表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/48

【第二話】 『悪役令嬢の現実と、生き残るための選択』

冷たい視線が、背中に突き刺さる。

それは気のせいじゃない。

確かに――

向けられている悪意だった。

アストラリス学園。

その中を歩くだけで、周囲の空気が変わる。

ひそひそとした声。

隠そうともしない視線。

「……あれが」

「アストレリア公爵家の……」

「悪役令嬢」

その言葉は、小さくてもはっきりと聞こえた。

(……やっぱり、こうなるよね)

心の中で、ため息をつく。

ゲームの中でも同じだった。

アリア・アストレリア。

高慢で、冷酷で、誰からも嫌われる存在。

そして最終的には――

破滅する。

屋敷に戻っても、それは変わらなかった。

「お帰りなさいませ、お嬢様」

頭を下げる使用人たち。

けれど、その態度はどこか硬い。

距離を置かれているのが、はっきり分かる。

(……信頼されてない)

それも当然だ。

今までの“アリア”は、

気分で怒鳴り

理不尽に叱責し

使用人を道具のように扱っていた

そんな人物だった。

「……紅茶を」

短くそう言うと、メイドが一瞬だけ肩を揺らす。

「は、はい……!」

明らかに怯えている。

(……最悪のスタート)

夜。

一人、部屋の中で考える。

「……どうする?」

このままじゃ、確実にバッドエンドだ。

処刑、追放、没落。

どのルートでも、結末は変わらない。

でも――

(私は、全部知ってる)

十一のルート。

その流れ。

分岐。

イベント。

すべてを、覚えている。

ならば――

(回避できるはず)

机の上に手を置く。

そして、静かに整理する。

ー アリアの生存戦略

① 無駄に敵を作らない

→ 高圧的な態度をやめる

② 主要イベントを回避または改変

→ ヒロインへの嫌がらせをしない

③ 王子たちとの関係を悪化させない

→ 必要以上に関わらない

④ 情報を集める

→ 学園・王子・貴族関係

(……完璧、とは言えないけど)

(やらないよりはマシ)

だけど。

一つだけ、不安が残る。

(……スコルピオのルート)

ラフリ・アステリオン。

あのルートだけは――未クリア。

情報が、足りない。

(何が起きるのか、分からない……)

それが、唯一の“未知”。

そして――最大の脅威。

窓の外には、静かな夜空。

無数の星が、瞬いている。

まるで――

この世界そのものが、何かを見ているように。

(……絶対に、生き残る)

小さく、でも確かに。

そう心に誓った。

悪役令嬢としての運命を――

塗り替えるために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ