。ジンは優しくていい人だもん。だから、もうそんなこと言わないで!」
「ラヴァン……」
「私は……私はジンの友達だから!私は、メリーベルの事もジンのことも同じように大事だと思うから!ジンだって私の事をそう思ってくれるから、私が体壊しちゃいけないって思うから……。だから、無理するなって、言ってくれたんだよね?ごめん、言うこと聞かないで。だから、これからはちゃんとジンの言うこと聞きます。ごめんなさい。」ラベンダーは一気にそう言うと、いきなり深々と頭を下げた。
「ラヴァン……」
「私じゃだめ?」
ちらりと顔を上げ、上目遣いでジンの顔を見ながらラベンダーが尋ねた。
「え?なにが」
「ジンの友達……」
「そんなこと……。そんなことない!てかそう言ってくれて、すげぇー嬉しい!」
「ほんと?」
「うん!俺もさ……、俺もメリーベルの友達になってもいいかな?」
「え?もうジンはメリーベルの友達だよ」
「え?」
「だって、メリーベルだってそう思ってるって手紙に書いてあったし。今回の事だって、メリーベルのことを大事だって思ってくれたから手伝ってくれてるんでしょ?」
「え?まあ、そうだけど」
「いまさら変なの、ジン」
「そうかな?」
「うん。でも……」
「ん?」
「これから、ジンの言うことはちゃんと聞きます」
「俺もちょっと言い過ぎた、ごめん。でも、やっぱり無理はいけないって思うからさ。お前がメリーベルのために無理をしてるって聞いたら、彼女だって心配すると思うし」
「そうだね。友達のためって言ってもさ、心配かけちゃったら、もともこもないもんね?」
「うん」
そんなやり取りがあった夜、ジンは夢を見た。それはジンがまだ初等学院の頃の夢だった。