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ラベンダーの空  作者: 凌月 葉
1. ステージアップ試験
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1.ステージアップ試験 2

1.ステージアップ試験-2


 魔法使いは、大地や水などの自然界に宿る精霊の力を借りて魔法を操っていた。

己の身に宿る魔力と、呪文の力によって精霊に命令を下すことによって魔法が実行されるのだ。


 魔力の大きさによって、より多くの精霊を支配することができ、呪文は、精霊達にどのような事柄を

実行して欲しいのかを正確に伝えるための指令書のような役割を果たす。しかし、呪文の意味を正確に理解し、魔法に対してきちんとしたイメージを持つことができて初めて、正確な魔法が実行されるのだ。


 もしそのイメージが不確実なものであったり、余計な邪念が入ってしまうと、魔法はきちんと実行されず失敗に終わってしまう。また魔力が弱く、精霊を支配することができない場合も魔法は実行できない。

つまり、魔力と呪文のバランスがきちんと取れそれを制御することができて初めて一人前の魔法使いとなることができる。


 どちらにしても魔法を実行するためには、精霊の力が必要不可欠であった。精霊たちは、ルードの里に限らず自然界の中に存在する。つまり、自然が破壊されれば精霊たちの力も数も少なくなり、魔法は実行されづらくなってしまう。そのために、魔法使い達は自然を大切にした暮らしをしてきた。


 だが、人間界で大きな戦争が起こるたびに、魔法使いに必要な自然が容赦なく破壊されていく。魔法使い達が人間界を離れて暮らすことにした理由のひとつはそんなところにも存在していた。


 ジンがルードの里を出たくて仕方がない理由の一つに、そんな魔法使いの暮らし方にあった。ジンの兄のデュークは、ファイナルステージをクリアしてから、里の近衛部隊所属し、今では隊長を任されていた。村を守るための結界は、近衛部隊の隊員達の魔力によって作られていた。そのほかにも、定期的に人間界の様子を偵察に行くという任務も持っていたのだ。 隊長であるデュークは、人間界の状況を偵察して来ては里の長である父に報告を入れるのだ。 生活のいろいろなところで魔法を使いながら暮らしているルードの里と違い、人間界では機械文明が発達していた。その機械文明こそが、ジンの心を捉えて放いた。


 人間界から偵察報告を聴かなくても、ルードの里の遥か上空を、なにやら銀色をした光るものが飛び交うのを目にして、ジンは人間界に想いをはせていた。自然と共存していくという魔法使いの暮らし方は、ジンにとってはとても退屈でくだらないものに見えて仕方が無かったのだ。


「いつかこんなところから外に出てやる」父に報告をする兄の言葉を、父の書斎のドアの外で聞き耳を立てながら、いつもジンはそう思っていた。



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